2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
司会者:本日はお忙しいところ、ありがとうございます。英語教育界で大注目の白川寧々さんと、ベストセラー『ニューエリート』(大和書房)の著者、ピョートル・フェリクス・グジバチさん、教育や働き方の場所で革命を起こすお二人に、「英語×働き方×教育」と未来について自由に語っていただきます。よろしくお願いします。
(会場拍手)
白川寧々氏(以下、白川):こんばんは!
会場:こんばんは!
白川:初めまして……じゃない人もいるけど、今日は来てくれて、ありがとうございます!
(会場拍手)
ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(以下、ピョートル):こんばんは、ピョートルです。よろしくお願いします。(照明が)すごく眩しいです。必死に、どうすればいいのか……とがんばっているんですけれども、なんとか、あと1時間であればがんばります。よろしくお願いします。聞こえますか? ありがとうございます。
白川:Lower the spotlight.(スポットライトを下げて)
ピョートル:そうそう。スポットライトという言葉をご存知ですか? (指差しながら)……あれです。すみません、勝手ながら。
白川:私も眩しいけれど、写真写りがよくなるんだったら我慢しようかな。
(会場笑)
ピョートル:これで楽ですね。ありがとうございます。
白川:でも、眩しいよね。こっちを見ていると眩しくないから、ピョートルさんを見ていようかな(笑)。
ピョートル:ぜひ(笑)。
白川:今日はせっかくのジャズなセッションです。私はいつも超堅いクラウドで講演してばっかりなんですよ。ふだんどんな人に喋っていると思う? 教育委員会の人とか、学校の先生とかですぜ。後ろにこんなゆるくジャズとか流れていないですよ。私のノリはこのまんまですけどね!
ピョートル:クラシックの世界ですか?
白川:そうです。タランタラーン、みたいな。(ふだんの公演では)みんなご飯とか食べていないし……。どうぞ食べてください! おいしいらしいです。ふだんは、みんな堅い顔をして聞いているんですよ。だからちょっと、柔らかくいきましょう。ということで、これはちょっとふざけてもいいということですよね!?
ピョートル:たぶん、ふざけたほうがいいと思う。まだたぶんお互いに慣れていないので、少しずつ「ふざけ」を深くしましょう。
白川:そもそも、英語で喋っていい? ダメな人? さっきから「英語でいいよ」っていう人がめちゃくちゃいるんだけど、「ちょっと嫌だ」っていう人、素直に手を挙げてください。
(会場挙手)
賛成多数で? 反対多数で? しょうがなく(日本語で喋ります)。今日はピョートルさんと喋れて、すごくうれしいんですよ。なんでかというと、英語の本を書きましたが、私は「英語の世界の人」じゃないです。ピョートルさんのことも、英語の本も書いているけれど、思いっきり誰も、「英語の世界の人」って間違わないじゃないですか。
英語は「前提」です。「『英語の話』とかをしているうちは、英語ができるようになりません」っていう新常識を私の本で発信していこうと思っていて、一緒にそんな話をできたらいいなって思っています。
ピョートル:わかりました。よろしくお願いします。
白川:しかも二人とも外国人。二人とも共産圏出身。よろしくお願いします! (本日のテーマが載ったスライドを指しながら)このダサいスライドは、ご容赦ください。一瞬だけダサいスライドを流します。そもそもどうして私はこの本を書いて……あ! 本を買ってくれた人ー?
(会場挙手)
いっぱいいる! ありがとうございます! 超うれしいです! 出版社の方も、めちゃくちゃ喜んでくれています。これから読む人も、読んだ人もいますが、「なんでこれを書いたのか」というのと、「日本の教育界で何をしたいのか」ということを、ちょっと流します。流し気味に10分くらいで喋ります。カウントしておいて! 長すぎるとピョートルさんに申し訳ない。突っ込んでいいですよ!
ピョートル:わかりました。
白川:オッケー。ここに書いてある文章に似た文句を見たことがある人? 朗読しますね。「私の国の教育は時代遅れだ。生徒がロボットのように聴いている中で、先生は前に立って言われた内容を右から左に流すだけ。学びの本質も何もあったもんじゃねーわ。点数とかばっかり見やがって。このAIとかこんな世界に、これからの子どもたちは対応できるんだろうか? というか、そもそもこれからの我々は対応できるんだろうか?」。
これ系のこと、こういう愚痴を、なんとなく聞いたことある人? ……言ったことある人? どこの国だと思う? 日本だと思う? ほかはどうだろう? 中国とかもこういう文句が出ていると思う? アメリカはどう? (それぞれ会場の一部挙手)ピョートルさんはたくさんの国を知っているけど、どう?
ピョートル:アメリカもありますよ。
白川:そう。ほかは?
ピョートル:ポーランドとか(笑)。ヨーロッパですと、やっぱりフランスとかイタリア、あとは英語圏ですよね。英語の話ではないんですけれども、実際にEUの中で一番外国語が喋れない人たちは、イギリス人、アイルランド人、その次にイタリア人とフランス人です。
白川:意外でしょ? 今ピョートルさんが言ってくれた通り、これは世界中の問題なんですよ。ハーバード大学の授業に潜り込んだことがいっぱいあるんだけど、ハーバード大学の教育大学院、Harvard Graduate School of Educationっていうのがあって、日本人も何人かいます。いろんな国の教育エリートが来ていて、ほぼ全員が「うちの国の教育は、マジ最悪」って言っているんです。
飲み会になると、大抵「いや、うちの方が最悪!」「うちの方がもっと最悪だ!」って喧嘩になる。そういうことってない? 教育界の愚痴ではよくあるんですよ。今、日本のいろんな界隈でも、アクティブラーニングとか、主体的で対話的でどうのこうのみたいなやつとか、教育改革のことを言っているじゃないですか。
あれって「日本の教育はこうだから、今、日本の競争率は下がっていますよね」みたいなことを言っているじゃないですか。その因果関係は嘘です。そんなことはないです。教師が一方的に教えて生徒はロボットみたいに聞いてて、結果的に主体性が微妙になる現象は世界的な問題です。今、世界中で「いろんな教育を新しくしなきゃ」「教育改革しなきゃ」と言っています。だから私は、マジで「教育乱世」と呼んでいます。みんな教育改革をしています。やっぱりEUでもしますか?
ピョートル:していますよ。ちょうど先月、日本の起業家と投資家を連れてヨーロッパのフィンランド、エストニア、ラトビア、ポーランド、マルタに行ってきたんですが、みなさん、目がまん丸でした。簡単にいうと、エストニアでは「Latitude59」という起業家のイベントがあるんですけれども、高校生が自分たちのビジネスアイディアをピッチしていたんです。
しかも英語でピッチしていて、すでにMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる、使えるプロトタイプができていました。高校生ですよ? 起業家のマインドセットもわかって、プロダクトも作れて、それを英語でピッチしているんですよね。歴史をご存知の方もいらっしゃると思うんですけれども、エストニアという国は1990代年にやっと独立した国です。戦争の前に20年間近く、国として機能はしていたんですけれどもね。
今はやっとソ連から独立して、国として存在しているんですけれども、やっぱり教育に投資するしかないんですね。ただ、エストニア人に聞くと、「足らない。まずい。もっとアグレッシブに、シリコンバレーの子たちと戦えるようにしなきゃならない!」と話が出るんです。どこからどこまで来たというのも関係なくて、「今(の状態)はまずい」というのは、おそらくどの国にもあると思うんですよね。
白川:一番「まだうちの国の教育はまずくない」って言っているのは、日本だったりして(笑)。アントレプレナーシップが流行っているんですか?
ピョートル:流行っていますよ。ただ、ヨーロッパ人は「話す」というより「やる」という民族が多いんですよね。何らかの対策を組んで、「とりあえずやってみよう!」というスモールスケールでプロトタイプを出しているところが多いんですね。
本当におもしろくて期待できるところが今、ヨーロッパの中で山ほど、キノコのように出てきているんです。もちろん、日本にもおもしろいところはあるんですよ? 孫泰蔵さんのVIVITAとか、(白川氏を指しながら)もしかしたら、御社とか!
白川:弊社だなって(笑)。みんなに英語でアントレプレナーシップやらせて、ピッチさせるとか、めちゃくちゃ弊社です。ヨーロッパでも同じようなことをやっていると聞いて、ちょっとうれしいです。アントレプレナーシップだけじゃなくて、プログラミングとか、アクティブラーニングとかいろいろやっていますよね?
新しい時代の教育の形は変わるべきだ! 次のスタンダードはコレだ! と世界各地で百花繚乱。その状態が「乱世」なんです。
今までのスタンダードを揺るがしてもいいんじゃないかと。世界中の人がその問題意識を持っている。ただ、日本特有の問題ってあるよね。
これ、知っていますか? ごめーん! 丸の内でこんな暗いグラフを見せて、ごめーん!! これ、知っていますか? 最近テレビで出るようになったやつです。1997年から比べて、日本だけ実質賃金がだだ下がりなやつです。これは見たことあるでしょ?
ピョートル:もちろん。
白川:うちの親なんかは1980年代後半に日本に来た移民なんだけど、やっぱり「その時の日本は、よかったよ」って、「昔の日本がどれだけ希望に満ちていて、人も優しくて寛容で豊かな雰囲気だったか」って話をしてくれたりするの。バブルだったからね。そんなこといったって、「我々の世代はそれどころじゃないっつーの!」みたいな。
私はこの本を書いて、みんなに英語ができるようになってほしいというか、日本人のみなさんには、みんな英語ができるようになって、自由になってほしかったんですよ。とくに高校生とかは、いつも目にしているから。だけど今の日本、自由だと思いますか? 思う人? (会場の10パーセントほどが挙手し)思える人って、たぶんお金がいっぱいある人じゃないですか?
(スライドを指しながら)残念ながら、お金はいっぱいなくなっているじゃないですか。だから、どんどん不自由になっていますよね? そういうことです。
経済的に、お金がなくなってもいいんだったら何をしてもいい自由って、けっこうあったりしますよね。一応、日本育ちだったから(わかるのですが、日本では)私が子どもだった時、「好きなことをやる」ということ、テレビの中でもそうでしたが「好きなことをやって生きる」というのは、基本的に「ダンボールボックスへ直行」という意味なんですよ。
「会社を辞めてラーメン屋をやります」的なのは死亡フラグ、ホームレスフラグじゃないですか。
(会場笑)
白川:そういうナラティブ(語ること)しかなかったんですよ。だから、好きなことはいろいろ諦めないといけない。だけど、諦めてなくてもこんな感じになっちゃいますよね?
(スライドを切り替えながら)あと、これ。出していいのかな? まあいいや。これ、なんかしんどくないですか? とくに、お子さんをお持ちの人たち。先生の言うことを聞いて、「いい学校」に行って、「いい会社」に行って、それでこれ。このナラティブ、やばくないですか?
(スライドを切り替えながら)あと、これ。これはまさに、丸の内の真ん中でこんな話をしているのはあれなんですけど、これもしんどいですよね。
(スライドを切り替えながら)一番しんどいのが、日本の高校生が自分をダメな人間だと思っている割合。72.5パーセント。諸外国で一緒の調査したところでは、5割を超えているところはあまりなかったらしいです。しんどいですよね?
自分をダメだって思うその呪縛自体がもう、自由じゃないってことなんですよ。好きなことをやろうとして、それができないって思うってこと自体が(自由じゃない)。私はそう思っています。「そんなこと言われても」って気がしません?
経済的不自由と、選択の不自由と、心の不自由。不自由って複雑なんです。
「自由に生きたかったら、グローバルに出ようよ」って私は思っています。でも、「そんなこと言われても」って思う人? 「じゃあグローバルに行こうか」って思う人?
(会場挙手)
ありがとうございます。いいですね。やっぱり丸の内は勘がいいです。ピョートルさん、どう思います? 日本人が自由に生きる道って、けっこうグローバル化にある気がしません?
ピョートル:あると思いますよ。日本でもあると思う。どこで何をするかというのは、結局それぞれの期待感や夢にもよりますけれど、日本からグローバルへというのは、あるんですよね。これからは行かないとだめだし、増えると思うんです。今の話を聞くと、現実主義でも楽観主義でも、楽観主義を世界にもたらさないと、変わらないと思うんです。これから(白川氏の)おかげさまで増えるんじゃないかな。
白川:おかげさま?
ピョートル:そう、おかげさま。がんばっていただければ。私もがんばりますよ。
白川:でも具体的にどうすればいいの? この中で、「自分はグローバル人材です」っていう人、手を挙げてください。
(会場挙手)
お? おお? ……だいたい、3パーセント。ピョートルさんは?
ピョートル:(挙手しながら)はーい。
白川:ここに来ているだけで変わり者なので、このルーム内で3パーセントって、相当な変わり者ですよ。だけど、グローバル人材っていうのに対するイメージがあるじゃないですか。そんなイメージ、持っていない? まず、グローバルの逆として、ローカルな生き方というのがあるよね。日本に生まれて普通に生きるっていうものです。自分も含まれます。
(スライドを指しながら)たまたま飛び出したこいつ、この変人が「グローバル人材」。だいたい変(な人とされる)。
グローバル社会っていうのは未知の世界で、「自分の生きている所とはちょっと別の所にあって、英語が話せなきゃいけなくて、自分と関係ないかも?」って(イメージです)。
(スライドを指しながら)これはマジで思うんだけど、地球は丸いですよね? 2つの金魚鉢でできていないですよね? グローバル経済圏全体に我々が住んでいて、世界が開かれていますよね? 「鉄のカーテン」はなくなりましたよね?
ピョートル:だいぶ前ですね。
白川:ね! 「鉄のカーテン」があった時は、もうちょい閉じ込められて(外国と)関係なかったかもしれないけど、今の日本ってぜんぜん鎖国していないし、何のカーテンもないですよね。たまたまこういう(飛び出した)人もいるけど、本当は(みんな)繋がっているんですよ? ユニクロに行ったことがある人?
(会場挙手)
スタバに行ったことがある人?
(会場挙手)
はい。全員ですね。おめでとうございます。ここにいる人たちは、「消費のレベル」で少なくとも確実に、全員「グローバル人材」です。グローバル経済圏の住人だったら、「グローバル人材」でよくないですか?
ピョートル:いいんじゃないですか?
白川:だって、ぜんぜん隔離されていないですよ。グローバル経済に、もう参画させられているんですよ。「関係ない」って言えないんですよ。なのに今の教育だと、「日本で生まれて日本で死ぬ人は、グローバルとは関係ない」って思わされている。私はこれがもったいないとすごく思っています。だから、大事なのはこの現実を知った上で……。
すみません、みなさん。「グローバルは自分に関係ない」とか、「グローバルって言葉にそもそも嫌悪感を持っている」っていう人、日本にはけっこういっぱいいると思うんです。だけど、大変申し訳ないんですけれど、グローバル経済の中の立派な一員でございます。
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略