2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
司会者:じゃあ、みなさんからの質問を。手を挙げていただいたら、そちらまでマイクを持ってまいりますので、お2人に聞きたいことがあるという方、挙手をお願いいたします。
西岡郁夫氏(以下、西岡):どうぞ。
質問者1:お話、ありがとうございました。最後のところで人間力のお話をされました。自分も娘がいるんですが、昨今の受験を見ていると「本当に日本が、そういう教育システムで再生していって世界で戦えるの?」とすごく思っています。まさにおっしゃったお話を聞いていると、「本当、日本沈没じゃん」という確信のほうが強くなったんです。
そうは言っても、年々、自分も若手が入ってくるので、少なくともうちらは死んでもいいけど、若手ぐらいは生き残ってほしいと思います。感受性とか、これまで習ってきていないので、いきなり西岡先生の本を渡しても、ちょっと響かないかなと思いまして。今日買って、ちょっと読まそうとは思うんですけど。
西岡:あなたがまず読まなあかんやん。
(会場笑)
西岡:責任を転嫁したらあかんで。
質問者1:そうですね。「隗より始めよ」っていうことで、やらせてもらいます。その感受性というのは、そうは言ってもこれから戦力になってもらわないと困るので、どうやって自ら気づいてもらうか? どう仕向ければいいのか? 知らず知らずのうちに仕向ける策はありますか?
新野良介氏(以下、新野):いまの若い人には伝わらないのじゃないか、というお話でしたが、その背景には、自分は分かるが若手にはわからない、なぜなら、若手には自分がもっている感受性がないから、という自分のメンタルモデルがあるように思います。しかし、まずはその自分自身のメンタルモデルを1回相対化して、自己認識してみることが大事な気がします。
まずはそれをしないと、自分のメンタルモデルで、相手に「なぜわからないんだ?」といくら押しつけたところで、自分も同じように上の人からやられたら嫌ですよね。
自分とは違う見方があり、違うやり方があるんだという前提に立って対話を始めないと、聞く気がないということかなと思うので、相手を変えるにはまず自分を変えるようにしないといけないんじゃないかなということが、私のいつも気にしているところですね。
西岡:大賛成です。これ、本に書いていますけど、「相手は変えられない、自分は変えられる」。講義のなかにあるんですけど、講義の後は必ず評価表といって、その講師をきちっと評価するために、みんなから感想を取るんですね。
そのなかで、12期生だったと思うんですけど、「私は娘が2人いまして、家内から言われて勉強を見させられます。それで、長女のほうが苦手なんです」と。それで、どうしてもこの長女はお父さんを斜に見ていますと。それがわかるもんだから、どうも自分も長女が苦手で、勉強を教えるんだけども、ついつい終わるときには必ず大声で怒鳴ります。そしたら、奥さんが横でさびしそうな顔をしています。
その繰り返しでした。今日もそうなりかけました。そのときに、「相手は変えられない、自分は変えられる」ということを思い出して、「あ、そうだ」と思って、その日に限っては自分は笑顔を絶やさずに、やさしくやさしく接しました。
そうすると、なんといつも斜に構える娘が、うれしそうについてきます。最後まで爆発することなく、「お、がんばるな」と終えて、そのときの妻のうれしそうな顔が忘れられませんと書いてある。僕はうれしくて、みんなに見せ合いをして、うちの業界で、「こんなん書いとるで」と言って。
そしたら、彼はその後ずっとうまくいってまして、こないだもメールが来ましたけど、「2人で3日間の連休を釜石かどっかのボランティアに行ってきました。ずっといい感じが続いています」と。
だから、あなたが言うように、日本の教育はめちゃめちゃ。本当にこれは最悪だと思うんだけど、だからといって文句を言っても始まらんと思う。そしたら、親がいったい子どもをどう愛を持って育てるか。理屈じゃなくて、一方的でいいんだよ。愛して、愛して、愛し倒すことだと思うね。そういう気持ちで、それしかないと思う。
新野:同じ問題を海外のメンバーと接するときに感じます。信じて、正しいと思って一生懸命伝えたことが、持っている情報空間もメンタルモデルもまったく違うので伝わらないことが多々あります。たとえば、「素直さが大事だ」とかフランス人に言っても、なかなか理解されないわけです(笑)。
このテーマは普遍的なテーマです。さっきのイノベーションやダイバーシティのことであれば、そもそも自分の方を変え、試す。ただし、そうやってくると、今度は自信がなくなってくることもあると思うんです。「やっぱり俺のほうが間違ってるんじゃないかな」と。
それでもなお、やらなきゃいけないというか、伝え続けなきゃいけないこともある。そのPDCAを回すという感じなんですけど、最終的に私の答えは、今のところ、それでもなお伝え続けなきゃいけないことは、西岡さんがさっきおっしゃった、子どもで言えば愛と同じように、事業では情熱です。
「とにかく俺は間違っているかもしれないけど、これをなんとかしたい気持ち(情熱)は、一番ある。お前のほうが合ってるかもしれない、俺のほうが合ってるかもしれないけど、お前もなんとかしたいという気持ち(情熱)は同じなんだろ? じゃあ、学び合い、試してみようじゃないか」と、引かないようにする場面は思いを通す。そこを引きだすと、途端に向こうはそれにフックをかけてきて、「だから、日本人だからわからないんだ。グローバル経営がわかってない」となります。
質問者1:ありがとうございます。
質問者2:今日はどうもありがとうございました。いわゆるトップが経営判断をした場合に、やはり経営を大きく左右するような状況になるかもしれないわけです。
そのときに、どうやって暴走を止めたらいいのか? そういうことを私も経験したので、結果的にやめになってしまったということもあります。
西岡:それは方法ないですよ。自分がどこまで会社に対する情熱を共有しているかによると思うんです。だから、ものすごく自分のふつふつとした思いがあれば、そんなんついていかないと思う。あんたの社長、誰だったの?
質問者2:○○です。
西岡:あ、○○さんか(笑)。
質問者2:議論になったときにですね、やっぱり彼が株、メジャーを持っているわけですよね。
西岡:それはそうだよ。
質問者2:そうすると、周りの役員が「いやー、○○さんが持っているから、俺たちはちょっともうこれ以上は言えないな」みたいな感じで引いちゃうんですよ。
西岡:それは彼が権限を持ってるからね。やむをえないじゃん。
質問者2:そうなんですよ。
西岡:それをなんとかする方法はないよね。
質問者2:ないですよね。
西岡:あの人だしな(笑)。
質問者2:そうです(笑)。
西岡:自分で言い出したら聞かないんだから。それはもう、やるべきことをやる。それだけじゃないかな。そういうことだと、ちゃんと次を考えますね。
質問者2:ありがとうございました。
質問者3:今日はありがとうございました。新野さんにおうかがいしたいのですが、先ほどの部下にどう対するかとの話で、西岡さんのお答えは聞けたと思いますが、たぶん新野さんも自分なりのお答えを持っていらっしゃると思うんですけが、それをちょっとおうかがいしたいです。
新野:介入するか、任せきるかの話ですけど、この意思決定はものすごく再現性のあるテーマなので、自分なりの原則を持ってやっています。
まず最初にやることは、これから任せる仕事が会社に及ぼすリスクが最大限発現した時に、それが自分でコントロールできる範囲のことなのか、つまり、自分で巻き取れるか、ちょっと損を出したとしても、会社の屋台骨を揺るがさないかを判定します。それがないままで任せきると、それは無責任かなと思うので、まずそうします。
それがコントロールできる範囲だったら、1回目は任せきるんですが、当然うまくいかないこともある。そのとき、2回目は一緒にやります。2回目で一緒にやっても、1回目よりも成長カーブが上がってこないと、「向かないんじゃないかな」という仮説を持って、違うチャンスを与えるよう努力します。
それは何度も何度も悩むのが非効率的なので、一定の原則、ガイドラインとしてやっていますけど、先ほど西岡さんがおっしゃってくれたように、一人ひとりの個性も違うので、ガイドラインでしかなく、それでもなお任せる、ということもあります。
西岡:しかも、彼は経営者だからね。課長が下を見るのと、また違うかもしれないな。一番悩むよね。
質問者3:そうですね。
西岡:悩まなしゃあないわ。
質問者3:ありがとうございました。
西岡:(会場を見渡して)はい、どうぞ。ちょっとぐらい(延長しても)いいんやろ? ここの会場、出ないといかんのか?
司会者:21時20分ぐらい……。
(会場笑)
西岡:だそうですから、20分で一瞬でサーッと出たらいい(笑)。どうぞ。
関連タグ:
制服は着ない、上司は無視… 元インテル社長・西岡郁夫氏がシャープでの新人時代を振り返る
なぜAmazonはホールフーズを買収したのか? 元インテル社長西岡郁夫氏が考察する、ジェフ・ベゾスの経営戦略
「我々が考えないと会社は変わらない」元インテル社長が説く、ビジネスパーソンとしての心構え
人は上司がバカなときほど成長する? 元インテル西岡氏×ユーザベース新野氏が語る仕事哲学
リーダーシップの手本は「鬼平」 元インテル社長西岡氏が“義理・人情・浪花節”について熱弁する
「部下に任せられない」という悩み、どう解決すべきか? 元インテル社長がマネジメントの極意を語る
子どもへの愛は「理屈じゃなくて一方的でいい」 元インテル西岡郁夫氏の教育論
仕事で空回りして“使えない人材”に… ユーザベース新野氏が悩めるビジネスパーソンにアドバイスを贈る
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略