2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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中竹竜二氏(以下、中竹):みなさん、今日はお忙しいなかお集まりいただき、ありがとうございます。
我々としても、こういう(会社の)移転を機にみなさまをお招きしてパーティするとは、当初はまったく考えていませんでした。でも、個別にお客さんと会っていると、こんな素敵なお客さんもいて、こういうお客さんもいて、ここがつながるともっとおもしろいのではないかと思うんですね。
私自身、今日来ているお二人からたぶんいろいろな学びがあって、我々のサービスだけでなく、これを一緒に共有できると最高かなと思いまして、今日の機会を作らせていただきました。
今日は我々と一緒にトレーニングをやっているお客様と、以前からチームボックスに対してご支援をいただいてともに歩んできた方々と、良い時間を過ごせたらなと思っています。今日は、最初は我々三人で話をするんですけれども、打ち合わせはばっちりで、いっさいの打ち合わせをやっておりません。
(一同笑)
出たとこ勝負でいきたいと思いますが、簡単に私のほうから、私のイメージで(お二人を)紹介させていただいて、そのあと、実際になにをやるかというのを簡単に紹介してもらったあとに、組織の話をしてもらいます。
まず、高濱先生は、「花まる学習会」という学習塾を設立し、子どもの教育を中心に取り組まれています。今、時代としては、多くの子どもたちが進学塾で受験に向かっています。高濱先生は、人間の原点である「いきいき生きる」「メシが食える大人を育てる」ということをモットーにして、花まる学習会をやっておられます。
私自身は、実は高濱先生を最初に見たのが……ほとんど私はテレビを見ませんが、出張中のミーティングが長引いて始まらなくて、たまたまついていたテレビを見たら、先生が出ていて。それに衝撃を受けて、ぜひ会いたいなと思ったら……あとで紹介しますが、岡島さんが「私、知っているよ」ということで、簡単につないでもらいました。
(会場笑)
これは私自身がずっといろんなことをやるなかで、人を育てる中で、「こういうふうに整理すると人に伝わるんだ」というね。僕自身がそのテレビを見ながら学びになったことを通じて、それ以来懇意にさせていただいています。
中竹:では、高濱先生。今やっている事業の内容もそうですし、高濱先生ご自身がいろんな活動をやられていると思いますので、ご紹介をお願いします。
高濱正伸氏(以下、高濱):1回(マイクを)渡したら、なかなか戻ってこないようなので……。
(一同笑)
できるだけ短くですね。25年前に会社を立ち上げましたが、それまでは「三浪四留」といって……意味がわかりますか? 四字熟語ではないですよ。3年浪人と4年留年をして。
岡島悦子氏(以下、岡島):三寒四温?(笑)。
高濱:三寒四温ではなくて(笑)。3年の浪人は不良で、4年の留年は遊び人で、要するに8年。でも「宵越しの銭は持たぬ」というようなものにかぶれたりして。でも、(8年の間)けっこう稼いでいたんですが、右から左に使っていました。
その中で、20代全部を使って、「この国はメシが食えない大人を量産しているんだな」ということに気づいたんですね。実際、社会的な引きこもりが100万どころか、200万、300万という話もあるぐらい。ここにいらっしゃる全員が、例えば「親戚に1人います」「小中学校の同級生が働いていないんです」というような時代になってしまったんですよ。
それの先駆けというか……先に予備校で気づき、「あれ?」と思って精神科の医者に言ったら「そうだよ」と本当にあっさり(認めました)。「医者はみんな知っているよ。この国は働けない大人を量産しているんだよ」と。「どこに行くでもない、歳取ったじいちゃん・ばあちゃんにぶら下がっているいい歳をしたおっさんが、もういっぱいいるんだよ」というわけですよ。
「えーっ! なんで誰も手を打っていないの?」「卒業したっていう卒業証書、嘘じゃん?」「社会人として成立していないなら、ダメじゃん」ということで、彼らをいろいろ研究して、実際に3階が「花まる」で、2階が精神科のクリニックとしてスタートしました。
そこで、「誰もそんなふうに育てようと思っていない。お母さんが一生懸命育てたのに、(こう)なってしまったんだなぁ……」ということがわかって。この現実の中の落とし穴はなんだろうと、私なりに肌感覚と症例を見てですね。
まず、考える力が非常に弱い。彼らは外で作ってもらった枠組みに生きているというか。「中間テストですよ」というのに対し、「中間テストですか。はい、やります」「そこでいい成績を取れなかったら終わりだ」というような人生観。与えられたことを鵜呑みにしながら、入試もそうですし、就活も「就職しなきゃ、就職しなきゃ」というような。
それで生きているから、お母さんになったところで「いいお母さんかな、私?」と感じるんですよね。いつも外側に枠を作っている人生観。
高濱:僕が好きな人たちは、全部ゼロベースで自分から立て直すというか。「就活必要ですかね?」って。僕も20代の頃、若気の至りで……田舎は九州の人吉という山中なんですが、「別に就活しなくても、木の実はなっているし、いつだって川に潜れば魚を突けるし、食えるのに、なんでそんなに焦っているのかな。遊びたいなら遊べばいいじゃん」という感じだったんです。
自分の頭で1回でも自分のペースに引き戻したあと、「やっぱりちゃんと働こう」という人たちと、ここの違い。これはやっぱり根本的に考える力が非常に弱いというので、「考えることはなんだろう?」と。僕は算数屋、数学屋だったので、数的思考力をベースに「見える力」、つまり補助線が見える力ですね。ないところに線が浮かぶ。
これはどういうことかというと、相手の言いたいことの要点や本質の見え具合が、頭のよさの究極の差なんだと。同じ状況を見ていても、冨山和彦さんや落合陽一さんは、「ここが見えている」というのがすごい。ここの見え具合の差が一番勝負で。
もう1つは、見えるだけでもダメで、パッパパッパ見えても最後まであきらめずにやりきることがすごく重要で。だから、数学の問題のことを語っているのに、僕は最後までやりきる意志力が一番重要だというのを最後にまとめで書いたぐらいです。(やりきる力は)今は「GRIT(グリット)」と言われていますね。
そういうものに注目して「なぞぺー」というペーパーを開発して。これは25年経って、去年Googleで全世界の全アプリの中で教育ソフトとして1個だけ(『Think! Think!』を)選んでもらったので、Googleは見る目があるなぁと。ようやくわかってくれたなと。
(会場笑)
もう1つは、そういうことをどう育てればいいかですね。ドリルではないんですよ。やっぱり、外遊びやサッカーをしたときに、「山田にパスして、よし、田中が走って来るから、こっちからシュート」。この間、ちょうど原口君が長いパスを受けて。つまり、もう打つ前から走っていますよね。
補助線が見えているから走っているんです。外遊びをしたら、そういうことは山ほどあるんですよね。フライを捕るときは、実は補助線を描いているから捕りに行っているわけです。ああいう空間認識をいっぱい感じるような外遊びを山ほどやった人が一番伸びるのではないかと。
高濱:脳のことも勉強しました。今は当たり前に言われているように、9歳、10歳ぐらいまでが非常に重要な頃なんだという現場感があります。僕の認識では、(小学校)5年、6年になるとガガガッと止まってしまいます。急に難しくなるんですよ。ここで立体の問題が苦手な子を得意にするのはほぼ不可能です。つまり、臨界期というようなものがあって、そういうのを現場で感じ……。
今は9歳や10歳のことを脳科学者全員が言ってくれるようになったのでよかったですが、それまでは「エビデンスはなに?」と言われても、「いや、現場で見ればそうなんだよ」ということしか言えなくて。
野外体験ということで、今は夏だけでも7,000〜8,000人を連れて行っています。その10分の1は、発達障害だったり、うちは肢体不自由から知的(障害)から全部連れて行きますから。でも、それは多様性というか、絶対に健常児側に良いことが起こるんですね。
(障害児と)同じ時間を過ごしたことが一度もない人が大人になってしまっていますから。人間力を鍛える意味でも、野外体験そのものとやりたいことを決めてやり抜くという経験(が大切です)。「ダムを作ろうぜ?」「作ろう!」というような。
ここに一番重要なものがあるのに、今、都会にいると与えられてしまうんですよね。「次はこれですよ」と。そうすると、さっき言った与えられる人生になってしまう。それを田舎っぺは自分で決めるから。これが世界中のノーベル賞歴代受賞者が、みんな田舎で育った人だという理由でもなかろうかというので、野外体験をやっています。
3つ目が……これ以上話すと長くなってしまうんですが(笑)。「親を変える」ということに手を突っ込んだ感じです。なぜ20人が2万人になったかというと、「親」ということに本気で立ち向かったので。花まる学習会に通って、週に1回磨いたって無理なんですよ。この「親」という関数を変えないと。
ここにとことん突っ込んでいったのがうちのやり方です。さっきも何度かお会いした方がおっしゃっていましたが、全国講演で回っては、親を変えることに対して真面目に取り組んできたという。これがだいたい3つの柱になります。すみません。話が長くなりましたね。
中竹:とんでもないです。ありがとうございます。たぶんこれだけで3時間ぐらい話せそうになってきた。
(会場笑)
中竹:もっとすごい。ほとんど4時間しゃべってしまうかと思いますので、ここで(岡島さんに)振りたいと思います。
「ICC(Industry Co-Creation ™ )」という1つのカンファレンスがあって、岡島さんとはそこで出会って紹介されました。そのときに、本人のしゃべりっぷりはもちろん、コーディネーター……要するに人の話を引き出すというのを、両方できる人はなかなかいないなと思って。
社長のプロというのが一番の肩書きですよね。社長を育てるプロとして、今いろんなところで活躍しています。若いベンチャーの社長からすると、彼女のところへ相談に行きたいという人が本当に行列して並んでいるくらいなんです。今日は、常にアポ取りを追われているような岡島悦子さんに来ていただきましたので、自己紹介を含め、お願いします。
岡島:ありがとうございます。岡島です。こんにちは。プロノバという会社をやっていまして……「プロの場」という意味なのですが、経営のプロに場を提供して機会開発をしていくという社名になっています。
これをやって10年で、今、中竹さんからお話があったように、最近はサクセッションプランニングと言われる仕事ばかりをやっています。社長と二人三脚で、「10年後の社長をつくる」「15年後の社長をつくる」ということで、たいへん化けそうな、非連続の成長をするような人たち、イノベーションを引っ張っていくような人材を作っていくということなので、やっていることは目利きと抜擢と島流しですね。
(会場笑)
島流しと言っているのは、社長や人事部長さんなどはほとんど関わっていなくて、数万人ぐらいの会社で、100人ぐらいを抜擢してAKBのようなピラミッドストラクチャーを作りまして。一番若い人が26歳ぐらい、一番上で45歳ぐらいで入れ替え戦をどんどんやっています。
その人たちを中東に飛ばしたり、M&Aした会社のPMI(Post Merger Integration/企業の合併・買収成立後の統合プロセス)をやりに飛ばしたりすることを「島流し」と言っているのですが、対象者には30代そこそこのような人もいます。
これを時価総額で5兆円ぐらいの企業から時価総額300億円ぐらいの会社まで、今200社ぐらいのお手伝いをやっている感じです。
なので、私自身(の役割)は人の目利き。これは中竹さんとも話していて、とくにポテンシャル人材を見抜くという感じですよね。富士フィルムさんでいうと、フィルムの人でも化粧品の人でもなく、医薬を率いてもらう人。その次を率いる人というような話ですし、産業構造もビジネスモデルも違うものを作っていってもらう人。
往々にして、さっきの「地方から上がってくる」というところに近くて、会社の中では評定が非常に低い大化けしそうな人材を、とにかく津々浦々探すということを、会社の中に相当入り込んでいって(やっています)。私たちしか見ていないリストがあって、その人たちを島流しすると。
(会場笑)
岡島:10年後ですから、3年ずつぐらいでちょうど配置がえをしているので、影のキャスティングのようなことを相当やっているという感じです。すでに40代で同社の社長になっているという方々もいらっしゃって。社外取締役をいくつもやっているので、そういうことを指名委員会でやらせていただいたり、コンサルタントとしてやっていたりという感じです。
今、社外取締役を6社ですね。アステラス製薬を最近退任しまして……ちょうど任期が切れたんですけれども、丸井グループやリンクアンドモチベーションなどの社外取締役をやったり、NPOの理事などの役職も30ぐらいやっております。
さっき言っていただいたように、「ベンチャー業界のゴッドマザー」と言われているので、私に相談に来たいと。
(会場笑)
ベンチャーの場合は、戦略をつくれる人と財務面のアドバイスができる人はたくさんいるんですけれども、組織・人材のところのアドバイスができる方があまり外にいないこともあって、だんだん社外取やVCなどをベンチャー業界のゴッドマザー的にやらせていただくようになりました。
専門はリーダーシップ開発ですが、もう1つやっているのは……中竹さんとのご縁もそうで、わりと越境をするというようなことをやっていまして。私がやっているのはイノベーション×リーダーシップなので、領域をまたぐという。産業構造をまたぐのもそうで、例えばスポーツ業界や芸能界などは、なかなかサイエンスが入っていないケースもたくさんあります。
組織開発、人の目利き、経営者の支援をいろいろな領域でやらせていただいているので、ここ(中竹さんと高濱さん)をつないだというのもそうですけれども、「きっかけは岡島悦子」という方がけっこうたくさんいらっしゃるのではないかと思っています。
この前も、高濱さんが香川真司さんと対談していたと言っていましたが、香川さんのマネージャーも(私が)この間、高濱さんにご紹介したので、だいたいフィクサー的なことは私がやっています。
高濱:(笑)。
岡島:雑誌媒体等には出ていますが、なるべくメディアに出ないようにしているので、テレビは全部お断りしています。影のフィクサーとして生きるためには、テレビに出ないということを信条にしてやっております。ベンチャー業界のゴッドマザーですが、最近、52歳にして母になりまして。今はまだ3ヶ月に満たない娘を今日は置いてきました。そんな感じになっています。以上です。
高濱:(会場のみなさんは)意味がわかっていないのでは?
岡島:いいんです。一応、かますということが大好きなので。
(会場笑)
「この人、ぜんぜんメディアで知らないな」というのに対し、「知られていないことが、私にはすごくいいんです」と。ただ、不思議なタグをちょっとばら撒いておくということはやったほうがいいかなと思って、言ってみました。
中竹:たぶん一番最後の「3ヶ月の子どもがいる」ということで、それが全部上書きされたという。
岡島:そうですよね。自分たちが理解できない枠組みのことを今日持って帰るというのがすごく……。
中竹:いいですね。我々もカオス体験……要するにカオスを体験しながら学ぶということをサービスで言っていますので。最初のカオスだったと思います。
今ちょうど話に出たんですけど、高濱さんが、まさに今日ですよね?
高濱:はい。
中竹:香川選手と対談されてきたんですけれども。指導論や指導者論について、私はまだ聞いていないので、ぜひ今日の話を踏まえてこれをちょっと(お話しいただきたいです)。たぶんつながると思うので。
高濱:雑誌の中身を先に言ってしまう話になるので、あまり書かれても困りますよ(笑)。
(会場笑)
簡単にいうと、我々は素人だし、サッカーについてそんなに詳しいわけではないので、彼を見ると天才だなって。(香川選手が)20歳ぐらいのときは「すごいのが出てきたなぁ」と思って、ドルトムントへ行って「うわー!」って。それで、(彼は)実はすごく自信がない。自信がないというのは変ですが、地味なんですよ。
岡島:すごく謙虚ですよね。
高濱:そうです。(香川選手は)神戸から仙台へ6年間(サッカー)留学したんですよね。それはなにかというと、Jリーグのチームではなくて、町クラブに行っているだけなんですよ。なぜかというと、その監督・コーチにすごく惚れてしまって、お父さんに言われて6年生ぐらいのときに2週間行ったら、ものすごく楽しかった。
サッカー留学をした理由は、組織戦を教えるのに、「個人として磨け」と個人としての力をつけるように指導してくれる人だったから、そこに惚れて行ったそうです。その6年間の監督のおかげなんだと一生分(の話)を聞いてきました。コーチや挨拶なども含めて、そこでものすごく信頼できる6年間を過ごして、すべての実力を作って。
でも、Jリーグに入ったら(試合に)出してもらえない日々が2年ぐらい続いて。だけど、ブラジルの監督が来たら「お前はすごい」と認めてもらえて、そこからドーンと10番までいってしまうぐらい一気に全部いってしまって。外国へ行ってもなかなか芽が出なかったのに、また監督が変わったらガーッといって。
つまりね、トップリーダーによっていかにぜんぜん違うかということ。いるのに見えていないということって……。
岡島:目利きですね。
高濱:目利きは、けっこうあらゆる組織にあるなと。「香川がいても使わない監督がいるんだ?」と我々は思うけれども、彼は彼なりに自分のビジョンがあってやっているらしい。
そういう意味で、僕も一応長い間社長職としてやっているので勉強になるなと思って。確かにスポーツ界……とくに監督が変わった途端、甲子園へ行ったりしますよね。だから、いかにそのリーダーが……。
岡島:今回の日本代表も、やっぱり監督が変わってぜんぜん。
高濱:西野さんに代わって、オフレコでいろいろと話したいことがあるんですけれども……。
(会場笑)
岡島:みんなすごく言ってた。選手たちもすごくいろいろ言っていたので……なんにも言えないですけれども。
高濱:とても言えないぐらい(笑)。
岡島:そうですね。はい。
中竹:香川選手をちゃんと見極めて使った人とそうではない人がいたわけです。今日は経営者の方もたくさんいて、おそらくその目利きのポイントをみんながすごく知りたいと思っています。そのポイントはなんでしょうか?
岡島:さっき高濱さんが言っていたことや、中竹さんがよく言っていることともすごく共通していて、「伸びしろ」ですよね。今がMAXという人を採ってもダメで。
10年後、15年後の社長……しかも、私がやっている仕事は、10年後、15年後の経営者をつくる仕事ですが、「副社長」をつくるわけではないんですよ。(副社長をつくるのと)社長をつくるというゲームはまったく違うゲームなので。
社長をつくるというのは、みなさんの会社も階層別研修のようなものを、高いお金を払っていろいろやっていらっしゃると思うんですけれども、そういうものとまったく違います。とにかく目利きをして、「次の社長に」ということなので、ものすごく変わった人を選ぼうということになっています。
そういう意味では、視点に非常に特異点がある人を探したいなと思っています。会社ごとにたぶんキラークエスチョンのようなものはあって。さっき高濱さんが言っていた外遊びのようなこととも近いと思うのですが、ある会社では「秘密基地を作ったことがあるか?」というような質問を(キラークエスチョンとして)しています。
固有の質問を作っていくキラークエスチョンがたぶんすごく重要なんだと思うんですが、今の話は、なにも材料を与えられない状況から、自分たちでゲームのルールも作るという経験をやってきたか。しかも、ボスザルとしてどれぐらいやってきたかを聞きたい感じです。
岡島:そういうのを、私たちが抜擢してくるなかで、共通の「今の成功者ではないコンピテンシー」のようなものを見抜く努力をしています。これは固有解なので、会社によってぜんぜん違って。ブライダル産業などではそんな(秘密基地を作ったことがある)必要はまったくないので。むしろ「ずっと幹事をやってきた人を探す」というような。
(会場笑)
「幹事気質かどうか?」というところでひたすら探すような。それから、家族構成のようなケースもあって、「祖父母とずっと住んでいるか?」がキラークエスチョンになるケースもあります。
いずれにしても、自分で考える力や補助線を引くということとすごく近いと思うんですけれども、そういうものを見ています。ただ、選びきるというよりは、ショーケースのようにちょっと一群まとめにして、その人たちの中での議論のようなものを見ながら出し入れするというようなことをやっているので、ハズレもあります。
中竹:ピンポイントに育てず、オプションをグループにするというね。
岡島:まさにAKBをつくるようなこととけっこう近くて。誰が化けるかわからないですが、なるべく種類の違う人たちを入れておいて、彼らに競わせて、フューチャーリーダーのような人から、実は一番の人が出てくるというようなこともけっこうあるので、そういうトライ&エラーをやっています。
中竹:今の話を聞いても、いい人材となると、我々はけっこう、なんとなくざっくりいい人材、ポテンシャルを探すんですが、要はキラークエスチョンを先に立てることがけっこう大事だと思うんですよね。
このあたりは、そのクエスチョンの立て方によって、「秘密基地」「お父さん・お母さんと一緒に」「おじいちゃん・おばあちゃんと過ごしてたか」は、企業によってぜんぜん求めるところが違うんですね。
たまたま、実は今日の午後イチから日本バスケットボール協会のトップコーチの研修がありました。。今日から2週間の研修のオープニングを担当したのですが、なにを最初にやったかというと、まさに……。
「はい、じゃあ始めます。私はバスケをいっさい知りませんが、このプログラムを始めますよ」と言って、けっこう「なんだ、お前?」というような感じでスタートしました(笑)。
「では、プログラムを見てください」と1分間(プログラムを)見せたあとに、「問いを立ててください」と言うと、何人かは「なんだそれは?」「このワークはなんだ?」というようにちょっと斜めに見る人もいれば、「ああ、こんなワークあるんだ」と言ってすごく楽しそうに問いを立てている人もいる。
人によっては、「このトレーニングでなにが得られるのか?」「そもそもこのプログラムを誰が考えたのか?」「これを通じて自分たちは活躍できるのか?」というように、問いがぜんぜん変わるわけです。
実はその問いを最後に全員解消できたらこのプログラムは終わりですし、「答えを出すのは私ではなくて、みなさんですからね」というスタートをしてきました。
実はけっこう漠然と、「いい組織にしよう、作ろう」「いいリーダーになろう」と思ったら、一般のクエスチョンを持ってくるんですが、キラーのクエスチョンを立てるのが本当に大事だなと、今うかがっていて思いました。
高濱:そういう秘密基地とボスザルでやったというのは、けっこう一番の核心をいっているなと思います。
岡島:(笑)。
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