2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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田中良直氏(以下、田中):次にいきます。「使ったことがある人」と「使ったことがない人」というのと、「知っている人」「知らない人」というのは、(ボードに図を描いて)こうなるんですね。
「知っていて使ったことがある」、使ったことがあるんだから知っていて当然でしょう。「知らないけど使ったことがある」、これももしかしたらいるかもしれません。OEMの製品だとそういうことがあります。どこのメーカーのものだか知らないけど、使ったことがある。本人がブランドとして認知していないということです。知らないうちに使っていることが稀にあります。普通のコンシューマーのマーケティングとかではあまり考えませんけど。
それから、「知らなくて使ったことがない」。そして、「知ってるけど使ったことはない」という、4つに分けられますよね。
さっき(参加者の方が)おっしゃっていた、「知ってるけど使ったことがない」人と、「知っていて使ったことがある」人と、この2つに対してアプローチが違うだろうと。それから、「知らないし、使ったこともない人」も。それぞれアプローチが違うと。それぞれやることが違うよねということです。これが、次にお話をするマトリックスです。
ミーシーで物事を分けて、次にマトリックスで物事を考えるというのが、戦略思考の2つ目の重要なフレームワークです。なんでもかんでもマトリックスにするといいです、まずは。お客さんのタイプでもいいし、考えられる施策でもいいですし、とにかくなんでもマトリックスにまずしてみる。マトリックスを書いてみる。
私はコンサルティングの仕事をやるなかで、マトリックスの分析チャートをたぶん一番たくさん書いていると思います。これまで何千枚と書いていると思います。それぐらいよく使います。しょっちゅう使う汎用性の高いフレームワークです。
経営学の世界で一番よく知られている有名なマトリックスというのがありまして。これは、マッキンゼーじゃなくてボストンコンサルティンググループとGEが開発したものですが、自社の事業を評価するために(以下、図の説明)こっちが市場、こっちが自社、これが「強い」というのと「弱い」「魅力が高い」と「魅力が低い」というマトリックスを作りました。
これがプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)と言われているものなんです。さっきの○○さんがご指摘された項目通り、市場の魅力とはなんで定義するの? さっきの大人と子供と同じですね。競争力も定義が必要。最初にこれが作られた時は、市場の魅力度を市場の成長率で定義しました。前年比何パーセントで市場が成長しているのか?、ということです。
その後、市場の魅力は成長率だけじゃないという考え方もあって、今ではもっといろんなパターンで使われています。そこがフレームワークの使い方のおもしろいところで、「これは市場成長率です」と覚えてしまうと、それでしか使えなくなってしまいますが、なんらかの魅力を表すことを定義すればいいんだと考えてくださいね。そうすると、いろんなところにこれを持ってこれます。
これが競争力の本質を理解することになりますので。魅力というものを見る、それから強さというものを見る。競争力は一番最初に作られた時は、マーケットシェアで定義されました。今では、ほかに他社と比べた事業の成長率、前年比率で見るとか、あるいは利益率で見るとか、ほかの手法も考えられます。だから、シェアと成長率で見るんだと覚えるのではなくて、魅力と競争力という軸でマトリックスを作って分析するのだ、というところを見る。
(図を見ながら)ここの右上。市場が魅力的です。成長してます。自分の会社は強いです。いいですか? 悪いですか? グッドですよね、ここ。スーパー・グッドですよね。ここのことをスターと言います。日本語で言うと、花形。花形商品、花形事業。定義で言うと、市場が成長していて、かつ自分たちのシェアが高いということで、非常にいい事業ですよねという話になります。
じゃあ、市場は成長してるし、魅力は高いんだけれども、自分たちは弱いというのはどうですか? グッド、オア、バッド? どっちですか? いいですか? 悪いですか? 市場は魅力的なんだけど、自分たちは弱い。嬉しいですか? 嬉しくないですか? あまり嬉しくないですよね。
参加者21:アンダードッグの世界ですね。
田中:アンダードッグ?
参加者21:負けが決定しているやつ。負かされるやつ。
田中:なるほど。ありがとうございます。ここのことをプロブレム・チャイルドと呼んでます。問題児。なんでかというと、市場が成長していて魅力的なんだから、なんとか自分たちが強くなればスターになれるわけですよ。だけど、今はグレてるんです。
なんとかしてこの子をちゃんと育ててあげれば、スターになれるはず。どうやってプロブレム・チャイルドをスターにするかというのが、教育方針、つまり事業方針の重要な課題になるんです。これを見付けたら、ここがチャンスと考えてください。
(図を指して)ここが問題です。市場が魅力的じゃないし、自分たちも弱い。では、あまりここはやる意味がないよねということです。こっちの事業を支えるためにこれが必要だとか、別の存在理由があればそれはそれでいいんですけど、そうじゃなかったら撤退しましょうという話。ここはDOG、つまり負け犬と呼ばれているところです。
(図を指して)そしてここ、市場がもう成長もしなくなってきたという状態で、自分たちのシェアがある。ここがCOW、金のなる木。魅力だけで見るとちょっと違和感があると思うんですけど、最初の市場成長率で見た時に、これが実はこういうふうに市場成長してるんです。
だんだん市場が成長して、そこで競争が起きて、弱者強者が決まって寡占状態になる。右下のところは成熟期に入っている。市場がすでに成熟期に入ってあまり成長してないということは、追加投資があまりいらない。お金がかからない。だけど、自分たちがシェアをすごくたくさん持っているから、バンバン利益が出る。ということで、ここがCash Cow、つまり金のなる木と呼ばれるわけです。
これは今、シェアと成長率で見ましたけれど、自分たちのポジションがどこにあるかというのと、市場がどれぐらい魅力的かというのは普遍的なフレームワークになるので、ぜひご自分の事業でやってみてください、こういうことを。さっきのシェアでやってもいいですし、成長率ではなくほかの定義を付けてもいいですし。非常に普遍的なものでこれはいくらでも使えるので、ぜひこれを使ってみてください。
ほかにもいろんな軸のマトリックスが考えられます。(図を表示して)ほかの例を紹介しますと、これはある企業の顧客マネージメントの戦略フレームワークをマトリックスで定義したものです。最初に軸を説明すると、こっち側が購買力。こっち側が愛着度。これはコンセプトレベルですね。それぞれに詳細な定義があります。
この会社は、多分野に渡る広範囲な製品があり、製品寿命も長いものが多いんですね。そうなると一期一会のお客さんと、30年間付き合ってもらえるお客さんとに分かれていきます。それで、30年つきあってくれるライフタイムバリューの高い顧客を区別するためにこのマトリックスが生まれました。
どうやってこの軸を見いだしたかというと、顧客構造を知るために、この会社のお客さんを私は100人インタビューしました。1人2時間で100人、200時間お客さんをインタビューして、根掘り葉掘りいろんなことを聞いたわけです。それでわかってきたのがこういう構造なんです。
一番多い人は30年間継続してさまざまな製品を買ってくれています。そうじゃない人は1回買って終わり。あとは縁がない。そういう人たちも大勢いるわけです。この両者の間には、売上金額で10倍近い差があります。どっちのお客さんのほうが嬉しいですか? 仲良くなりたいですか? 当然、長い間付き合ってくれる人と仲良くなりたいですよね。
そういう人がどこにいるのだろうというのを分析して作ったのがこれで、(図を指して)ここにいるんです。購買力が大きくて、愛着度が高い人。
で、こうした愛着度が生まれる背景というものがあるんです。詳細まではお話しできませんが、そういう、愛着度が生まれる条件というのがあるわけですね。これは10個ほどの条件があって、それぞれ詳細に定義しています。そういう条件によって、愛着度が高くかつ購買力があるとわかったのがこの部分の人たち。この人たちはライフタイムバリューがめちゃくちゃ高い。
私がインタビューしたなかで、もっとも購買件数が多かった方は60代前半でした。40代から60代にかけて、あそこの(購買力が大きく愛着度が高いセグメントに分類される)人たちは、ものすごくたくさんいろんな買い物をしてくれるわけです。なので、そういう人たちをいかに見付け出すか。
(図を指して)こっち側の人たちというのは、愛着感はすごくあるんだけども、いかんせん購買力がそんなにないので、1回で終わるか、その後製品寿命が終わったときにもう1回買い換えてくれるか、ぐらいなんですね。そもそもライフタイムバリューがそんなに高くない人たちに一生懸命コストをかけてアプローチをしても、生涯で2回しか買い物をしてくれないのです。
(図を指して)こっちの人たちなら、生涯で10回買い物をしてくれる可能性があるわけです。なので、この人たち向けにコミュニケーションを厚くしていった方がいいわけですね。さまざまな施策を展開してお付き合いを深めていくということです。
こういう、製品寿命の長い製品というのは、ライフタイム・イベントでこういうニーズが発生するというのがおおざっぱには予測できるんです。でも、このぐらいの年齢でこういう状況になったらこういう製品ニーズが生まれるよね、ということはだいたいラフには予測できるんですけど、それが今日なのか、来月なのか、来年なのかまでは、詳細にはわからないわけです。で、重要なのは、彼らにそのニーズが発生した時に、コンタクト・リストの1番にいることなんですね。そのためにターゲットを絞って顧客コミュニケーションを展開していくわけです。
マトリックスは、こんな風に活用していきます。ここに到達するのに、さっきも言いましたけど、100人にインタビューをして、根掘り葉掘り聞いて回る。最初の構造を知ることと、ファクトで把握するという部分です。それをやらないと、これは頭の中でいきなりヒュッとは出てこないです。でも、だいたい30人ぐらいインタビューすると、「あっ、ここのこの辺にありそうだな」と、だいたい見えてきます。
だから、ぜひファクトベースでこうやって、マトリックスを活用してください。これはいろんなことに使えます。本当に汎用的に、特に顧客を分類する時に非常にスーパー・パワフルなので。
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