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立石美津子氏インタビュー(全1記事)

「いいお母さん」じゃなくていい 子育てで悩む母親に幼児教育専門家がアドバイス

昨年12月に刊行した『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』は、発売以来増刷をかさねています。読者のブログやSNSなどで紹介されることも多い本書の著者、立石美津子さんに、本書が多くの子育て中のお母さんに受け入れられた理由や、子育てで起りがちな悩みへの対処法について、話を聞きました(この記事は日本実業出版社のサイトから転載しました)。

お母さんは頑張らなくていい

─『「テキトー母さん」のすすめ』、売行き好調ですね。本書はどのような方に手を取ってもらっていると、立石さんは考えていますか。

子育てをしっかりとしなければいけないと思っている、完璧主義なお母さんですね。まず前提として、書店で子育て本を探しているお母さんって、子育てをテキトーにすることができない人だと思うんです。本当にテキトーな人だったら、そもそも本を読んで情報を仕入れようとはしないはずですから。

─確かに。「悩みがなくなる」と銘打っている本だって、悩みがない人はまず手に取りませんからね。

いま本屋さんに置いてある子育て本は、「褒めて育てましょう」「怒らない子育て」「頭がいい子にする方法」といったものが大半です。また書籍以外でも、このようなことを謳ったセミナーや教材などが、数多くあります。もちろん、間違ってはいません。

しかし、現実、子育てはそんなに思う通りには行かず、声を荒げて怒ってしまうことも多くあります。勉強したにも関わらず、「いいお母さん」になれない自分を責めて自己嫌悪に陥り、かえって落ち込んでしまう人が結構いるんですよね。

でも、「褒めて育てる」「怒らないで育てる」ことは出来なくても「テキトーに育てる」ことは誰でもできます。『「テキトー母さん」のすすめ』には、「子育てに自分を犠牲にしない」「食事中に細かくしつけない」「無理に受験させない」といったことが書かれています。

他の子育て本を参考にして疲れてしまったお母さんたちが本書を読んで「あ、頑張らずにいまのままでいいんだ」と思ってもらってえれば嬉しいです。実際、読者の方からも「肩の荷が下りた」と、たくさんの感想を頂いていますよ。

SNSは割りきって見るのが大切

─いまの時代ならではの子育ての悩みについて、立石さんはどう思われますか?

フェイスブック(Facebook)やブログで、家庭の様子を積極的に公開する人が増えていますよね。たとえば、家族とのお出かけの様子や、キャラ弁の写真などを、皆さんこぞってアップしています。あるママが日曜日に家族で行った遊園地のことをアップしたら、月曜日にはそれを見たほかのママたちが話題にしている、というのはもはや日常的な光景です。

でも、休みの日に家族で遠出することができず、また料理が苦手で子どもにキャラ弁を作ってあげることができないお母さんもたくさんいます。そうした方々が「私って、子育てすら満足にできないダメな親なのかしら?」と悩んでしまうケースは多いようですね。

もともとフェイスブックは人間にある承認欲求を満たすもの。幸せ自慢な面があります。レトルト食品やスーパーのお惣菜だらけの夕食、家でだらけている写真は見せません。SNSは“いいとこ自慢である”と割り切って見ることも大切ですね。

嫌いなものは無理に食べさせない

─本書の中で、立石さんが特に気に入っている箇所はありますか?

90ページのコラムですね。「『自分が果たせなかった夢』を、子どもに託すのはやめよう」という内容ですが、それがいけない行為だと気が付いていない人が案外多いんです。

先日も、「息子が『習っているサッカーを辞めたい』と言っているが、親としてはどうにかして続けさせたい」と相談してきたお父さんがいました。自分が子どものときに運動が苦手だったぶん、息子さんには苦しくても続けてほしかったようです。

でも、習い事を続けるか辞めるかは、最終的には親ではなく、子どもが決めることです。子ども自身の人生なんですから、子どもが「辞める」「続ける」どちらの選択をしても、親は落胆しないで認めてやりましょう。一喜一憂してはいけません。

もう一つは、128ページの「嫌いなものは食べさせない」という項目です。子育てに熱心なお母さんの中には、子どもの好き嫌いをなくそうと、嫌がる食材を無理にでも食べさせようとする人がいます。

しかし、こうすると子どもの好き嫌いを、かえって助長させてしまいます。たとえば、食卓での楽しみよりも「野菜は足りているのか? 残さず食べているのか?」といったことが優先になっている家庭です。

子どもの心には「無理やり食べさせられた」という記憶は深く残るので、大人になってもそのことを覚えていたりもします。もし、本当に子どもの好き嫌いをなくしたいなら、親がどのような食べ物もおいしそうに食べてみせるのが一番です。

このように子どものために良かれと思ってしていることが、実は子どものためにならないことはたくさんあります。少しでも多くの方に本書を手に取っていただき、「親も子どもも幸せになる」方法を知ってもらいたいと思います。

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