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CPOとしてやっている3つのこととその思想(全1記事)

エウレカCPOが心がけているのは“テレビ・散歩・ツイート” 共通認識を芽生えさせ、事業を成長に導くソリューション

2018年7月7日、株式会社フリークアウト にて「プロダクトオーナー祭り 2018 Summer ~プロダクトマネジメントが世界をツナぐ~」が開催されました。IT関連企業に所属するソフトウェア開発のプロダクトマネージャーやプロダクトオーナーを中心に、それぞれが携わるプロダクトの価値や、マネージャーとしての体験談など、幅広い観点からライトニングトークが繰り広げられました。本記事では、株式会社エウレカ 取締役CPO / CMO 中村裕一氏によるLT「CPOとしてやっている3つのこととその思想」の模様をお送りします。

「テレビ」「散歩」「ツイート」を心がけるのはなぜ?

中村裕一氏:はじめまして。株式会社エウレカの中村です。プロダクトオーナー祭りということなんですけど、間違えてステホ(ステークホルダー)が来てしまいました。意見とかTwitterに書くときはお手柔らかにいただければなと思います。

僕の自己紹介なのですが、(スライドを指して)こんな感じでして、好きなことはマンガ、麻雀、映画鑑賞です。麻雀はサイバーエージェントの藤田さんがやっているので、もうやりまくらなきゃなと思って毎週のようにやってます。

役職としてはチーフプロダクトオフィサー(CPO)と、あとチーフマーケティングオフィサー(CMO)ということで、日本市場の事業戦略についてメインに検討しています。今日は僕がCPOとして考えていることをメインにお話しできればなと思っています。改めてよろしくお願いします。

今日話したいことは「僕が常日頃から心がけている3つのこと」です。基本的にこの3つのことは、たぶんみなさんも普段からやっているようなことで、特段むずかしいことではありません。なにか特別な経験がないとできないとか、こういった学歴がないとできないといったものは一切ありません。

みなさんからしたら「そんなの当たり前でしょ」といったこともすごく多いと思うんですが、その背景として僕がどういう意図でやっているかについてもお話しできればと思っています。

その3つのこととはこれです。「テレビ」「散歩」「ツイート」。これを見て、みなさんはどう思いましたでしょうか?

一般的ながらも、まったく違う意図

「テレビ」というと、僕がCMOもやっているので「テレビCMのことか」と思うかもしれないんですが、それとは違って「テレビ鑑賞」のほうですね。テレビを持つ人がだんだんいなくなっているという話がありますが、実際にテレビを持っていない人ってどれぐらいいるんですか? 

(会場挙手)

おぉー、いますね。今日の話は「みんなテレビを見ろ」って話なので、みなさんとはちょっとずれてしまうかもしれないです。

そして2つ目が「散歩」です。「散歩」というと、よく経営者の方が考えていることをまとめるために、「仕事してる間もちょっと外出てみるといいよね」とか「ちょっと自然に入ったほうがいいんじゃない」といった話があると思うんですが、そんな話では一切なくて。小中高のとき、校長先生が学校でよく歩いていて、クラスをのぞいてくることってありませんでしたか? あのタイプの散歩なので、僕が会社をずっとウロウロしているだけという感じです。

最後の「ツイート」は、いわゆるTwitterみたいなものなんですけど、僕のは鍵垢で、一切外にツイートしないんで、これも社内向けの話です。

こんなようなかたちで、普通とはちょっと違うかもしれない意図がありつつも、一般的なことをやっています。3つそれぞれの意図について紹介させていただけたらなと思っています。

事業のスピードをあげるには、共通認識こそがすべて

まず「テレビ」です。「テレビを見よう」というのはどういう意図かというと、「利用者の表現を学ぼう」という意味です。なので、必ずしもテレビである必要はなくて、マンガでもいいですし、本でもいいし、映画でもいいんです。

勤勉になりすぎて自分たちの業界とか専門用語ばっかりになると、プロダクトに反映したり、ユーザーに提供する価値を表現したりするときに、一般的じゃない表現になってしまいます。そうなってしまわないように、プロのコピーライターさんとか、言葉をつくるプロの人たちの表現を、つね日ごろからインプットして持ってた方がいいよということです。

そういった表現を共通言語としてユーザーに価値を与えたい、という認識の統一が簡単にできるようになります。その意味で、テレビを見たほうがいいよということです。

2つ目は「散歩」ですね。僕は1日の3分の1くらいを、本当にずっとただ歩いていたり、みんながミーティングしている横に座ってずーっと聞いてるだけみたいなことをしています。

エウレカは幸いにもオープンスペースがすごく多いので、みんなオープンスペースでミーティングをしています。なのでとても聞きやすい。なんでこんなことをやっているかというと、経営陣が決めたことなどが、実際に同じ認識でできているかを確かめるためです。

確かめるだけなら1on1で聞けばいいんじゃないのとか、普通に自分もミーティングに参加すればいいんじゃないのと思うかもしれません。でも、実際はそれこそステークホルダーがその場にいれば、みんな「分かった」って言うじゃないですか。それで、そのままミーティングを進めるじゃないですか。

すると、どんどんずれていくんですよ。僕らがいたら、勝手に話が進んでどんどんずれていく。だから「僕がいない」ということが重要なんです。なので、僕はずーっと散歩をしています。それで初めて共通認識がつくれるかなと思ってます。

そして、常に頭の中を公開するということを意識したのが、3つ目の「ツイート」です。みなさんもあるかもしれませんが、エウレカではSlack上に個人のチャンネルがあるので、できる限り社員全員、僕のところに入ってもらっています。

そこで、僕が常日頃から考えていること、それは事業の計画かもしれないし、評価かもしれないし、社会現象についてかもしれないですが、そういうのを全部書きまくっています。

しかもその内容は、毎回同じなことがけっこうあります。それこそグループの競合となるTinderの新機能について書くこともあります。

コミュニケーションは、頭の中を公開しながら取っていくもの

基本的に人とのコミュニケーションは、一度言ったところでほとんど何も伝わっていません。10回言って、1割くらいしか伝わらないと思ったほうがいい。

わからなかったら聞きに来いって思う人もいるかもしれないですけど、わかってないなら聞きに来れるわけないんです。それは僕がステークホルダーだからとか、そういうことじゃなくて。みんなわかってないからなんです。

相手はわかってない前提で、何度も何度もコミュニケーションをとらなきゃいけない。それができないのであれば、自分の頭の中を公開していくことがすごく重要になると思っています。

今日はさすがに、事業面において僕が頭の中で考えていることは見せられなかったので、「マグロを釣りにきたよ」とか「こじはるさんと付き合えるなんていいなぁ」といったくだらないものしか見せられないんですけど、こんなことまで僕の頭の中を公開しています。

僕は朝5時くらいから出社するまでの4時間くらい、本当にずーっと事業の話とか書き続けてることがあるんですね。それをやりまくった結果、女性の社員から「就業時間中に読むと事業に支障がでるので、もう今週は読まないことにしました。これからは毎週土日に読みます」みたいになったんです。頭の中を全公開した結果、逆に透明性が薄れてしまうことになったので、やりすぎないようしたほうがいいと思いました。

まとめると、テレビは利用者の表現を学ぶためにおすすめします。そして人の会話から認識を知ると。たぶんPMもPOも、事業上ではステークホルダーになる状況はあると思います。そういった中で、会話からみんなの認識を知るのを意識してください。自分が中心にいないようにすることを意識した方がいいと思います。そして自分の頭の中はつねに公開する。一回言ったから伝わるというのは勘違いです。

こうする理由は、事業で本当にスピードを出していくためです。それを目的にしたときに、共通認識こそがすべてだと僕は思っています。CPOの仕事は、みんなと共通認識をつくり続けて、みんなにソリューションを考えてもらう。それが一番早いと思っているので、共通認識をつくり、共有するために言語のチョイスをし、自分の頭の中の公開する。そうしています。

ステークホルダーからなので、ちょっと現場から離れた話かもしれませんが、これで僕の話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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