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コロナでアメリカの街が荒れている?世界経済の中心地で起きた変化とは(全1記事)

「日本のレストラン=最強」という考えは改めたほうがいい プロ投資家がニューヨークのレストランで感じた米国の変化

レオス・キャピタルワークス株式会社のYouTubeチャンネル『お金のまなびば!』は、ふだんは語りにくいお金や投資、経済の話について、ひふみシリーズの最高投資責任者の藤野英人氏や、ひふみシリーズのメンバーと一緒に学んでいくチャンネルです。本記事では、3年ぶりの海外出張を経験した藤野氏がサンフランシスコで目の当たりにした格差問題や、ニューヨークのレストランで感じたアメリカの変化を語りました。 ■動画コンテンツはこちら

生の情報を現場で見ることの大切さ

司会者:藤野さん、アメリカに行かれていましたよね。

藤野英人氏(以下、藤野):はい、行きました。

司会者:コロナ禍での海外出張はいつぶりですか?

藤野:以前に行ったのが2019年の9月だったので、ちょうど3年ぶりだと思いますね。

司会者:行くまではどういう心境でしたか?

藤野:もともと、僕は海外に行くのもどこに行くのも、あまり億劫と思うことがないタイプで、多少期間が空いても半年に1回は必ず行っていたんです。だけど、3年空くというのはかなり久しぶりです......というか、なかったことなんですよね。

そうすると、あんなに海外に行くことに慣れていた自分が億劫だったんですよ。その当時はPCR検査も受けなきゃいけない。「もし陽性だったらどうしよう」「コロナにかかったらどうしよう」など、あれこれ考えることもあり、実はそんなにワクワクしなかったんです。

司会者:でも実際に行ってみて、いかがでしたか?

藤野:1回行ってみると、行くことに対する気持ちのバリアが取れました。だから、帰国した時には、「次はどこに行こうかな」という気持ちになったのが、今回の一番の成果かもしれません。

それに、間接的に聞くことと自分の目で見るのではだいぶ違う。自分自身が見るので、自分が欲しい情報を取るんですよ。つまり、自分の感性や自分の観点で物事を見るので、自分にとって一番大切な情報が入ってくるわけです。「生の情報を現場で見るということが、とても大事だな」と、あらためて思いました。

サンフランシスコで実感した米国の格差問題

司会者:実際にアメリカの町はどうでしたか?

藤野:行く前は、「アメリカは日本と違ってみんなマスクを外していて、マスクをしている人はおかしい」みたいなことを言う人が多かったんですけど、そんなことはなくて、けっこうマスクをしている人はしている感じです。

司会者:そうなんですか?

藤野:そんなにみんながマスクを外している感じでもないし、警戒感がない感じでもなかったんですよね。

司会者:町自体は、見てみて「変わったな」という部分はありましたか?

藤野:大きく変わったのがサンフランシスコです。サンフランシスコの町中に宿泊したんですが、町が予想以上に荒れていて、日中もホームレスの人がけっこういたり、明らかに治安が悪い感じになっていました。また、路上が臭うんですよ。トイレみたいな臭いがする。

実際にそこで働いている人に話を聞くと、「壊されたりするので、サンフランシスコに自分の車で行くのが怖い」と。なのでUberで行って、なるべく(オフィスの)外に出ないようにして、帰る時はUberを呼んで歩道をかけるようにして車に乗るということでした。

司会者:へぇー。

藤野:あの美しくて活気のあるサンフランシスコという雰囲気ではなかったのは、けっこうな驚きです。

というのは、土地の値段が上がりすぎてしまって、そこに住むことができない人が大量に出たと。いわゆる格差の問題です。だから、日本における格差の問題とアメリカにおける格差の問題は、重みがぜんぜん違うということをすごく感じましたね。

司会者:今のはサンフランシスコのお話ですが、他の町にも共通して言えることですか?

藤野:ニューヨークにも行ったんですけど、その前にパロアルトとかサンノゼとか、いわゆるシリコンバレーのあたりにも行きました。

シリコンバレーは、打って変わって非常に治安がよく、きれいで清潔でした。そこにいる人たちも非常に豊かで、ギラついてなく、本当に良い感じだったんです。距離的に70〜100キロメートルしか離れていないサンフランシスコとシリコンバレーの間に、すごく大きな溝がありました。

それからニューヨークに行ったんですけど、ニューヨークにもホームレスはいますがサンフランシスコほどではなく、町に活気、バイタリティがありました。以前行った時よりも、洗練されてオシャレ度の高い人たちが増えていたところが、大きな変化として感じたことですね。

ニューヨークのレストランで感じた米国の変化

司会者:そういう意味でも、かなり二極化されてきているということですよね。

藤野:二極化が進んでいることは、データではわかっていたことなんですよ。「場合によっては、5年とか10年後くらいにアメリカで内戦があるかもしれない」という危機感がある。それは知識としてわかっていたんだけど、実際に現地に行って雰囲気を見たり、人と話したりしてみると、裏の問題や切迫感を強く感じることになりました。

すごく驚いたのは、アメリカのレストランと言うと、量がドバーっと出てくるんですね。アメリカンサイズで、食べきれないくらいの大きさと量が出てくるので、メインまでいった時にはお腹いっぱい、みたいなことはよくあるんです。

でも今回、そういうレストランだったこともあると思うんですけど、来ている人たちはわりとスマートな人が多く、品がいい人が多かった。それ以上に料理の内容がとてもスモールポーションで繊細でした。

ニューヨークは特にLGBTQとかダイバーシティとか、SDGsといった概念が強いわけですけど、その洗練化がすごく進んでいて、食事や環境に対しても敏感な人たちが多く、顧客の意識がめちゃくちゃ上がっていたんです。

今まで「日本はいろいろ負けた。ITも負けたかもしれないし、バイオも負けたかもしれないけど、グルメとかおいしい料理はすごく強いんだ」とか「そういう繊細で『職人の技』みたいなのものは、日本独自のものだ!」みたいに思い込み過ぎていたなと。

顧客層のレベルや懐具合もたぶんアメリカのほうが上だということもあったり、教養とかレベルが上がっているがゆえに、「日本のレストラン=最強」というのも、考え直したほうがいいなと思いましたね。

「日本は食事がおいしいから、これからインバウンドで勝ちまくる」みたいな声があって、実際に相当数そうなると思うんだけど、「日本は特別で、日本はこの部分ではすばらしい」というのは、ちょっと行き過ぎているとわかったのは良かったです。

司会者:それはやはり、投資家目線で重要な観点ということですか?

藤野:新しい気づきや、新しい観点・視点を入れることがとても大事です。その面で見れば、やはり現場に赴いて、見て聞いて感じたことを、知っているデータとか総合的に比べながら、「今、何が起きているのか?」を感じるのが大事なことだと思いますね。

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