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「半径5メートルの勇気や努力で、あなたの就活は変わる」(全6記事)

「面接で世界一周とか、ビジコンとか、薄っぺらい」 はあちゅう氏が語る、"なんちゃってすごい人"の特徴

電通、トレンダーズを経て現在作家として活躍するはあちゅう氏と、マスコミ就活のカリスマ・霜田明寛氏による就活生へ向けたトークイベント。本パートでは、就活の面接における"あるあるダメパターン"と、面接官に本当に響くアピールの仕方について語りました。

就活強者3タイプに共通する特徴

はあちゅう氏(以下、はあちゅう):私アルバイト経験とかも結構あったから。

霜田明寛氏(以下、霜田):マックでやってたって本に書いてありましたけど。

はあちゅう:大学1年生の時アルバイトを5つとかやっていて、かつ女子大生プロデューサーっていう肩書きで仕事もやってたから、ベンチャー企業だったりとかいろんな企業にプレゼンしに行ったり、社会人との関わりがものすごく多かったんですよね。

だから例えば他にお勉強とかサークルとかを一生懸命やった人って、インターンが初めて社会人と出会う場所だったりするんだけど。私はわりとフラットな目線で、「社会人ってこういうものだから、会社ってこういうものだ」と思えた。下地があったから、なんかインターンはちょっと、ウンと思っちゃったのかも。

霜田:それは強いですね。今見ててやっぱり就活生で強いのって、慶應生、はあちゅうさんみたいに個人で学生の時から何かしてた人、合コンしまくってた人の3タイプなんですよ。

はあちゅう:合コン(笑)。

霜田:で、3タイプ何が共通してるかというと、大人慣れしてるんですよね。

はあちゅう:そうだね。私もよく就活生向けのセミナーとかでは、社会人に慣れたほうがいいっていうんですよね。だいたい面接で緊張しちゃう人っていうのは社会人慣れしていない人なんですよ。

ただのおっさんが質問してくるだけなのに、この人はなんとか企業の人事の偉い方だと思うと、普段しゃべれることがしゃべれなくなるんですけど、社会人に慣れてる人っていうのは人間対人間の会話だと思って、普段と同じ感覚でしゃべれるから人間同士の会話が成立するっていう。

霜田:そうですね。なんかみなさん遠慮しまくっちゃうと思うので。ある程度空気は読んだ上でですけれども、緊張しすぎずに少し馴れ馴れしいかわいげのある奴くらいでいったほうがいいと思っていて。

面接はつかみが大事

霜田:たぶんはあちゅうさんのイベントの司会もしてくれたと思うんですけど、僕がずっと面倒見ていたあるハーフの子がいて、女子アナになったんですけど。

僕、就活エッジっていうマスコミの就活生集めてトークライブなんかやってるんですけど、だいたいみんなかしこまるんですよ。「著書拝見しております!」「霜田先生!」みたいなこと言ってくれて。それはそれで丁寧で嬉しいんですけど。

でも、そのハーフの子は初対面の時に、「フーッ!」って言って肩叩いてきたんですよ(笑)。こいつやべえなと思ったんですけど、その後しゃべってることがすごいしっかりしていて、礼儀もちゃんとなっていて。

欧米系のコミュニケーションというか、ハーフだったからっていう感じもあるかもしれないですけど、それくらいフランクなほうが本音も出る。しゃべってるこっちとしても、面接官だったとしたら、真面目な人がワーッと来た時に「フーッ!」みたいな人が来ると「この人は何なんだ」と思って、とりあえず注目を集めるんですよね。

注目させたら勝ちで、その後ちゃんとした話をすればいいので、その大人慣れというかフランクさは必要かなと思いましたね。

はあちゅう:そうですね、私も面接官をさせてもらった理由もあるんですけど、もう30秒でわかるんだよね。むしろ30秒でわかっちゃうから、15分は絶対面接しなきゃいけないみたいな時だと、後の10何分をどうやって切り抜けようって、こっちもどんな質問をしようってなっちゃうの。

「社会人慣れ」こそ就活に1番必要なこと

霜田:面接官も緊張してるんじゃないかっていうのは、ちょっと思いましたけどね。

はあちゅう:本当?

霜田:友だちで面接担当した人も言ってましたね。人事じゃない人も面接したりするじゃないですか。そういう会社も結構多いと思うんですけど。

はあちゅう:そうですね。

霜田:そうすると自分も経験ないし、1対1で話すのなんて慣れてないみたいな人も時々紛れ込んでくるので、みんなが人を見る目を持っているわけじゃなかったりするんですよね。

はあちゅう:でもトレンダーズとか他の会社もなんだけど、そういう人が学生を通すか通さないかの基準っていうのは自分が話しやすかっただとか、居心地が良かったかどうかだから、やっぱり人当りを良くしておく、社会人慣れしておくというのはたぶん1番やっておいたほうがいいことのひとつだよね、就活的には。

霜田:そうですね。

1番頑張った体験が、相手に1番ウケる話とは限らない

はあちゅう:なんかもう就活のためにさ、フリーペーパーとか作る人たまにいるじゃん。

霜田:いますね。

はあちゅう:これは私が作りましたとか、ビジコンとか、いきなり火が付いたようにやり始めるとか。でもそういうもので得たことって薄っぺらいから、結局別に就活の強みとかにもなってなくて。

後でこれしゃべろうかなと思ってたんだけど、自分が今までやってきたことからどれだけ意義を見出して、上手く発展させてプレゼンテーションできるかにかかってるよね。

霜田:そうですね。もう見合ってないですからね。

はあちゅう:そうそう、無理してすごいことを考えたりやろうとしなくて良くって、就活やってる人はみんな思ってることだと思うんだけど、「世界一周とビジコンとフリーペーパーって3人に1人はいる」って面接官よく言わない?

霜田:そんなに!(笑)

はあちゅう:自分の中で「やり遂げた!!!」と思ってることでも、面接官で何百人も会ってる人にとったら「また聞いた話だよ」と思うから、その中からどれだけ自分に上手くリンクするようなネタを楽しくプレゼンできるかだよね。

霜田:はい。

はあちゅう:やっぱ面接官で何人も面接やってるとさ、インパクトある人じゃないと思い出せないじゃん。そういう時に、「あの人笑わせてくれた」とか「この人すごい自分の言葉で考えて話してた」っていうのは、通そうと思うよね。

霜田:だから自分たちが1番頑張ってきた話が、相手にとって1番ウケる話とは限らないので……。

はあちゅう:そうそう。

霜田:今日も早稲田で対面で講座をしてきたんですけど、サークルの話をしてくるんですね。「それきっと使えないよ!」みたいなことを言いまくってきたんです。

1番頑張ってきたことを否定するのはすごい心が痛んだんですけど、それは君が頑張ってないとか頑張ってるとかそういう次元の問題ではなくて、その話が大人にウケるかウケないかっていう基準で選んだ方がいいので。それが必ずしも頑張った話とはリンクしないと思うんですけど。

面接では履歴書に書いていないことをプラスで話す

霜田:ちなみにはあちゅうさんは、はあちゅうであることを隠して就活してたわけじゃないですか。

はあちゅう:そうそう。

霜田:何を頑張った話としてしていたんですか?

はあちゅう:それも相手に合わせて変えてた。例えばベンチャー企業の人でネット使ってる人だったらネットの話をしたほうがウケがいいんだけど、ネットとか触ったこともありません、「Twitter? 何それ? はん?」みたいなおっさんが相手だったら、「私は準体育会チアサークルで頑張っておりました!」みたいなこととか、

「中国語は集中講座を取って香港大学に留学しておりました!」っていう感じの学生らしい要素を見せるとか。一応経歴的にはやっぱり隠すことではないと思うから、ブログから出版しましたみたいなことを書いてあるけど、あえてそこを強調しないというか、それは興味を持ったら補足で見てもらえたりとか。

面接官って事前事後に履歴書見るじゃん。だからそういうところに書いてないプラスを面接では出そうとしてたの。

尖ったことが評価されるとは限らない

霜田:ほうほう。例えばブログから本出したことを言って、ウケたところとウケないとこって、業種によって差とかってありました?

はあちゅう:いや、あんまりないね。ウケがすごいいいっていうわけじゃないと思う。そんなに前に本出してる人いなかったからさ、これすごい推し要素になったりするのかなと思ったけど、「へー、本出してるんだ。すごいねぇ」で終わるんだよね。

それより、「じゃあ大学時代に辛かったことは」とか、「おもしろかったことは」っていう別の話に入っていったこともある。

霜田:そうなりますよね、ほんとにね。僕起業した話もほぼスルーされてましたからね。

はあちゅう:そうそう。起業なんて自分の中では一大事なのにさ、スコーンとスルーされるよね。

霜田:ビジコンで優勝して起業したら、「これで就活どこでもいけるな」くらいに考えると思うんですけど、全然通用しなかったですね。

はあちゅう:私逆に、日系の企業を受けてる時は辞めないかの心配をされるから、あえて準体育会チアリーディングを推してた。そういう硬派で男前な部分を出すようにしてた。ベンチャー企業でのインターン経験とかちょっと尖ったことをやりすぎると、「どうせ辞めようと思ってんでしょ?」みたいな感じに言われる時もあるんですよ。

霜田:いろんな大人がいますからね、例えばベンチャーで働いていることを評価してくれる人もいれば、「尖りやがって」と思う保守的な人もいるんでね。そこを気を付けないとですけども。

キャビンアテンダントと電通で悩んだ

はあちゅう:そう、でも私最終的にはキャビンアテンダントと電通で悩んだんだよね。JALと電通で悩んだんですよ。

霜田:僕はAERAの「現代の肖像」を見て初めて知ったんですけど。

はあちゅう:AERAに載った記事ですか。

霜田:JALに内定してんのってめっちゃすごくないですか。

はあちゅう:違うんです、内定はしてないんですよ。JALの試験って遅いからまだあと何回か選考がある時点で。でも電通は出ていて。その時に思ったのが、外資系のスチュワーデスって1年に1回絶対募集してるし、他からジョブホップもできるから別にJALにこだわるわけじゃなかったら、新卒じゃなくってもスチュワーデスにはなれる。

だけどスチュワーデスから電通はちょっと難しいぞって思ったんだよね。だったら今は、入れるっていうことが1番メリットになるから電通行こって思いました。

霜田:ほー。

最終目標へのルートを具体的にイメージする

はあちゅう:でも私ね、なんで電通とキャビンアテンダントなんだってすごいいろんな人に言われるんだけど。やっぱりね、容姿コンプレックスとかが尾を引いているんじゃないかっていうのもちょっとあるんだよね。

さっきのサッカー部の話と同じで、スチュワーデスとかって女の頂点みたいな、アナウンサーに次ぐ女としての勝ち組ポイントみたいなところがあって。スチュワーデスに憧れてたのももちろんありつつ、最終的に私は作家になりたいって2歳から言っているんですよ。

だから就活はしつつも、いつか本を出し続ける人になりたいなというふうに思っていて、そういうふうになるためにどんなルートがあるんだろうと思った時に、3つくらい考えたの。

1つ目が、コンサルとか外銀とかは1年目から結構なお給料がもらえるから、それで2、3千万円貯まったらスコーンと辞めて、引退してずーっと本書き続けるみたいな。これが1つ目のルートで、2つ目のルートはおもしろいこと起きそうなところにいく。なんかスチュワーデスとか電通とかに行くと楽しいことが起きそうじゃん。

霜田:ネタという意味でおもしろいことでいいですかね。

はあちゅう:そうです。スチュワーデスの人はよく本書いているので。「ファーストクラスの人の習慣」とか「空の上であった泣ける話」的な。

霜田:ありますね。

はあちゅう:そう。かつタダで海外旅行行けるのとか、そういうことを思って受けてて。3つ目が、書くことのお仕事に就くっていうことだったんだけど、編集長とかそういうところに行っちゃうと、私他の人が書いたものに嫉妬しまくって、逆に自信をなくしそうだと思ったからやめたの。だから出版社1社も受けてない。

霜田:そうなんですね。

はあちゅう:編集者出身のすごい書き手の方もたくさんいらっしゃるので、私は、自信とかすぐ無くしていじけるタイプだから、たぶん打ちのめされると思ったんだよね。作家さんの原稿もらって、「あ、私には書けない」って。

霜田:すごい具体的にイメージできてるんですね。何か、本が好きだから出版社みたいな、安易な感じではないんですね。

はあちゅう:いや、そういうのも考えてなかったのかもしれないけど、何かその時からそういうふうに思ったんだよね。で、1と2が残るじゃん。先にお金を稼ぐコースと、あと何かゆっくりなっていくコース。その時に私、某外資系の投資銀行の偉い人にお会いする機会があって、その人が「お給料は我慢料だ」って言ったの。

OB訪問で「お仕事どんなことされてるんですか?」とか聞いたら、「仕事なんて超つまんねえよ、なんもしてねえよ」って言われて、「えっ」と思って。「でも俺は毎日会社に行って、時間が過ぎるのを待ってたらその分のお金がもらえるから、我慢料だと思ってもらってんだよ」って言って。

「えっ。そしたらこの人、命とお金交換してるだけ? 何のために今生きてるの?」って思っちゃって。OB訪問させて頂いてこんなこと言うのは大変申し訳ないけれど、反面教師になって、何年間かずっと「本出すために我慢だ。今、お金貯めるんだ」って思いながら、ずっとやってて突然死んじゃったりとかしたら、もう私の人生なんだったんだってなるじゃん。

霜田:我慢で終わっちゃいますからね。

はあちゅう:そう。我慢で終わっちゃうから、だったらおもしろいことをしながら、「あー今楽しいな」っていうことをしながらお給料をもらえたら、それは最高だから、じゃあ電通かCAかなっていうふうになったんですよ。

霜田:ほー。

ジャニーさんからの返事をずっと待っている

はあちゅう:でも霜田さんのキャリアは、何でアナウンサーになろうと思ったの?

霜田:僕は端的に言うと、ジャニーズに1番近付きたかったんですよ(笑)。

はあちゅう:(笑)。ジャニーズになりたくて生きて来たもんね。

霜田:僕、大学1年生の時にジャニーズ受けて落ちてるくらいの、ジャニーズになりたかった人なんで。それで、大学1年生の時に夢途絶えたんですよ。

はあちゅう:途絶えてないよ。まだジャニーさんに呼ばれてないだけだよ(笑)。

霜田:そうですね、正確に言うと大学1年生の時に受けたジャニーズJr.の試験で、事務所の人が出てきて、「みなさんここに呼んだので、全員ジャニーズJr.研修生です。うちの事務所は1年とか経って呼ぶこともあるんで、そんなに焦らず待っててくださいね」みたいなことを言われたんで(笑)。

あれから10年経ってるんですけど、僕からすると、まだ待ちの段階なんですよ。失笑が起きてますけど(笑)。

はあちゅう:もう1個重ねていい?

霜田:はい。

はあちゅう:霜田さんのジャニーズになりたいエピソードの、お気に入りが本当にいくつもあるんですけど結構鉄板なのは、ジャニーズって、ファンクラブに入った人はマネージャーになれないんですよね。だから未だに超ジャニーズのファンでありながら、コンサートも行くんだけど、絶対にファンクラブには入らないっていう。

30歳とかになるのに、まだジャニーズのマネージャーっていう夢を捨てないんだなって思って。ある意味、夢に生きてるよね(笑)。

霜田:就活の時にもね、最終的な選択肢がやっぱりジャニーズ事務所のマネージャーだっていうのがあったので。そこはやっぱり汚さずに、ファンクラブに入らないでいましたけれども(笑)。

だから一旦はちょっとジャニーズJr.は保留しておこうと思って、就活の時期が来ちゃったので、就活の選択肢の中で1番ジャニーズに近いのはアナウンサーかなみたいな。最終的になれなかったとしても、テレビ局の総合職になれば仲良くはできるだろうみたいな。

はあちゅう:ジャニーズと接点できるよね。

霜田:そうですね。っていう感じで、テレビ局を受けてた感じですね。

「演出」が通用するのは最終選考前まで

はあちゅう:でも、その動機で最終面接まで行ったところがすごいよね。

霜田:最終まで行くと、もう熱意勝負なんですよ。それでやっぱりバレるんですよね。「こいつ本当はテレビ作りたくねえな」みたいなのは。その前までは、ある程度の局への知識とか、面接のコミュニケーションで勝ち上がれるんですけど、やっぱり勝ち上がってきて最終に残ってる人たちって、それなりの能力の人たちじゃないですか。

その中で、他の純粋なアナウンサー志望者とかと比べると、「こいつ何か出たい奴だな」とか、「ジャニーズになりたい奴だな」みたいなのは、やっぱり薄々気付かれてる感じはしたんですよね。

はあちゅう:そうだね。アナウンサーとアイドルはやっぱり違うもんね。

霜田:そうなんですよ。

はあちゅう:前に出る人と、引き立てる・人の味を出す人って、ちょっと違うから。

霜田:そう。だからよく、僕は自分のところにくる大学生たちに、「入りたい気持ちは演出しろ」みたいなことは言うんですけど、それは最終前までの話で、最終になっちゃうとやっぱり演出ではカバーしきれない物も出てくるんですよね……。

はあちゅう:本当に入りたいかどうかっていうのは問われるよね。

霜田:はい。

会社でのキャリアは自分の人生の一部

はあちゅう:自分が具体的にその会社で働いてる様子を思い浮かべるっていうことが、たぶん就活前には必要で、私もインターンをやってみて、「あ、私は、どんなにお金をたくさんもらっても、1日中エクセルはできない」って思ったりとか。

霜田:はい。

はあちゅう:前にコラムに書いたことがあるんですけど、就活やってるとどんどん、「もう、どこでもいいから拾ってください」みたいになってきて、自分が働いている姿をイメージできなくなっちゃうんです。かつ、「この会社に入れば俺は変われる」とか思っちゃうんですけど。

でも会社に入るから変わるわけではなくって、自分の今の人生の延長上に会社でのキャリアっていうのがあるから、「会社に入ることによってこれができるようになるかもしれない」とか、「これが好きになるかもしれない」で決めてしまうと、あとからその3倍ぐらい大変になるよね。

霜田:確かに。

はあちゅう:みんなが就活してない時に、転職活動を始めたりとか。ずっと悶々とした気持ちを抱えながら働くことになってしまうみたいな。

半径5メートルの野望

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