2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
安彦剛志氏:みなさんこんばんは。ソニー企業株式会社の安彦と申します。
私のことをご存知の方は、どちらかというと「聖地巡礼」というジャンルで最近いろんなメディアによく出ているので、「あの人は聖地巡礼の人ではないのか?」と思ってる方も一部いらっしゃる気がしているんですが(笑)。
私が聖地巡礼のビジネスをやる前にやっていた1つの大きなプロジェクトがクラウドファンディングでした。クラウドファンディングはあくまでもツールで、クラウドファンディングでお金を集めるにはいったい何をしたらいいか、というところのノウハウを、何回かやらせていただいて積み上がってきたものがあるので、それをみなさんにシェアさせていただいて、内容を感じていただければいいかなと思っています。
先ほど40~45分ぐらいって言ってましたが、なんと、まじめに資料を全部たどると70枚あります。
(会場笑)
1枚1分の計算だと70分になるので、パンパン飛ばしていくので、ちょっと待てという時は言ってください。
まずは私の自己紹介です。私は13年間エンジニアやってました。いちばんはじめはソニーという会社で、VAIOというパソコンの立ち上げをやってました。13年エンジニアやって、その後にソニーコンピュータエンタテインメントというところでnasne(注:PS3、PS4用の録画機器)をやっていたりもしてました。
その後、Blu-rayの日本のITプロモーションの代表をやって、「Blu-ray Disc勝つぞー!」とか言っていろんなところへ行って講演をしていたんですけども、その時に「まじめにやってもフォーマットは広がらないな」と思ったのです。
当時、最近話題の会社さんとバトルをしてたんですね。「フォーマット競争」というやつです。そこで、「みんなが使いやすく、使いたくなる何かをやろうよ」と言ってやり始めたのがWebサイトで、「Blu-ray Discをもっと楽しく知ろうよ!」みたいなプロジェクトをスタートしました。
さらにそこから始まったのが、今で言うクラウドファンディング。昔はクラウドファンディングという言葉はなかったんですけど、「みんなの力でBlu-ray Discにしていこう」みたいなプロジェクトをやっていました。このへんのお話をさせていただこうと思います。
みなさんに気づいてほしいこと、知ってほしいことは、ネットユーザーをどうやって味方につけてビジネスをしていくか。それから、そのネットユーザーを味方につけた時に、どういう発想で仕掛けをしていくと、ネットユーザーは味方になってくれるか。
ここの順番とロジックがちゃんとしてると、ある程度ちゃんとした人がついてきてくれます。では、このへんを実際の事例を……私が昔使ってたちょっと恥ずかしい資料がいっぱいあるんですけど、赤裸々にお見せするので(笑)。「安っちい資料だなぁ」とは思わずに、温かい目で見てください。
そもそも、なんで私がクラウドファンディングやったのかというと、はじめにお話しさせていただいたように、Blu-ray Discの日本のITプロモーションの代表をしてました。だから、Blu-ray Discを流行らせないといけなかったんですね。
なので、流行らせるためにこういう「Blu-ray Disc マイスタークイズ」というサイトを立ち上げました。
なんとなく検定みたいにして、なんとなくポチポチゲームみたいにしたらやってくれる人が増えるんじゃないかな。という安易な考えでスタートしたんですけど、これが思った以上にヒットしまして、当時けっこうアクセスがありました。
こういうサイトをとりあえずやって、人も集まってきた。「よーし、うまくいったぞ」と。じゃあ、Blu-ray Discとアニメを組み合わせて、もっとユーザーが喜ぶ場所を作ろうと思ったんですね。だから、はじめはサイトを作りました。
あくまでもクラウドファンディングうんぬんはまったく考えてなく、サイトを作って、さらに賑やかにしたいなって思った時に、そのファン層を分析してみました。そしたら、みんなアニメ好きなんです、ここに来る人。本当にアニメが好きな人ばかりで、参照して飛んでくるサイトが、みんなアニメ関連のサイトだった。「あ、そうか」と。
じゃあアニメの人はなんでBlu-ray Discの検定サイトみたいなとこにわざわざ来るのかなって思った時に、その人たちが求めてるのが、「最新のBlu-ray Discを見たい」という要望とともに、過去の作品のBlu-ray Discを、「俺の好きな作品も出してくれよ」みたいなことを言ってる人が多かったんです。これは、“気づき”です。
気づきがここにあったので、この気づきを実現しようかなって思ってやりはじめたのが、これです。その時、Blu-ray DiscアソシエーションというBlu-ray Discの団体があったので、ここでランキング投票をやって、投票1位になったらメーカーさんに交渉して発売してあげれば売れるんじゃないのかな、と。これも安易に考えました。
別にここでもクラウドファンディングをしようなんてまったく考えてないです。ただ単に、サイトが人気になればいいやと思ってやってみました。ただ、ユーザーが自ら参加したくなる環境というのを作ろうと思ったところが、ここでのポイントです。
そこから、「あなたの力でBD化プロジェクト」が始まりました。あなたの力でBD化プロジェクトはそもそもなにかというと、好きな作品があるのだけど、その好きな作品がDVDしか出てないとか、(ビデオ)テープしかないものをBlu-ray Disc化して、クオリティ高いものでとっておきたくないですか? という妄想を実際にプロジェクト化してあげて、1位になったらメーカーさんに交渉に行き、その交渉の様子をブログで更新しますと。
そういうかたちで実際に進めていって、ここにあるような作品を次々と商品化していったのがBD化プロジェクトというものです。当時、いっぱいメディアにも取り上げられました。
BD化プロジェクトと今のクラウドファンディングのいちばん違うところはここです。
一般的なクラウドファンディングは、まずサイトに商品が上がります。そこで情報が更新されたり、この期間中、何ヶ月の間でなにかしましょうみたいなやり方をされるのに対して、私がやっていた仕掛けでは、実はクラウドファンディングはおまけです。最後の、商品に変えるためのツールでしか使ってないです。
その手前にエントリーがあって、「みんなで参加しようよ」という場を作ってあげて、この場を実現するために、「みんなでお金を入れてくれたら商品として届けますよ」というストーリーを作りました。これをBD化プロジェクトとしてやったところが、逆に言うと大成功の理由だとも思っています。
これ、結果としては大成功しました。第1弾でやったプロジェクトが約3億円集まりました。その後、第2弾でやったプロジェクトが3.5億円集まりました。たぶん、今のクラウドファンディングの相場で言っても、けっこう多い方だと思います。ちなみにこれは2009年と2010年です。
なんでこれができたのかというところをこの後ご説明をしたいと思っています。まぁよく言われるんですけど、「いやいや、これはただ人気(作品)のBlu-rayをたくさん売っただけだろう」と。「だから、そんなの何億円も売れるなんてあたりまえじゃないか」って言ってくる人もけっこういます。
えーっと……これ、数字入れてないからいいや(笑)。えっと、生々しい数字を入れるとメーカーさんに怒られるかもしれないので、イメージで。
だいたいわかると思いますが。もともと売れてたDVDの数が3,000本ぐらいだった作品。これが、四角の数でなんとなく頭の中で計算してください。このぐらい、売れたんですね。
これ、けっこうありえないんです。DVDで発売されていたものからフォーマットを変えて、新しいフォーマットで売り直すと、だいたい相場は半分です。1万本売れてる作品だったら、フォーマットを変えて出してあげると5,000人ぐらいはコアなファンが買ってくれるのが一般的でした。
その方程式がまったく狂ったのがここで、3倍から4倍ぐらい。ファンじゃない人がたくさん買ってくれたのが、このプロジェクトの大きいポイントです。これがクラウドファンディング、ネット上でうまく人を誘導して、というのがいいかわからないですけど、プロモーション的にうまく組み合わせてやった成果かな、と思っています。
じゃあさっきのストーリーみたいに事前に投票して、「場を作って盛り上げりゃ売れるんじゃないの?」って思う人もいらっしゃいます。実際にいたんですね。えっと、同じことを……。
ここは言っても怒られないかな?(笑)。バンダイビジュアルさんが自ら公式で、作品を持ってきて、「この作品で投票をやるぞー」とか言って、プロジェクトを3回ほどやりました。知ってる方は知ってるかもしれませんが、全部上手くいきませんでした。
結果として何が言いたいかというと、仕組みが一緒で、例えば「事前に投票します」とか「参加型にします」、それを「何本集まったら商品化します」みたいに同じやり方しても、うまくいく時といかない時がありますと。
結局クラウドファンディングに重要なのは、人気があるサイトでやることとか、特化型、アニメオンリーのクラウドファンディングサイトでやること、ではないんですね。
そこはあくまでも場所だけのお話であって、その手前側に、いったい何を仕掛けてあげるか? その仕掛けを知らしめる活動をした上で、クラウドファンディングをうまく手段として使ってあげると、うまくいくというのが、私が今まで4回やってきた中ですごく実感しているところです。
逆に言うと、ここをうまくフォローしてくれるクラウドファンディングサイトさんは使う意味があると思うんですね。きっとこの後中山さんがいろいろお話ししてくださるんではないかと思いますが(笑)。そういうところはポイントかなぁというところは思っています。
ではもう少し中身を掘ってみますと、そこまでに何をするかというところを、脳みそをこの当時に戻して、どんなことを考えていたかみなさんに説明させていただこうと思います。
まず大前提です。クラウドファンディングは、広告の予算なんかないです。一般的にバーンって広告を打てば一定の層が反応してくれて買ってくれるのはあたりまえなんですけど、そんなものはないです。
基本的には口コミで広げてくしかないようなものがクラウドファンディングなので、口コミをどうやって作れるか。どういうかたちを狙って口コミを広げていけるか。それから、ソーシャルで似たようなんだけどぜんぜん違うジャンルみたいなものを引っ張り出してくる、情報を集める。これらをうまく組み合わせていって、口コミを広げるというのができることが重要だと思ってます。
この資料も、2009年当時に作ったのそのまんまなんですけど(笑)、チェックシート。
「ユーザー数を把握する」「参加ユーザーを分析しろ」「ターゲットユーザーを定めてください」「プロモーションの実力を確認してください」「類似の事例から仮説検証してください」「実現プランのスケジュール化をしましょう」みたいな、こういうのを順番に考えてました。
実際にどんなことをやっていたかをみなさんに見てもらうと、言葉以上にわかるところが出てくるかと思います。「ユーザー数を把握する」。何のことを言っているかというと、まずサイトに何人来てるのか把握しましょう。あたりまえですけどね。なにかやるんだったら、興味がある人がどれぐらいいるかを把握しましょう。
その当時「今だとだいたい1万人ぐらい人が来てるんだね」というのがわかっていました。「じゃあいろいろ仕掛けをやるのに、この人たちにリーチできる可能性があるよね」と。
そこで参加ユーザーをちょっと分析してみようと、事前に投票をやってみました。その投票をやったときにわかったことがあります。ランキングの1位と2位の作品の投票数がこのぐらい、実際コメント書いてる人がこのぐらい。
みたいな感じで、ランキングが1位のほうが、どちらかと言うと大手のブロガーがたくさん応援してくれるような仕組みで動いていた。それに対して2位の作品は、ニッチなジャンルの人たちが、小さく小さく、だけどずーっと永久に応援し続けるみたいな、地道なことを繰り返していました。
このへんまで見てくると、ポテンシャルがわかってきます。投票しているユーザーとかコメントを出してるユーザーで、ユニークなユーザーってどれぐらいいるのかな、繰り返しやってるユーザーどれぐらいいるのかなというのをある程度把握すると……。
要は、繰り返しアクションをしているユーザーさんというのは、それに対する強烈なファンなので、黙ってても買ってくれるんですね。そうすると、ミニマムの数字が見えてきます。「最低限これだけの数字が動くな」というのを、ここで仕掛けに対するポテンシャルを把握しました。
この当時、2009年はブログ全盛期です。今でこそTwitterだったりとかそっちが強いですけど、この頃はブログが神様で、マンスリーで数百万、数千万アクセスという化物ブログがいっぱいありました。
なので、やっぱりいかに大手のブロガーに取り上げさせるかというのが、この当時のターゲットとしてはすごく重要だったので、その大手のブロガーにうまく引っかかるような仕掛け、ブロガーに絞って、ブロガーが取り上げやすいような話題を放り投げていってみようよ、というのを戦略にして、ブログを毎日見に来るような人たちを取り込もうというのを考えて、やろうとしました。
実際に「あなたの力でBD化」というのを企画提案をした時に、このへんのサイトさんがダーッと取り上げてくれたんですね。このへんをバッと見ただけでも、マンスリーで数百万ぐらいページビューがあった時代です。なので、「これぐらい露出するのがわかったね」と。
じゃあ、なんでブログに取り上げられるのがうれしいのか。実は、ちょうどその前の年にBlu-ray Discを出した瞬間に『マクロスF』という作品が大ヒットしたんです。なぜこんなにヒットしたかと言うと、画質がとんでもないということを「地デジ版よりも、Blu-ray Discの方がとんでもなくきれいなんだよ」と比較画像を使ってブロガーさんが出し始めたことが大きな要因でした。
このネタが話題になって、爆発的に売れて、当時では考えられないBlu-ray Disc1巻あたり10万本ぐらい売れました。なので、そういうように大手ブロガーがうまいかたちで取り上げると爆発するんだなぁという、類似の事例を見つけたので、やっぱりここをうまく攻めようと考えて、これに対するプランを考えていきました。
じゃあ、盛り上がりをうまく利用して、新しいファン層を……。ちょうどBlu-ray Disc対応のプレステ3が出たころなので、プレステ3を持ってる人たちにも買わせようということを戦略として考えました。時間が無いので、このへんはササッと流します(笑)。
ここで提案したのが、ただ単にBlu-ray Discを売ってもおもしろくないので、「アイデアとしてこんなことをやるとネットで盛り上がると思います」という提案をしました。読んでいただくとわかるのですが、今のクラウドファンディングにけっこう似てませんか?
「あなたの力でBD化が決まります」「お金がいくらになると達成できます」「その達成があるところまで増えたらスペシャルな特典あげますよ」みたいなことを実際に考えて、セット数に応じて特典変更みたいなものをやりましょうというのを提案して、スケジュールを立てました。
たまたま2009年の時に「こういうのをやりましょう」という提案をしたんですけど、ある程度今のクラウドファンディングの基本となりそうな形を提案し、実際にこれに近いかたちで実施しました。
そして、実際に実施した結果がこんな感じです。このグラフ、けっこう生々なんで、まじめに数えないでください。
(会場笑)
見てわかるところは、スタート、11月10日から受付開始したんですけど、11月10日の受付開始の時点で全体の2割ぐらいに当たる部分の数字がポコーンと出て、はじめの2日ぐらいで30パーセントぐらいの売上が出てたんですね。
このような仕掛けを繰り返し4回やってます。単発の施策で終わるんだったら比較的簡単だと思うんですけど、2回目、3回目はどうやってやったのか。今度何かをやろうと考えてる方には重要かなと思うのでご紹介しますね。
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略