2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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河上純二氏(以下、河上):今の流れの布石ができました。ちょっと待って、そこで1回止めるけど。(俳優を目指して東京に上京していた)5年間の時間のなかで、(デビューの)チャンスらしきものってあったの?
青木康時氏(以下、青木):やっぱり、それなりにありました。
河上:どこかに出るとかさ? 出たとか。
青木:やっていくと、なにかチャンスをいただいたりとか、やっぱりこう、いろいろありましたよ。
河上:あった? でも、そこは続いていかないの?
青木:完全歩合制というか、仕事が決まればもらえる。なければないの仕事じゃないですか。そうすると、やっぱりけっこう厳しい。
河上:波が激しいんだ、やっぱりね。
青木:これは、やった結果、なんとなくアスリートみたいに成績が良かったり実力があれば売れるんだと思って、一生懸命練習したり、芝居を勉強したりするじゃないですか。ただ、そこにはけっこう、運とかタイミングとか、時にはコネとか、いろんなコントローラブルじゃないものによって、すごく左右されることに気づいてしまって。
なんだかそこが不条理に思えて、もう少しがんばったらがんばりが評価される場所に行かないと、もういいおっさんなんじゃないかということが焦りでしたね。
河上:悩むところだったね。それでフルコミットの営業に突っ込んでいくと。まず最初に何を売ったの?
青木:某通信会社さんの携帯電話とか。
河上:言っちゃう?
青木:USEN。
河上:僕もUSEN。
青木:とかやっていましたよ。ただ、自分のがんばりが、そのままお客さんの「じゃあほしいです、ください」につながるというようなことが、すごくうれしくて。
河上:そうだね。
青木:なんとなく、もともと学生だったころの同期の仲間たちが就職して、ちょっと仕事を与えられて成功しはじめたり、評価されはじめているなかで、なんだかこうニートみたいな自分にすごく劣等感を感じていたので。そういう1個1個の喜びが、なんだか俺でも必要とされたんだ、ということですごくうれしかったんですよ。
河上:でも、営業は営業でめちゃくちゃ大変なことだから、1個が売れるまでは大変だったんじゃない? そこは簡単にすぐ乗り越えていくの?
青木:むちゃくちゃ売れなかったんですよ。
河上:売れなかった。そうでしょう? どうやって売れるようになったの、それ?
青木:僕ががんばって、なにかしゃべれば売れるだろうと思ったんですけれども、やっぱり買わないじゃないですか。だって、衝動買いですから。道で会った人に目の前で「携帯買え」って(言われても)、なかなか買わないじゃないですか。
河上:そりゃそうだよ。
青木:でも、隣で若い女の子とかが「お願いします〜!」とかって。ちょっとなんか、おじさんの手を触りながら営業しているだけで、すごく売れていく子とかいるんですよ。それがめちゃくちゃ悔しくて、その子のトークをぜんぶ紙に書いて、あとは当時、「ジャパネットたかた」とかも流行っていたので、高田社長のセールストークもぜんぶ紙で起こして。
磯村尚美氏(以下、磯村):え〜すご〜い。
青木:どこに起承転結があっていう、映画のシナリオとかと一緒で、なんか今どこでハマったんだろうみたいな。
河上:そうだよね、そこだよね。
青木:ぜんぶ作って、「うわ〜、これとこれとこれのコンボでこうなったんだ〜」みたいな。
(一同笑)
及川真一朗氏(以下、及川):すごい。
青木:そこを自分なりに科学したんです。
河上:なるほどね。
青木:おもしろい人の話をずっと聞いたりとか。芸人さんの話を聞いたりとか、そういうこともやりながら。そうか、もしかしたら人の気持ちをつかむって、こういう流れで、ここに持っていくんだというようなものを、けっこうやりましたね。
河上:なるほど、なるほど。
青木:そこにはたぶん10,000時間くらい使いましたね。
磯村:10,000時間。
河上:その期間があって、次の扉が開いたわけだね。
青木:そうです、そうです。
河上:俺も接客販売を3年やっていて、うだつの上がらないどうしようもないところからスタートしたから、その気持ちがすごくよくわかるのよ。それでほら、自分なりのパターンをつかまえて、もうレールに乗るとガンガン行くじゃない。そこが来て、いわゆる通信機器だったりとか。ガンガン売って、そのあとはどうしたの?
青木:仲間とインセンティブの額を見たら、「あれ、これ、けっこう上司というか、代理店を抜いとるな」みたいな(笑)。そこもわかったので、だったら仲間を集めて、ちゃんとそれを自分たちでやれるんじゃないかっていう。ここもまたバカだったんですけど、ノリで始めた感じで。
河上:それは販売代理店ってこと?
青木:そういうことです。とにかく自分たちの仲間を集めて売りまくったら、たまたま時流もよくて、売れた。そうすると、いろんな物を売っていても、俺らなんでも売れるんだと。とにかく自分たちのがんばりだけでエイエイオーとやりながら、たくさん売っていくということが当時は楽しくて。20代半ばだったので、それにけっこうハマってね。
河上:売り上げも大きくなっていって。
青木:やらせてもらえたということがいいきっかけ。そこがはじめての成功体験かもしれないですね。
河上:それはどうなっていったの? 自分の会社だよね? 1社目と言えば1社目の起業というか。
青木:みんなで一緒に、という感じですけど。でも、結局1個1個のものを売っていくと、もし集団インフルエンザになると、会社が潰れるんじゃないかとか。全員営業マンで、フルコミッションなので、来月の売り上げがゼロになったりするじゃないですか。それで、今日のがんばりが明日も明後日も来年にもつながるような、そういうストックビジネスのモデルをなにか考えなきゃいけないね、と。そういうときに、いろんな商材を探したんですよ。
そしたら、たまたま、ローソンの社長やユニクロの社長をやられていた玉塚(元一)さんという方が、リヴァンプというファンドで作られた......。
河上:そうだね、リヴァンプ。その話で盛り上がったんだ。思い出したぞ! そうだ。俺と共通の友人がいるからね。
青木:ウォーターサーバーのメーカーがあって......。
河上:思い出した。
磯村:知ってる、その水。
河上:リヴァンプさんね、当時。
青木:あれって、僕ら携帯とかいろいろ販売していたじゃないですか。端末とサブスクのお水って、通信機器と通信料の関係に非常に近いんですよね。
河上:中身の販売ね。
青木:そうそう。通常は、これを法人向けにオフィスに置いてもらうという売り方をやってたんだけど、あれ、これは個人にも売れるんじゃないかなと思って。個人にやらせてください、ということではじめて門を叩いて。今はよく電気屋さんやモールに行くと、試飲会みたいなかたちでみんなが売っているじゃないですか。実は、あれを日本で最初にやったのは僕なんです。
河上:最初!
磯村:へ〜そうなの、すごい!
青木:それこそソフトバンクの0円キャンペーンの女の子とか(笑)、そういう子で「これもらいました」ってやって。でかい機械を使ってもらって、「コンビニに行くよりも(楽ですよ)、水みたいに重い物を運ばなくていいよ」とか、「コーヒー、紅茶、カップラーメンが家で作れちゃって、赤ちゃんのミルクもいけます」というのを同じようにやって。それはうまくはまったんです。
河上:いけるよね。
青木:結果的に私がそこの会社の営業部長もやらせていただく流れになって。それから水屋さんの時代が始まった。なので、水商売に行くわけですね(笑)。
河上:やかましい。
(一同笑)
今のところぜんぜんつまずいてる要素ゼロだね。
青木:いやあ、どうでしょうね。楽しくて夢中になっていた感じはありますかね。
河上:だって、きれいに売ってるじゃん。ちょっと体制は変わったけど、売っていってるよね。なにかつまずきはなかったの? ちょっと芸能界は置いておいてね。そのあと、この間には何かつまずきはなかったの?
青木:たぶん(つまずいたことが)むちゃくちゃあった記憶がおぼろげにはあるんですけど。
河上:なんだそれ?
青木:いやでも、けっこう忘れているんですよね。
河上:それは性格?
青木:でも、やっぱり、自分でガンガンやっていくと波風が立つじゃないですか。ハレーションが起きたりとか。
河上:ついて来られないやつとかね。「お前、なんでそれなの?」とかあるよね。
青木:がんばりが足りなく見えちゃうけど、実はその子なりにがんばっていたりとか。そういったことは、やっぱりすごくあったので、マネジメントとかそういうところでは、なんだかすごくつまずいたというのはありますよね。
河上:そうか。
青木:営業マン特有のあれじゃないですか。
河上:そうだね〜。
青木:なんだかけっこう血気盛んなときって、「俺のほうがもっとできる」とか、散らかしちゃうときがやっぱりあったので。あのときもっとこうやっておけばよかったな、とか。やっぱり、いまだにずっと後悔しますよね。それは、ぶつかりながら所作を覚えていったようなところがあったので。当時ぶつかった子には「ごめんなさい」というところがありますよね。
河上:それは、今(アクティブソナー株式会社で)80名近くの社員を抱えているというのに活きているよね、たぶんね。
青木:多少は活きてるけど、まだ活きていないんじゃないですか。
河上:なんだそれは?
青木:活きていると思いますよ。でも、やっぱりまだまだ足りないですよね。
河上:まだ足りない?
青木:やっぱり何かうまくできないですよ。
磯村:何が足りないと思っているの? 80名......。
青木:周りがどう思っているかわからないですけど、やっぱり、いろんなもっとすごい人がいっぱいいるじゃないですか。「あの人みたいになりたいなぁ」とか、あの経営者みたいな、とか。「わー、こんなマネジメントすごいな」とかなりますけど。なんだかずっと、自分の枯渇感というか。なんか足りないんですよね。
磯村:ずっと乾いているんですね。ハングリー精神。
青木:そうそう、そうそう。たぶん、なんだかもっとできなきゃいけないんじゃないかって。その1人SMをずっとやっている感じが、筋トレに近いですよね。いじめる自分と褒める自分がいて、鼓舞する自分がそこを全部やっているので。なんとなくいつも劣等感とコンプレックスと、なんだか足りなさ加減があって、それで突き動かされている感じがあるので。
河上:ちょっとね、そういう話が出たからさ。80名もいれば、今はたぶん若いスタッフもけっこう多くなってると思うんだよね。最近いろんなところで、僕もベンチャーやスタートアップも含めて、企業の体制やコミュニケーション、組織についての話をするんだけれど、すごく難しい時代に入っていると思っていて。それぞれに今、解を導き出せてない状況にあるなって、けっこう思っていることが多いですよね。
本もいっぱいあって、例えば「褒めるマネジメント」だったり、「KPIからOKRへ」とか、いろんな指標があったり。コミュニケーションスタンスとか、たくさんの方法論が語る人によって変わっていて、今の若い人たちは非常に難しい時代だなと思っている。昔は強制的に数字でプレッシャーをかけて、一つのゴールに対して、強圧的に締めるという組織マネジメントがけっこう普通で。
青木:高校球児みたいなね。
河上:そんな感じの(笑)。ほとんど1本しか(やり方が)なかったような感じだった。それが(若い人たちはそういうマネジメントをしていると)「いなくなります、やめます、翌週から来ません」みたいな話で。「それは、あなた(上司側)が悪いんです」というような時代感のなかで、その80名をしっかりとコントロールするって、けっこう大変だろうなと思うんだけど、そういうところの話についてはどう捉えているの?
青木:いや、めちゃくちゃ難しいですよね。今。
河上:やっぱそういうふうに本人も難しいって正直に思っているの?
青木:難しいというか。なんかその、おっしゃるように解がないじゃないですか。
河上:解がない。
青木:一方で僕って、今、月に1週間から10日ぐらいは、中国にいるんですよ。
河上:そっか。
青木:向こうって、またぜんぜんまたちがって文化が。Alibaba(アリババ)なんかも夜中1時まで働くことを推奨しているぐらいですね。
河上:そうだよね。
青木:国またぐと競争社会だなってことを痛感するし、一方で(日本では)働き方改革で。
河上:こっちがね。
青木:そこはそこで大切なんですよ。大切なんですけど、なんだかそれで勝てるのかという理論と、でも一方で、もっと大切にバランスをとっていきましょうというところのなかで、まだ解がない。そこにどうスタンスをとっていいかというのも、なんだかすごくありますよね。
河上:正直なところ、やっぱり今はそういう感じになってる?
青木:そうだと思います。着地地点が見えにくい状態。僕はそうだし、それはまわりの経営者とかいろんな企業も、すごくそうだと思います。
河上:すごく難しい時代になったなと思っていて。だから、純二は今、そういうことからちょっと離れているからほっとしてるよ。今は本当にマネジメントということをやってないから。本当にほっとしている。もうこんなの俺はできなかったかもしれない、たぶん。
青木:でも、だからベンチャーなどで考えると、結局お預かりしたお金やチャンスを、いち早く勝利に導いて、社会や世の中に貢献することを求められるじゃないですか。ただ一方で、なるべく穏便にということを、なんだかすごく重視しすぎると。
僕はフェイスブックなんかにもよく書きますけれども、ドラフト1位で入団した新入団選手に「練習するな」というような、「練習しすぎはよくない」と言わなきゃいけないようなことにはつながってきたりするので、この加減はあって。やりたい人には治外法権的にがんばれる仕組みもきっと必要だし。そうじゃない人は、ちゃんと(自分の時間を)大切にできるような、なにかいろんな働き方とか価値観に合わせられる、万遍ない場所を作らないと。
河上:そうね。
青木:って思いますよね。
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