2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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(会場挙手)
小林史明氏(以下、小林):お二人ありがとうございます。一気に質問だけ聞いちゃってもいいですか? コバヤシさんとワタベさん。じゃあ、先に コバヤシさんお願いします。
質問者5:コバヤシと申します。働き方改革は社会全体としてはもちろん取り組むべき内容だと思うんですけど、例えば弊社は社員の平均年齢がけっこう若い、成長ベンチャーみたいなかたちなんですけど。
そうすると「将来、起業家側にまわりたい」ですとか、モーレツ社員側の「会社を背負って立ちたいんだ」みたいな出世欲の高いメンバーとか。リクルートさんには非常に多くいらっしゃると思いますし、各社でもそういったことがあったと思うんですが。
そういうモーレツ社員というか、そういうメンバーへの心苦しくない対応っていうのはどういうことをやったのかな? ってぜひお聞きしたいなと。えっと、山口さんにお聞きしたいです。
質問者6:ワタベウェディングのワタベと申します。小林さんに質問させていただいたんですが。先ほど「20:40:20」が「25」の4つ、4分割になるというお話だったんですけれども、我が産業なんかはまさに第1クォーター、第2クォーターの世代に支えられてまして。
その第3クォーター、第4クォーター、4分割したときの後半。ましてや第4クォーターの方に、そこにピークを持っていくというのは、なかなか今の状況ではそのイメージが付きづらいと思うんですがそのあたりはどんな議論が出て、アイデアが出たりしているのか。もしあれば教えていただきたいと思います。
小室淑恵氏(以下、小室):山口さんの方から、先ほどの質問を。ちょっと短めで。
山口文洋氏(以下、山口):はい。働き方改革をやるときに、当社はモーレツ社員がいっぱいいますので、「戦わせてくれ」というような議論がいっぱい出ました。とくに若手から。そこで僕はこう言いました。やっぱり「ながら」で10時間、15時間働いてるのは、ぜんぜん生産性がよくないよと。これはもう医学的にも1日で集中できるのは5〜6時間だったりするんだから。
どれだけ日々の仕事のなかに、5〜6時間、自分がゾーンに入れる集中した時間をつくるか。そういう癖付けをするほうが大事だよってところで、いろんなゲストも呼んで、啓蒙活動を勤しんでいます。
小室:ありがとうございます。ちなみに1個参考までに、東大の島津准教授。今は北里の教授ですが、島津さんによると、人間の脳は朝起きて、たった13時間しか集中できない。
それより先は酒酔い運転と一緒の集中力なんです。でもたぶん、このとき1番アドレナリンが出ちゃうんですね。なので本人はやっている「つもり」。でも会社にしてみたら割増残業代を払うにば値しない集中力っていう。
ここは本人の自覚がなくて、やればやるほど「やれてる」気になっている。ここはかなりギャップが大きいんだっていうのを、誰かが俯瞰して本人に気付かせてあげないといけない。
実は成果が出ているときは、さらにアドレナリンが出ていくんですが、何かうまくいかなかったときは、被害者意識になってメンタルになったり、会社を訴えてみたりと、いろんなことが起きるので。誰かがそこをトータルで見ておいてあげないといけないんじゃないかなと思います。
小室:じゃあ、小林さんお願いします。
小林:はい。コバヤシさんの問題提起もあったし、ワタベさんからも質問をいただいたんですけど。我々も今、最近意識しているのが、「エビデンスベースド」でポリシーメイキングをしようと。
EBPMって言っているんですけど。要は科学的なデータを示して議論しようと。そして説得をしていこうと言っていて。政治はだいたい「エモーションベース」か「ストーリーベース」なんですね。「うちの地元では……」みたいな話とか「俺たちはそんな人生じゃなかった」みたいな話じゃなくて。
科学的にこうだよ、ということをみんなで示していく必要があるのかなと。それで、ワタベさんのご質問はどちらかというと働き方というよりは、マーケットビジネスとしてってことですよね……ですか?
小室:定年間近になった社員のモチベーションダウンをどうするかっていう?
質問者6:そこそこの年齢になられた方も、ずっと現場仕事をするなかで働きがいを感じられるようにする。というのは、すごく我々の課題なので。その視点からという意味です。
小林:その視点ですね。すみません、わかりました。合うかどうかわからないんですけど、うちの地元に和菓子屋さんがあって。職人さんが高齢化するんですね。それで、餡子って30キロぐらいあるので、持ち上げられなくなったと。
じゃあ、リフトを買うからってことで、5年長く働けると。今度は手元が見えなくなって細かい仕事ができなくなったんだよねってことを、政府の補助金を使ってLEDに変えて、5年長く働けるようになった。みたいなことがあって。
これはすごくアナログなテクノロジーの実装ですけれども。ITやロボットを含めると、相当いろんなサポートが、人に対してできるんじゃないかなと思ってるんです。人が仕事を奪われるっていうのはアトム世代の感覚だと思うんですが。
ガンダムやエヴァンゲリオンの世代からすると、人の仕事が拡張されると。そう思ってやるときに、私は、1番最後に残る人の仕事は、まさにワタベさんのところみたいなホスピタリティだと。
ですから、新卒の22歳の女の子に結婚式の介添をやってほしいか? っていうと。いやいや、60歳、70歳の落ち着いた方にやってもらった方がホッとするってことがあると思うので。体力的な面をサポートしながら心理的な部分を価値として提供できるっていうことを、私たちも目指したいと思っています。
ちょっと理想論かもしれませんが、なにか一緒にできることがあったら、我々も実証実験みたいなこともやっていますので、サポートしていきたいと思っています。またアイデアをぜひお願いします。
小林:ちなみに、75歳でもう1回結婚する時代が来てもいいかなと思っていて、100年の人生を1人のパートナーっていうのは本当に実現可能なんだろうか? ていうのは、あとで放送されると怒られるかもしれせんが(笑)。
でも、これからの生き方改革のなかで、パートナー制度っていうのも見直してもいいんじゃないかと。結婚と出産がリンクし過ぎているせいで、出産が難しくなってるんじゃないか? ってのを私たちの世代では問題意識を持っています。
ですから、事実婚もあるかもしれないし、LGBTだってあるし。もしかしたら複数のパートナーっていうことも人の感覚によってあるかもしれないと。そしたら、人生で2回結婚式があるとするならば、もしかしたら結婚式場は2回、3回のチャンスがやってくるかもしれない。こういう感覚も一緒に共有できたらいいなと思っています。
小室:ありがとうございます。大和証券さんの事例でいうと「この辺から仕事をもうぼちぼちでいいかなあ」って思いはじめてしまう世代の年齢を測定したそうで。その年齡より上で給料が上がるか下がるかを決めるポイント制というのを作られて。
スキルアップのさまざまなプログラムを受講すると、それがポイントになって貯まり、あるポイント以上を取得している人は、年齢がその時点に達しても給料が下がらない仕組みにしたそうです。
そうすると、常に学び続ける。というようなかたちでモチベーションが下がらなかったなんて事例もありました。ご参考までにというところです。
小室:今日、質問からは出てこなかったんですが、千葉さんに聞いてみたいなと思うのはですね。よく出てくるのが「働き方改革をやると実入りが減るよね」という、残業代減少によって社員の生活ができなくなっちゃうとか、モチベーションダウン問題がよくあるんです。千葉さんのところではどうだったでしょうか? と。
千葉太氏(以下、千葉):そうですね。当社の場合、働き方改革を阻害する要因が3つあるって言ってたんですけど。そのうちの1つが、今おっしゃった「残業代は生活費の一部だよね」っていう社員の本音の部分です。
自分の若い頃を考えても、ある程度の残業がある前提で、洋服を買ったり、飲んだり食べたりしていたので。それを「みんなでがんばって残業を減らしてゼロにしようよ!」と言ったところで、社員の本音は「そんなこと言っても生活が苦しくなるだけだよ」と。
これは絶対にあると思ったんで、まず残業代相当額。当社でいうとだいたい年間で6億3千万円なんですけど。これは社員に還元するものとして、もう毎年予算取りしようと。それで「これは必ずみんなに還元するから」ということを社員に繰り返し、繰り返し示してきました。
だから昨年でいうと、前年比で16パーセント減らせたので、8千万ちょっと還元したんですけど。今年度はそのところが倍ぐらい。たぶん30〜40パーセント減るんで、還元を増やして、倍ぐらい返していくことになる。
こういうことで社員の意識を変えていったと。ただこれは返し方が難しくて。もともと残業の少なかった人もいれば、ダラダラ残業してた人、密度の濃い残業をしてた人もいる。これをどうやって返すんだ? って。
これはずいぶん議論しましたけど、正解かどうかわかりませんが、現時点では、削減した割合と、働き方改革に取り組んだ、その取り組み方を評価してボーナスに上乗せして返す。という返し方をしています。この辺は、これからも考えていかなきゃならないと思いますけど。
加えて今「ワークスタイルチャレンジ」といって、残業時間とあるいは有休取得率、この一定の目標を各部門ごとに設けて。部門でそれを達成したら、部門メンバー全員に、報奨金として少し給付する。
これも「個人でやるんじゃないんだよ、みんなでやってそういう結果を出すんだよ」ってことを意識してもらいたいと思ってやって。これも今いい方向に来てるかなと思っています。
小室:あの還元の仕方って本当に難しいと思うんですが、チームで取り組まないと働き方って変えられないので、個々人に戻すっていう視点よりもチームに戻していくっていう視点にしていかないと、殺伐としますね。なので、そのあたりが非常にポイントかなと思いました。
小室:最後にみなさまから「結局、働き方改革はどういうメリットがあったのか?」っていうところと、それからもし、政策提言などあれば、おうかがいしたいなと思います。ちょっと端からになってしまいますが、野坂さんお願いします。
野坂章雄氏(以下、野坂):ようやく順番が来たので(笑)。ちょっと離れるかもしれませんが。今日、言いたかったことは、確かに人口ボーナス・オーナスではじまった。それは正しかったと思います。ただここに来て、目的が大きく変わってきていてですね。
労働分配率が下がっちゃうし、これだけ成長率を上げようと思ってもそんなに上がらない。そうすると、トマ・ピケティじゃないけれども、やっぱり不公平が出てくるみたいなことが1つあって。それプラス、やっぱりこのAIですよね。ディープラーニングで、ここに来て一挙に変わってきていて。
本当にわりと高度な仕事でさえも取って代わられる時代がそこに見えている。ということが非常に大きな変化だと思っています。そういった意味では、小林議員のおっしゃった人生100年時代構想会議ってのは、とってもいい取り組みだと思っています。
意外とみなさんご覧になってないと思いますけど、リンダ・グラットンさんでしたっけ、ロンドン・ビジネススクールの教授が言われている「2007年に生まれた子供が107歳まで生きる確率は50%以上」だそうなんですね。
2114年ってことですかね。それがもう現実になっているなかで、「65歳になったから、『終わった人』」と言ってもぜんぜん意味がなくて。むしろこれからだ! ってところをやっていくとか。僕はたまたま茂木大臣(茂木敏充氏)が大学の同期だったり。加藤大臣(加藤勝信氏)も同じような世代だったり。
60歳っていっても、ぜんぜんまだ大丈夫っていう、そんなところを考えたときには、企業視点だけで見ていたらだめで。先ほどの研修の話もありましたけど、僕は今、投資教育とか、いろんなことをやらせていまして。
単線的に生きていたらだめなんですよ。本当に「25:25:25:25」でもいいし、あるいは最後の20年、30年をもっと華やかにする。それは要は、単に会社で仕事のことだけをやるんじゃなくて、改革をやることによって自分に本当の力をつける。
そうすれば生き延びていけるってことを、企業側が社員によく考えてもらわないと。「残業を減らしましょう」ですとか、電通事件はあれだけ拡がってきたことはよかったんだけれども、非常にアナログ的に暗いイメージっていうんですかね……。
どうやって残業をやめるか、ギチギチとした議論になっちゃっている。下手すると「中間管理職の悲哀」といって、仕事がぜんぶ中間管理職に来ていると。そういうことも違うんですよね。ぜひそこを認識して、我々が新しい時代をつくるってことでやっていきたいと思います。
今日は本当に小林さんお会いできて、僕、よかったなあと思いました(笑)。総務省管轄ということで。よろしくお願いいたします。
小室:ありがとうございます。じゃあ、千葉さんお願いします。ちょっと短めで。すみません。
千葉:政策提言は先ほどお願いしたとおり規制緩和ということでぜひお願いします。それであと1つだけ、ちょっと僭越ですけど、お話すると。僕の場合はトップダウンでやった部分が大分あったんですけど、そのとき1番に気をつけたのが。
とにかく幹部の連絡会のときに「みんなもいろいろ不満があると思うけど、不満はこの場か、僕の部屋に来て言ってくれ」と。部下と一緒に飲んでるときに「やってらんねえよな」とか「そんなこと無理だよな」とか、言った瞬間にこれは終わる。
だからお願いだから、部下と一緒に飲んだり、いろんなときに、それだけは言わないでくれと。ここではいくらでも言っていいからと。これを繰り返し言ってきました。
やっぱり先ほど山口さんのお話にもありましたように、そのクラスの人たちが本気になって入ってくれないと絶対にうまくいかないなと。これはトップダウンでもボトムアップであっても一緒だと思います。僭越ですけど、それだけ。
小室:ありがとうございます。山口さん、お願いします。
山口:はい、僕も1つ言うならば、働き方改革を進めていくうえで1番大事なのは、やっぱり動機づけかなあと思ってまして。どれだけ権限委譲をして、自分たちはこの働き方をやりたいのかってことに対して、本当にその時間を創出していくことがポイントだったなあと。
そう思うならば、やっぱり日々の仕事でも結局は、メンバーの動機づけをどうしていくのか? ってところが1番生産性をマックスにする秘訣なのかなと。そういうところで言うと、今、総労働時間が減ってきているんですけど。
じゃあ空いた時間を再度、何に使うのか? っていうと。メンバーに対してミドルが、ミドルに対してトップが、フェイス・トゥ・フェイスも含めて、どれだけ僕らのやってることの動機づけに時間を使っていくかがポイントなのかなあと思います。僕たちは次に、フェイズ2.0に行けたらいいなあと思っています。今日はありがとうございます。
小室:ありがとうございます。小林さんお願いします。
小林:小室さん、すみません割り込んだりして。短く2点で終わりたいと思います。1点目はみなさんへのご提案というかお願いです。働き方改革ってかなり大変ですね。それをなんとか乗り越えていこうということですが。
政府からすると無理にみなさんにお願いしている。さらにまた企業型の子ども・子育て拠出金を出してくれみたいな話もあって。それも大事なんだけれども。
ぜひみなさんからもどんどんプレッシャーをかけていただきたいことがあって。それは解雇規制の見直しです。社会保険の適用拡大もやって、どんどんなるべく守るってやってるぶん、やっぱり流動性を上げるってことをセットでやってもらわなきゃ困るよってことを、もっとみなさんから言っていただいて。
そのぶん学び直しのお金もみんなで出そうよっていうかたちで流動性を上げていく。私はそういう社会が必要だと思うんです。これを全部、世の中のイデオロギーのなかで、よくわかんないけど封殺されています。
これをどんどんみなさんから言っていただきたいと。私たちはその提言を去年やってるんですが、まったく取り上げられませんでした。一方で私たちも責任を持って改革しっかりとやっていきたいと思います。
特にマイナンバーっていうのは、この国をバージョンアップする素晴らしいインフラに必ずなります。それをしっかりやってみなさんの仕事がどんどん楽になっていって、本来業務をやれるように。
それで、働き方改革のなかで1番の政治の反省は、個別の法案ばっかりだして、それをトータルパッケージにしたときに、どんな世界を目指すのか? というメッセージがちゃんと共有できなかったことだと思ってます。
これからはみなさんと一緒に共有しながら一歩前に進む。そういう社会をつくっていきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。
小室:ありがとうございました。今日はお付き合いいただきまして、ありがとうございました。お聞きいただいて、おわかりいただけたかなと思うんですが、単に残業時間を減らすということだけではなくて、30減らしたとしたら、そのうちの15は、むしろ今までやれていなかった本質的な仕事にいかに使うか。
減らす仕事と増やす仕事を入れ替えていくことによってイノベーションに繋がっていく。そういう働き方改革をしているところが今、成功してるんじゃないなと思います。
参考になれば幸いです。今日はどうもありがとうございました。
(会場拍手)
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