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~山田 理氏 × 倉貫 義人氏 スペシャルトークイベント~ #最軽量への道標(全6記事)

時代に合わないルールや制度は「目的」を問うべき コロナ禍でも変わらないマネジメントの本質

『最軽量のマネジメント』著者の山田理氏と『管理ゼロで成果はあがる』『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』著者の倉貫義人氏による対談が開催されました。これからの時代のマネジメントを考えるうえで大切なこと、必要なマインドセットなどを、それぞれの知見を交えて語ります。本パートでは、コロナ時代のマネジメントについてアドバイスを贈りました。

成果と評価は分けて考えた方がいい

倉貫義人氏(以下、倉貫):成果と評価は別なので、分けて考えたほうがいいんじゃないかなというのはありますよね。どう評価をうまくするかというのはもちろんあるんだけど。

それはもう会社ごとにいろいろあるけど、結局何のために評価しているのかという話で、お給料を上げるための評価なのかどうかと言うと、それ以外のことのほうがたぶんたくさんの要素としてあって、さっき山田さんが言われたようなフィードバックをするためということもそうだと思うし。

であれば、別に評価面談とか評価と連動しないところでフィードバックの機会を持ったほうがいいし、評価は関係なくキャリアを考える機会にしたほうがいいし。会社と個人のすり合わせも評価面談と合わせてやる必要はなくて、普通にやればいいというだけの話なので。

バクッと評価とか成果と言っちゃっているところを、改めて何のためなのかをちゃんと考えてみることは大事なんじゃないかなと考えていますね。

ルールや制度の「目的」を問う必要性

山田理氏(山田):本当に「何のためか」を1回考えてみるとおもしろいですよね。銀行にいたときはまったく考えなかった。やっぱり自分がルールを作る立場じゃなかったから。

やっぱりルールはあるもので、従うものだったけど、自分がルールを作る側になったら、これは何のために作らなあかんのかなとか、「副業ってなんでしちゃいけないんですか?」って言われたら「なんでしたらあかんの?」って。

世の中の常識からしたら、昔の会社もしたらあかんかったし、「たぶん本業に身が入らへんからちゃうの?」と普通に思っていたけど、やっぱりなんでかなって。ほんまに本業に身が入れへんからかなって、よう見てみたら、本業に身が入ってないやつはいっぱい周りにいるなと思って。

倉貫:関係ないっていう。

山田:「副業関係ないやん」みたいな。そう思うと、なんで禁止にしてんのやったっけとか。そういう視点が変わるとおもしろいですよね。

実際に働いているときも、あんまりその質問に答えられる人というのは……意外とルールを作った人たちが身近にいるかもわからないですけど、「なんでこんなんがいるのかな」って目的をやっぱり問うていくのはすごく大事かなと。

倉貫:やっぱり会社の制度や構造を作った人は、別にそんなに考えていないんですよね。なので、「会社が」とか「なぜこうなのか」とか言うけど、それは考えてないからそもそも考えたほうがいいなという。

山田:「めっちゃ考えて作られているんや」ということも多いと思うけど、意外とパクってきてるものが多いから。もしくは昔の環境の中で作られたものかもしれないしね。

倉貫:そうですね。なんでも思考停止せずに「そもそもなんでそれがあるのか?」を考えていくのがいいんだろうなと思いますし。それが結局会社のルールと多少外れたとしても、もし本質的に良いことだったり、成果を出せることだったら会社は文句を言わないですからね。

西舘聖哉氏(以下、西舘):そうですよね。その行動活動や言動は認められていきますよね。

ログすることでアウトプットを「見える化」

山田:さっきの評価のところで、リモートワークでマイクロマネジメントをしすぎる会社の成果の定義……。だから、リモートワークの辺りって、マネジメントなどの話をしなくていいですか、と言うか(笑)。話したいなと思うんですけど。

西舘:序盤のほうに1個質問があったので、それも最後にあげようと思って。「離れて顔の見えない社員を信用するためにやっていること」というのが質問としてあがっていまして。1つはザツダンだと思っていて、離れていてもその時間をちゃんと確保してコミュニケーションをとっていくことが大事だと思いますが、それ以外にも何かあれば。

山田:僕なんか、どちらかと言ったらザツダンは人間関係という感じで思っているんですけれども、端的に言うと情報共有なんだと思います、と。

結局リモートワークをしていると結果を残さないといけないから、ログ化されていくんですよ。自分がやったアウトプットは、会社に居ると結果はあまり共有していなくて。会社に居ることで成果を見える化していると勝手に思っていて。

本当は1日中寝てたりしていたかもしれないけど、居るということで、1ヶ月後ぐらいの中で「こういうのができました」「できません」みたいな。そこらへんの結果がざくっと出てきていたりすると。でも、リモートワークをしていたら、サボってるかもしれないとか、やっぱりコミュニケーションが返ってこないだけで「あいつ何やってんのやろ」というふうになるんで。

けっこうログ化されることが多い。ログ化されていくと思うんですよね。アウトプットが見える化されていく。この見える化というのがすごく大事。

リモートワークとサボりの問題は無関係

山田:あとはリモートかどうかなんて、正直どうでもいいですよね。うちの会社は新しく入ってきた人は、今でこそあまり言われないかもしれないけれども、隣に居る人にグループウェア上のチャットで『こういうことをお願いします』とか。「隣に居んねんから言ってよ!」となって。

でも、それって見える化されているから、隣にいる人だけじゃなくて他の隣にいない人に対して「自分がこういう指示をしている、こういう話をした」ということがログ化されて残る。そうするとオフィスにいるかどうかが関係なくなっていくんですよね。

この辺がリモートワークというよりも、完全に仕事が見える化されることで、情報も共有されやすくなって効率化されていくし、やっぱりクオリティも上がっていく。そこがどんどんリアルもバーチャルも関係なくって、いったん見える化されていくというのがめちゃくちゃいいことだなと僕は思っています。

だいたいサボるやつは会社に来ていてもサボっているので、リモートワーク以前の話。関係ないんですよね。

倉貫:そうですね。リモートワークだからサボるわけじゃなくて元からサボっているというだけなので。

山田:サボる人がサボるんで。

西舘:成果を具体的に見せなきゃいけない環境に強制的に置き換えられたことで、今までごまかせていたところがごまかせなくなったということですね。

山田:一挙手一投足を見ようというのを、たぶんマイクロマネジメントと呼んだりすると思うんですけど。

僕は「見る」んじゃなくて「見える化」をして、見える状態にだけしておいてくれれば、僕やマネジャーじゃなくてもいろんな人が見てくれてるから、そのほうがなんとなくいいんじゃないかなと思います。

全員が見ている前でサボるのはすごく大変ですよ。だから、けっこう情報を共有していくというのは、これからの働き方がすごく大事だし、このコロナである意味いい機会だったんじゃないかなと思いますけれどもね。

会社内での悩みや困りごとの共有が大切

西舘:すみません、そろそろお時間になりますので、最後にふわっとしていて申し訳ないんですけれども。今日はマネジャー向けという特色の強いイベントで、このコロナ時代に、マネジャーの方向けに今後こういうことをしたほうがいいよとか、こういうところに気をつけていけば乗り越えていけるよ、という山田さんと倉貫さんなりのメッセージをいただきたいのですが。

山田:コロナで?(笑)。

西舘:そうです。ちょっと環境が変わっちゃったけど、こう乗り切っていこうというのをぜひ。そういうメッセージはかなり勇気になると思うのでぜひ。すみませんが、よろしくお願いします。

山田:今、僕らもすごく学びになるのが、逆に選択肢があったから、リモートの人と会社にいる人が両方ミックスでずっと仕事をしていたんですけれども、全員がリモートになることによって、やっぱり仕事のやり方や学ぶところもすごく多かったりして。

効率的だし、結局これがあることによって、今後は場所にとらわれなくても、うまくやっていくということがあると思うので。これを本当にいいきっかけとして、新しい働き方にぜひチャレンジしていければいいんじゃないかなということと、マネジメントというところで言ったら、自分が心配だと思っていることは「心配だ」とみんなに伝えるべきだと思うし。

会社の業績とか不安の要素があるんだったらどんどん伝えるべきだし。だからこそ、それをどうしたいのかという理想が生まれるし。その理想を共有することこそが、やっぱりチームとしての一体感とかモチベーションを高めていくと思うので。

まず、問題がある、なにかあったらとにかく共有をして一緒にがんばろうという、僕らやマネジャーが一番悩んでいることや困っていることを共有するのが一番大事なんじゃないかなと思いますけどね。特にこういうときこそ。

西舘:ありがとうございます。倉貫さんからお願いします。

コロナ時代も、働くうえで本質的に大切なことは変わらない

倉貫:そうですね。コロナなのかリモートなのか、いろんなきっかけにはなったなと思うんですけれども。

でも大事なことは結局、オフィスのときから変わってないなと僕は思っていて。今日も僕らの会社はずっとリモートをやっているけど、ザツダンだったりザッソウを大事にしているねという話と、オフィス時代からサイボウズさんはザツダンをしていましたという話だったりして。

マネジャーがそうやって安心してマネジメントしている状態が作れているのは、オフィスもリモートも関係ないけれども、結局今のタイミングでそこを問われるようになった。

「マネジメントを変えなきゃいけないね」とか「組織のあり方を変えなきゃいけないね」というのは、働き方改革でこの1~2年ずっと言われていたんですね。だけど「うちの会社は変わらないんですよね」という人がいっぱいいて、僕はそれを聞いたときに「それってすごく幸せなことだよ」って言ってたんですよ。

会社が変わらなくても、昔ながらのやり方で会社が成立する社会ってすごく贅沢だし、「別にそれで幸せに働けるなら無理してティールとか言わなくても良かったじゃん」と言ってたんですけど、そうじゃない時代が多少来てしまった可能性があるなという状況なので。

もともと何かやらないといけないなと思ってたところはやるだろうと思いますし。だから、別にリモートワークが終わったからといって、じゃあ大事じゃなくなるのかというとそんなことないなと思って。本質的なところを見ていけたら良いのかなと思いますね。

西舘:はい。ありがとうございます。それではそろそろお時間になりますので、イベントを終了したいと思います。もしまだ聞き足りないという方や、ご質問があったら、今日登壇したお二人にFacebookのメッセージなどを送っても大丈夫ですかね。

山田:いいですよ。ご感想を添えて(メッセージをください)。

西舘:そうですね。感想など送っていただけるとすごくうれしいので。

今日の内容を引き続き考えるきっかけにしていただければいいなと思いますし、その内容を共有していただければ壁打ちもできるかもしれないので、そういったところで今後も引き続き関係を続けていければなと思います。

今日もまさに「選択することが大事だ」という話もたくさんありました。こうやって変わっていく時代だからこそ、ここに来た人たちからどんどん広げていけば、一人ひとりが選択していける世の中になっていくと思いますので、ぜひみなさんでやっていければと思います。

というわけで今日のイベントを終了したいと思います。倉貫さん、山田さん、今日は本当にありがとうございました。

倉貫・山田:ありがとうございました。

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