
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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佐藤秀哉氏(以下、佐藤):続いて、ご自身の会社がクラウドサービスを使って、社員の働き方がどう変わってきたか? クラウドを使っている企業の社内はどうなのか? ということをお聞かせいただきたいと思います。佐々木さんから。
佐々木大輔氏(以下、佐々木):僕たちは4年前に創業して、クラウドネイティブな会社だと思っていて、マニアなほどに自分たちの会社の経営に使うツールもクラウドしか使わないといったかたちです。
例えば極端な話でいうと、会社の大多数のパソコンのなかにOfficeが入っていないです。ほとんどブラウザからアクセスできるようなものしか扱っていないです。
あとは電話機がないです。ほぼ電話をかけるときはブラウザからかけるかたちになっていて、営業の人間で電話を使ったコールセンターがありますけど、コールセンターも電話機なしで運営していますし、新入社員が入ってきてもインターネットとパソコン、極端な話パソコンでなくてもタブレットを持っていれば、いきなりコールセンターとして働けるようになっている。
あとは従業員との契約。これも全部クラウドで管理していて、クラウドでサインしています。自分たちで使うソフトウェアやツールは完全にクラウド化をやってみて、ほとんど大きな投資をしなくても、圧倒的に効率的な社内のコミュニケーションやワークフローを立てることができています。
クラウドが実現するものとして、新しい小さな会社でも、すごい投資をしてシステムをつくっている大企業よりも強いんじゃないかなと、働き方がかっこいいんじゃないかなと。このようにつくってきているんですけれども。
あともう1つのインパクトとしては、私たちはサーバーをAmazon(Web Services)でやっていて、まさに時間によってサーバーの台数が変わるし、そういった可変の仕事をしているわけです。
さらに、自分たちのサービス提供スタイルも、僕たちの社内の価値基準、みんなが大切にしていることとして「アウトプット思考」というのがあるんですけども、要はアウトプットしながら考えましょうということです。
どうやっているかというと、サービスの新機能の開発にしてもコンセプトができて、「だいたいこんな感じでいいじゃない?」というのがわかってきたらどんどん出していって、ユーザーさんのフィードバックをみて改善していく。
そのようなフローにしているので、今までよりも圧倒的にスピード感のある開発ができます。これって開発の話だけじゃなくて、あらゆる施策においてとりあえずやってみて改善していけばいいんじゃないのと。
昔ならうーんと考えて……私は新卒で入ったのが博報堂で広告代理店だったんで、例えば夜中じゅうあっちのコピーがいいかこっちのコピーがいいかミーティングで話してたんですけれども。
今はそんなこと必要なくて、とりあえず両方インターネットに乗っけてみて、クリック率が高いほうを試せばいいじゃないと。そういう世界になってきている。
経営手法としてPDCAのサイクルを早く回すやり方が取れるようになってきたというのがすごくおもしろいところじゃないかなと思っています。
佐藤:クラウドを使うと、「社内の効率化」というのがあるんですけど、私たちテラスカイのお話をちょっとさせていただきますと、実は私たちの会社ってあんまり残業がないんです。ですからガッツリ稼ぎたい社員の方は残念なんですね。
(会場笑)
残業代がついていないから。なぜかというと、クラウドのプロジェクトって短くって山が低いんですね。そうするとゴールまで予見できるんです。トラブってもだいたい知れているんです。
ですので、基本的にはプロジェクト1つを、例えば「こういう山(右手で山を描く)でつくりましょう」とお客様とご契約いたしました。その山をそんなに外れないでゴールまで行くんですね。
なぜかと言うと、社員の人が最初に立てた計画の通り全部終わるということなんです。誰もこの時期から土日出勤してこの時期から徹夜してなんて考えて予定なんて作るわけないじゃないですか。
定時で終わることを想定して山をつくるけれども、長かったり複雑だったりすると山(の形状)がいびつになっていてこういう山(改めて右手で山を描く)だったのが、こういう山(先の山よりもピークが大きく右にずれた山を描く)になってということがよくあるんですけど。
クラウドの私たちのサービスデリバリーって比較的うまくいくんですね。ですから残業しないので、私どもは9時半〜18時の会社なんですけれども、18時になるとけっこう帰ったりしているんですね。IT業界というのは「IT土方」とかブラックなイメージが一部ありますけど。
クラウドを社内で使っていくなかで、社員のみなさんの生産性が高まるということに加えて、残業とか休日出勤とかそういった観点というのは、正直に言うとどんな感じですか?
佐々木:うちの場合は社内に卓球台があって、平日にいらっしゃると卓球をやって遊んでいたりするんですけど。仕事と遊んでいる時間との境界線があんまりない会社なんですよね。
そういったかたちでプライベートタイムに仕事を埋め込めるという働き方をもともと推奨しているので、なにが残業なのかというのがあんまりよくわからないスタイルでやってますね。
ただ、今佐藤さんが紹介されたところはまさにその通りだなと思います。新しい機能をリリースしようというなかでも、まず長い時間を議論に使わないですし、とりあえずこれでいいからやってみようですぐやってみると。それで、エンジニアがわりと細かい仕様は全部自分で決めちゃうので、例えばほかの人に振り回されて働くということはぜんぜんないです。
そのなかでも、さらにエンジニアが細かく切っている日数、プロジェクトを絶対に大きくしないというのがあるので、ちっちゃいプロジェクトは時間で簡単に見られると。
そういったことで自分たちのマネジメントの仕方を、すごく小さい単位に落として、そこは絶対にぶれないように進めていくので、あんまりボラティリティのない働き方ができているのかなあと。
佐藤:なるほど。小さくリリースしていくというのは今の流行りですので、その手法でやられてらっしゃるんだなと感じます。
freeeさんには食堂がありまして、飲み物も全部タダなんですね。外資系はよくやっていますけど。しかもカップラーメンも置いてあって、夜食べ放題なんですよ。いい環境だなと思って真似したいんですけど……なかなか難しいですね。がんばります(笑)。
(会場笑)
佐藤:秋好さんの会社は、道具としてクラウドを使っていらっしゃいますので、どちらかというと社会の構造を変えるお仕事内容とは言えますね。
社内でクラウド機能を使うことによって変わったこと……最初から使ってるのであれかもしれませんけども、こういった点がやはり一般の会社と違うなと思われるところはありますか?
秋好:そうですね。たぶんこういうクラウドがなかったら起業できてなかったなというのが正直な感想です。というのも、僕らランサーズを最初に大きく資金調達して起業したというよりも、貯金を切り崩して数百万の規模で始めたんですよね。
僕こう見えて実はプログラマーでして、プログラム書けるんですけども、自分でプログラムが書けるかつアマゾンさんとか使えば月にリリース前でも数百円もかかんないですよね。
家賃もあんまりいらなかったりもするので、それがあったからこそすごい少額の資金でもこのサービスを立ち上げられました。
今この瞬間を振り返っても、社員って100人くらいしかいないんですよね。全体で150人くらい。ただこういう会社なので、テレワークを推奨していて全国とあとフィリピンの会社も合わせて4箇所あって、そのテレワークでやっていただいているフリーランスの方が1,000人いて、その1,000人のマネジメントをやっているみたいもんなんですよね。
というときにクラウド、チャット、セールスフォースとかがないととてもじゃないですけどマネジメントしきれないなと思いますし、こういうものがあるからこそたった100人の社員で数千人の人が働けているのかなと思いますね。
佐藤:働いている方からみると当たり前のように最初からあるので、素直に入って行ってそのまま使ってマネジメントしている。そんな感じなんですかね。
秋好:そうですね。これがふつうの状態なので、違和感もなく逆に「良い」というのも、もしかするとないのかもしれないです。
佐藤:当たり前すぎて。
秋好:逆に紙の書類とか、もちろん契約書とかハンコを押さなきゃいけないものはありますけど、稟議とかも電子決済ですし、会社のなかに置いているなにか重要なファイルみたいなものも基本的にないと思います。全部クラウド上に置いてますし。
佐藤:もう日本の銀行さんが聞いたら驚くような話ばかりですね。
(会場笑)
佐藤:金融と言えば少しネット系でございますので、フレキシビリティはあると思いますけれども。グローバルな開発拠点もお持ちの松本さんのところが、クラウドをどう使って社員がどうなっているのかというのは非常に興味があります。
松本大氏(以下、松本):本当に金融って、今のお話を聞いていると非クラウド的な場所だと思うんですよ。まず顧客情報というのは我々にとって大切な資産なんですけど、それは基本的にクラウドに乗せてはいけないと言われています。これは日本以外でも言われているんですけど。
あと、日本の証券会社のコールセンターって全部日本のなかにあるんです。法律で証券外務員って人しか電話が取れないんですけど、これ日本の居住者じゃなきゃいけないって法律があるんです。世界ではだいたい着信するとフィリピンとかインドとかいろんなところに飛んでいるんですよ。24時間当たり前のように。
これを日本の居住者じゃないといけないというので、クラウドのように働き方とかコストなどを外に出すことをできないようにしているんですよね。(ジェイソンの方を見て)「Why?」みたいな感じですよね(笑)。
ジェイソン・ダニエルソン氏(以下、ジェイソン):ありがとうございます。
(会場笑)
松本:なので、なかなか難しいですよね。うちの開発拠点がコスタリカにもあってアメリカにもともと開発拠点があるんだけども、エンジニアが高くなっちゃったので、工程によってはコスタリカに持っていっています。
開発自体はネット上でできるんですけど、なかなか重い部分があってクラウド化できないところがあるので、みなさんの話を聞いているともう羨ましくて。早くそういう生活になりたい、みんなの生活をそうしてあげたいと思うんですよね。
佐藤:なるほど。私どもがそのお手伝いできると思いますのでよろしくお願いいたします。売り込みしてどうするんだって話ですが(笑)。
今の話に集約されると思うんですけど、(佐々木氏と)一緒にアメリカへ行ってますが日本は「Why?」というところが多いと思うんですけど、もっとクラウドを使うとこうなるのにという観点でひと言叫ぶといいと思うんですけど。
ジェイソン:いや、まじめだから、叫ばないけど。
(会場笑)
ジェイソン:今テラスカイもアメリカ法人があるわけですけど、だいぶ離れている人たちとでも簡単に仕事ができますし、うちのSkyOnDemand、SkyVisualEditor、mitoco、SuPICEなどを日本側で開発しているんですけど、アメリカのニーズも動的に調べながらフィードバックを日本側に渡して開発してもらって、またアメリカ側に見せて「どうですか?」といった繰り返しがクラウドだからこそできるものですよね。
それを法律的に制限されると、もうできるところと競合できなくなるからそれを制限してどうする? とちょっと思いますよね。Why?
(会場笑)
佐藤:あの被選挙権ないけど立候補してみますか?
ジェイソン:僕ですか? たぶん国籍的にちょっと。
(会場笑)
佐藤:確かにクラウドの利用シーンを見ていると、やっぱアメリカのほうがドラスティックにいろんなことをやってていいなと思いますね。日本ももっと活用して、佐々木さんと秋好さんとこのようにドラスティックに。
秋好:うちはまだまだいけてないですけど。ぜひそういう世界に行ければなと思います。
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