2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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小野裕之氏(以下、小野):じゃあ、ヒラクくん自己紹介お願いします。
小倉ヒラク氏(以下、小倉):はい。僕は小倉ヒラクで、発酵デザイナーという、苦笑しか浮かばない肩書きを持ってるんですけれども。僕はもともとデザイナーだったんですけど、今は微生物の研究家、兼デザイナーという、非常に不思議な仕事をしていて。
もともとこの2人に会ったのは、僕がまだデザインの会社をやってた頃だったんです。僕は4~5年くらい前まで、いわゆるローカルデザインとかソーシャルデザインをやる、デザインファームみたいなものを経営していました。
僕はずっとライフワークで発酵……お味噌とかね。今、僕お酒を飲んでますけど、そういうものを好きでやってたんです。それで微生物界にはまりすぎてですね。もともと小野っちさんと知り合うちょっと前に、グリーンズの編集長の菜央さんと、もう8年とか9年とかの付き合いがあるんです。
ソーシャルデザイン界もいろいろ成熟してきたし、別に僕がやらなくてもよかろうと。けっこうアーリープレイヤーだったんですけど。なんか、自分のなかで意味があることをやりたいなあ、自分にしかできないことをやりたいなあって。それで、やっぱ微生物だよねって思って、今は微生物界のところで仕事してるんですけど。
微生物界で仕事してるというと、みなさんは鉄道オタクみたいな感じイメージすると思うんですけど、実は違っていてですね。たまにはビジネスっぽい話もしようと思います。僕がどういうふうに仕事をしてるかっていうと、1つは、今日も本を売ってるんですけど、例えば自分で本や絵本をつくって、一般の人に発酵のことがわかるようにっていうことをやってるんですが。
実は世界中のバイオメーカー。バイオテクノロジーを使ったメーカーとか、学会とかと仕事をしていてですね。いわゆるバイオ産業のなかでクリエイティブをやる人、あるいは技術とコミュニケーションを繋ぐ人っていうかたちでやっています。「そんなんで食っていけんのかいな?」っていう視線が超こっちにきてるんですけど。
(一同笑)
小倉:あのね、数字出していいですか?
小野:ほう。
小倉:日本に限るんだけど、発酵を使った産業って、いくらぐらいの規模があると思いますか? ちょっと誰かに聞いてみたいな。いくらぐらいあると思います?
参加者2:1千億ぐらいですか?
小倉:ぜんぜん違う。ぜんぜん違う。食品だけで数兆円です。医療品と環境技術とかを含めると、どこまでカウントしていいかわかんないんだけど、たぶん10兆円を余裕で超えるんですよ。10兆円を超える産業って本当に、インフラとかなんですね。エネルギーだとか、建設業界。建築とかじゃなくて、建設ね。あとは金融とか、そういうものになってくるんですけど。
そういう国のインフラに近いような領域のものが、実は微生物を使ったバイオ産業なんです。そこに対するコミュニケーターとか、本当に特化してるクリエイターは、現状、僕ただ1人なので。ブルーオーシャン中のブルーオーシャンとかいうと、「じゃあ、私、明日から発酵デザイナーになります」っていう人が出てくるから、今僕が言ったことは嘘ですね。1千億ぐらいですね、実際の規模は。
(会場笑)
小倉:そんなニッチで、ぜんぜん儲かんない。でも、まあまあ規模があって、国のなかで閉じてなくて、非常にグローバルな産業です。日本も例えば、僕は、某大きいヨーグルトメーカーとか、某大手飲料メーカーと付き合いがあるんですけど。けっこう国境をまたいでずっと研究してたり、商品をつくったりしてるので。
実は、とんでもない産業規模を持ってるところがあって、そのなかでのらりくらりやってるような仕事をしていて。そういうビジネス的な、いろんな腹黒い思わくは若干あるんですけど、基本的には、これは僕のWebサイトなんです。
少女漫画とか大好きなので、少女漫画のレビューとかして、こじらせ女子から怒られたりとかですね、発酵食品のつくり方とかを、いろいろブログで公開しています。毎日、僕のメールボックスに「私オーストリアで発酵食品を仕込んでるんですけど、あっちで野生菌を捕まえる方法ないですか?」とか、そういう相談に答えてたり。そういう仕事をしています。
小野:はい、ありがとうございます。いかがでしたでしょうか?(笑)。
青木耕平氏(以下、青木):みんなの頭の上に、はてなマークしか浮かんでないんでね。
小野:今日はプロデュースおじさん組織論で、さっきワークショップをしたいという方がいらっしゃったので。「こんなことを話してみたいな」とか「最近の悩みはこんなことなんだけど」っていうみなさんの質問を、ちょっと水先案内人に話してみたいな、と。
ちょっととなりと2人組みぐらいになっていただいて。今の不可思議な話、ヒラクくんの最後のほうの話は忘れていいです。
(会場笑)
小野:発酵とデザインって、意外と大きい市場なんだな、ぐらいの。少女漫画が好きなくだりとか忘れていいです。
今日は大きなミーティングだと思ってますので、この場は、3人に聞いてみたいことや問題提起してみたいことを。最近は、こんな問題意識や関心があるんだよねとか。あと、今日はTWDW(TOKYO WORK DESIGN WEEK)なので、働き方や組織を運営することにまつわる、こんな悩みって最近よくあるよね、みたいなのを3つぐらい出していただいて。
たぶんストレートに答えることはないと思うんですけど、一応、水先案内人代わりに、それにまつわる話をしていきたいな、と思ってます。
青木:今日は『笑点』形式で進むってことですね。
小野:そうですね。はい。
青木:OK。わかりました。
小野:じゃあ……となり、右、左を見ていただいて。たぶん、ふだんあんまり喋らないなって思うタイプの人と、3分間話してください。ワークショップをやりたいって言ってたんで。やりますよ、今。
(会場笑)
小野:あの(笑)。3分間の時間を提供しますので、話しをしていただいて。
青木:何でも拾うおじさんだからね。
小野:たぶん最初は「何なんだろうね」っていう話だと思ってます。わかりますよ。わかります。あとは自己紹介もしていただいたりして、この場でこの話をしてみたいなっていうのを。3分だけご提供しますので、ちょっとお話しいただいてもよろしいでしょうか?
小倉:今ね、おじさんっぽいテクニック出たね。
小野:え?
小倉:先まわりするっていうね。みなさんが困ってるのわかってますよ~っていうのを。
小野:いいんだよ、そんなの分析しなくて。恥ずかしいから(笑)。
(会場笑)
小野:じゃあお願いします。
あと1分ぐらいで。
はい、ありがとうございます。じゃあ……そろそろ前に向き直っていただけますでしょうか。意外と小心者なので、この3人の自己紹介はちょっとやらかしたかなって思ったんですけど、みなさんに和やかにお話をしていただいて(笑)。
青木:すげえみんな、かわいい顔になった。
(会場笑)
小野:ははは(笑)。
青木:すげえこわかったから(笑)。
小野:じゃあちょっとひとまず、ひとまずですよ。この場で3人くらい、こんな話をしてみたいとか、自己紹介が短すぎるので、質問っていうのもなんなんですけど。最近、こういう問題意識を持ってるんですけどみたいなの、ちょっとお話いただけると。
青木:これで手を挙げてくれたら、感謝されますよ。
小野:じゃあ、その3人で。順次。……あ、たぶん、その質問に直接的に答えるわけではないと思いますけど。
青木:いやあ、けっこう答えるよ!?
小野:本当ですか? 覚えときますからね。大丈夫ですか?
小倉:この3人はね、基本的に何でも拾うおじさんだからね。大丈夫です。
質問者1:はい。僕は月曜日が嫌いで、毎週月曜日は、ストレスでお腹を下しちゃうんです。
青木:(笑)。
質問者1:週に1回、必ずお腹を下しちゃうんですけど。これにたいして、どんな視点でもいいから、お腹を下さなくなる方法を(笑)。
(会場笑)
青木:はっはっは(笑)。
小野:ちなみに、ご自身で原因は何だっていう……いろんな要因が?
質問者1:たぶん、仕事のストレスもあるだろうし、腸が弱いからヨーグルトを食べたほうがいいかもしれないし。カスピ海ヨーグルトかもしれないし。
青木:(笑)。
質問者1:もっといいヨーグルトかもしれないし。ちょっとわかんないんですけど、仕事のストレスは1個ある。月曜日になると、なんかちょっとブラック取引先みたいなのが攻めてくるとか。
(一同笑)
小野:ブラック取引先が攻めてくる(笑)。はい。
質問者1:それを、どんな視点でもいいんで、三者三様の。
小野:ありがとうございます。
小倉:ヘルス面から、僕いきますか?
小野:とりあえず、3つ聞いてからにしましょうか。
小倉:そうですね。その方向性の確認をね。
小野:月曜日イヤイヤ問題でした。はい、次いこう。
質問者2:僕らのチームで話題になってたのは、江戸時代の農民の働き方っていうところで。
小野:おお。なんでそこにいきついたのか(笑)。
質問者2:江戸時代の農村は、稲刈りをしたあと、みんなひと冬限定でチームをつくるんですね。
小野:これ実話ですか?
質問者2:実話です。で、詳しくは、WIREDの若林さんが詳しいんですけど。ひと冬限定でわらじを編んだり、風呂おけつくったり。削るのが得意な人は削り手で、編むのが合う人は編み手でやって、ひと冬限定で春になったら解散する、と。
これが、毎冬違うコラボレーションチームをつくってやるっていうのが、江戸時代の農村の過ごし方で。これって、いまどきのコワーキングスペースのコラボレーションとすごく似てるけど、日本の江戸時代といっしょじゃね? みたいな話があって。江戸時代に学ぶこと多いんじゃないの? みたいな話です。
小倉:季節労働の働き方ですね。
質問者2:そうかもしれないですね。ひと季節限定で。
小野:あと、離合集散型のっていうか。
青木:ああ、なるほど……。
小野:はい。じゃあ。
質問者3:今、こちらの4名でちょっと話していて、自己紹介で終わってしまったんですけれども、私がこういう悩みを持ってるって言ったところ、聞いてみるといいよと言っていただいたので。
組織論っていうところがあると思うんですけども。私は、少し大きな、人数が多いところ(会社)で働いています。やはり縦割り事業ですとか、職種で、部署分かれていて。ときには顔も知らない人とシステム上でやりとりしたりっていうところがあって。
小野:社内でってことですね。
質問者3:はい。何かを聞くにも、そういったシステムを通して聞いたりしてるんですけれども。なんか、ちょっとしたことを聞きたいだけなのに大げさになったり、回答するまでに1ヶ月くらい、いろんなところをたらいまわしになってきてしまったり。何をしてるんだろう? とか、何のためにやってるんだろう? とか思ったりすることが、最近ありまして。
そういったところで、どうですかね? っていう。
(一同笑)
小野:最後にもう1個いうと、その状態をよくないというふうに定義するわけですよね?
質問者3:はい。
小野:もうちょっとツーカーで行きてえよっていう話ですか?
質問者3:そうですね。なんかこう、いろいろ自分だけでできないのは当たり前なんですけれども。
小野:にしたって、みたいなことですよね。
質問者3:そうですね。どうしたらいいんだろうなっていうところ。
小野:なるほど。
質問者3:新卒で今の会社に入社して、7年経っていて。部署もずっと同じところにいるんですけれども。このままでいいのかな、ちょっと大手病になってるんじゃないかっていうところもあって。
こういったイベントもはじめて参加するんですけれども、いろいろな人に話を聞けたらと思っています。
小野:ありがとうございます。
青木:わかりました。
小野:どこからいきましょうか?
青木:イヤイヤ問題でしょ。
小野:月曜日イヤイヤ問題。
青木:はい。でも僕、毎日イヤイヤ問題ですよ。
小野:月曜日どころじゃない?
青木:月曜日どころじゃなくて、基本的に僕は、自分の経営してる会社に行ってるわけですけど、朝まっすぐ自分の会社に行けた日は1日もないです。
小野:大丈夫ですか?
青木:僕は必ず、1回ワンバン(ワンバウンド)……同じビルのなかにある喫茶店にワンバンして。そこで、自分のなかに気をためて。
小野:うん。
青木:それから、よしっと思って行く感じなんで。朝すごく楽しい気持ちで、おはよう! みたいな感じで行けることは、本当に月曜日に限らずないです。
小野:それは、青木さんだからできるワークスタイルですか? その会社のなかでいうと。
青木:いやいや、始業時間の前にワンバンしてる。9時からはじまるので、だいたい8時15分ぐらいに、2階にある喫茶店にチェックインして。我々の会社は4階なんですけど、約30分ぐらいの気をためてですね(笑)。
(会場笑)
青木:そこに、だいたいブルータスが置いてあるんですよ。ブルータスとかを、こう……ふだんぜったい、字のところはほとんど見ないんですけど。熟読して、1回浮世を忘れて、45分ぐらいになって「そろそろだな」っていう感じで出勤する。っていう感じですね。
小野:なるほど。それって組織論的に……。
青木:あ、ごめんなさい。何の組織論でもなくて。
小野:いいんです、いいんです。
青木:個人の癖です。
小野:それ、会社のマネジメントに反映されたりとかもするんですか?
青木:(会社に)行ったら機嫌よくしようっていうのはあるんですよ。やっぱり僕もそうだし、社員にも1番強く求めてるのは、機嫌よくしてくれ、と。効率が悪いから。よく社員に言ってるのは、僕らは劇団みたいなもんなんで、会社は舞台です、と。
宝塚みたいなもんなんで、舞台に上がるのに、機嫌や体調が悪いとか、何か悩みがあっても、その演目のあいだは役割を演じるわけなんで、機嫌よくやるじゃないですか。みんな人間なんで、個人はいろいろあると思う、と。
だけど、会社って基本的には舞台だから、役割を演じきろうっていう感じがけっこうあって。僕自身もどちらかというと、会社にいるあいだはめちゃくちゃ機嫌よくしてるので。そうすると、やっぱり会社に行きづらいんですよね。本当に機嫌いいときじゃない、とか。
小野:心の準備ですよね。
青木:心の準備ですね。
小野:楽屋。
青木:そうです、楽屋です。楽屋。もう本当にそうですね。(楽屋を)出て行ったら、「おはよ!」っていう感じで(会社に)入って行けるような感じで、気をためてますね。
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