2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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高濱正伸氏(以下、高濱):昨日NHKかなにかで、ちょろっと見たんですが、赤ちゃんにビデオで中国語を見せてもまったくわからないのに、人がしゃべってくれると自然とすごくわかるという。
岡島悦子氏(以下、岡島):だから、私は今すごくシャドーイングをしていますよ。脳科学者に(生後)8ヶ月ぐらいまではすごくシナプスがつながると言われたので。
ただ、確かにYouTubeやNetflixを見せるだけではダメなので、Netflixで見ているドラマのシャドーイングです。彼らがしゃべっているのをそのまま娘にしゃべりかけるというのをひたすらやって、今はいろんな言語を浴びせかけています。
高濱:僕が一番言いたかったのは……。
(会場笑)
岡島:ごめんなさい(笑)。
高濱:人間というのは、横にいる人間の影響をものすごく受け続けながら暮らしている。だから家族というユニットはすごくでかいし、会社も同じで、ずっと机を並べている人から無意識にすごく影響を受けています。
岡島:一方で、私には今かわいがっている経営者がたくさんいるんですけれども、その筆頭にSHOWROOMの前田裕二というのが(いて)、こんなにフィーチャーされる前から、息子のように毎日やりとりをしています。それで私の目利き力がおわかりいただけるかと思うんですけれど。
(会場笑)
ご存じの方もそうではない方もいらっしゃるかもしれませんが、彼はいろいろな不幸があって、お兄ちゃんはいるんですけれども、8歳で天涯孤独という状況なんですね。
ただし、今の話でいうと、言葉の感覚はすごく研ぎ澄まされています。ものすごくメモ魔なんですよ。いろんなところ……NewsPicksなどでメモ術などをやっているのでご存じの方も多いかもしれないですが、彼は日々抽象と具象の行き来ということをすごくやっています。
私は最近、彼のインタビューなどで「これ、私が言ったやつじゃん」というのをよく目にしていて。
(会場笑)
「幸せの定義とか、この間、私が言ったよね?」というように、完全にパクられているんです。私が言ったことをパクっているのは全然いいのですが、秋元康さんが言ったような言葉を自分ゴト化しているということです。
つまり、なにが言いたいかというと、先天的に家族に恵まれていなくても、彼は10歳ぐらいで覚醒して、お兄ちゃんを喜ばせるために自分で稼いできたんです。そういう意味では、後天的にでもきっとそこはできると思っています。
ただ、彼は努力の方法をすごくよくわかっているので、そういうことができるようになっているんだろうなと思いますね。
中竹竜二氏(以下、中竹):今、メモの話をしていましたが、お二人とも本当にずっとメモを(していて)。私はまったくしていなくて、痛々しくてなんか。
岡島:いやいや(笑)。
中竹:お二人は、ふだん私と対談をやっているときでも、本当にメモるんです。私はそれを見て、「確かにこんなことを言っていたな」と、いつも思うんですよ。
岡島:(笑)。
中竹:やっぱり言葉を大事にされている方は、これから活躍していくのかなと思いました。たぶんこれから激動の時代というか、先が読めない時代になってきています。
実は、スポーツのコーチングの世界にも、AIコーチが出てくるという話が出てくるんですよ。人間の視線で反応するロボットが開発されたという話が確か昨日発表されたので、たぶんもう商品化されます。
そうすると、(人間の)コーチにとったら大事です。この人がなにを見ているか、どこを見ているかによって態度を変えていくロボットが出てくるという、これはほぼAIコーチなんですよ。
そこの領域だけは我々人間が持っていると思っていたら、(そこの領域も)どうなるかわからない時代になってきたときに、この先、たぶんここにいる経営者の方も、多くの方がいろんな不安を抱えていると思います。先の読めない時代のなかでも、とにかくどこを見て、なにをがんばればいいのか、ぜひ最後にお二方からみなさんにエールをお願いします。
高濱:僕からお話しすると、最近はわりとシンプルにまとまってきて、人間の力を自分なりに分類しています。その一番芯になる土台のところは、やっぱり愛情なんですね。そこがないと上に咲かないし、その上に非認知能力がある。これはなにかというと、自分で決めてやり抜くことで身につく、自信や社会性などの伸びにつながるものですね。
馬鹿にしてはいけないのは、その上に、基盤力と呼んでいる「ちゃんと漢字がわかる」ということをやらなければいけない部分がやっぱりある。
その上が今議論されている部分で、1つは人間力勝負だと思うんです。さっき言ったように、人間はどうしても人間が好きだから、「このお医者さんになら診てもらいたいかな」ということは、なくなるわけはない。だから、そういう魅力を磨いていけば絶対に生き残れる。
高濱:もう1つは、さっき言った専門性です。誰も手を付けていないところをとにかく張っていくというか、そこで勝負してガーッとやると、1つパッと突き抜けていきます。だから、そこの2つかなと思っているんですね。
今まで優秀と言われた枠は基盤力までですが、そこから先の人間力を育てることはものすごく難しいんです。うちは友達申し込みなしの、異学年でサマースクールへ行くような生活経験をさせています。しかも障がい児もいたりする。相当に「ええーっ」という時間なんです。
でも、おもしろいのは、さっき言ったのと同じ効果で、子どもに「あなたは3班だよ」と言うと、絶対に3班を好きになってくれる。これは絶対にそうなる。この家族について、「ちょっと面倒な家族だけど、なんとか一緒にやるしかない」と思うと、「車椅子が通れないじゃん!」と、一生懸命リーダーにも怒ってくれるということがたくさん起こります。
そういった多様な経験を世の中がたくさん与えないといけないので、今はやっぱり逃げているんですね。「なにかあったら困る」ということで、全部わかりやすい文脈だけにしてやってしまっている。そのあたりの多様な経験がこれからの教育には必要だし、意味があるのではないかと思います。
中竹:ありがとうございます。
岡島:ありがとうございます。文化などと言われていますが、本当に時間軸がちょっと伸びてしまっていて。人生100年だし、ここからのリーダーはけっこう長期でやらなければいけないと思っているんですよね。そうなってきたときに、最も大事な資質はなにかというと、「変化上等」というものです。もうこれしかないと思っています。
変化が来たときに「うわー、今までの私のスキルがまったく効かなくなってしまう」と言って守りに入るのは最悪です。なにかちょっとでも新しいことが起きそうなときに、「これに私はなにを足したらいいんだろう?」と言って、変化に適応していかないと淘汰されてしまう。そして、その中で部族争いをする構造になってしまいます。
200人ぐらいの経営者と日々話していることは、当たり前ですが、自分の頭で考えられて変化に適用できる人材をつくることばかりをやっています。その上で、たぶんもっと大事になっていくのは、AIにできないことはなにかを見極めるという話なので、強みの戦いという話になります。
この強みは、たぶん人によって全然違っていいと思っていて、私はかけ算と言っています。私だけの強みのかけ算があって、これからプロジェクトごとにチームを組成するかたちになっていくと思います。モテる自分になるか、「モテ力」のようなものがすごく大事で、想起される人になっているかどうかだと思うんですよ。
岡島:だから、ここにたくさんいらっしゃるそれぞれの方がきっと強みをたくさん持っていて、その人たちを今日(のイベントに)お声がけするときにも、きっとなんらかの想起があって呼んでいると思います。「脳内検索に引っかかる人をつくる」とよく言っていて、そういう強みのかけ算をそれぞれが伸ばしていくことが大切です。
ただ、おそらくここにいらっしゃる経営者の一番のお悩みは、「若手が自分の好きなことがわからない」という問いだと思うんですよ。
Will・Can・Mustでいうと、「私はWillがないです」という人。承認欲求もすごく高くて、こちらが言ったことに対してはミートしてくるのに「なにが好きかわかりません」というケースです。リクルートなどでは「お前はどうしたいの?」とよく聞くと思いますが、「お前はどうしたい?」と言われると非常に困るタイプの人たちがいます。
最初の話に戻ってしまいますが、場数をたくさん踏んだら「やっぱりこれが好きだわ」とわかってくるので、ソリューションとしてはそこにちゃんと戻ってしまうというロジックだったりしますね。なので「変化上等」だと思います。
中竹:貴重なお話をありがとうございました。まったくの打ち合わせなしで、これだけいいお話を聞けるとは思わなかった。
(一同笑)
私自身、今日は学べました。最後に、お二人の「愛情」や「自分で決める」という話もそうですが、私が今回(みなさんを)お呼びしたのは、別になにかをやらないといけないというのではなく、たぶん思いやりかなと思います。
思いやりには、共感するだけでなく「ちょっと役に立とう」「助けてあげよう」という、プラスアルファがあります。ここで三人で話していても、「ちょっとでも役に立ついい話をしよう」というのは、たぶん思いやりですし。
(みなさんが)今日来てくださったのも、我々のような小さな会社に足を運んでいただき、なにかしてあげようかなという思いがあったと思います。この積み重ねがすごく大きいと思っています。
我々社員が思いやりを持つのもそうですが、お客様同士、みんながちょっとでも思いやりを共有できるコミュニティを作っていきたいなと思っています。そういう意味では、今日も我々にとっての新たなスタートなんですね。あらためて感謝したいと思います。
スタッフ:質問の時間、ありますよ。
中竹:では、質問の時間をぜひ設けたいと思いますので、どなたか?
質問者:僕の大好きなお三方のトークセッションで、これ以上贅沢な時間はなかったと思っています。1つ、高濱さんにおうかがいしたいことがあります。
私には3人の子ども……小4の長男、小2の次男、それから2歳の娘がいて、週末に少年サッカーのコーチ・監督もやっています。1つ後悔していることがあって……長男がサッカーを始めたときに、期待しすぎるあまり「もっとこうしろ、ああしろ」と言った結果、彼はサッカーが嫌いになりましたね。
(会場笑)
その反省を踏まえて、次男に対してはいっさいのディスりはせず、褒めることしかしなかった結果、サッカーが大好きになって、ものすごく伸びているんですよね。そういうものを見て、やはり叱るよりは褒めるほうがいいんだなと気づいたのですが。
一方で、例えば勉強について考えたときに、Webの記事などでは、「デキる東大生は親から勉強しろと言われずに育ちました」とよく言いますよね。それは半分結果論だと思っています。
勉強をしろと言わなくてもできる人か、(勉強を)するという素地があったからで、本当にそういった素地もやる気もない子どもになにも言わなかったら、勉強しないままでいってしまう可能性もありますよね。
岡島: 超せつない (笑)。
(会場笑)
質問者:子どもはまだ小4で、幸い自分で選んで「中学受験したい」と言い始めているのでいいと思ってはいるんですが、一般論として、僕もサッカーのコーチで20人ぐらい(指導している)子どもがいるので、親たちから相談を受けるなかでなんて答えたらいいのかをお聞きしたいです。
高濱:そうですね。でも、これから40分講演ぐらいできるぐらいのことをおっしゃっているので。
(会場笑)
岡島:どうぞ。
高濱:ゆっくりやるとね。おもしろかったのは、今日、香川君が(言っていたんですが)、お姉ちゃん・弟の姉弟で、男が1人だからお父さんがものすごくのめり込んでしまったそうです。(お父さんもサッカーが)けっこううまいから。
要するに昔の日大アメフト部ですね。あんなふうに、「なにやってんだよ、オラー!」というのをずっと言っていたのが嫌で仕方がなかった。サッカーはすごく楽しいのに「お父さんはまた来るの……?」と言っていて。
長男としてぶっつぶされそうだったので、彼は小4のときに「お父さん、今日は話がある」と言って対面して、「ああいう言い方はやめてほしいんだけど、やめてもらえない」と言えたの。
岡島:すごい。
高濱:これはけっこうすごいですよ。そう言える子はあまりいないですよ。
世の中の平均的な話をすると、サッカーはだいたい次男、三男が多いんですね。将棋の名人も、昭和以降、全部次男という。つまり、この国では上はぶっつぶされ役なんですよ。まじめにちゃんとやるんだけど、突き抜けない。僕は現場でずっと見てきて、これは間違いないのかなと思います。ただ、現場感で小4ならまだギリギリ間に合うんです。
1つは、ここから先は実は外の師匠しか変えられない時期なんですね。
質問者:え~、おもしろい。
高濱:小学校3〜4年ぐらいになってくると、親がよかれと思って言えば言うほど……これは僕は生物学的にいうと、内側からふつふつと「パパ、ママの世話になっている場合じゃねえ」(という)エネルギーのようなものが出てくるんです。言われたらカチンとくるのは正常です。だけど、外で野球部の監督には「うっす!」とやる時期なんです。
だから、結論を言うと、たった1人の監督でもいいので、親から見て「このコーチなら絶対に任せられる」という外の師匠を見つけて、その人を通じて自分の意見を言うと(子どもは)全部聞いてくれる。それが1つの答えです。
だから、お父さんとしてがんばろうと思わないでください。まさに香川君は仙台の監督がドンピシャで当たったんですよ。「どの監督にしようかな?」というのが親の仕事です。長くなってしまうから、とりあえずそれぐらいにしておこう。
中竹:えっ、どうぞどうぞ。
高濱:1つ言うと、実はさっきの変化の話とすごく関連しているんです。やっぱり変化があったときに「おもしろい!」と思えるかどうかだと思うんですよ。
うちは……僕は25年ですよ。「『なぞぺー』だ!」「思考力はここだ!」「補助線と見える力だ!」とやってきて、「どうだー!」と旗を振ってきたんですけどね。
ついこの間、20年前に会員だった子のお母さんがやってきて、「先生、私は先生のことが大好きだったんだよ」と言って「昔の答案も全部とっているんだ」と見せてくれました。そのなかに、おたよりが1枚あったんです。
うちでは「花まる漢検」という漢字テストをやっています。3年生で習う漢字は200字だから、70字、70字、60字と、学期に1回のテストにして、しかも家でやるというものなんです。世の中に出たときに、習っていないこともいっぱいあるから、学校でまだ習っていなくても今覚えようと。
そのなかで特待合格といって、間違った問題が2問までだと特別に表彰されるんです。まだ全体で300人ぐらいしかいなかったときは、「絶対にみんなに褒めてもらおう」というのでおたよりでリストにしていたんですよ。
それで、「ほら、こういうのを取っていたんですよ」とお母さんが出してくれたのを見て、「えっ!」と思ったことがありました。そのときは普通の子だったんですが、結果を見ると、3年生以上で特待を取っている生徒は、ほぼ東大に進学していたんです。
これが何の力かというと……3年生ぐらいから、ちょうど漢字の数も200字になって面倒くさいし、字画も多いし、内側から「やりたくない」という気持ちが出てきたときに、スッとやれた子。この性格が実は一番重要です。
東大を軸にした場合、今ある枠組みの中でトップに立つことになると思います。でも、そこを(やりたくないという気持ちが出てきたときに)迷わずに「やります」という、この人間を育てることが一番重要。
思い返すと、確かにそうなんですよね。やっぱり「これすげえ」と思った子よりも、「あっ、わかりました」と言って、「やるってなったら、やるしかねえ」という、ずっとブレない子のほうがある1つの能力を示しているなと思いました。僕が今までやったことをひっくり返されるような話でしたけど、「やったー!」と思いましたからね。
岡島:(笑)。
高濱:「俺、最初に気づいちゃった」「これからは漢字の花まるでいこう!」って。変化上等。
(会場笑)
岡島:みなさん(の中には)、どんよりしている人がいるんですが、わかります? なんでかというとね、「いや、もっと早く言ってよ」と思ってる。
(会場笑)
たぶん子育てをしている人たちの中で……これから西村さんぐらいの人たちはぜんぜん大丈夫だと思いますが、子どもが中学生や高校生になってしまった人たちは、「もう早く言ってよ」と絶対に思っていると思う。
高濱:コマーシャルどおりだよね。
岡島:そうそう。絶対に思っていると思う。
高濱:でも、今は本当にお父さんもテカテカしているし。
(会場笑)
岡島:元気にならないよ(笑)。
高濱:大丈夫。この感じなら大丈夫。自信をもって。でも、色が変わって、「(小学校)4年以降、違うことをやらないといけない」と知るだけでだいぶ違う。
岡島:そうね。
高濱:それは長年やってきた僕の見識ですよ。モードを変えなければいけない。毛も生えてきて、世界観も、聴く音楽も変わってしまう。そういうときに……。
岡島:自己ができるということですよね。
高濱:そうなんです。反省もできるし、振り返りもできる頃は、そのときは師匠が聞く。
質問者:ありがとうございます。
中竹:改めまして、本日はありがとうございました。
(会場拍手)
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