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藤原和博氏、トライセクター・リーダーを語る(全6記事)

100万分の1のレアな人材になるには? 藤原和博氏が教える、自分の付加価値を上げる三角形

金野索一氏による日経ビジネス・カンパネラ連載『トライセクター・リーダーの時代』との連動企画として、リクルートで数々の新規事業を手がけ、2016年4月からは奈良市立一条高校の校長に就任された藤原和博氏をゲストに招いたトークイベント「藤原和博氏、トライセクター・リーダーを語る」が開催されました。本パートでは藤原氏が100万分の1の存在になるための「三角形クレジット理論」について解説します。自分の付加価値を上げ、希少性の高い人材になるにはどうすればよいのでしょうか?

トライセクター・リーダーとは何か?

金野索一氏(以下、金野):みなさんこんばんは。今日は4回目なんですけれども、日経ビジネス・カンパネラ『トライセクター・リーダーの時代』という連載をやっておりまして、今、日本で3つのセクターを超えて活躍されているトライセクター・リーダーの方と対談をして、日経の方に連載をさせていただいています。

その一環で、2人だけで対談するのはもったいないということで、みなさんに公開して、その中身をシェアして日本の社会にトライセクター・リーダーが増えるよう、そういうムーブメントを起こしていこうということで、この企画をやらせていただいています。

今日はみなさんご存知だと思うんですけれども、リクルートで数々の新規事業を立ち上げ、ご活躍をされ、そのあと杉並区の和田中の校長先生をやられて、「よのなか科」という科目を作ったり、SAPIXと組んだり、まさにパブリックセクター。

公立の中学の校長先生をやられ、その後も文科省や大阪府とコラボしたりして、まさにトライセクターのお仕事をされている。

4月からは奈良の公立高校の校長先生をやられるということで、ご活躍中の藤原和博さんをお招きしました。みなさん拍手でお願いします。

(会場拍手)

最初に「藤原さんの話は聞きたいけど、トライセクター・リーダーってなんですか?」という人がいると思うので簡単に説明をしたいと思います。

世の中には3つのセクターがあって、ビジネス、企業のセクター。公務員とか政治家の人のパブリックセクター、税金でやってる組織。それ以外にNPO、非営利セクター。協会とか病院とか学校も一部そういうところに入りますけれども。

そういう3つのセクターがあって、そのどれにでも通用するリーダー、リーダーシップのことをトライセクター・リーダーと言います。

もとはビジネスマンだったけども政治家になりましたとか、あるいはずっとビジネスマンでも、他のセクターのノウハウとか人脈とか視点を取り入れてビジネスとか経営をやってますとか、そういう人のことを言うんですけども。

なぜ今、トライセクター・リーダーが必要なのか?

「なぜ今、トライセクター・リーダーなの?」という話なんですが、理由ははっきりしていまして、少子高齢化という誰も逃れられない世の中の流れがあります。少子高齢化って、中国だろうがアメリカだろうが日本だろうが、民主党だろうが自民党だろうが、どんな政策をとっても、みんなだいたい、社会が発展してくると少子高齢化になってますよね。

そうすると、このパブリックセクターです。国とか自治体の税収が下がるということで、要は働き手が少なくなり、シニアの人が多くなる。そうすると税金で支えなきゃいけない人が増えるということは、パブリックセクターのところの収入、税収が減って、出が同じだったら必ず赤字になるわけですよ。

要は、なんでもかんでも「お上とか、役所とか、国がやってくれるんじゃないの?」という社会はもう終わりつつある。こうやってシニアが多い社会になった時に、なんでもかんでも税金で、政治議員の人に任せるということができない社会になってきた。

ということは、企業とか、NPOとか、自治体・国だけじゃない組織もいろいろ社会的なことを担っていかないと世の中が成り立たないという時代になってきたので、こういうセクターを超えていろいろ仕事ができる人が必要になってきた。

そんなこと言われなくても、それを何十年も前から実行している人が日本にもいて。すごいわかりやすいので簡単に紹介しますけれども、江副浩正さんという方。藤原先生のいた会社、リクルートを作った人です。

転職とか失業のサポートは、何十年も前は今のハローワークである公共職業安定所、職安と呼ばれるところが職業を斡旋していたり、失業者をサポートしていたりしたわけです。税金でやってるサービスなので、あんまりサービスもよくないし、失業者は暗いイメージで、後ろ向きな感じだったわけです。

けれども、江副さんみたいな人が出てきて『とらばーゆ』『B-ing』のような、仕事・ジョブの情報を紹介して、世の中に繋いでいくということが生まれた。雇いたい側と働きたい人をつないでいく、それを民間のビジネスにした。

そういう意味で、まさにセクターを超えて、今までのビジネスの領域のことだけでビジネスをやってたわけじゃなくて、このセクター全体で考えることで、まったく新しいビジネスを作り出していったんですよね。

クロネコヤマトを作った小倉(昌男)さんも、昔は配達は全部郵便局だったところに民間のビジネスを打ち出した。あるいは石川治江さん、この人は「ケアセンターやわらぎ」というNPOを東京都の小金井市でやっていた方ですけど。

まさに老人介護というテーマで、日本で初めて「ケアマネージャー」という、1人のシニアの方の健康状態とか、生活の状況とかいろいろなことを考えて総合的にケアプランを作るという仕組みを作った。

それが2000年の介護保険を導入するときに、国の仕組みとして、いちNPOが作り上げたケアマネージャーシステムを国家のシステムとして導入したんです。

この話で言うと、シニアの介護という問題ですが、税金のセクターもNPOのセクターもビジネスもありますけど、セクターを超えて社会の問題に取り組んでいくことが、今や普通になってきているわけです。

トライセクターという考え方は聞いたことないなと思われますけど、でも実はもう今日本の社会はそういう社会に突入していて、セクターを超えて、いろんな組織や個人が力を合わせて、社会の課題に取り組んでいる。

しかしこういう考え方がない、こういう時代の進展がまだないうちからこういう発想で仕事をしてきた人がたくさんいて、それで銀座にビルがひとつ立つぐらいのビッグビジネスが作られているんです。

そういう意味では、藤原さんがちょうどタイミングよく本も出されて、「三角形クレジット理論」という、トライセクター・リーダーになるための、まさにぴったりなノウハウ・考え方を去年の12月に書かれているんです。

この話も含めて、今やこの発想で3つのセクターを超えてかなえられる社会のニーズは何か、ということでやっていくと、キャリアディベロップメントにつながる、そういう時代になっているということを理解いただいて、今日のお話を始めさせていただければと思います。

ということで、続いて藤原さんの今までやってきた現在までのお話をお願いします。

堀江貴文氏の勧めでプレゼンを書籍化

藤原和博氏(以下、藤原):はい。みなさん、あらためましてこんにちは。「教育界のさだまさし」と呼ばれている、藤原です。

(会場笑)

今日は30分で2つの話をしてみたいんですが。いま金野さんの方から、非常に社会的な観点からのお話がありました、こういう背景があるんだということです。

僕はどちらかというと、それを個人に引き戻して、人生論として、みなさんの人生としてどっちが豊かかっていう観点で考えてもらえばいいかなと思うので、これからの仕事の仕方、ビジネスライフ、それから人生の中盤・後半をもっと豊かにするためにはということで、2つの視点を提供しようと思います。

1つ目の視点は金野さんからもご紹介がありましたように、本当にごく最近ですが『藤原先生、これからの働き方について教えてください。』っていう本を書きました。

藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方 (DISCOVER21世紀の学校)

これは実は、私が大前研一さんに頼まれてBBTで語ったものを、ホリエモンさんの会員制のイベントでプレゼンしたらものすごくウケて、ホリエモンさんが「これ、すごいいいから、絶対本にすべきだ」と言うんで、本にしたという経緯です。

あとから復習したければこちらの本を読んでみてください。本を買いたくない場合は、だいたい今、書店に平積みされてますよ。それを裏返していただくと、帯の後ろにこの本に書いてあるポイントが完璧にサマリーしてありますので、それを写メールしていただければ復習できるのではないかと(笑)。

もう1つは、人生の中盤・後半を豊かにするためにも、3つの軸ぐらい必要という話。トライセクターの世の中かどうかは別として。それは『坂の上の坂』という、3年半前に出て12万部のベストセラーになった本から来ているんですが、復習は『坂の上の坂』という本でしていただければと思います。

(ふ1-1)坂の上の坂: 30代から始めておきたい55のこと (ポプラ文庫 日本文学)

リクルートに入社したきっかけは、学生時代のアルバイト

まずこのボードからいきますね。「3つの軸を作って、クレジット(信任)の三角形を作ろう」という話です。私のキャリアを思い浮かべながら話してみたいんですが、まず20代でわけもわからずリクルートという会社に入りました。

私の同級生は、経産相に5人入りましたし、興銀に2人とか3人とか。富士銀行に入ったやつと興銀に入ったやつと一勧に入ったやつが全員後で一緒になっちゃったりとかね、そういうこともあったんですが。金融とか商社とか、そういうところにわりとみんな行くような感じでした。

クラス50人、経済学部と法学部がいたんですが、親が中小企業の社長だった2人でさえもそういう大きいところへ行きましたので、結局50人のうち、たった1人しか中小企業に行かなかったんです。

僕は3年生の時に単位取り終わっちゃって、4年生で留学したかったんで、お金を貯めるのにいちばん稼げるバイト先はどこかって探したらリクルートだった。

当時、スーツを着てネクタイ締めて、営業のアシスタントです。原稿を企業の人事部に持って行って校正するっていうバイトがありました。1日1万円だったんですよ。それで30日働けば30万円、それでヨーロッパ行けるな、みたいな。

1万時間使えば100人に1人の人にはなれる

バイトが高じてリクルートに入っちゃったわけですけれども、結果的にリクルートで20代に何の訓練をしたかというと、営業を徹底的にやりましたから、「営業とプレゼン」これをおそらく1万時間はやったと思います。最初の5年ぐらいでそれぐらいの訓練をしました。

僕の本にも書いてあるんですけれども、何であれ、だいたい1万時間の訓練をしますとマスターします。そうすると普通の人と比べて100人に1人の人にはなれる。

先に結論を言ってしまいますが、100人に1人という技を3つ掛け算しますと、100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1になれるわけです。これで「100万分の1の希少性を獲得した」ということになるわけです。100万分の1の希少性というのは、だいたいオリンピックのメダリスト級です。

ノーベル賞は、出現確率を計算しますとだいたい1000万分の1です。というわけで、オリンピックのメダリスト級の100万分の1のレアさ、希少性であれば、ここにいらっしゃるみなさんがまじめにやると絶対できるんですよ。

ただ、たった1つの分野で勝負して100万分の1人になろうとすると、99万9999人に勝たなきゃなりませんので、これはけっこう勝負としては不利、もしくは途中で屍になる確率が高いわけです。リスクが非常に高い。でも、3分野で100分の1というなら、なれる。100分の1なら、1万時間かければ絶対になれます。

だいたい1万時間というのはこういう感じです。1日3時間ずつやれば、365日で1000時間です。それを10年ですよね。1日6時間できるんだったら5年でできるわけですよ。

だから5年~10年で1分野で100分の1の希少性を持つのは可能なので、それを3分野掛け算して100万分の1のレアさ、希少性をゲットできれば、自分の付加価値が非常に上がりますので、1分野だけで勝負するより有利じゃないかなということで、それを今から解説したいんです。

私の場合は、20代で営業とプレゼンをやりました。次の27歳から37歳までの約10年間でマネジメントを経験する。30歳の時にメニエール症という病気になり、フルタイムで仕事できなくなったりもしました。そういう時期も含めてなんですが、10年間で、リクルート流のマネジメントっていうのをやらせてもらいました。ここでやっぱり1万時間はかけてるんです。

つまり、営業とプレゼンで100分の1、リクルート流のマネジメントで100分の1、掛け算して1万人分の1ぐらいの存在に、40代までにはなれたかな、と。

リクルートに留まっていたら自分の価値は下がっていた

37歳から2年半ヨーロッパに出まして、ロンドンとパリで家族と一緒に暮らして、成熟社会とは何かということを学んで帰ってきました。成熟社会に何が大事かというと、4つの分野が大事だと思いました。

「教育」「介護を中心とした医療」「住宅の問題」それから「組織を越えた個人と個人のネットワーク」、最後の4つ目はインターネットの登場。

iモードやYahoo!オークションが誕生して、その後どんどん解決されていっちゃったわけですが、この4つの分野がこれから大事になるというのを掴んで帰ってきて、それで1万分の1の存在になれたところで、僕は会社を辞めました。

そこからもし僕がそのままリクルートのフェローのまま、1万人の1程度の人材としてずっと留まってたら、たぶん僕の価値はどんどん下がってきてたんじゃないかなと思います。価値が漸減(ぜんげん)していく。

なぜかと言うと、たぶんリクルート出身で営業とプレゼンの訓練をし、かつリクルート流のマネジメントを身につけているやつというのは、僕よりも後に若いやつがドンドン出てきて、その中には中国語と英語がペラペラなやつとか、IT系でプログラミングもできるみたいな、そうした掛け算でもっと付加価値が付いてるやつが出てくるんじゃないかと思うんですよ。

そうすると僕の価値は漸減していきますよね。そのために僕は何をやったかというと、47歳の時なんですけども、営業・プレゼンとリクルート流のマネジメントというのをベースにして、それがまったく通じないんじゃないかと言われていた分野、公教育分野に打って出ます。

ベースラインを作って、大きくドンと踏み出した

ノンプロフィットの分野で、マネジメントだけで学校が変わるかというのにチャレンジしてみたんです。1歩目2歩目、ホップ・ステップと書いてますが、この2つは近い立ち位置でやったような気がするんですが、3歩目は相当遠くに飛んだ。相当飛んで、三角形の面積を非常に大きくした。

簡単にもう1回復習しますけど、まずは20代で左足の軸を作りました。これは営業・プレゼンです。次に27歳から37歳までの間、30代で右足の軸を作りました。そうすると左足と右足の軸ができてますので、底辺部、ベースラインができているということになります。

これをし終わった後の3つ目なんですが、ドンと大きく踏み出したために、この三角形の大きさが非常に大きくなった。ここがミソなんです。通常、左足と右足の軸が固まっていた時に、普通の人は何をやるかというと、その軸(底辺の線)の近くに踏み出しちゃいますよね。

例えば関連会社だったり、同じ業界だったり、この2つの軸(武器)が明らかに使えるところに転職するんです。あるいは独立しても、その会社がやってたことを受託するような業務についたりするんですけど。

そうすると、三角形の面積があまり広がらないということが起こります。ここでこの三角形で示しているのが、「クレジット」と言われるものなんです。

これは「他者から与えられる信任の総量」と僕は表現しています。他者から与えられる信任の総量が大きければ大きいほど、大きな仕事を任されますし、あるいは選択の幅が広くなります。

こういう状態(かがんだ姿勢)でものを見るよりも、この状態(中腰の姿勢)だと前を見渡すことができるし、この状態(立った姿勢)だともっと鳥瞰図的に視野が開けますよね。だから選択の幅が広がり、自由な選択ができるわけですよ。

他者から与えられる信任ですからね、この三角形は。ここに書いてありますが、クレジット=他者から与えられる信任の総量というのは、「信頼」と「共感」の関数。理性的な信頼と、情緒的な共感の関数です。なので、これが大きければ大きいほど、当然収入も大きくなるはずです。

このクレジットという三角形が大きければ大きいほど、任せられる仕事が大きくなってくる。あるいはチャレンジできる仕事の大きさがこれにより変わってくる。この一部を現金化したものを、僕らは「報酬」と呼ぶんだと思います。

じゃあ報酬以外の(現金化しない)残りがありますよね、これが要するにビジネスにおける自由というものなんですよ。例えば、僕が今フルタイムで働いたら年間1億円分のクレジットを貯めているとします。

僕がそこで1億円の年収を取っちゃったら、もうアップアップになりますよね。要するに何の余裕もないような、そういう状態に陥っちゃう。

それを例えば3000万円分ぐらいまでしか現金化しないで、収入はそれでいいとしていれば、あとの7000万円分は、ものすごい自由。つまり、明日どこかで何かすばらしいことをやってると聞けばすぐそこに行ける自由がある。

今週、僕はラオスに行って、義務教育を受けられない子のために作る学校の開校式に参加するんですけど、そういう余計なことをするためには、クレジットというのを積み上げておいて、(現金化していない)余裕がなければ無理でしょう。そういう意味で、クレジットレベルが高いと、動きが非常に自由になるというわけです。

というように、私の場合には「営業とプレゼン」×「リクルート流のマネジメント」×「公立校の校長」の三角形になった。校長は5年間やって、結局毎日生徒と向き合ってたのは10時間ぐらいで、だいたい学校は200日稼働ですから、そうすると年間に2000時間ぐらいですよね。5年でだいたい1万時間の訓練を受けていたことになるわけです。

そこで100人に1人の校長、あるいはノンプロフィットの経営者としてある程度認められるようなことになりましたので、それで100分の1×100分の1×100分の1が完成して、掛け算で100万分の1のレアな存在になった、という話です。

100万分の1の存在は、だいたい1世代に1人のユニークさです。大事なのは、100万人のピラミッドの頂点に立てと言っているわけではないということ。100万人のピラミッドの頂点に立てというなら、それは、今からフィギュアの世界へ出て羽生くんに勝とうというような、無茶な話なんですよ。

そんな無理をやる人いないですよね、それは。そうではなく、自分の得意な分野を3つ重ねて、それを20代~30代~40代とやるのか、それとも30代ぐらいから気づいて40代~50代~60代でやってもいいし。別に遅すぎることはない。また早すぎるということもないんじゃないかと思います。

異なる分野の掛け算が大きな付加価値を生み出す

3つの分野を掛け算して、100万分の1のユニークな場所を取ればいい。上に立つんじゃないんです。「ここは私」という場所を取ればいいんです。

2つを掛け算する例なんですが、アロマセラピストがあります。あれ、20年前はなかった職業ですよね。アロマをやってた人はいっぱいいたんですよ。セラピーをやってた人もいっぱいいた。例えば、カウンセラーもセラピストですけど、医者もそうですし、坊主もそうじゃないですか? 

看護婦さんだってそういう面がありますよね。そういう意味で、セラピーをやってる人はいっぱいいた。それからアロマをやってる人もいっぱいいたんだけど、それを掛け算して「アロマセラピストだ」と言ったやつが自分の旗をそこに立てました。

その瞬間に、そこに渦巻きができて、例えば教科書作ります、資格制度作ります、検定制度作りますというような感じで、おそらく膨大なお金が流れこんだと思います。

今はもうたくさん出たから、アロマセラピストで食えるかというとなかなか大変だと思いますけど。同じことがネイルアーティストにも言えますよね。

うちの母でさえもマニキュアやってました。昭和一桁生まれですけど。だけど、誰もその世界にアートなんて考えもしなかったんですよ。これはアメリカからの輸入ですが、ネイル×アーティスト。この掛け算でものすごい付加価値を生んだ例ではないかと思います。

こういうのはこれからいっぱい出てきます。要するに「掛け算」してキャリアを作るという感覚が非常に大事なんです。

今ここにいらっしゃる方はおそらく、30代の方、40代の方、あるいは50代の方もいらっしゃるかもしれませんが、もうファーストステップやセカンドステップはやってて、すでに100分の1、もしくは1万分の1にはなってるのかもしれません。

1万分の1になってる人に、次どこへ踏み出すかということだけ最後に言いますけれども、こんな風に(軽くジャンプする)近くに踏み出しちゃいますと、もうあとはこれだけの(狭い)クレジットの中での人生しか待ってない。

そこで勝負かけて、通用しないかもしれない場所、そういうところにドンと一歩踏み出しますと、とにかく三角形の高さが出ますので、面積が広がりクレジットが大きくなるということ。覚えておいていただければと思います。

どれがビジネスで、どれが行政・政治で、どれがNPOとかNGOとかのボランティアであってもあまり関係ないんです。

例えば全部がボランティアの世界でも、3つを掛け算すればかなりユニークな世界になると思いますし、全部行政の世界でこっちとこっちとこっちをやった掛け算でもいいし、ビジネスの世界で3つやって、それで100万分の1というレアさを実現しても僕はかまわないと思います。

ただ、見え方として綺麗なのは、ビジネスの世界と、政治・行政の世界と、NGO・NPOボランティアの世界、これを3つわかっていると、これから社会を動かしやすいということはあるのかな。

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