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第2部セッション「伸びる20代、伸びない20代」(全3記事)

世界を変えるイノベーティブな商品は、ユーザーの声からは生まれない ゼロイチ起業家が答える、20代経営者たちからの質問

2019年5月9日、セガサミーグループ本社にて「第2回 UNDER 30 CEO CONFERENCE」が開催されました。10〜20代の若手経営層を対象に行われたこのイベントでは、若くして大きな価値を生み出すことに成功した先輩経営者を多数招き、“成功するためのキャリア”をどう作っていくかについてのトークセッションを実施。本記事では、KLab真田哲弥氏、バロックジャパンリミテッド村井博之氏らが登壇した第2部セッション「伸びる20代、伸びない20代」より、質疑応答パートをお送りします。

次のゼロイチに挑戦したい

伊藤亜樹氏(以下、伊藤):それでは続いて質疑応答に移りますね。質問のある方は挙手をお願いします。

(会場挙手)

では真ん中の方、お願いします。

質問者1:初めまして、お二人の話を聞いていて、ちょっとワクワクしすぎて事業の話の質問をしようと思ったんですけれど、よりパーソナルな質問をさせていただきたいと思ってお時間をいただきました。

ちょっと小学生的な質問になるかもしれません。お二人の今の将来の夢の話を聞かせていただきたいです。事業の夢でも、個人の夢でもいいのでお願いします。

伊藤:では、真田さんからお願いします。

真田哲弥氏(以下、真田):僕は冒頭にありましたように、ゼロイチが好きです。対立する2つのことをやっています。KLab株式会社の会長として、ちゃんと次の社長にスイッチして、次の社長が軌道に乗るところまでが僕の仕事なので、しっかり見守って応援していく。これが1つですね。

もう1つは、「会長になって、何もしないか」というと、この歳でもう1回スタートアップをやろうとしています。それを成功させて、次は3回目の上場を早めにしたいなと思っています。その辺が夢ですかね。

伊藤:村井さんお願いします。

村井博之氏(以下、村井):そうですね。私も今真田さんがおっしゃっていたことに近くて、今の事業を早くもっと普通に軌道に乗せて、他分野に進出していきたいなと。私自身キヤノンにいたり航空会社にいたりして、だいたい10年ちょっとくらいで違うことをやってきています。もうそろそろアパレルも長くなりましたので、ここから次の分野にまた事業領域を広げたいなというのが夢ですね。

質問者1:はい、ありがとうございます。負けないようにがんばります。

伊藤:ありがとうございます。他に質問がある方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

伊藤:では、次はあちらで手を挙げられている方。

1,000人以上の組織における企業風土の作り方

質問者2:お話ありがとうございます。お二人に質問したいのは、言葉の選び方だったり、評価軸の形成だったり、コミュニケーションの取り方だったり、社内の文化を形成するためにお二人が気を使っていることがあれば教えていただきたいです。お願いします。

伊藤:村井さんから、お願いします。

村井:文化って、私が引っ張って作れるものと、社員の個性で自然にできていくものの2つがあると思います。私がとにかく社員に目指させることというのは、我が社流無差別。無差別というのは、国籍とか年齢とか男女差別とかがなく、みんなが仕事をできる企業を作っていくというところですかね。

質問者2:ありがとうございます。

真田:社員が2、30人くらいまでは企業風土とか文化とか、自分の生でダイレクトに伝わるから、自分が歩く風土で、歩く企業文化になるわけですよね。だから割と簡単に浸透させることができるんですけれど、社員が100人を超えたくらいから、そうはいかないようになってくる。うちの場合は事業所が数多くありますけれど、店舗とかじゃなく、僕らは会社です。

店舗に比べるともっと簡単なのかもわかりませんけれど、全国にオフィス拠点があって、六本木ヒルズに入りきらなくなって、六本木だけで数か所のオフィスに分かれて……となる。従業員が何百人、何千人となってくると、文化を伝えることってすごく難しくて、企業の風土とか文化を作っていくことは、すごい苦労しています。

どこでもやっていることで、クレドとか理念とか、明文化。言葉って必ず一人歩きするので、言葉を作って、しつこいくらいに言いまくる。よくある話で、昔はポスターを貼ったりしていましたけれども、それでは追いつかないようになって、社内のいたるところに大きな液晶モニターを天井から吊るして、斜めの角度にいたるところに吊るしました。

そこに繰り返し「今週末なんとかの締め切りですよ」とか「なんとか健診あります」というニュースみたいなこともやるけれども、ビジョンとか文化とかを浸透させるためのものをずっと流し続ける。仕事をしていて目を上げると、それが目に入るんです。どこの席からも目に入るように、社内に設置しまくるとか結構いろいろ苦労していますね。いろいろなことをやっています。

質問者2:ありがとうございました。

(会場挙手)

伊藤:それでは次は、後ろの手を挙げていらっしゃる方、お願いします。

イノベーティブなコンテンツは非統計的手法論から生まれる

質問者3:お話ありがとうございました。真田さんにお聞きしたいことがあります。ゼロイチを作ることに僕も実際取り組んでいて、すごく興味があります。初期のユーザーに熱狂的に刺さるようなプロダクトを作るにあたって、心がけていることなどありますか?

真田:マーケティング調査とかAPテストとか、いろんな科学的手法が世の中にあると思うんです。でも平均的なアンケートとかマーケティング調査、その他のレポート、調査を信じないということが大事です。凡人100人でディスカッションして何が生まれるか。絶対何も生まれないですよね。

それよりも、天才3人でディスカッションしたら、いろんな新しいものが生まれる。普通の100人の意見を聞くよりも、とんがった、「その領域のこいつだ!」という人、3人とか5人の意見をしっかり聞く。そういう非統計的手法論というのがすごく大事だなと思います。ゲームを作るときでもそうで、一般ユーザーに聞いて平均値をとったら、ありきたりなものができあがるんですよね。

基本、ユーザーに聞いちゃいけないのです。ユーザーには教育して提示するんであって、ユーザーに聞いてユーザーの欲しいものを作ったら、フォロワー的商品しか絶対にできない。

イノベーティブな商品は、ユーザーに聞くと絶対にダメ出しされます。そういうものこそがイノベーティブで世の中を変えます。世の中を変える商品を作ろうと思っているのに、リサーチをして世の中の人に聞くことは、とても愚かなんです。

じゃあ「これがいいんだ!」と、独善でいいのかというと、そうじゃないところが難しい。だから自分が信頼できるイノベーティブな数少ない何人かでしっかりディスカッションをするという手法になりますね。とても難しいです。一般的な統計的手法を使ってイノベーティブな新しい商品は絶対に生まれないです。そういうものがあとあと世の中を変えることは絶対にないですよね。フォロワー的商品しかできあがらない。ここがポイントかなと思います。

質問者3:ありがとうございます。

(会場挙手)

伊藤:では今、手を挙げられた方、お願いします。

現場ですべきことに、どれだけ口を挟むべきか

質問者4:お話しいただきありがとうございました。先ほどのセガサミー里見社長のお話を聞いていて、AndroidとiPhoneの両方のスマートフォンを持って、グノシーのアルゴリズムを知るために違うペルソナを入れて確かめていると聞いて、すごいなと思ってしまいました。普段自分が絶対にそんなことをやらないなと思います。

社長の高い視点を顧みたときに、現場のインプットに乖離が生まれてくると思っています。でも社長の立場から見て、現場のインプットもしていかなきゃいけないというパラドクスって、どう解消されているのかなと。普段現場の何を考えていて、こういう技術をどうやって啓蒙されているんでしょうか?

真田:ごめんなさい。いまいち質問の主旨がよく飲み込めませんでした。現場のインプットって、どういうことを指していますか?

質問者4:最新のアルゴリズムだったりを、ちゃんと自分で体験して、自分がどういう改善点があるのかというのを、どうやって末端の社員まで啓蒙しているのかなと、非常に興味があります。もしやっていらしたらでいいので、どうやってやってらっしゃるのかなと。

真田:現場のインプットというのは、現場のスタッフに対してどうインプットするかじゃなくて、現場でやるべきことを、スタッフ・社員に対して自分がどうインプットしているかということですか?

質問者4:はい。

真田:そういうことですね、はい。まず、KLab株式会社では僕はそれは一切やっていないです。そこを会長の僕がやるべきではない。「これは違うな」と思うことは多々ありますが、現場マターに口出しをしないと決めているので、口出しをしません。これがまず、KLab株式会社においてです。

一方で、最近始めた僕が個人でやっている新しいスタートアップは、社員数人とか10人とかで、ここにおいては明らかに知識差、スキル差がまだまだあります。プレイヤーとして僕の方が、まだ大分知識と能力と経験が豊富で、プレイヤーレベルで「これじゃなくて、こうしないといけない」と思うことは、日々あるわけです。僕はディスカッションをして、「これは本当にこれでいいのか? こうじゃないのか?」ということを日々やっています。

「どういう方法で?」というか、単にディスカッションをやるというやり方をしていますね。

質問者4:自分で実際に体験されて、一次情報をインプットしてらっしゃるということですか?

真田:そうですね。そういうことをしていますね。スタートアップの時しかやらないと思います。まだ僕がスタートアップというレベルの会社をやっている時は、仮にアプリだとしたら自分自身が触りまくって、「こうだ」というのはやっぱりありますね。

質問者4:ありがとうございます。

一時情報第一主義者でありたい

伊藤:村井さんはいかがですか?

村井:うちは技術系じゃなくて単純小売業というところで、日本に1,500人、中国社に1,000名くらいいます。2,500人くらいいたら、だいたい1人の人間が認識できる。「あ、この人はこの間の人だったな」というところで、私自身は一時情報第一主義者なんです。ボトムアップで上がってきた役員とか事業長からの情報はあまり信用しない。チャット、SNSを活用している。

日本だとLINEとかがあるように、中国にはWeChatという、世界で利用者が1番多いソーシャルネットワークがあります。メールだと、社長になにか物申したりとか、部下にいちいち言うのに書き出しをどうしようかという話になるんですけれど、チャットはなんでも簡単に聞ける。

例えばうちの中国の部下のマウジー3号店の店長に「今日売上どうだった? なんで悪いの?」とか。「じゃあこれは君らはどう考えているの?」とか。メールだと大変なんですけれど、チャットだとすごく早くなる。そういうことで全社員との一次情報をどう担保するかを大事にしている。

それが先ほど私が言ったような、日本的なボトムアップの組織を作るんじゃなくて、一応役職は決まっているけれど、全員「社長と私」というハブアンドスポークでつながっている組織。どちらかというと欧米型組織を作りたいので、そういうやり方をしています。

質問者4:ありがとうございます。

伊藤:それではお時間になりましたので、これにて質疑応答を終了させていただきます。本日はありがとうございました。

(会場拍手)

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