2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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中村仁氏:続いて、トレタ導入により人件費の15パーセント削減を実現した人気焼肉店さんのお話です。このお店は人気店なので頻繁に電話が鳴っていました。そのため、トレタ導入以前は専任の「予約担当者」を置いていました。
「予約担当者」はかかってきた電話をぜんぶ受けながら予約を入れていくのですが、これにはかなり高いスキルが必要なんですね。なぜなら、電話を受けて「中村と申します」と言われた時点で、「あー!中村さん。いつもありがとうございます!」とお客様が誰か誰なのか、新規なのか常連さんなのかを判別できないといけないわけです。あるいは、席の割り振りをとっさに行って空席を作り出すような臨機応変さが必要なこともあります。
お客様のことをある程度わかっている人でないといけないし、席の割り振りを行えるだけの頭の回転も必要。電話を受けながらこういった対応をできる人となると、結局店長クラスの人が電話に張り付いていることが多いんですね。
トレタを使うとこういう専任の「予約担当者」が不要になります。なぜなら、トレタを見れば「この人はVIP」、「この人は常連さん」「この人は新規」「この人は以前に問題を起こしたことのある人」ということが、誰でも一目で全部わかるわけです。「この人はこの席が好き」というような情報もわかるんですね。そして席の割り振りも誰でも直感的に行える。
結果、これまでは店長しかできなかったような対応が、入りたてのアルバイトでもきちんとできるようになるため、予約担当者はいらないんじゃないか?となりました。
店長はその分もっと現場に出て最前線でお客様の接客をできるようになるし、予約担当者を不要にすることで、人手不足に対応できるようにもなりました。
次は「機会損失の低減」です。先ほどご覧いただいたように、紙の台帳で予約を管理をしていると、本当に様々な点で効率が落ちます。とくに難しいのが「テーブル回転」。予約をうまく組み合わせ、テーブルを1日1組で終りにするのではなくて、もう1組その前後に予約を入れることで、回転率を上げるわけですね。
これは一種のパズルのような作業で、テトリスを想像してもらえるとわかりやすいかもしれません。「この予約の前後にどの予約を組み合わせれば、テーブルが遊んでいる時間を最小化できるか」「どのお客様をどのテーブルに割り当てると、空席を極限まで減らすことができるか」などを考えながら予約を管理しなければなりません。
これを紙でやっていると、テーブル割り当てを調整する際に都度書き直す必要があり、大変な手間がかかります。結果、書き間違えによるミスも多発するし、作業が面倒だから途中で「このくらいでいいや」となってしまうケースも少なくありません。そこで、そういう管理になってしまっている飲食店さんへトレタを持っていくと、いとも簡単に理想的な配席ができるようになるんです。
実際、トレタを導入して席の稼働率が向上し、機会損失が低減され、売上が3割あがった、という事例もあります。「人力で配席をするのがいかに非効率か」ということが、ここから読み取れますね。
また、あるチェーン店では店舗間で機会損失を減らす取り組みも行われています。先ほどとは別の焼き肉屋さんなのですが、恵比寿と青山と赤坂に店舗を展開しており、それぞれがかなりの繁盛店です。この3店舗にトレタを導入いただきました。
導入後、この飲食店さんはトレタを入れた3店舗間で、お互いの店舗の予約状況を見られるようにしました。例えば恵比寿のお店であれば、トレタ上で簡単に画面を切り替えて青山店、赤坂店の予約画面も見られるようにしました。つまり、3店舗間でお互いに他店の空席情報がわかるようにしたんですね。
それで、なにをしたか。トレタ導入前は恵比寿店に連絡・予約の電話があっても、満席で受けれない場合、「すみません、その日は満席でございまして……またぜひ、よろしくお願いします」とだけ伝えて電話を切っていました。しかし実際は、恵比寿店は満席でも赤坂店は空いているということが少なくないのです。
たまに気の利いた担当者さんがいると「青山店と赤坂店もあるので、もしよかったらそちらもお聞きになってみてはいかがでしょう?」と電話番号を伝えるケースもありました。しかし、お客さんがその後、本当にそこに予約してくれるかどうかわからない以上、機会損失を完全に防ぐことはできませんでした。
これが、トレタを使ってから劇的に変わりました。
予約電話を各店が受け、自店が満席の場合は「申し訳ありません。その日は予約がいっぱいなのですが、青山店でしたらまだお席があります。いかがでしょうか?」と伝えることができるようになったのです。すると、大抵は「じゃあ青山店でいいです。そちらでお願いします」となるため、その場で他店に予約を入れて確定。つまり、店舗間で互いに送客し合う、ということができるようになったのです。
それぞれが繁盛店で、それ以上に売上が上がるとは想像しづらかったのですが、しかし店舗間送客を行うと、おもしろいことに3店舗とも売上があがるんです。つまり、3店舗はどれも繁盛店ではありますが、実は満席になる日時が微妙に違うんです。だからA店が満席でも、B店やC店が空いていればそちらに入れるし、B店が満席でもA店が空いてればA店に入れるなど、お互い送客をしあうことですべての店舗で売上が上がるという現象が起きたのです。この取り組みによって各店舗でそれぞれ百万円以上の売上アップが実現できました。
3つ目は「リピーターが増えたことによって売上があがった」という事例です。このメカニズムを詳しくお話しすると、本日のこの講演枠に収まりません。ですので、なぜリピーターが増えるとこれだけ売上があがるのかという細かい説明は本日はできないのですが、こういう(スライドを指しながら)ドラスティックな結果が出ます。
ちゃんとリピーターを増やしていくと、坪月商16万円のお店が(坪月商)33万円の売上になったという結果が出ている店舗があります。売上倍増ですね。「リピーターを増やす」というのは、これぐらい売上に効くんです。ではこの店がどんな取り組みを行ったかというと、別にメニューや値段を変えたわけではありません。変えたのは「接客」です。
接客時にお客様との会話を通じて情報をきちんと取って、トレタ上に貯めていく。「この人はお肉が好きだ」とか「この人はワインが好きだ」とか「近くに住んでいる」とか「仕事はIT系だ」とか、様々な顧客情報を入れていくわけです。2度目以降の来店時に、その蓄積した顧客情報を活用して接客に活かしていく。例えば、「前回これを召し上がっていると思うので、今回はこれをいかがですか?」みたいなオススメをしたりします。
すると、お客様は「この店はすごいな」「ちゃんと前のことを覚えてくれているんだな」「私のことを、ちゃんとわかってくれているんだな」となります。これだけで、顧客満足度が上がり、劇的にリピート率が上がるわけです。こうした取り組みをきちんと行った結果として売上がこれぐらい変わるという結果が出ています。
同様に、15坪で月商700万円というすでに繁盛しているお寿司屋さんでも、さらにそこから「1,000万円に伸びた」ということが起きています。お寿司屋さんって、おもしろいんですよね。「お寿司屋さんの価値」を決める要素は何かと考えると、普通は「ネタと技術」だと思いますよね。でも、これは価値の半分なんですね。実はお寿司屋さんにはもう一つ、とても大きな価値がある。
それはなにかというと、「接客」です。とくにカウンターに座るお客さんにとっては「大将とのやりとり」というのが、価値の半分を占めているのです。だからお寿司屋さんを繁盛させようと思ったら「いかに接客に力を入れ、お客様に満足してもらうか」がとても大事なのですが、しかしそれを見落とされているお店は少なくありません。
売り上げを大きく伸ばしたこのお寿司屋さんはその本質に気付き、どんな取り組みを行ったかというと、トレタにお客さんの情報をどんどん入力し、その情報を見ながらお客さんとやりとりをするようにしました。「ダンバー数」というのがありまして、「人間がきちんと覚えられる人数の上限は150人ぐらい」だと言われますよね。か。
残念ながら、お寿司屋さんの大将の場合、常連さんの数を数えると、どう考えても150人以上いるわけです。多ければ、数百とか数千いるわけですよ。ぜんぶ覚えているはずがない。聞いてみると、お客さんが席に座ると「あ、この人はリピーターさんだ」ということまではわかる。でも、「あれ?この人はなにが好きだっけ?苦手なネタはなんだっけ?」という細かな情報までは、すぐに思い出せないケースがほとんどらしいんですね。
その場合は、まず「誰なのかを思い出すためのコミュニケーション」から入るそうですつまり探り探り、無難な話から始めて、会話を通して徐々に好きなものなど思い出してからオススメに入るんだそうです。
貝類が好きなお客様に「今日はおいしいアオヤギが入っているんですよ」みたいなオススメができてはじめて、「攻めの接客」になる。これに至るまでの、お客様の細かな情報を思い出すのが大変だ、と言うんですね。トレタを使うと、もう最初から「この人は誰で、なにが好きか」をわかった上で接客できるので、お客様に対する接客の質が上がります。
すると顧客満足度があがり、リピートが増える。単純なことですが、これを積み重ねるだけでこの事例のような「売上の劇的な向上」が起きます。
以上、トレタを使うとどんな変化が起きるかということを事例を交えてご紹介しましたが、これを生産性という観点で整理すると、このように繋がっていきます。
トレタを入れると、まず労働環境が改善されます。紙で予約を管理していた場合、お店によっては1日に2、3時間取られていた店長の作業時間がトレタによって劇的に削減されます。このような効率化、によって、ブラックと言われる労働環境が改善されていきます。
労働環境が改善され、無駄な作業が減ると、減った分を使ってより付加価値の高い仕事ができるようになります。つまり飲食店であれば、よりお客様の満足につなげるための時間ができます。例えば、接客や料理にもうひと手間加えたり、というところに労力を割きやすくなるわけです。
飲食店で働く方は、本来そういうことがやりたいわけです。ホスピタリティに関心のある人、人を楽しませることが好きな人が集まってきているのが外食です。だから、お客様に喜んでもらえるような仕事ができればできるほど、働く側のやりがいはあがっていきます。結果、当然のことながらお客様の満足度もあがっていきます。
顧客満足度があがると、これは仕事の手ごたえにつながるわけです。例えば、お客様がお帰りになる時に「おいしかったよ。また来るね」と言ってくれるお客さんが増える。これが最高の仕事の手ごたえになるわけです。仕事がますます楽しくなっていく。
さらに、顧客満足度が上がると当然のことながらリピーターは増えていきます。トレタを活用するとリピーターが増えるだけではなく、リピーターがちゃんと「可視化」されます。人力に頼っていると「2回目の来店」を見極められずに「せっかく2回目来てくれたのに、気付かずにそのまま終わらせてしまった」というケースが多々あります。トレタだと来店回数が表示されるため、2回目でもわかるんですね。
そうすると、「中村君。今日3番のテーブルに座っているあのお客さまは、1ヶ月前に君が接客したお客さまだよ。後でご挨拶しておいで」みたいなことができるわけです。「自分が接客したお客さんがリピートしてくれた」ことがわかる。飲食店で働いていてこんなに嬉しいことはないわけです。
そうすると、仕事の喜びとか醍醐味を感じてもらえるようになり、その喜びはお客様へも還元されます。そしてリピーターが増えると、間違いなくお店の収益性はあがっていくんですね。売上が上がり、利益が出ます。
飲食店の現場の人たちは、「今日は30万円」「今日は35万円」というように日々の売上予算を持っており、その数字を達成するために頑張っています。売上があがっていくと、これを達成できるわけですね。そうすると「今日もがんばった」「今日も達成した」という達成感を、より多く得られるようになるわけです。
利益が出るようになると、待遇が改善されていきます。「給料が上がる」あるいは「休みが増える」「労働時間が短くなる」など、飲食の仕事がより魅力的な仕事になっていく。トレタはそういうプラスの循環を起こすことができるんです。導入したところから玉突き式に、様々な良い変化が起きていくんです。
これは、結果的に「従業員満足度の向上」に繋がることです。この「従業員満足度の向上」というところまでをしっかりやり切ってこそ、ITの導入なんですよね。単に「効率化しました」「コストが下がりました」となるのがIT化の本当の狙いではありません。我々のツールとしては、ここまでやり切るんだということを常に考え、サービスをご提供しています。
冒頭で「食の仕事を、おもしろく」というお話をしましたが、我々は単に業務効率化で終わるようでは、まったく不十分であると思っています。むしろ業務効率化というのは、我々のミッションのごく最初の入り口に過ぎません。
ここがスタート地点であって、ここからいかに現場を活性化していくか。従業員のみなさんのモチベーションだとか、あるいはクリエーティビティ溢れる自発的な行動といったものを、もっと促していきたい。そうした先に魅力的な職場が増えていき、人々が楽しく働く飲食業界の明るい未来を作っていこうじゃないか、というところまでを含め、ITで実現をしていこうと取り組んでいます。
まだ時間が7、8分あるということで、最後にいくつか新しいネタをご紹介しようと思います。トレタは現在、「生産性向上」に向けた取り組みを行っていますが、今後どのような取り組みをしていこうとしているのかについて、いくつかご紹介します。
まず1つ目です。「予約管理の未来」。我々は「予約管理の台帳サービス」を提供していますが、実はこれをやっていて痛感したことがあります。それはなにかというと、「配席技術」です。これは先ほどもご説明しましたが、いかに上手く予約のパズルを組むか・解くかというのがお店の売上に直結するんですね。
(スライドを指しながら)これは僕らの予約台帳のキャプチャーです。タイムラインと各テーブル情報があり、ここに予約を入れていくわけですね。例えばあんまり配席に慣れていないアルバイトの子が、予約を受けるたびに空いているテーブルへ適当に入力していくと、こんな感じになります。わかりますか? けっこう白いところがあります。
白いところはなにかというと、この時間にそのテーブルは稼働してないということです。寝ています。お金を生んでいないんです。この例では予約が13組ぐらい入っているのですが、(スライドを切り替えながら)熟練したスタッフがきちんと配席をすると、こうなります。これで20組入っています。配席を工夫するだけで、売上が1.5倍も違うわけですよ。
しかし現状、この配席技術はかなり「属人的」なんですね。結局、「配席技術」を持っている人が現場にいるのかいないのかによって、お店の売上が平気で5割も変わってしまうわけです。ツールがあっても「配席技術」がないと、売上が頭打ちになってしまうため、ここを「属人化した状態」にしておくというのはもはや「リスクである」ということです。
そこでトレタでは「これを機械で支援できないか」と考え、自動配席の技術開発を進めています。Googleが開発しているAlphaGoをご存知ですか? 一時、話題になりましたが、碁の世界チャンピオンを負かしたAIです。このアルゴリズムを参考にしたりしながら開発してきまして、ある程度動くものができあがりつつあります。
社内でもAlphaGoと同じように、「人間と対決させよう」ということで、試してみました。対決したのは、「配席の初心者」と「配席の熟練者」と、それから「機械」。この3者で、同じコンディションの中で、配席技術として「誰がどのぐらい上手くできるのか?」そして、「誰がどのぐらいの時間でできるのか?」ということを競わせました。
100席の架空のお店を作り、そこに架空の予約のダミーデータを作った上で、これをこの3者が「用意、ドン!」で配席していく、というテストです。
「どのぐらいの人数を入れることができたか?」ということ、つまり「予約のテトリスを、どれぐらい上手く処理できたか?」ということと、「それを処理するのに、どれぐらいの時間を要したか?」の2点を計測しました。
その結果、まず「未経験者」はどうだったか。100席のお店に、111人が入りました。席数より入っていますね。しかしこれが「熟練者」になると、1.5倍の165人。このぐらい変わってくる。やっぱり熟練者はたいしたものです。
では「自動配席(機械)」はどうだったかといいますと、166人。もはや、人間と変わらないレベルです。そういうところまで、AIによる自動配席技術は進歩してきています。
一方、配席処理にかかった時間、要した時間の計測結果ですが、(スライドのグラフを指しながら)「未経験者」は52分とやはり時間がかかっています。「熟練者」はこの3分の1ぐらいの時間で、18.5分。やはり早いです。一方、「自動配席(機械)」だと、0.7分。瞬時に終わっているんですね。所要時間で比べると、機械はすでに人間を圧倒しています。
これを「時間」と「配席できたパフォーマンス」の2軸でグラフにしてみました。「自動配席」は、開始後瞬時に完了していることがわかります。それに対して「熟練者」も「未経験者」も、かなり時間をかけて配席しています。つまり、もうこれは「生産性の違い」が明らかなんですね。こうした試みを一例に、もっと上手に機械の力を使って、どんなお店でもより多くの売上を達成できるように、配席の部分でもIT支援をしようと思っています。
もちろん、配席時の最終的な判断では、「このお客様は、接待でのご利用だからこっちの席にしよう」とか、「このお客さんは常連さんで、いつものこの席が好きなようだから、ここにしてあげよう」というような人によるきめ細かい配慮が必要ですが、AIによる自動配席システムはこういう面においても、おいおい学習していけるようになるわけです。
こういったことをきちんと細かくチューニングをしながら、この機能を高めていこうと、引き続き社内でAIの開発を進めています。
これが可能になると、どんなお店でも売上の最大化を容易に達成しやすくなる。当然、現場への負荷も大幅に下がる。さらには、オンライン予約でも活用できるようになります。
現在、オンライン予約の裏側では、多くの飲食店が「どういう時間帯で、どういう人数で、どうやって予約を受けると、1番効率よく予約が入るんだろう?」ということにいつも頭を悩ませながら、オンライン予約の設定をしています。しかし、もはやそういう工程も不要になっていくでしょう。
電話予約のあり方も変わります。我々は「オンライン予約が普及すると、電話予約がなくなる」と考えていたのですがサービスを提供開始してから約5年たった現在、「電話予約は当分無くならない」という結論にたどり着いています。そう簡単に、電話予約はなくなりません。
でもお店に行くと、お店の方々から「もう、電話をやめたいんだよね。なんとかならないかな」と相談されるんです。これはなぜかというと、今の若いアルバイト世代は普段からほとんど電話を使用しないため、電話が苦手なんですよね。ところが、飲食店のアルバイトを始めたら急に「予約電話を受けて」と言われるわけです。
これが極めて大きなストレスで、現場でも大きな問題になってきている、と。この電話対応のストレスは従業員満足度も下げている。下手したら、「電話が嫌だから」と辞められてしまうことだってあるわけです。とはいえ、お客様からの電話はまだまだなくなりません。なので「店舗の電話対応を我々が代わりに引き受けることによって、オンライン予約の普及を待たず、店舗から電話をなくしてしまおう」という取り組みです。
具体的には「トレタCC(トレタコンタクトセンター)」という会社を作り、電話業務のアウトソーシング事業を開始しています。
予約電話以外にも、道案内や、忘れ物の問い合わせなど電話にまつわるものは全て「トレタCC」が受けて対応します。仕組みは本当にシンプルで、お客様がお店に電話すると、それがお店ではなくトレタCCに直接かかります。トレタCCのスタッフが、お店の名前で出て、予約対応をしたり、その他の様々な問い合わせにも対応するわけです。予約の電話の場合は、当然トレタを使って予約を入れていきます。トレタに入力された予約情報はクラウドでリアルタイムに同期されているので、お店の方は見ているだけで、予約がどんどん綺麗に入っていく。そういうことができるようになります。
接待や細かい打ち合わせが必要という場合は、内線できちんとお店と相談して予約を受けます。当然、オンライン予約にも対応しているので、お店からすると、オンライン経由も電話経由の予約も、つまりすべての予約が自動的にトレタに入ってくるようになります。もはやお店は、どこからどういうふうに予約が入ってくるかをまったく気にする必要がなくなり、ただお店にiPadを置き、トレタを立ち上げているだけでどんどん予約が埋まっていく。そういうことが、実現できるようになります。
一見、これだけでは普通の予約のコールセンターと変わらないように見えるのですが、我々のコールセンターは、「予約センター」とは名乗らずに「お店の名前」で電話に出る、という点に最大の違いがあります。予約者は、お店に電話がかかっているとしか思いません。飲食店さまにとって、電話対応はおもてなしの第一歩です。それを安易に外部に出して「予約センターです」という画一的な対応をしてしまったら、お客様のがっかり感はとても大きくなってしまうでしょう。だから私たちは、そうならないように、お店で現場の皆さんが電話を受けるよりも、さらに顧客満足度が高まるくらいのコール品質を作り上げることに投資をしてきました。そういう電話対応を実現したオペレーションのノウハウこそが、トレタCCの最大の特徴です。
コールエージェントの画面上には「お店の席レイアウト」「喫煙席・禁煙席」「ここの席からの景色はどうなっているのか」「人気の席はどこか」「この席を予約する条件は何か」などのきめ細かい店舗情報が自動的に表示されています。コールエージェントは、それらを見ながらお客様に席のご提案をできるようになっています。そのため、予約者からするとまるでお店の人と話しているのと同じクオリティで予約対応ができるようになる。
実際に活用いただいている大手チェーン店では、様々な効果が出ています。例えば「手が離せなくて電話に出られなかった」というような状況がなくなるため、受電数が2割増えるという成果も出ています。そもそもほとんどが「予約の電話」なので、受電数はそのまま売上増に繋がっています。
また、販促費が半分に減るという成果も出ました。これには、2つの取り組みが効果を発揮しました。まず一つ目はコンタクトセンターがグルメサイトからの「リクエスト予約」に対応したこと。リクエスト予約とは、お客様がグルメサイトから予約希望日時や人数をお店に送り、その後お店からの折り返しを持って予約成立というものなのですが、このお客様からのリクエストが届いた直後にコールエージェントがお客様に電話をかけるようにしたのです。これによって折り返しのタイムラグがほぼゼロになり、予約のクロージング率が大幅に改善しました。
もう一つは、コールエージェントが受電時にどの媒体を見て電話をしてきたかを質問し、それをデータ化したこと。これによって、各グルメ媒体からの送客効果が明らかになり、媒体費の最適化が可能になったのです
さらにここから副次的に、従業員満足度が上がる、ということも明らかになっています。電話業務がなくなったことに対する従業員満足度は93パーセントにもおよび、「電話以外の仕事に集中できるようになった」、「ストレスが減った」、「お客様やスタッフとのコミュニケーションが増えた」というような非常に良い効果が出ています。この結果としてさらに、離職率が下がるということも起きています。
その実績をご紹介すると、コンタクトセンター導入前の離職率は正社員が34.7パーセント、パートアルバイトが18パーセントの離職率だったのが、導入からどんどん(離職率が)下がっていく、というようなことも起きています。
我々は、(スライドを指しながら)生産性の低さがもたらしていたこれまでの悪悪循環を「逆回転」させることに取り組み続けています。外食産業の生産性を様々な側面から高めていくことによって、労働環境」が大きく改善され、飲食が「稼げる仕事」になっていく。それがやがて「優秀な人たち」の流入を生み、さらに「生産性」が上がっていく。テクノロジーによって、外食が再び夢のある、やりがいのある仕事に変わっていく、ということです。
弊社は「食の仕事を、おもしろく」というミッションを掲げて、こういった好循環を、実現していこうと取り組んでいるところです。
以上、私どもの取り組みの紹介でございました。ご静聴いただき、ありがとうございました。
(会場拍手)
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