2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
スペシャルトークショー(全1記事)
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司会者:みなさん温かくお迎えください。オリヴィア・パレルモさんと坂井編集長です。坂井編集長に先にご登場いただきましたね。
坂井佳奈子氏(以下、坂井):こんにちは。皆さんよろしくお願いします。まもなくオリヴィアが来ますので。今スタンバイしてます。オリヴィアと私なんですが、実は10年程前にニューヨークでお会いしてるんですね。ニューヨークコレクションで、彼女が大学生の頃にお客様としてやって来た時に会って、2度程仕事をしたことがあります。
そこからもう数年ぶりの再会ということで今、話を盛り上げてました。それで今回は「幸せな働き方」というところをテーマに、2人でお話をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
司会者:ご登場いただきました。どうぞ皆さん大きな拍手でよろしくお願い致します。
オリヴィア・パレルモ氏(以下、オリヴィア):みなさんコンニチハ。
坂井:じゃあ始めます。
オリヴィア:はい。ご招待ありがとうございます。
坂井:ちょうど昨日到着してね。東京は何度目ですか?
オリヴィア:東京には数回来たことがあります。ここ7~8年は少なくとも年に一度は来ようと思っていますが。残念なことに、最近はそれほど来られていなくて、今回は1年半ぶりになります。
坂井:では、仕事にについて聞いてみようかと思います。モデルであったり、スタイリストであったり、そして彼女の本業であるソーシャライトだったり、あなたにはたくさんの肩書きがあるんですけども、自分を定義するとしたら何になりますか?
オリヴィア:私は色々な仕事をしていると自分を定義してます。上手くやりくりしていますね。同時に、私がやっていることは全て私自身をインスパイアしてくれています。
坂井:さっきも控え室でお話してたんですけど、とってもたくさんのブランドからオファーが来てるオリヴィアなんですけど、まずオリヴィアがこのブランドとコラボレーションしようかなとか、決め手になるものって何かありますか?
オリヴィア:親近感があって自然であることですね。若いデザイナー、若いブランドと一緒に働くのも好きですし、オーガニック製品も支援しています。長い目で見れば彼らは、成長して進化していきます。
トミー・ヒルフィガーやMAX&Co.のような大きなブランドもそうです。今期一緒に仕事をさせてもらったんですが、彼らは素晴らしいです。世界的なスケールで女性に対して発信していて、ファッションに常にアンテナを張っていますし、ファッション業界を支援している。これはとても大切なことだと思うわ。
今の時代はファッションもよりアクセスしやすく、より商業的になってますよね。オンラインでたくさんのことができる。こういったことが私が一緒に働こうと思うブランドの定義かな。若くて、オーガニックということなんかが。
坂井:では、すごくよく知っているブランドと、これからアップカミングになるブランドと両方のミューズになっていると思うんですけど、例えばトミー・ヒルフィガーとお仕事するときは、デザイナーのトミーとはどんなコミュニケーションを取っているんですか?
オリヴィア:トミー・ヒルフィガーのデザインチームとは私が14歳の頃から交流があって、ブランドとして仕事をする前から知っていたの。今期のコレクションでは、自然でオーガニックというこのキャンペーンのクリエイティブな部分の仕事をさせてもらったの。だからとても積極的に参加できたわ。
坂井:なるほど。では今度は、まだ無名のブランドのスタイルアイコン、ミューズとしても活躍されてますよね。確かロンドンの「シアテ」というブランドに取り組むということを聞いたんですけど、それには何かきっかけなどあったんですか?
オリヴィア:「シアテ」は私にとって魅力的な新しいブランドプロジェクトのひとつです。アクセスしやすいというのが服にとっては重要なことでした。化粧品や他のアイテムもそうなの。もし綺麗な服を着ていても、ノーメイクだったら台無しでしょ? これらは相伴っているの。
オリヴィア:私はマニキュアが大好きで、すごく小さな頃に私も母からマニキュアをもらったの。「シアテ」は素晴らしいネイルの会社だわ。
坂井:そういえばお母様の影響をすごく受けてるって。お母様はインテリアデザイナーだったと思うんですけども、どういったところに影響を受けていたか。お父様もそうだと思うんですが、ご両親から受けた影響は何かありますか?
オリヴィア:母は特に素晴らしい人で、ワーキングマザーでした。驚くほどクリエイティブです。たぶん私は母からたくさんの影響を受けていますね。彼女はきちんと予定を立てたり、確固とした生活基盤のようなものがありました。大人になってから、そういったものは私の仕事に適応されてますね。
坂井:コーディネートとかは相談してたんですか?
オリヴィア:いつも電話で母に相談してます。今日も何回も話したわ。母親だもの。皆さんも相談したりしますよね。母親はいつも良いアドバイスをくれるものですもの。
坂井:例えばじゃあ、お仕事を決めるときっていうのはお母様に相談されるんですか?
オリヴィア:いつもではないですが、時には相談しますね。仕事のオファーをもらって、母にどう思うか聞くんです。コレクションやデザインの過程なんかをより良くするためにね。いつでも母から何かを学んでいますね。
坂井:私はちょうど学生の頃にオリヴィアと知り合って、どんどん綺麗になって世界に羽ばたいていくところを見て、私ともう1人ニューヨークで紹介してくださったマキコさんという方がいて、さっきもちょうど話してたんですけど。
「コレクション会場にかわいい子がいる」って全然知らないで声をかけちゃったっていうことがあったんですね。そこで彼女がソーシャライトだってことを聞いて、日本人ってそんなにこの言葉に馴染みがなかったのかもしれないんですけど、彼女は『エル・ジャポン』でもモデルとして初めて登場してもらったりとか、とても縁が深いと思っているんですね。
その時よりもお仕事をどんどんキャリアアップされて、なにかきっかけとかあったのかなと思って。そのへんの自分の決め手になるものとかあったら教えてください。
オリヴィア:日本が最初の編集のお仕事をくれて、とても幸運でした。本当に感謝しているの。感謝してもしきれないくらいよ。仕事を通して私が経験したことはファッション業界に戻るのにとても役に立った。デザイナーをサポートしたり。ごめんなさい、これで答えになっているかしら? 質問を忘れちゃった。
坂井:大丈夫です。ごめんね、私が長くしゃべり過ぎちゃったから。じゃあね、オリヴィアはニューヨークを生活の拠点にしていると思うんだけど、ニューヨークの好きなところって何かありますか?
オリヴィア:ニューヨークはいつも変化しているところが好きです。東京もそうですよね。新しいものがいつもあって、クリエイティビティを与えてくれる。そしてなによりファッションですね。ニューヨークのファッションは他の都市と比べていつもエネルギッシュですし。これが皆さんにとってもそう思えるかはわかりませんが。TVショーや映画や博物館やブロードウェイもありますよね。
坂井:じゃあちょっと質問を変えてみようかな。もし自分がソーシャライトという立場で仕事を展開することがなかったら、何をやっていたと思いますか?
オリヴィア:私がファッションに関わってなかったら? スポーツコメンテーターになっていたわ。アイスホッケーとラクロスとテニスが大好きなの。それはすごく小さな頃私がやりたかったことなんです。運よくファッション業界に入ることができて、今日まで働いてきたけど、スポーツはいつでも私の選択肢に入っているの。
坂井:またちょっと話がそれるんですけど、アイスホッケーが大好きなんですって。私の長男も今カナダの大学でアイスホッケーをしているんで、さっきもその話で盛り上がってたっていう余談もあります。
では、また質問を戻そうかなと思います。色んなSNSだとかで世界中から注目されてると思うんですけど、そういったことに対する責任や影響ってどう考えてますか。
オリヴィア:女性を支援したり、もしくは助け合ったりしていていることをよく感じますね。私たちは同じコミュニティにいる。ファッション業界にいても、他の業界にいても、心をオープンにしてお互いに分かり合うことでしょうか。
坂井:なるほど。じゃあちょっと答えがかぶるかもしれないんですけど、8年くらいずっとファッションの第一線でいられる秘訣ってありますか?
オリヴィア:ファッション業界で第一線でいられる秘訣ね。いい質問ですね。私はデザイナー、バイヤー、編集者としてキャリアをスタートさせました。私がもし小売業者やオンラインに働きかける機会がなかったら、今のキャリアもなかったと思う。
ファッション雑誌やオンラインで見ることもないでしょう。編集者は常に、どんな情報を取り入れていくか考えているわ。
坂井:では、ソーシャルメディアについて聞いてみたいと思っていたんですけれども。例えばインスタグラムで、皆さんフォローされてますよね? そういった反応を見たときに、自分でセルフプロデュースなんかをしたりしてると思ったりしますか。
オリヴィア:インスタグラムは個人的にも使っているし、ソーシャルメディアの中で最もOliviaPalerm.comとして力を入れているものです。インスタグラムのいいところは全てが映像、画像、写真だということです。たくさんの文章を添えなくて済みます。絵文字はかわいいですけどね。
とても自然に利用できるキュレーションツールですね。特定のブランドと仕事をしているときでも必ずしもその商品を投稿するわけではないから、そんなに商業的にならずに済む。ときには東京やハンブルグやパリで投稿したりしてトラブルになったりもするけど。
坂井:自分で気を付けていることとかあるんですか? 多分皆さんもフォロワーをたくさん作りたいなと思っている人も多いと思うんですけど、フォロワーの数を増やすオリヴィア流の秘訣みたいなものがあれば。
オリヴィア:正直そこまで時間を費やしていないんだけど……。とにかく投稿する写真をたくさん撮ることかな。取り組んでいるうちに上達するものじゃないかしら。必ず毎日投稿するというわけでもないし。たぶん私にもっと取り組んでほしいと思っている友人もいるわ。私もそれについては頑張って取り組んでいるところよ。
坂井:わかりました。オリヴィアさんて、自分がやりたいことに常に向かっていて、成功しているというイメージがあるんですね。それは好きだから仕事に繋がっているというように思えるんですが、そこの好きと仕事を繋げる秘訣を、ひと言ふた言で言うなら何かありますか?
オリヴィア:私は自分のやっていることが大好きです。とても幸運です。朝起きたら仕事に行きたいと思うわ。時にはそうじゃないこともあるけど。情熱を持っていてそれに駆り立てらているわ。
私はWebサイト上での仕事を持っていて、それはフルタイムの仕事です。世界中を飛び回って、人々をインスパイアしないといけない。私は幸運なことに世界中の魅力的なブランドやデザイナー達と働くチャンスに恵まれて、彼らがそういったチャンスを与えてくれているの。
坂井:生活と仕事が一体化している感じがするんですけども、ニューヨークでの出張していないときの過ごし方、ルーティンとかありますか?
オリヴィア:違う土地にいてもいなくても、いつでもスケジュールを決めて動くようにしています。ヨーロッパでOlivia.comチームと仕事をすることになる時は、彼らは朝の時間帯は寝ているからその時間は働けない。
ニューヨークについて言えば、ヨーロッパのチームと働くことが多いから、例えば午後2時から電話で仕事をする。全てはタイムマネジメントだと思います。
坂井:なかなかね、タイムマネジメントって働いている女性には難しいですけどね。例えば途中で、「あ、終わんない」と思った時はパシッと切って次の日に持っていくんですか? それともそうならないように常にこう……。
オリヴィア:その時々の仕事によると思いますね。締切なんかもありますからね。でもとても重要なのはバランスを取ることですね。1日の終わりに夜遅く家に帰って、もしかしたらすごく疲れているかもしれない。そうしたら次の日に備えてエネルギーをチャージしようでいいと思うんです。
一緒に住んでいる人達と過ごしたりするのもいいですよね。きっと一緒に過ごす人たちにとってもそれはとてもいいことですし。バランスを取るべきです。
坂井:ペットを飼っているの?
オリヴィア:そうなの! マルチーズを飼っていて、名前はバトラーというの。彼はもう、すごくかわいい!
坂井:へえー!
オリヴィア:彼は今9歳で、私が彼を買った2歳の時のまま変わらず元気なの。そう、とってもかわいくて、まるで人間みたいなの!
坂井:そうは言っても疲れて帰って来た時とか、ヨガだったり食事だったりで仕事とのバランスを取るのはどんなふうにやっているんですか?
オリヴィア:アクティビティを通してバランスを取るようにしてますね。ジムに行ったり、ワークアウトのクラスに行ったり。エネルギーを発散すると頭もすっきりしますし。気分も良くなるし、姿勢もとても良くなりますよ。私の姿勢は前はもっと悪かったんです。
それから食事も健康的なものを食べるようにしたりバランスを考えています。オーガニックのものを食べたり。だけど全ては適度ということが大切ですね。アメリカだと1人前がすごく多いから全部は食べないけどね(笑)。
坂井:今オーガニックが世界中にブームですけど、そうじゃないお店に行った時って、例えばこれだけにしようとかっていう食事のコントロールもやっているということですか?
オリヴィア:ええ、そうね。だけどもしお腹が空いていたら、お腹が空いているんだもの(笑)。レストランに行くとき、清潔だということは重要ね。日本だったらどこでも清潔だけどね。それって素晴らしいですよね。皆さんラッキーですよ。
坂井:じゃあその時の自分の気持ちに素直にいられるということも重要だったりするんですか?
オリヴィア:自分の感覚に従うことは大切です。自分が感じたことは、たいてい正しいですから。
坂井:じゃあ仕事の選び方だとか、服のコーディネートの仕方だとかは、直感を使ったりします?
オリヴィア:いつも直感を大事にしてますね。自信を持てるということが重要です。外に出るとき、ヒールを履くのが好きな女性もいればそうじゃない女性もいますよね。ヒールを履くことによって自信をまとうことができる人もいれば、そうじゃない人もいる。
自分がどう感じるかと同時に、自信を持てるかというところを重視しています。ヒールが高すぎて、ドレスがきつすぎるということより最悪なことはありません。
坂井:そうですよね。お母様とはコーディネートの相談もしているって言ってましたけど、他にファッションのアドバイスをしてくれる人はいますか?
オリヴィア:そうですね、夫や親友にも相談しています。夫はファッションの仕事をしていて一緒に成長してきましたし。私の友人もファッション業界の人が多いし、たくさんの人に相談しますね。彼らは私の言ってることを理解してくれまし、お互いに相談し合って尊敬し合える良い関係です。
坂井:旦那様にダメ出しをされたことはありますか?
オリヴィア:あります!
(会場笑)
オリヴィア:毎回ではないですよ。彼はハイウェストとフレアパンツがあまり好きではないみたいで(笑)。彼にとっては普通じゃないし、女性からの支持を得ているとも思わないようだわ。私はあまり気にしないですけどね。
坂井:その通りですね。ちょっと時間も迫って参りました。今後のオリヴィアのどう生きていきたいかということを聞いてみたいんですが。この先どんなキャリアを目指していきたいか教えてください。
オリヴィア:ファッション業界に身を置きながら、仕事上でもプライベートでも幸せでバランスの取れた日々を送ることですね。疲れたら少し休憩して、次に備えたい。自分の会社を創れたら嬉しいですね。
それから一緒に働く人達が幸せでいてくれること。彼らとは約7年働いていて、こんなに長く関係が続くというのはとても稀だと思うんです。私の夫も仲間たちもね。
坂井:では最後に、皆さんオリヴィアからのメッセージが欲しいんじゃないかなと思うので、日本の働く女性にとってある種オリヴィアって憧れだと思うんですけど、日本で働く女性達に何かメッセージをいただけないでしょうか。
オリヴィア:私からの全ての女性へのアドバイスは、自分自身に忠実であってほしいということ。それから両親と話したり、自分自身をオープンにして、批評やフィードバックにも耳を傾けて色々な過程を学んでほしい。素敵な人間関係を築いて、そしてお互いを助け合ってください。これが私からの最後の言葉です。ありがとうございます。
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