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青木耕平さんとザッソウ第1回 「28歳ぐらいまで、実家の子ども部屋にいたんです」(全2記事)

「28歳ぐらいまで実家の子ども部屋にいた」 クラシコム青木耕平氏が振り返る、20代の頃の意外な姿

ソニックガーデンの代表・倉貫義人氏と仲山考材の仲山進也氏が、毎月さまざまなゲストを迎えて「雑な相談」をするポッドキャスト『ザッソウラジオ』。今回は株式会社クラシコムの代表取締役・青木耕平氏がゲスト出演。「28歳ぐらいまで実家の子ども部屋にいた」という青木氏が、これまでの人生を振り返ります。 ■音声コンテンツはこちら

クラシコム・青木耕平氏をゲストに迎えて「ザッソウ」

倉貫義人氏(以下、倉貫):倉貫です。

仲山進也氏(以下、仲山):仲山です。

倉貫:『ザッソウラジオ』は、倉貫と「がくちょ」こと仲山さんで、僕たちの知り合いをゲストにお呼びして、雑談と相談の「ザッソウ」をしながら、ゆるくおしゃべりしていくPodcastです。今回のゲストはクラシコムの青木耕平さんです。よろしくお願いします。

青木耕平氏(以下、青木):よろしくお願いします。

倉貫:私は社外取でクラシコムに入らせてもらっているんですが、もう付き合いはだいぶ長くなりましたね。

青木:長くなりましたね。(2022年3月時点で)足掛け4年ぐらいですか?

仲山:この3人で集まったのは、2021年の「メタバースを試してみよう」の時。

青木:やりましたね(笑)。

倉貫:そうだ。

青木:さっそくね。ワークプレース出て、すぐあそこで3人で会いましたね。

倉貫:あれからもう1年経つの? はや。

青木:え、うそ?

仲山:1年も経たない。

青木:1年は経たないでしょう。あれは秋。

倉貫:経たないか。そうだよね、びっくりした(笑)。

青木:あれから1年経っていたら、本当に人工冬眠していたかと思う。

倉貫:(笑)。『ザッソウラジオ』は、いつもがくちょと僕でおしゃべりをして、ゲストの方に来ていただくんですが、よく登壇してしゃべるようなことはいったん封印してもらいます。

最近あったこと、ふだん考えていることとか、何でもないことを雑談しながら楽屋トークができたらなと思っております。これが『ザッソウラジオ』ですね。始めて間もないので、まだ手探りです(笑)。

青木:(笑)。これ自体が「ザッソウ」なのかな。

倉貫:これ自体が「ザッソウ」ですね。

青木:「雑な状態」なのか。

倉貫:僕は本当に、「この先どうやっていけばいいのか?」っていう雑な相談をしたいところ(笑)。ひっそりとやっていて、まだどこにもシェアも何もしていない状態です。

青木:そうだよね。

倉貫:しばらくひっそりとやって、ひっそりと終わるか長寿番組になるかは、ちょっとまだわからない(笑)。

毎朝、ため息をつきながら起きて働いていた日々

仲山:基本的には、ゲストの人が考え中なこととか、生煮えなトークをお持ち込みいただきたいっていう感じですね(笑)。「最近、何を考えているんですか?」とか。

青木:なるほど。じゃあ、けっこう雑に振ってくる感じなんですね。

倉貫:めちゃくちゃ雑に振っちゃって申し訳ない(笑)。

青木:いやいや、ぜんぜん。何を考えているんですかね。

倉貫:最近、どうですか?

青木:昨日も倉貫さんと話したんですが、最近はちょっと元気になってきたんですよね。半年ぐらい、だいぶ元気がなかったんだけど、年が変わって、特に1月後半、2月に入って元気になってきましたね。

仲山:それはどういうニュアンスなんですか?

青木:何なんですかね。本当にいろいろなストレスもあったとも思うんですが、振り返れば、どちらかと言うとバイオリズム的なことだったのかなという感じです。

いろんなことをすごく悲観的に考えちゃうし、「自分って本当に価値を出せているのかな?」みたいな。自信もないし、毎朝ため息をつきながら起きて、働いて、ため息をつきながら寝るっていう日々。初夏ぐらいから、年内いっぱいそんな気分だったんです。

“自分のパブリックイメージ”がわからない

倉貫:外から見た青木さんって、たぶんそんなイメージはあんまりないんじゃないかなって。

青木:そうかね? どういうイメージ……ぜんぜん話は変わっちゃうんですが。

倉貫:こういうのはぜんぜんオッケーです。

青木:僕、自分のパブリックイメージが本当にわかんなくて。

倉貫:あー。

仲山:(笑)。

青木:僕は根っこに空気の読めなさがあるわけですよ。大人になる中で修行を積んで、徐々にその予測精度を上げて今に至るけど、なんとなく自分がどういうふうに見えているのかが本当にわかんないタイプなんですよね。だから気にしないようにしているんですよ。わかんないと、本当は気になるじゃん。

倉貫:(笑)。気になる。

仲山:(笑)。

青木:だけど、わかんないことをいくら考えてもわかんないから、ある時から気にしないようになったらよかったんだけど。ただ、今みたいに「いや、そういうふうには見えないんですよね」って言われると、「ええ!? そうなの?」ってなっちゃうの。わかんないから(笑)。

倉貫:(笑)。どう思われているか、昔は気にするタイプだったってこと?

青木:まず入り口に「気にしなさすぎるところ」があって。

倉貫:あぁ、そっちか。気にしなさすぎるのか。

青木:空気を読めない・読まないので、いろいろなコンフリクトをいっぱい起こしちゃうみたいな。

「ナメられたくない」という、若さゆえのプライド

仲山:この前(自分のことを)「サイヤ人」って書いてましたよね。

青木:そう。でも、ものすごく若い頃ですよ?

倉貫:(笑)。

青木:ほぼ子どもみたいな頃はそういう感じがあって、「ちゃんとしなきゃ」って思い始めた。でも、気づいたのはだいぶ遅いですよ。25歳とかそのぐらい。

倉貫:いや、まだ若いんじゃない(笑)?

青木:若いんですかね。そのぐらいから「このままじゃまずいな」という気がしてきて、ちょっとずつ変わっていって。

倉貫:そのイメージもないわ。前にFacebookに書いた「サイヤ人」というのは、要は世の中に対してぶつかりにいっている感じ、ツッパっている感じってことなんですかね?

青木:ツッパっているというか、本当にそんなカッコいいやつじゃなくて、マジで怯えた小動物みたいな感じ。

倉貫:(笑)。

仲山:(笑)。「攻撃してきたやつにはかみつくぞ」みたいな感じ?

青木:「わからない」っていうのが怖いというか。今思えばだよ? みんなが何を考えているかとか、上手に空気を読めないとやっぱり不安じゃない。

倉貫:不安ですね。

青木:だけど変なプライドっていうかさ、若い頃って「ナメられたくない」というのだけあるでしょ(笑)?

倉貫:うんうん。

青木:だからムダに強めに間違えて出ちゃったり、ギャーギャー言っちゃったりするっていう。

倉貫:でも、僕も20代の頃はそんな感じだった。

青木:マジで? それは僕からしても意外だね。倉貫さんにそういうのは1ミリも感じない(笑)。

倉貫:今、話を聞いて自分の20代の頃を思い出して、「俺、まぁイキってたなぁ」と思って。

青木:そうなんだよね。

倉貫:いやぁ、ちょっと恥ずかしくなる(笑)。

青木:そういう感じもあって。でも、別にぜんぜん強いとかじゃないのよ。気も弱いし。だからバランスがおかしいんだよね。

倉貫:うんうん。

仕事がうまくいけばいくほど謙虚になっていく

倉貫:僕は謎に強気だったな。30歳を越えて起業して、仕事がある程度うまくいけばいくほど謙虚になっていく(笑)。

青木:でも、それはあるよ(笑)。

倉貫:何者でもなかった時、めちゃくちゃ強気だったな(笑)。

青木:やっぱり、やったことがないことが多いじゃん。例えば、今最もできないことの1つで言うと、政権に対して「こんなことをしているからダメなんだよ」とか、今の運営に対してどんどん言えなくなってくるっていうか。

ぜんぜんスケールは違うけど、ちょっと心当たりがあるというか。似たような難しい判断を思い出しちゃったりして、「俺もあの時、けっこう変な判断をしたんだよな」って(笑)。

倉貫:いやぁ、顧みる。

青木:顧みるよ。

仲山:ブーメランになって返ってきちゃうからっていうことですね。

青木:逆に仲山さんってどんな感じだったんですか?

仲山:僕も大差ない感じですね。

青木:そうなんだ(笑)。意外だなあ。

仲山:それこそチームビルディング的な視点がまったくなく、結果が出ないとめちゃくちゃ気持ち悪いっていうか。達成欲というか最上志向が強いみたいな感じなので、包丁を振り回して周りの人にけがをさせまくるみたいな。

青木・倉貫:(笑)。

仲山:なので、僕が今チームビルディングの活動を軸足にしているのは、「昔の自分に教えてあげたかったな」っていう思いがある。

青木:なるほどね。

「28歳ぐらいまで実家の子ども部屋にいた」

倉貫:前にがくちょが「チームビルディングの本を書けるのは、実はチームビルディングが苦手だから。自分が得意なことは本に書けないけど、苦手なことは習得したら本に書ける」みたいなことを言っていて。確かに僕も『ザッソウ』という本を書いているくせに、雑談は超苦手だっていう。

青木:ははは(笑)。

仲山:(笑)。

倉貫:今もそんなに上手じゃないんだけど(笑)。

仲山:雑談が得意な人は、そんなの言語化したこともないですよね。

倉貫:確かに、コミュニケーションが上手な人は、「コミュニケーションを大事にしましょう」という本は書かないかもしれないな(笑)。

青木:おもしろい。でも確かに、心理学とかを勉強した人に会って話してみると、もともと人のことがよくわかんなすぎるとか、そういうところから興味が始まっている人が多いよね。

仲山:だからライフワークになるところがありますね。

青木:なるんだよね。

倉貫:一生やっちゃうんだ。

青木:それはあるかも。そういう意味では、ずっとそういうところがあった。だけど、ちょっとぐちゃぐちゃっとしていた時があって、僕はずいぶん大人になるまで実家にいました。28歳ぐらいまで実家の子ども部屋にいたんでね(笑)。

倉貫:だいぶですね(笑)。

仲山:子ども部屋。

倉貫:そのまま10年、20年いたら、子ども部屋おじさんになるというか。

青木:そうそう(笑)。ほぼ子ども部屋おじさんだったのよ。

20代の時、父親からもらった手紙で気づいたこと

青木:僕があんまり元気がなかった25~26歳ぐらいの時に、親父が手紙を書いてきてね。76歳とか77歳ぐらい(2022年当時)の昭和の人だから、別に気の利いたことを言えるような人じゃないんだけど、ありきたりのお説教的なことを言ってくるのね。

その時に、「人生いろいろあるからね、落ち込んだりするのはいいんだぞ。だけどお前は男なんだから、妹とお母さんには心配かけるな」って書いてあったの。

倉貫:へえ。

青木:僕はその時は、そういうのを言われるのは大嫌いだったわけ。「男だから」とか。

倉貫:(笑)。

青木:過剰に反応しちゃうというか、「そんなの関係ねえだろ」みたいな。でも、25歳とかでそれに過剰反応するって、だいぶイタすぎて(笑)。今もしゃべっていて恥ずかしいんだよ。

倉貫:(笑)。

青木:そういうふうになりそうだったんだけど、たまたまその時に自分の中にストッと来てね。「なるほど。したいとかしたくないとか、正しいか正しくないかというより、役割としていったん引き受けちゃうことが、ちゃんと生きていくために大事なのかも」って急に思って。

今の時代的にはあんまり良いことじゃないのかもしれないけど。今から25年ぐらい前だと、「男なんだ」ということに代表される、強さ、度量、責任感とか、ひもづくものがいろいろあるじゃないですか。そういうのをちゃんと役割として引き受けてみようと思ったのよね。あれが自分的にすごく大きな転機でしたね。

倉貫:お父さんはどこまでの思いでそれを書いたのかっていうのはあるけど、そういうきっかけって、ありがたいっちゃありがたいですよね。

青木:そうね。たぶんそんなに深く考えるような人でもないので、僕が無様すぎて見るに見かねたんじゃない? それで、ちょっとしたお説教的に手紙を書いてきたんだけど、なんか自分の中でタイミングが合ったんでしょうね。

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