CLOSE

コミュニケーションとしての英語 英語で日本人が当たり前にコミュニケーションすることを考える(全8記事)

海外で活躍したい人が学生時代にやるべきこと ATSU氏、東進カリスマ英語講師が回答

日本人は必修科目として英語を勉強しているにも関わらず、英語への苦手意識を捨てられない方も少なくないのが現状です。本イベントでは、「異文化と協働-相手を納得させるコミュニケーションを考える」と題して、英語圏でビジネスをして、圧倒的な成果を上げているプロフェッショナルたちが一堂に介し、自身の英語学習の秘訣や日本の教育システムの課題について意見を交わしました。本パートでは、学生時代に学ぶべきことや受験英語を有効活用する方法などを伝授します。

通訳者は副詞をどう使い分けているか

松田亜有子(以下、松田):ありがとうございました。では最後の質問です。

(会場挙手)

……どうしましょう。

スタッフ:質問を全部聞いては。

松田:そうですね。ではみなさんから質問を承りますので、質問だけお願いします。

質問者4:塾の先生をやっているんですが、大学入試の子どもたちや高校入試の子たちに、なんとか今のような考え方というか、「話す」ことを吸い込ませたいと思って今日聞いています。具体的に、すこしでもいいのでいい方法があれば聞きたいと思っていました。

松田:ありがとうございます。では、次。

質問者5:質問なんですが、母国語なまりがある非ネイティブ英語話者の方の話を、どうやったらリスニングの能力を上げられるのか。現在の一番の課題なんですが、教えていただきたいのです。

松田:はい。では、こちら。

質問者6:すこし心構え的な話が続いたんで、テクニカルな話でうかがいたいと思います。確実性の度合からいって、副詞の使い方があると思うんですが。例えばabsolutely、definitely、clearlyなど。とくに田中さんにおうかがいしたいんですがも、全部「100パーセント絶対に」という意味ではありませんか。そうしたものをどう翻訳する際に使い分けているのか、ということにすこし興味があります。

安河内哲也氏(以下、安河内):知りたい。

田中慶子氏(以下、田中):あぁー……なるほど。

松田:たしかに(笑)。

大学時代に学んでよかったと思うこと

質問者7:すいません、私は今年大学に入学したばかりで、今回大学での4年間を濃いものにしたいと思い、なにか得られればと思って参加しました。それを知っていただいた上で質問します。私はまだ具体的ではないんですが、将来アクティブに英語を使ってさまざまな国の人と仕事をしたいと思っています。

そこで今回御三方にうかがいたいのです。それぞれ異なる分野で英語を使ってグローバルに活躍なさっていると思いますが、英語を話すこと、英語でコミュニケーションをすることは必須として、「大学を卒業するまでに身につけておけばよかったな」、逆に「学んでよかった」と思うことがありましたら教えてください。「とくにこれだけは」というものを、できればどのような場面でそれが役に立つのかということも踏まえて、教えていただければと思います。

松田:こちらで……あっ、いらっしゃいましたね。

質問者8:ありがとうございます。今日のお話は、かなり「話す」ということが多かったと思います。対話の場面で自分が聞くというときに、どういった姿勢で聞くのか。あるいはどういった質問を投げかけるといいのか。対話という場面を想定して、聞く姿勢についておうかがいしたいです。よろしくお願いします。

松田:ありがとうございます。もういらっしゃいませんか? ……はい、では先生方、お願いいたします。最初は塾の先生のご質問でしたね。

受験英語を有効な学びに変える工夫

ATSU:ではまず、私が先に。すごく簡単ですが、私であれば、もしプロジェクターがあったらオンライン英会話の先生を映し出します。そして、みんなでその先生と、受験で出た問題を解いてみたり、受験で使った英語をネイティブに使ってみて通じるのかどうかをやってみるのは、めちゃくちゃおもしろいと思うんですよ。自分であればやると思います。

安河内:時間もないと思いますから、短く伝えます。やはり大学入試や高校入試の問題を教えなければいけないというのは、私たちの仕事なのでしょうがありませんね。ただ、そうした英語は実際に使えないかというと、使えるものも多い。もちろん、使えないものもありますよ、当然ね(笑)。

使えるものも多いわけですから、授業をアクティブな教え方に変える。授業中に生徒が発話して、ペアワークやグループワークといったいろいろなことをしながら、あとはネイティブの音を聞かせて、口が動くような授業に変えていく。

そちらにシフトしていくということが、授業では非常に重要だと思います。やはり英語を使って、言葉が通じた体験をさせることが大事なんです。

大学4年間でやるべきことは、世界の人と付き合う経験を作ること

安河内:あとは非母国語話者の英語についてですが、これはなかなか聞こえません。とくにインド人は何を言っているかわかりませんね。フィリピン人も何を言っているのかわかりませんが、これはやはり、経験なんですよ。

私の場合は、オンライン英会話で毎日違う国の人と話しています。セルビア、ルーマニア、ロシア、ジャマイカ、スコットランド、ウェールズとあえて国を変えて、いろんなところをぐるぐるぐるぐる回ることによって、耳が慣れてきて、最近では南アフリカの人が言うこともわかるようになってきました。やっぱりこれは経験ですね。

はい、次。大学時代に君がやるべきこと。僕は人生におけるものすごく大きな後悔は、長期留学しなかったことなんです。どうしてたったの1年間を、仕事が忙しい、アルバイトが忙しいなんてことを言い訳にして、外国に行く機会を逸してしまったのか。いまでもすごく、それは後悔しています。

だから大学の4年間でやるべきことは、とにかく留学。できれば短期でも、瞬間でも。外国にたくさん行って、世界の人たちと付き合う経験を作ってください。聞くときの態度ですが、わからないときには「Pardon?」や「Excuse me sir...orry, can you say that again?」(あー、すみません、もう一度言っていただけますか?)というように、きちんとわからないときは相手を止めるということがすごく大事ですよ。

あとは、相手は延々としゃべりますから、どこかで割り込むこと。逆にずーっとしゃべっているのを聴きながら頷いていて、後で実はわかっていなかったとなると、向こうとしては「わかっていると思って話していたのに、どうしてわかっていないんだこの人!?」ということになりますから、わからないときにはきちんと割り込んだり、止めたりすることが、話を聞くときに、すごく大事なことだと思っています。

そうすれば向こうも、「この人はこんなに速くしゃべるとわからないんだ」と気づいて、スローダウンしてしゃべってくれるということもあります。とくにノンネイティブであれば聞きにくいので、わからないときには止めて聞かないと、全部の会話が終わってから、大きな誤解が生じている可能性が出てくる。これが一番怖いと思っています。

非ネイティブの英語が聞き取りやすくなるコツ

ATSU氏(以下、ATSU):先ほどはごめんなさい。もう2人の質問について答えたいと思っていました。非母国語の話ですが、それは私であれば、YouTubeでその言語の特徴を調べます。その言語的特徴を知ると、一気に聞きやすくなりますから。

私もオーストラリアに行く前は、アクセントやそうした発音のクセや特徴を自分で調べたので、聞きやすくなっています。

学生時代にやっておきたいことは、学部にもよると思うんですね。なに学部かわかりませんが。国際政治。ああなるほど。それであれば、海外で将来働きたいとなったときにビザが重要になりますから。

そのビザが取れる職業というのは一体なんだろうというと、オーストラリアであればSkilled Occupation Listという、SOLリストと呼ばれるリストが書いてあって、そこから選ぶとわかりやすいんですね。自分であれば例えば、商学を勉強していたんですが、そこでどうして会計士になろうと思ったのかというと、そのSOLリストの中に会計士が入っていたからなんですよ。

もともと興味があったのはマーケティングなので、海外で働くとなるとやっぱりそうしたビザやインフラ系の部分を自分で整えていかないといけないという側面があって、ではどの職であれば一番楽にできるんだろうということ調べてみる。政府のグループページなどに載っていますから、そうしたものを見るとおもしろいかもしれませんよ。

「絶対」のニュアンスをどう汲みとるか

田中:はい、そうですね。もう時間もありませんから、おそらく私に期待されているのは、その副詞の使い分けですか? 質問としては、例えば「probably」の方が「maybe」よりも確度が高いといった、そうしたことですか? 

なるほど。これはですね、本当にノリですね。うそうそ、でもノリだというのは、あながちうそでもないんです。やっぱり、そのときの話の流れや、あとは相手も別に「probably」であれば80パーセント、maybeであれば60パーセントなんて決まりのもとに使っているわけじゃないんです。日本語でもそうですよね。絶対にそうだと言っていても、絶対でもないし、そうじゃなかったじゃん、というような人もいっぱいいますよね。

実際に私のクライアントのイギリス人の方も、しゃべっていると15分間に10回くらいは「Definitely,Definitely, Yes 100percent!!!(絶対に、絶対に、100パーセントそうです)」。などと言う人がいます。「絶対に100パーセント」や「definitely(絶対に)」だなんて、そんなにたくさんあるわけがないと思うんです。でも彼は、もうそれが口癖のように、イエスイエスというぐらいの頻度で使っているんですね。

ですから、別にその人のことを揶揄するわけではありませんが、彼は「本当に俺もそう思うよ」という意味で、「100パーセント」や「definitely」と言っているんだと思うんです。だからそれは、相手へのシンパシーを示したいが故の言葉でもあったりしますから、この言葉が何パーセント。この言葉が何パーセントというような、そうした使い分けは意識をしたことはありません。

話の流れの中で、それこそ日本語でも「もしかしたら」や「たぶん」といった、いろんな言葉がそのときのニュアンスで出てくるように、やはり英語も、その場で、今ここで、なにが起こっていて、どんな会話で、どんな人がしゃべっているのかによって、出てくる言葉は違うと思います。

人や国によって言葉の定義が変わるおもしろさ

ATSU:僕もしゃべっていいですか。それはすごくおもしろいと思っているんです。例えば「pretty」という言葉がありますよね。「pretty good(かなりいい)」などともいう。日本の英語教育では、prettyは「それを下げる」というように習うんですよ。だからかなりというのは、それよりもやや下ぐらい、goodよりも下なんですよ。「pretty good」の本来の意味としては。

でも、現実世界で話していると、「pretty good」を「good」の強調として使っている人もいるんです。そうそうそう。だから、その人にとっては「good」より上を現す表現なんですね。

だから人によって言葉の定義が違うということがすごくおもしろいのと、あとは「probably」という言葉について。「probable」なども。アメリカでは、例えば私は会計の世界にいますが、アメリカの会計基準に書いてある「probable」とオーストラリアの会計基準に書いてあるprobableでは意味が違うんですよ。

アメリカの「probable」は80パーセントだと言われていて、オーストラリアでは50パーセントだと言われています。そのように国によって、やっぱり言葉の定義が変わったりするということもふくめて、すごくおもしろいと思いますね、はい。

英語を身につけるには何年もかかるからこそ、楽しむことが大切

松田:ありがとうございます。安河内先生はなにかありますか?

安河内:すべての質問には答えたんじゃないですか? とにかく楽しく、毎日英語を使うということが大事なのですから。英語は結局、盛り上がったときにだけやってもダメなんです。なにか今日のように、こうした話を聞くと、「やるぞ!」と盛り上がって、3日間ぐらいは続く。でも3日間が過ぎたら、また元の木阿弥ということもありますから、とにかく続けること。これが一番大事だと思います。あとは、自分が楽しめるものにして、それを持つことね。

それは映画でもいいし、音楽でもいいし、オンライン英会話でもいいし、Atsueigoでもいい。もう、とにかく自分が楽しんで、わくわくするものと一緒に英語を勉強し続ける。これが本にも書いてあるように、1週間では絶対にできるようにはならない。1ヶ月で英語ができるようになると思う? 無理無理無理。何年もかかりますよ。

何年もかかるからこそ、価値があるの。そんな1週間2週間1ヶ月で取れる自動車免許とは違うんだから、英語は。3年4年と努力した人だけができるようになるからこそ、価値がある。そして、できるようになると、こんなに人生において楽しいものはない。そういうものが英語なので、ぜひ今日ここに来たみなさんは、一時の盛り上がりで終わらずに、本当に英語をマスターして、私たちと一緒にいろいろと仕事をやりましょう、そういうことです。

松田:ありがとうございました。継続は力なりということですね。

(会場拍手)

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • グローバルキャリアは「うまくいかなくても当たり前」 石倉洋子氏が考える、世界で活躍する人がすぐに行動を起こせるわけ

人気の記事

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!