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ログミーLIVE vol.1(全6記事)

リモートで働くのって、実際どうなの? GitHub堀江氏らがメリット・デメリットを語る

2016年2月25日、世界をログする書き起こしメディア、ログミーが初のリアルイベント「ログミーLIVE」を開催しました。第1回目のテーマは「働き方」。後半のセッションパートでは、GitHubの堀江大輔氏、HatchCowork+KIDsの片山勇志氏、メルカリの掛川紗矢香氏がテーマに沿ってトークを展開。「そもそも8時間労働って必要なの?」「リモートで働くメリット・デメリット」「自由に働ける人のマインド・スキル」について語り合いました。

勤務時間が決まっていないと働き過ぎることもある

川原崎晋裕氏(以下、川原崎):ということで、それぞれ特徴のある社内の制度だったりをご紹介いただいたんですけれども、ここからは30分ほどクロストークという形で、皆さんにいろんなテーマについて喋っていただこうかなと思います。

今日はいろいろな働き方ですね。リモートワークだったり、時短勤務だったり、いますごく話題になってますけれども。そのあたりについて企業の方がどのように考えていらっしゃるのかを、いろいろと聞いていければと思います。

まずはじめに、「そもそも8時間労働って必要なんでしょうか」と。これは誰が決めたんだという話ですよね。6時間労働でもいいかもしれないし、本当は12時間労働が必要なのかもしれないですし、この辺のことを、まずは堀江さんのほうからお願いします。

堀江大輔氏(以下、堀江):自分がさっきした話からすると「必要ないです」になってしまうんですけど。「なんで必要なんですか」という質問ですよね。

それは、やっぱり企業によって違いますよね。なので、GitHubに関していえば、必要としてないです。ですけど、ちゃんと仕事してくださいということなんですね。ですので、なんですかね。みんな仕事してます。

ちょっと話が変わってしまいますけど、先ほど「無制限に休みが取れる」というルールがありましたけど、そうすると休みが明確じゃないので、アメリカの場合は、逆に休みを取らない人がいるんです。「休みを取れ」と言われていないので。

ですから、8時間労働で拘束していないですけど、逆にそれで働き過ぎているとという感じはあるんじゃないかと。なので必要はないですけど、ちゃんと仕事とプライベートのバランスを取れるように、会社が従業員のために考えてたほうがいいかと思います。

仕事の履歴が残ることでリモートでも評価できる

川原崎:これは、逆に評価制度だったりですとかがけっこう重要なのかなと。あと、そもそも人を雇うときの工夫って、どういうことをされてるんですか?

堀江:評価制度に関しては、1年に2回評価しまして、自己評価、マネージャーからの評価、あと周りからの評価。あとは、リモートでやっていて、いろんなツールがあることによって、逆に履歴が残るんですよ。どういうことしてるか・してないか。

川原崎:なるほど、ログが全部残っちゃうと。

堀江:ですので、僕がだいたい仕事してない時ってバレてるんですよ。成果がないので(笑)。

片山:「1週間、仕事してませんでした」みたいな。

堀江:そうなんですよ。当然、仕事の成果がない週もあるんですけど、そういう時には、ちゃんとみんなが先に「ちょっと今週、子供が病気だから休む」とか言えば、それは別に誰も何も言わないですし。半年ごとに、ちゃんとその人がなにをやってるかの履歴が残ってるので、それで評価してます。

さみしい話をしますと、それで結果として、「もう少し頑張ろうね」と言われて、言われ続ける人は、消えます。

川原崎:さよなら。

堀江:はい。

川原崎:「今日、1つもコミット上がってないね」みたいなエンジニアとかですか?

堀江:コミットもそうですけど、やはりリリースであったり、そういうものをベースに考えます。コミットの数ではないですけど、どういうものを出してるか。「こういうことをします」に対して、どれくらい成果があったかであったり。

あとは、コミットはしてないけど、他のチームメイトをサポートしていたとか。そういうの含めての総合です。

川原崎:ありがとうございます。

スタッフ同士のチャットでフレキシブルに勤務

川原崎:片山さんのほうは、実際にHatchにいらっしゃる方が、どんな感じに働いてるのかなと思って。

片山勇志氏(以下、片山):自分も(堀江)大輔と考えは一緒で、会社から求められているものができれば、それでいいと思ってるんですね。じゃあ、Hatchで働いてる起業家がどうかと言ったら、毎日12時間働く人もいれば、毎日3〜4時間しか働かない人もいるんですね。

でも、誰が正しいか正しくないかというのはまったくなく、彼らが会社や受注先から求められてるものに対して、仕事の質が落ちていないのであれば、何時間でもいいんじゃないの、というふうに思ってます。

ちなみに、うちのHatch自体も、新東洋企業という会社の中で新規事業部としてやってるんですけど、Hatchの子連れスタッフは時短勤務。しかも、週に2、3回勤務のスタッフだけで、運営しています。

保育スタッフが4人いるんですけど、4人のうち3人が子連れで来ていて。保育スタッフたちは自分たちのLINEのチャットグループで「今週は私、この日、この日、この日、行けるから」と言って、それで僕が知らないところでシフトを組んじゃってくれてます。そういう働き方を、Hatchのスタッフはやってます。

社員同士の不公平感が出ないよう説明が必要

川原崎:メルカリさんのほうは……これ、会社としての回答なのか、個人的な回答なのか、難しいと思うんですけど(笑)。

掛川紗矢香氏(以下、掛川):そうですね。基本的に、労働を時間で考えるということは、あまりしたことないんですけど、アルバイトは別として、基本的に人ってやらなきゃいけないことがあって、それをやっていった結果、何時間か経ってしまったということだと思うんですね。

例えば1時間で終わる業務もあれば、逆に、次の日には12時間かかるかもしれないですし。その業務によって必要な時間って変わってくると思うんですよね。

弊社ですと、カスタマーサポートについては、さきほどもちょっとお話しましたけれども、本当に日々たくさんのご質問をいただきますので、ある程度量を裁かないといけないんですね。

そうすると、どうしても時間が必要になってくるというところで、8時間程度必要になってくる日もあるでしょうし。逆にエンジニアは、「今日は3時間で終わる」ということもあると思うんですね。

重要なのは、その時間というよりも、同じ会社の中で短い時間で業務を終えられる職種の人と長い時間の職種の人がいた場合に、なんで違うのかというのをきちんと会社として説明できるかどうかというところかなと思ってまして。

不公平感が出ないように、職種の違いや目的などを会社として説明すればいいのかなというふうに思ってます。

川原崎:逆にスタートアップ界隈だと、裁量労働みたいなものと、残業代払うかどうか、みたいなのって、結構あるじゃないですか。成果にコミットしてるのか、時間に対してコミットして働くのか、みたいな視点があると思うんですけれども、その辺りって、どういうふうにお考えですか。

掛川:弊社でお話しますと、裁量労働を導入してる職種もあります。具体的には、エンジニアの中でも、すごくスペシャリティを持った人たちを裁量労働にしてまして。彼らは本当に自分たちの裁量で働けますので、成果で評価をするというところになってるのかなと思います。

川原崎:職種によって適正のある・なしがある感じですね。

掛川:そうですね。

リモートワークのデメリットは、いつでも仕事ができること

川原崎:ありがとうございます。次のテーマにいきます。「リモートで働きたい」という人ってけっこういると思いまして。最近、実際増えてきてると思うんですよね。特にエンジニアの方とか。

ちなみにログミーは中にエンジニア1人もいないんです。GitHubにチケットを上げておくと、知り合いの親切なエンジニアの人たちが、空き時間でそれを処理してくれるという、非常に不安定な運用をしてるんですけども(笑)。まあ、一応動いていますという感じですね。

なので、開発とかは非常にそういうのをやりやすいなという実感はあったりするので、GitHubの堀江さんのほうから、いかがでしょうか。

堀江:リモートのメリットは、自分の状況に合わせて一番仕事しやすい環境を選べることです。ですので、例えば私の場合は子供が2人いるので、場合によって、妻が仕事で家にいられない時は、私が家で仕事をしたりできますし。そういうふうに、リモートワークはどこでも仕事できるというのがすごいメリットですね。

で、デメリットに関してはいくつかありまして。1つはまず、やはりオフィスにみんな集まってという仕事のスタイルと全然違うので、コミュニケーションであったり、そういうことに関して、スタイルが全然違うんですね。

それをどういうふうになくさないか。コニュニケーションをどうふうにちゃんと取るか。そういうのを考えて実践する必要があります。

あとは、意外かどうかわからないですけど、リモートのメリットとして、いつでもどこでも仕事ができるんですよ。で、デメリットとしては、いつでもどこでも仕事ができるんですよ。

ですので、休むっていったら、人によっては、コンピューターだけじゃなくて、スマホも全部金庫にいれて旅立つ人がいますね。じゃないと、休めないんですよ。

対面での交流も大切

川原崎:チャットでのコミュニケーションだったりとか、コメントでのコミュニケーションって、GitHubさんのイメージとしてあるんえすけど、例えば、Skype会議みたいなコミュニケーションも取られてるんですか?

堀江:ビデオクライアント、ビデオチャットは必要に応じてしてます。我々のチームの場合は、1週間に1回してます。あとは、リモートだけが良いというふうには、Githubの場合は考えてなくて。実際に同僚たちが会ってコミュニケーションを取るということも、すごく重要だと思っています。

そのため、GitHub社員の場合は年に4回までサンフランシスコに、どんな理由でもいいんですけど、行っていい、というふうになってます。

川原崎:旅費とか全部出るんですね。

堀江:そうですね。カンファレンスもそうでね。カンファレンスでスピーカーになった場合は、誰か一緒に連れてって良かったり。あとは、年に1回の全社会議。

今、アジア・太平洋のエンタープライズサポートのチームにいるんですけど、8月にチームだけのミートアップをオーストラリアで開催します。今度6月くらいにヨーロッパで違うチームのミートアップあるんですけど、それにも参加しに行こうと思ってます。

そういう感じで実際、リモートだけではなくて、やはり人と会って交流することが大事だと思ってます。

川原崎:ありがとうございます。

チームワークを大切にするため、在宅は基本禁止

川原崎:片山さんのほうはいかがですか?

片山:このトピック、ちょっと自分には難しいですけど(笑)。さっき言ったようにガチガチな中小企業で働いててそれがメインなので。

メリットは子どもを連れていけるというオプションがあると、例えば、男性社員でも奥さんがちょっと熱出して面倒見れないってなった時に、そのオプションがあるか・ないかというのは彼らにするとすごく大きなことだと思います。

そういう体制が取れる会社やHatchの会員さんをを見ていて、「ああ、こういう人たちは、こういうフレキシブルな体制を取れるんだ。いいな」とは思います。

デメリットはたぶんGitHubと同じだと思うんですけど、会うことはすごく大事なので、面と向かって会ってわかる、ビデオで見られない、その人の仕草ですかね。いっこいっこの仕草で伝わる部分というのは、やっぱりビデオでも伝わってこないと思ったので、そういうところが重要だと思っています。

川原崎:メルカリさんにもお聞きしたいんですけど、スタートアップって、一体感とか、一丸になって何かをやるのが重要だっていうイメージがあるんですけど。

掛川:一概に良い悪いとは言えないんじゃないかなと思っていて。会社の事業の内容だったり、職種というところでも変わってくるのかなと。

弊社の場合にはフレックス制を導入してまして、夕方に帰って、お子さんのお迎えに行かれて、夜ご自宅でメールをチェックするという社員は少なからずいるんですね。

仕事とご家庭の両立というところで効率的に時間を使っている、すごくいい例だと思ってるんですけれども。

ただ一方で、弊社のバリューの1つとして、先ほどは「Go Bold」というお話をしましたけれども、もう1つのバリューに「All For One」というのがございまして。みんなで一体となって働こうという、チームワークを大切にしようという思想なんですね。

弊社の場合「メルカリ」という1つの事業をみんなで一緒に頑張って大きくしていこうという中で働いていますので、1つの事業を大きくするにあたっては、1つの場所に集まって、みんなでチームワークを大切にしながらやりたいよね、という文化なんです。

なので、在宅勤務等は基本的に禁止というか、OKにはしていないんですね。ですけども、臨機応変に、数時間自宅でメールを見たりとか、仕事とプライベートの両立のために適宜やっていくのは時間の効率化というところでは推奨していますし、良い使い方かなと思っています。

川原崎:経営者がどういう感じの会社を作りたいかとか、サービスの雰囲気に左右されてるということですね。

掛川:そう思います。

何をもって「自由に働く」と言うか

川原崎:では次のテーマなんですけども、どういう人であれば、こういう自由な働き方ができるのか、というところですね。マインドの持ち方だったりとか。あるいは、エンジニアのほうがリモートワークをやりやすかったり、時間よりも結果を示しやすかったりというのがあると思うんです。

あとは「こういう人であれば信頼して仕事を預けられる」とか、「こういうスキルや職種の人であれば、比較的やりやすいんじゃないか」というあたりを教えていただきたいなと思います。では、堀江さん。

堀江:いや、「こういうことだ」というノートを書いてあったんですよ。それが完全に飛んだので、1回確認していいですか?

川原崎:(笑)。では掛川さんのほうから。

掛川:そうですね。何をもって自由というかはけっこう難しいんですが、2点あるかなと思っています。まず、スペシャリストとして働いていくか、ジェネラリストとして働いていくか、どちらかかと思います。

スペシャリストとして働いていくというのは、例えば先ほど仰っていたようなエンジニアのような職種が当てはまると思うんですけど、自宅で受託をしながら働ける職種だと思いますので、時間を比較的自由に使えるという意味では自由といえると思います。

逆にジェネラリストとして働くことを考えると、いろいろな会社でいろいろな人と働ける、いろいろなコミュニケーションが取れるという自由があるのかなと思いますので、どういう働き方をしても、マインドの持ち方次第で自由といえるんじゃないかと思っています。

自発的に仕事ができないと、自由には働けない

川原崎:堀江さん、いかがでしょうか。

堀江:思い出しました。自分が書いたものを読みました。スキルに関しては、すごく変わると思うんですよね。実際、スキルなのか、マインドセットのほうなのかというのはわからなくて、マインドだと思うんですけども、まず、自発的に仕事ができないと、自由には仕事ができないですよね。

誰も「これをしろ」とか言わないので、自分で何をするべきかを見つけて、それをドンドンやっていく能力がないと、仕事自体できないですよね。

あとは自分にすごく素直でいることです。自分に何が足りないのか、自分はどこを直さないといけないのか、自分はどういうところが得意なのか。そういうのがマインドセットとしてすごく重要だと思います。

さらに、新しいスキルを身に着けたいという気持ちです。自分に素直で、「じゃあ、これがあったら次のステップにいける」とか、「これがあったらさらにいろんな可能性や仕事ができる」というのがわかったら、それを本当に身につける意欲が必要だと思います。

川原崎:成長意欲を持っている人は、勝手に働くし、頑張るということなんですね。

堀江:なんと言えばいいですかね。自由に働きたい人は、自由に働ける環境で自由に働くのがすごく幸せだと思うんですよ。でも真逆の人が絶対いて。それは悪いことじゃないんですよね。ちゃんとルールが決まっていて、その中でやることが幸せだっていう人もいると思うんです。

そういう人が、自分に素直じゃなくて「私は自由に働きたい」ということになったら、多分、すごく奇跡的な瞬間が訪れないかぎり、たぶん最終的には不幸になると思うんですよ。何か自分じゃないという気持ちが芽生えてきて。

刺激を受け入れられる心が必要

川原崎:リモートワークをすごくしたいという方、いらっしゃいますか? どちらかというと、自宅で好きな時間に働きたいという方。あ、うちの写真がめっちゃ立って手を挙げてますね。うちはダメです。

(会場笑)

川原崎:あ、意外と少数派ですかね。じゃあ、きちんと時間を決めて働くほうが自分は向いていそうだという方は? あ、意外と多いですね。今日はリモートワークしたい人がたくさん来ているのかと思ってましたけど。

片山さんのほうからは、どういう職種の人が多いとかあります?

片山:やっぱりコワーキングスペースというとベンチャー企業が多いですね。そして、何かの刺激を受け入れる人が多いです。刺激を受け入れられる心を持っている人。それで、なおかつその刺激を自分のものにして、どうやってそれをアジャストして、自分のライフスタイルに当てはめられるかということを考えられるスキルを持っている人が多いんだと思います。

川原崎:その「刺激」というのは、どういうものですか?

片山:刺激というのは、たとえば何でもいいと思うんですけど、今日ここに来て、こういう話を聞いて、ちゃんと持って帰って、「じゃあ、自分にはどうやって当てはめられるんだろう」って考えて。

当てはめた後に挑戦して、挑戦してできたらそのまま続ければいいし、スタートアップだとそうだと思うんですけど、できなかったら、もう1回やり直して、どうやったらできるんだろう、とか。そういうマインドセットがあればいいのかなと思います。

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