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これからの時代を生きる子どもたちに学んでほしいこと(全4記事)

「学校に通わなくてもいい=サボってもいい」ではない “ポジティブな不登校”となるための、熱中できる居場所探し

10年間の不登校を経験後、高校3年生の時に起業した、株式会社ゲムトレ 代表取締役社長の小幡和輝氏。自身の経験を元に「#不登校は不幸じゃない」というスローガンを掲げて、不登校の子どもたちの孤立や偏見をなくす活動を行っています。自身のYouTubeチャンネル「不登校YouTuber」で開催されたイベントに登壇したゲストは、教育系YouTuberの葉一氏。本記事では、不登校で苦しむ子どもたちに対する両者の思いが明かされました。

不登校を“最後の手段”として語ることへの違和感

葉一氏(以下、葉一):「学校に行かなきゃだめ」ということはないですし。だって、例えばクラスでいじめを受けている場合、それで死にたくなる子もいるわけじゃないですか。死にたくなるような苦しみがあるのに、“学校に行かなきゃいけない価値”なんて絶対にないし。だったら、ぜんぜん違う手段でもいいと思いますよね。

小幡和輝氏(以下、小幡):夏休みぐらいになると、けっこういろんなメディアさんがそういう報道をする。例えば「自殺が増えてしまう」という話もあって、たまにコメンテーターさんが「死ぬくらいなら逃げてもいいですよね」という話をする。

葉一:ありますね。

小幡:確かに間違ってないですよ。間違ってないんだけど、「いや、『死ぬくらい』とかの次元じゃないから」と思います。不登校を“最後の手段”みたいな感じで話される方がたまにいるなと思って。僕はちょっとそこに違和感があるんですよ。

葉一:わかります。

小幡:「『死ぬくらい』とかと比べるレベルじゃないから」ということは、毎年ニュースを見ていてけっこう思うことです。「死ぬくらいなら、(学校に)行かなくても逃げてもいい」という自殺の話と不登校を絡めるのは、なんかちょっと違うのかなと。

「ポジティブな不登校」を増やしたい

小幡:僕は、ポジティブな不登校を増やしたくて。例えば親に「(学校に)行きたくない」と言った時に、最初は親御さんはなかなか受け入れられない。どうしても無理やり行かせてしまうし、先生も「来い」となる。

最初はがんばるんだけど、(心が)折れちゃって無理になった時に、親御さんが「もういいよ」って半分諦めるんですね。でも、ここまで子どもを追い込んでしまっている状態だと、コミュニティにトラウマを持っていたり、そもそも自分で勉強するモチベーションがないとか、本人の自己肯定感が下がっている状態の不登校がすごく増えていて。

ここにすごく課題を感じているんですよ。こういうことになっちゃうと、やっぱり時間もエネルギーもかかっていくから、もっと前段階で「別に学校が(選択肢として)ないんだったら、他のところでがんばろうぜ」というポジティブな不登校を増やしていくと。

今はもう、なんとでも補える社会になっていると思っているんですよね。10年以上前、YouTubeなりオンラインがなかったら、厳しいかもしれないですけど。確かに今ならもう、本人のモチベーションが折れてなければ、なんとでもなるなと本当に思っているんです。

不登校児が自己肯定感を下げないために

葉一:たぶん動画かどこかでしゃべったんですけど、「学校に行かない選択肢を選ぼうかと思ってるんですが、どう思いますか?」という相談を子どもたちから受けるんですよ。それに関しては「え、いいんじゃない」と普通に言うわけですよ。「学校に行く」というのは、いろんな子がかなりのエネルギーをかけるじゃないですか。

ただ、1つだけアドバイスをするんですけど、使わなくなったそのエネルギーをどこに注ぐか。「自分が持っているエネルギーをどこに使っていくかを絶対に探してごらん」と言うんですよ。

小幡:あー、めっちゃわかる。

葉一:わかります!? だってこれ、絶対に自己肯定感につながると思っていて。結局どうしても、学校に行かなくなるとみんなができていることができなくて、自己肯定感が下がって塞ぎ込むじゃないですか。

さっきの「ポジティブな不登校」の子じゃないですけど、やっぱり生き生きしてる子って、自分の居場所を見つけてなにかしらに(エネルギーを)注いでるんですよね。だからそうなってほしいなと思って。これだけインターネットが普及しているから、調べようと思ったらいくらでも調べられる。だからひとまず、足を止めずに調べるところからいこうと。

チャレンジして「合わねえな」と(思ったら)いっぱい捨てていって構わないから、いろんなことにチャレンジする。いつか自分が「これかな」と思うものが見つかるはずだから、それは足を止めずに(探して)いこうね、という話はよくするんですけど。

小幡:いや、もうめちゃめちゃわかりますね。

葉一:本当ですか。

「学校に行かなくてもいい=サボってもいい」ではない

小幡:僕もまさに、まったく同じことを言っていて。「学校に行かない」ということは別に「サボってもいいぞ」という話じゃないぞと。「みんなは学校でがんばっているから、他のところでがんばろうぜ。そこは間違っちゃだめだよ」という話は、もうずっと言っていて。ただ、がんばるモチベーションがないところまで(心を)折られちゃっている子が多いんですよ。

葉一:そうですね。

小幡:そこ(メンタル)から回復しなきゃいけないから、やっぱりその分どうしても周りから遅れていっちゃう。

葉一:そうですね。

小幡:それはやっぱりよくないと思うんですよね。だからもっと早い段階で他の選択肢があることを知って、「自分(の居場所)はここにはまだないけど、他のところでがんばろう」と思える子が増えるといいな、とすごく思っていて。まさにまったく同じですね(笑)。本当にすごい。

葉一:ありがとうございます。

小幡:僕は学校に行かなくなった後にゲームにめちゃくちゃはまって、(エネルギーを注ぐ先が)ゲームだったんです。大会に出るためにめちゃめちゃ練習してたし、「僕はマジでゲームをやっていたな」と思って。

中学2年生(の頃)とかかな。当時は賞金はなくて賞品だったんですけど、もらった賞品をオークションで1〜2万円で売って換金したり。わりとちゃんとお金を稼ぎながらゲームをやっていて。大会に出るためにめちゃくちゃ毎日練習しまくって、これはすごくよかったなと思うんですよね。

でも、ただ暇つぶしで家でだらだらとゲームをしてるのを、僕はそんなに良しとしないんです。「やるんだったら本気でやれ」と。大会なりプロゲーマーなり、競技の世界をちゃんと見た上で「本気でやったほうが絶対いい」と言うんですけど。何に(エネルギーを)使うかが大事ですよね。

葉一:そうなんですよ。

小幡:学校に行かなかった時間を、何に使うか。

「学校に行きたくない子ども」と「行かせたい親」の闘い

葉一:本当に大事ですね。でも、さっき言った「心が折れちゃってる・折られちゃってる子どもたち」が多いので、それを自己回復するのはやっぱり相当しんどいんですよ。周りの大人のフォローが必要になってくるので。

そこで子どもたちの話を聞くと、親御さんの存在が味方になってくれて。そもそもそこまで(心が)折れないことも多いですけど、子どもたちの中で味方だと思えてる親御さんだと、回復が早いというか。やっぱり親御さんの存在って大きいよな、というところにいつも帰着しちゃうんですよね。

小幡:僕はだいぶ戦ったんですよ。

葉一:親御さんとですか? 

小幡:親と。僕はもう幼稚園から若干合わなくて、けっこう行き渋りが始まってたんですけど。小学2年生の中盤ぐらいから、もう完全に「行きたくない」と明確になって。うちのお父さんが学校の先生をやっていたんです。

葉一:あぁ、そうなんですね。

小幡:「休むなんてふざけるな」みたいな、本当にそんな感じで。3ヶ月ぐらい、毎朝ずっと喧嘩をし続けて。親に無理やり引きずられながら連れて行かれて。家出したり逃げまくった3ヶ月ぐらいだったんですけど。逆に今振り返ったら、3ヶ月もがんばったなと思っておりまして。

葉一:いや、すごいですね。

小幡:抵抗し続けたというか。

(一同笑)

小幡:本当に嫌だったんですよ。最後は親が折れたというか、「もう勝手にしろ」という感じになったので、「なんとか勝った」というのもあれだけど。逆に僕は親が先に折れたからよかったけど、僕のほうが(先に)折れてたら、どうなったか正直わからないです。

葉一:そうですね。そこまでゲームに打ち込める状態になれてないかもしれないですよね。

「世界中、どこにも居場所がなかった」3ヶ月間

小幡:なれてないかもしれないし、「夏休み明けに自殺が増える」という話が、本当にわかるんです。だから本当に、あの3ヶ月が一番つらかった。世界中、どこにも居場所がないんですよ。

葉一:わかりますね。

小幡:家もそうだし、学校もそうだし、もう本当にどこにもない。しかも僕(の地元は)人口1万人ぐらいのめちゃくちゃ田舎なので。僕が不登校で行き渋ってるのを、みんな知ってるんですよね。

だから、どこに行っても絶対誰かに会っちゃうし。周りからすごく変な目で見られているのを感じていたから、あの3ヶ月ぐらいは本当に辛くて。あれが自殺につながるのは、すごい気持ちとして理解できるんですよ。やっぱり、もっとポジティブな不登校を増やしていきたいというのは、すごく強い思いなんですよね。

葉一:そうですね。「それでいいんだよ」という事例、を子どもたちにいっぱい見せてあげたいですよね。俺たち大人が話すのも大事ですけど、ちょっと上のお兄さん・お姉さんが同じようなルートをたどって、「これだけ生き生きしてるよ」という姿を子どもたちに見せられたら、「私もそうなれるかも」という想像がつきやすいじゃないですか。そこはつなげていきたいなって思いますよね。

小幡:いやぁ、めっちゃいい話だなぁ……。

(一同笑)

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