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アジアマーケットで日本発のプロダクト・サービスがPR活動するときのポイントとは?(全3記事)

日本企業がアジアに溶け込むために必要なこと PR担当者らが語る現地での展開戦略

アジア市場への進出を考えている事業担当者、経営者の方は多いのではないでしょうか? 今回のイベントでは、アジアマーケットで日本発のプロダクトやサービスが成功するためのポイントについて、アジアのスタートアップ情報を発信する「Tech In Asia」の日向徳旭氏、教育系アプリ「Clear」を展開するアルクテラス株式会社の新井豪一郎氏、日本企業のアジア進出をサポートするVivid Creationsの齋藤真帆氏が語りました。このパートでは会場からの質問に答えて、SNSでのプロモーションの仕方などについて語りました。

進出のキーはリサーチとデータ。そして継続

市來孝人氏(以下、市來):これから進出しようと思っているサービスの方だったりですとか、そういう構想がある方向けに、これだけは意識しておくべきことということがあれば、お一人ずついただければと思います。では日向さんから。

日向徳旭氏(以下、日向):PRでいきますと、弊社も創業メンバーの1人がスタートアップ業界の方で、アイドルというか会社の象徴化していまして、彼女が行くヨーロッパイベントとかアメリカのイベントとか、日本に来たりとか、アジアに行くんですけど、一緒にいるといろんな人たちが彼女に寄っていくんですね。

それを見てると会社のサービスとかいうよりも、彼女にいっぱい人が来てたという印象ありました。テレビ局の話で言うと、アナウンサーもテレビ局の一社員が担当していたようですが、今では会社を象徴するアナウンサーみたいな立ち位置になっていると思います。それで彼女はMashableっていう会社にヘッドハンティングされて、アジアのヘッドとしてやってるんですが。

そういったPRの担当者が、創業者や社長とかよりも、その会社の顔となっていく人が、増えていくのかなと思っています。

市來:SNSが盛んという話もありましたが、やはりそういうソーシャル的にもリアルな影響力がある方がいると違ってくるんでしょうね。

日向:そうですね。SNSが出てきて、今までお金をかけている大きな会社さんしかPR戦略できなかったのが、SNSの登場でお金を使った広告の戦略が無効化になってくると思うので、お金がなくても、Facebookとか口コミとか、直接ユーザーだったりとか、その人に会ったりとかが重要なことだと思います。

市來:新井さんはいかがですか?

新井豪一郎氏(以下、新井):世の中に転がっている表面的なデータっていうのはほとんど意味がないなっていうのは、シンガポールと香港でよくわかったことですね。自分たちのサービスがある国でうまくいくかっていうところを判断するためのクライテリアをきちんと持っておくというのが大事。

僕らで言えばわかりやすいスマートフォンの普及率っていうところと、教育に投資する人口の割合がどれぐらいいるのか、それが5年後どうなるのかっていうのと、もう1つはさっき言ったように、学生同士が助け合う文化があるのかっていうところ。これがすごく独特。どこにもデータがないので現地に行って学生に聞かなくてはいけないところなんですけど。

これから出されるうえで、ご自身のサービスがグロースするには何の条件が必要かっていうのを、きちっとデータを取ってそれを把握するのが大事なんじゃないかなというふうに考えています。

市來:判断基準をつかめるということが、すごく大事ということですね。齋藤さんはいかがでしょうか?

齋藤真帆氏(以下、齋藤):私は3つあると思っていて、1つは入念なリサーチですね。皆さんに、まず自ら現地に行っていただきたい。

インターネットでももちろん情報を収集できますけれど、現地での肌感ってすごく大事だと思うのです。例えばまずはシンガポールにと思われても、他の国が近いので全部回っていただいて。正直シンガポールから3時間以内でどこの国でも行けますし、しかも安いです。日帰りとかでも行けちゃうので、まず数カ国を見て選択肢を広げていただくっていうのが1つです。

また現地の方を味方につけるということも大事かなと思います。それは社内でスタッフの方たちでもいいですし、BtoCの商品であれば現地生活者のファンを作っていくことですね。そのファンの口コミでさらにファンを増やす。そのファンからのフィードバックを真剣に受け止めてそれをしっかり参考にしていただきたいです。

後は継続ですね。やっぱり単発でのイベントをやったりとか、プレスリリースを一回配信しただけではなかなか効果は出ないことが多いです。中長期的にプランを練っていただいて、フェーズに合わせた施策を実施していくのが有効かと。シンガポールもマーケティング施策ってそれなりにやるとコストがかかるんですけど、そのコストの予算算出を事前に行った上で計画的にやっていただくというところと、忍耐力が必要になります(笑)、諦めずに現地との対話を続けていくことだと思います。

まず選ぶべきはPR会社か、それとも現地のユーザーか

市來:ではそろそろ、Q&Aを受け付けたいと思います。ご質問ある方はいらっしゃいますでしょうか?

質問者:貴重なお話をどうもありがとうございました。今、うちの状況で言うとシンガポールや香港など、アジアにも出しているのと、あと他のサービスもいろいろな国に出していきたいなと思っていまして。

やってみて思ったのは、現地にずっといられるといいんですけど、日本でメインでやらないといけないという時に、現地のPR会社さんとかパートナーをどうやって探すのかというのが重要だったなぁと思うんですけど、それがうまく当社は探せなかったんですね。

どういうふうにして現地のパートナーを探していけばいいと思いますか? ぜひ教えてください。

齋藤:現地のPR会社はネットで事前に調べられると思います。たくさん会ったほうがいいかなと思うので、出張されるタイミングで面談したり。各PR会社さんも強い・弱い業界ががあるので。

後は大手外資からローカルまで、規模も様々ですしね。外資はグローバルに展開している会社が多く料金も高めになると思いますが、市場範囲がシンガポールだけであればローカルの会社のほうが、シンガポールの事情に詳しい可能性もあります。

例えばコミュニケーションの仕方とか、レスポンスの早さなどの相性の良さも含めて一緒にお仕事をしてみて、その後あまりうまくいかない状況であれば、他社に切り替えることも有り得ると思います。企業との取引は日本よりドライな気がします。

質問者:タイとか他の国では、現地の学生さんにっていうことだったんですけど、PR会社にお願いするよりも生の声でやった方がよかったんでしょうか?

新井:僕らのメディアにリーチしてそこで記事を書いてもらうっていうことをやっているんですけど、PR会社っていうのが見つからなくて。現地のスタッフで直接メディアに特集として載せていくということをやっています。あれば僕もぜひ知りたいです。

質問者:ありがとうございます。

ソーシャルでどう拡散させるか

質問者:貴重なお話ありがとうございました。東南アジアの現地のプロモーションについてなんですけれども、先ほどSNSをいろいろ活用されてプロモーションをされたというお話を伺ったのですが、具体的にどういったプロモーションの方法を取られたのか、ソーシャルを使ってどういうふうに拡散されたのかっていうのをぜひお伺いしたいなと思います。

新井:最初は「こういうサービスが出たよ」って言って、そうすると東南アジアも台湾も、そういうワードを見た人がバンバカシェアしてくれるので。びっくりするほど広がるというのが最初ですね。

次に一段落して、新しいものじゃなくなってきて、ある程度定着してくると、今度はシェアすることで何かメリットが得られるっていうようなキャンペーンを立てると。それでまたバーっと広がっていくということですかね。

あとは記事として、僕らの対象は学生なので、学生にとって意味のある内容を投げてあげると、これまた喜ばれて「いいね!」してくれる、シェアしてくれるっていう感じで広がって。

質問者:国によってFacebookページを作られたりしたのか、それか一緒くたにしたっていうか、英語圏のページという形で作られたのかというのと、どちらなんですか?

新井:国によってFacebookのページは変えております。ページを運営するチームが違うっていうのと、その国に合わせてある程度、Facebookのページのデザインを変えているので。全世界共通で運営している会社さんもありますけど、僕らは分けてやっています。

質問者:ありがとうございます。

市來:では次の方、お願いいたします。

質問者:どうもお話ありがとうございました。先ほど日向さんのほうから日本のプロダクトとか海外よりもおもしろいけど、情報量が全然足りないっていう話を仰っていたかと思うんですが。

そういう時に、個々の日本の企業が情報を発信しあおうと思った時に、一企業としてはどこにどういった情報を載せていったほうが、量が増えるみたいな感じになるんでしょうか?

日向:そうですね。個々もそうなんですが、日本全体が波として、日本の眠っているすごい技術とかサービスとかいっぱいあると思ってまして。

海外の人がよく出張で来て、京都を回って……。そういったものがいっぱいあるので、何と言いますか、すごく難しいんですけど、個々もそうなんですけど、日本全体として盛り上がっていくっていうのが1つ言えるのかなと思います。

弊社もそうなんですね。オウンドメディアが結構おもしろいかなと思ってまして、日本の安川電機さんとか確か忍者の刀を切るプロモーションの……刀なんですけど、その再生回数が500万回以上いって。英語ではなくて見せるかたちで動画とかすぐ作れるので、そういった形でも日本のサービスを紹介していただくのもいかがかと。技術なりサービスなり、日本のものを売り込んだらおもしろいなと思っているので、インバウンドメディアで英語で書いたりとか、英語のメディアにアプローチしてとか、あとは動画っていうのも新しい選択肢かなと思ってますね。

質問者:どうもありがとうございます。

展示会ではアフターフォローも大切に

市來:じゃあもう1問ぐらいいきましょうか。もしいらっしゃいましたら。

質問者:ありがとうございます。BtoBの企業がアジアに行く時に、よくカンファレンスっていうんですかね、見本市に出すと思うんですけど、ああいうのは効果的ですか? 日本企業がブースを出して。

齋藤:業界にもよると思います。シンガポールに関しては世界で一番展示会が多い国と言われていて、数がとにかくいっぱいあるんですね。まずは目的に適した展示会を探して出展することからですね。

東京にも拠点を置いてから思ったのは、日本に東南アジアの展示会情報が全然届いていないということですね。目的とズレた展示会に出展しても来訪したバイヤーさんとのミスマッチが起きる。そこが1つ。

シンガポールで開催の展示会といっても、東南アジア他国を中心とした海外からのバイヤーさんも多くくるわけですから、東南アジア、もしかしたら全世界の方達がいらっしゃるっていう想定で、そこでしっかりコミュニケーションが取って販路拡大の可能性を広げられるかどうかですね。

せっかくブースを出していても、会社説明や商品説明が十分にできないとか、営業アプローチができないとか、もしくは終わった後にフォローアップできないという方が多いという話を聞きます。

外国のバイヤーさんからよく言われることは、日本企業はその後のコミュニケーションが続かないということです。他の国とかは積極的にプレゼンしているわけです。そこに控えめにおとなしくいると、もったいないので、その機会をどう使うかだと思います。

展示会は短時間で可能性のあるバイヤーさんに出会える確率は高いわけですから、その機会をどう活かすかだと思います。

また出展目的にもよりますね。代理店さんを探すのか、実際のバイヤーさんとの商談なのか、パートナーを各国で見つけるなど、目的に応じてプレゼンと営業体制を整えないといけません。

質問者:ありがとうございます。じゃあ展示会情報を調べるのは、日本語で探すというよりも英語で各国ごとに調べた方が早い?

齋藤:そうですね。特にIT系とかって本当にたくさんあるじゃないですか。その中でのカテゴリーというか、しっかりとセグメントされているものを見つけていくのがいいのかなと思います。

質問者:ありがとうございます。

市來:質疑応答も終えて、ご登壇者のみなさまからせっかくですので、告知などありましたら、頂けますか?

日向:弊社はアジア圏にいろいろ拠点があるので、僕の個人としての役割は、日本から海外の現地のスタートアップとか、投資家とか、現地の代表とかに繋げたりしてまして。それの1つにカンファレンス事業があります。それに見に来ていただきたいなぁと思いますし。

市來:カンファレンスに来てもらいつつ、出展も出来ると。

日向:そうですね。東京はこの前の9月ですけれども、シンガポールは来年の4月で、直近だと、ジャカルタで11月の11、12日にあります。インターネット業界が今のところ多いんですけど、最近ではハードウエアとかコア技術とか、VCさんとかに来ていただいているので。

市來:新井さんはいかがでしょうか?

新井:特に告知はございません。お役に立てることがあればお話しします。

市來:最後に齋藤さん、お願いいたします。

齋藤:私は日本においてはまだまだ新参者で、日本企業の海外マーケティングを日本からもサポートしていくために新たに日本法人を作りました。本社はシンガポールなので、シンガポールを拠点とした東南アジア全体での事業展開を行っておりますので、気軽にご相談いただければと思います。

また、最近では英語のコピーライティングをはじめました。これからインバウンド需要が注目されるということで、外国の方向けにキャッチコピーを作ったり、国内のキャッチコピーの既存のものを変えていくとか、キャッチコピーの重要性を伝えていきたいと思っています。

外国人スタッフのチームが居ますので、外国人の方たちがエキサイティングになるようなキャッチコピーを作ることが出来ます。どうやら実際に外国人の方々に聞くと日本国内にある英語のキャッチコピーでも、結構「アレ?」って思うものとか、翻訳がちょっと「ムムッ?」っていうやつも多いみたいなので(笑)。それを改善できたらいいなと思っています。また、今日本のオフィスで人を探していますので、一緒に事業開発や営業してくださる方を探しています。

市來:ありがとうございます、ではこの後は交流会のお時間に移るということで、いったんここで終了となります。改めましてTech in Asiaの日向さん、アルテクラスの新井さん、そしてVivid Creationsの齋藤さんでした。ありがとうございました。

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