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これからの時代を生きる子どもたちに学んでほしいこと(全4記事)

なにかに挑戦するとき、初志貫徹はマストではない 「合わなければやめる」マインドが導く、失敗からの“学び”

10年間の不登校を経験後、高校3年生の時に起業した、株式会社ゲムトレ 代表取締役社長の小幡和輝氏。自身の経験を元に「#不登校は不幸じゃない」というスローガンを掲げて、不登校の子どもたちの孤立や偏見をなくす活動を行っています。自身のYouTubeチャンネル「不登校YouTuber」で開催されたイベントに登壇したゲストは、教育系YouTuberの葉一氏。本記事では、YouTubeに動画を投稿している両者が「子どもとYouTubeのあり方」について語りました。

子どものYouTube視聴時間、親が制限すべき?

小幡和輝氏(以下、小幡):事前にいろいろとたくさん質問をいただいていて、YouTubeの話がすごく多かったのでYouTubeの話を。「視聴時間を制限したほうがいい」とか、子どもとYouTubeのあり方にすごく悩んでいる親御さんがけっこうたくさんいらっしゃって。

その辺ってどう思いますか? YouTubeをいっぱい見てる子どもは多いと思いますけど。やめたほうがいいですか? 好きなだけ見たらいいですか? 

葉一氏(以下、葉一):目的意識もなくダラダラ見るのって、たぶん生産性はあまりないので。自分も2人子どもがいますが、「見る・見ない」だったら、できればやめさせたいと思いますけど。でも、1回それをよしとしてるのにそこから出てた水をギュッといきなり締めたら、それは反抗するよね、という話なので。

結局これ、ゲームも同じような悩みが出てくるところで、同じ話になると思うんですよ。時間を決めるのか、それともやることをやっていれば、無制限でいいのか。それは家庭ごとのルールでいいと思うんですけど。

自分が我が子にやってるのは、順番としては「アメとムチ」じゃなくて「ムチとアメ」のイメージ。ムチで叩きはしないですけど、「やることをやったなら、別にご褒美はいいんじゃない」という発想なんですよね。

だから、「やることをやる」という部分が曖昧にならないように気をつけようと思っていて。本人はダラダラとYouTubeを見ちゃうかもしれないけど、それが自分の中でリフレッシュになってるなら、やっぱり子どもにとっては有益だし。大人にはそうは見えなくても、子どもにとってはその時間が有益かもしれない。

例えばうちだったら「1日漢字を3個ずつは覚えようね」みたいな。どっちかというと、「3個はちゃんと覚える」というタスクを達成したのなら、もう好きにさせてあげてもいいんじゃないかな、と思っている人ですかね。

「自分でYouTubeを撮ってみる」ことで生まれる学び

小幡:僕はやっぱり、「本気でやる」ということだと思っていて。本気で見るんだったら、本気で見たほうがいいんじゃないかと僕は思っていて。まさに、自分でYouTube撮ってみるとか。例えば、HIKAKINさんとかの動画を完コピできるように本気で見る、みたいな。そういうのだったら、すごくいいんじゃないかと思うんですよね。

葉一:そうですね。それは目的があるからいいですよね。

小幡:だから、YouTubeはやっぱり「自分で撮ってみる」のがすごく大事だと思っていて。作るほうに回るのは、すごくいいのかなと思っています。なので、そのための研究として見るという状態だったら、本当にいくらでも見ていいと思います。ポジティブだなと思って。

ただ、ダラダラと見るんだったら、あんまり意味ないかなぁって。別に、息抜きとかはもちろんいいと思うんですけど。ずっと見続けているのは、僕はあまりポジティブには思っていないですね。結局さっきのゲームの話にもつながるんですけど、やっぱりやるんだったら本気で大会に出るなり、なにかしら目標を掲げてやったほうが絶対学びにつながる。

葉一:そうですね。

小幡:だから僕も「アメとムチ」もすごく思うし。普通にやることをやったら、息抜きで見るのはもちろんいいことだと思うけれども。もし、そういうのをまったくやらずに、本当に一日YouTubeしか見ないんだったら、なにかしら目標をちゃんとセッティングしたほうがいいかなと思いますよね。

葉一:そうですね。子どもたちに、HIKAKINさんの動画を完コピして撮るのやってほしいですね。あれ、めちゃくちゃむずいですからね。

小幡:いや、めちゃめちゃ難しいと思う。

葉一:HIKAKINさんの動画って、すごいんですよね。言い方は悪いですけど、簡単にできそうなんですが、やってみたらめちゃくちゃ難しいという。

小幡:そういうのはすごく大事だと思いますよね。読書感想文じゃないですけど、例えばHIKAKINさんの動画を見て、(動画の)傾向とかを見てもおもしろいですね。

「1年間でマイクラの動画が何本だった」「動画の時間は10分が多かった」とか。そういうのって、すごく価値のある学びだなと思っていて。目的意識を持ってYouTubeを見るのは、なんかすごくいいなぁと思っています。

葉一:そうですね。そこまでできたらいいですね。

子どもが「YouTuberになりたい」と言ったら、親はどうする?

小幡:そういうのこそが学びだなと思っていて。あとやっぱり、質問で言うと「YouTuberになりたい」というのがめっちゃ多かったんですよ。「子どもがYouTuberになりたい(と言っています)。どうしたらいいですか?」と、応援するべきか反対するべきか。「応援するんだったら、どういう応援をしたらいいのか」という辺りの質問がすごく多くて。

この辺はたぶん、ふだんからたくさん来る(質問の)ような気もしますけれども、どう思われていますか? 

葉一:自分は応援しちゃいますね。現にうちの小1の息子は、将来の夢が「YouTubeで勉強を教える人」って言ってますからね。

小幡:めちゃめちゃ影響を受けてるじゃないですか! 

(一同笑)

葉一:そりゃ応援しますよね。もしルールとして分野を選べるんだったら、できれば顔出しをしなくても済むコンテンツから試させたい。

やっぱり、顔出しする部分のリスクはちょっと大きいので。ただ「最初からHIKAKINさんみたいにやりたい」というわけだったら、別にそれでいいと。ただ、投稿前には絶対チェックしますよね。

さっきの「本気」の話じゃないですけど、「ノリで作った」とかじゃなくて、「ちゃんとやるならちゃんと作ってこい」って話なんですよ。ちゃんと作って、おもしろいかわかりやすいかはわからないですけど、ある一種のラインを越えてないんだったら「どうせ投稿してもウケないから」となるので。そういった見方はするかな。あとは一緒に作っていくかもしれないですね。

小幡:確かに。それはいいですね。

葉一:「ここの効果音はこれでいいの?」とか言いながらだと思いますね。

小幡:僕も、とりあえずやってみたら絶対にいいと思っていて。動画をやっていく中で、絶対にいろんな学びがあるじゃないですか。

そもそも、仮に「10分の動画を撮るだけの話ができる」って、たぶんすごい能力だと思うんですけど。しかもそんな子どもが、10分間かなんか耐えられるだけですごいじゃないですか。

葉一:そう、そう。間違いないですね。

小幡:それはやっぱりすごい能力だと思うし、「どういう企画を考えたらいいかな」というのもそうだし。もし動画編集もやるんだったら、パソコンのスキルがすごく上がるかもしれない。やっぱり「本気でYouTuberになる」と思って、ちゃんと努力すれば、絶対に学びとしてすごい価値がある。ワンチャン、めっちゃウケるかもしれないじゃないですか。

葉一:そう、そう。可能性としてはあり得ますからね。

お金のためではなく、自分の学びのための動画作成

小幡:YouTubeはすごく可能性があるから。ワンチャンもしかしたら、それでめっちゃお金稼げるかもしれないです。

そういうめちゃめちゃ大きなリターンもありながら、このため(お金のため)にやるのは違うと僕は思っていて。やっぱり、お金を稼げるYouTuberになるのって、本当に一握りだから。結局、ほとんどの子どもが途中で挫折すると思うんです。

でもそれが無駄ではなくて、「そこには絶対に学びがあったんだよね」というのをみんなで思えたから、やったほうがいいんじゃないかなとすごく思うんですよね。

葉一:さっきのHIKAKINさんの(動画の)分析じゃないですけど、本気で作ろうと思ったら、たぶん分析に走るんですよ。

「HIKAKINさんはなんでウケてるんだろう」って。効果音の付け方や角度の見せ方とか、いっぱいあるので。そういうのを研究して、多面的に見る力は確実に伸びますし、学びになるよなぁとは思いますね。

小幡:なるほど。ここがやっぱりすごく大事で、やるんだったらなんでも本気でやらないといけないし、作る側に回ったほうが学びは絶対にあると思うので。

YouTubeがすごく好きだったら、実際になれなくてもいいからぜひYouTuberになる(夢を持つ)のは(いい)。そこは部活みたいな感じでもいいと思うんですよね。別に、野球部の子はみんなプロ野球選手にならないじゃないですか。

葉一:そうですね。

小幡:でも、野球のなにかしらの経験が学びにつながってる人が、絶対に多いと思うんです。YouTubeもそんな感じで捉えたらいいのかなと僕は思っているので。

「本気で取り組む=最後までやり抜く」とは限らない

葉一:ここまで話を聞いていて、小幡さんに1個質問してもいいですか。

小幡:もちろん。

葉一:たぶんすごく「本気」というのがキーワードにあるじゃないですか。本気を大事にされる方の中で、いろんなパターンの方がいるんですけれど、「本気で始めたら初志貫徹、最後までやれよ」という方がいるじゃないですか。

でも、本気で始めてみたんだけど、それがけっこう合わないことにすぐに気付いたり。自分はどっちかというと、「どんどんやめちゃうのもぜんぜんいいよ」と思ってる人間なんですが、小幡さんはどっちですか?

小幡:僕も別に、途中でやめていいと思いますね。ただある程度やらないと、(自分に)合っているかもわからないと思うので。

正直こう言いながらも、僕もけっこう途中でやめることが多いんですよ。「やってみたけど違うな」ってことが多いから。でも、その時は本気なんです。本気でやろうと思ってけっこうやってみたんだけど、「なんかやっぱり違うな」って。

葉一:わかります(笑)。

小幡:途中で自分がしんどくなってきちゃったり、「なんか合わないな」というのがあったりするからやめちゃうかな。

習い事をやめさせたら、“やめ癖”はついてしまうのか?

葉一:子どもたちもいざ習い事とかを始める時って、本気で楽しそうだから「やりたい!」って燃えてるじゃないですか。でも、いざやってみてちょっと経つと、やっぱり子どもたちの感性で「違ったな」と思ってくる時があるじゃないですか。

親御さんから、「子どもが(習い事を)やめたいと言ってるけれど、これをやめさせると“やめ癖”がつくんじゃないか」という悩み相談をけっこういただくんですよ。

でも自分は、子どもたちがそこまで本気で走ってきたなら、ぜんぜんやめてもいいと思っていて。いろいろやめていくことで、別にやめ癖はつかないよなと。最近それが、自分の中のトピックになっていて。

小幡:すごい。でも僕も思います。確かに、ある程度続けるのも大事だと思うんですよ。そこのバランスがすごく難しいんですよね。

葉一:そう。難しいですけどね。

小幡:でも、嫌なことをがんばってやり続けたところで、その時間がもったいないと思ってしまうし。例えば、その時は嫌でやめても、1年後になったら意外とできちゃったりとか。今はタイミングじゃなかったりもするじゃないですか。

葉一:ありますね。

小幡:「今はちょっと置いとこうか」みたいなことが、僕はめっちゃ多いですね。やってみてちょっと違うなら、いったんやめとこうという。

葉一:(笑)。

「挑戦して、合わなかったらやめる」でもいい

小幡:僕にとって、YouTubeはまさにそんな感じなんです。「YouTubeをやらなきゃいけないな」と、1年ぐらいわりと本気でやろうと思って、毎日更新してたんですね。チャンネル登録者が1,000人いくまでは毎日やるって決めて、4ヶ月かかったんですけど、4ヶ月毎日更新したんです。

葉一:すげぇ。

小幡:超大変だったんですけど、「やると決めたからやる」となって、(登録者数が)1,000人いきましたと。テーマもしんどいし、もう疲れちゃったんですよね。しかも僕は対談のほうが好きなんですよ。1人でしゃべるのがあんまり好きじゃないということがわかって。「これはやっぱり向いてない」と、そこでやめて。

やっぱりちょっと「YouTubeやりたいな、やらなきゃな」という思いはどっかで思っていて、最近改めてやろうと思っています。でもあの時にそういう失敗をしたから、今度はこういう対談とか、ちょっと思考を変えてコンテンツを作ろうと思って、今再挑戦しているんですよね。

葉一:なるほど。4ヶ月走りまくって本気でやったからこそ、自分のこういうスタイルが合ってるんだってそこで気付くわけですもんね。

小幡:そう。だから、Clubhouseとか超楽しいですもん。

葉一:(笑)。

小幡:たぶんああいう数人の対談が一番好きなんだろうなという、ここ1年ぐらいの一番の学びでした。

葉一:自分に合う・合わないがありますからね。

小幡:YouTubeで、テーマを決めての10~15分の1人しゃべりは、僕はあまり向いてない感じがしています。

みんな、好きなことを見つけにくいとか、やってからやめちゃったりとかあるかもしれないけど、大人でもそうなんで(笑)。とりあえずやってみて、合わなかったらすぐやめて。もしかしたら、途中で復活するかもしれないんで。

葉一:そうですね。

小幡:そういうのはすごく思います。

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