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150社落ちて居場所を見つけた(全6記事)

年齢を重ねるほど“居心地のいい場所”に引きこもりがち 大人になった今こそ「失敗」や「出会い」から得られるもの

就業支援施設「OSAKAしごとフィールド」が主催したイベントに、日替わり店長の喫茶バー「週間マガリ」を運営する小西亮氏が登壇。就活で150社落ちた経験をもとに、自分にフィットする働き方を見つけ出した小西氏のこれまでのキャリアを振り返ります。本記事では、「週間マガリ」10周年を迎えた今、小西氏の思いを明かします。

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起業から10周年の今、チャレンジしたいこと

岡田花枝氏(以下、岡田):締めようとしてはりますけど、あと1個だけ。

小西亮氏(以下、小西):(笑)。ぜんぜん、いくらでも大丈夫ですよ。

岡田:ほんまですか。あと1個だけ聞かせていただきたいものがあります。実は2つの質問で迷ってるんですよ。小西さんがお話ししやすいほうもあると思うので、2つ言うので小西さんが質問を選んでくださいね。

1つめが「これからチャレンジしてみたいことはどんなことですか?」。2つめは「一番好きな本はなんですか」って。2つのどっちかに答えてくれはるとうれしいです。

小西:どっちもむずいっすね。僕はこの質問で150社に落ちましたからね。

岡田:そうなん?

小西:いや、そうでもないですが。

岡田:チャレンジしたいことか、一番好きな本か。どっちでもいいです。

小西:どっちも答えるんですが、チャレンジしたいことは、ちょうどうちの店が(2023年)10月に10周年なんですね。

岡田:おめでとうございます。

小西:でも、また頭を打ちそうな感じがしますよね。

岡田:そうなんですか?

小西:わかんないですけど、大きなイベントをやるたびに頭を打つので。

岡田:気づきがあるんですね。

小西:そうです。そういう意味でも楽しみですよね。

岡田:その時にチャレンジしたいことがおありってことですか?

小西:チャレンジってほどでもないんですが、うちの店での1ヶ月分のスケジュールを1日でやってしまおうというのがあって。けっこう大きい会場を借りて、1日で30個の企画をやる。ごめんなさい、普通に宣伝みたいになってますが大丈夫ですか?

岡田:ぜんぜん。けっこうです。

小西:10月7日、お待ちしております。チェックしてください。

岡田:わかりました。

もし起業していなかったら、何をしていた?

岡田:じゃあ、もう1個だけ。事前質問を頂戴してたのに、読むのを忘れるところでした。危なかったです。2つあるので、お答えいただいてもいいですか。

小西:はい。「ファイナルアンサー」みたいになってますよ。

岡田:1つめが「小西さんがお店を起業していなかったら、何をしていたと思いますか? そしてもし今、お店ができなくなってしまったら何をされますか?」。

小西:同じ答えやと思うんですけど、今の店もゴリゴリに自分にチューニングしてるタイプの店なので、たぶんこれより向いてる仕事ってありえないですね。なので、この仕事を辞めたらほんまにちょっと怖いです。フリーターになれるかも怪しいですよ。でも、結婚相談所とかはやってみたいですね。

岡田:もはやできそうな気がするな。

小西:こんなやつに結婚相談やられたくないやろって感じなんですが、結婚相談所、わりと自信ありますよ。

岡田:そうそう、言ってましたよね。気になられた方は、小西さんの婚活・恋愛アプリの話をぜひお店に聞きに行ってみてください。これが、3時間(の事前打ち合わせ)でお話をした中で最も盛り上がったお話なので。

小西:そうです。マッチングアプリコンサルをやろうかなっていうぐらい。

岡田:そうですね。今回の趣旨とぜんぜん違うから、またの機会に。

小西:そうですね。続きは店でという感じですけど。

岡田:やけど、その話につながって良かった。

小西:ちょっといやらしいんですが、結果だけ言ったら全敗してるので、何もコンサルじゃないっす。

岡田:そうなんよなぁー。

小西:失敗談を聞きたい方、ぜひ!

岡田:結果を残してないんでね。

小西:なんも結果を残してない。

「週間マガリ」のブランディング

岡田:……ということは「お店ができなくなってしまったら」というのは、今は考えられないって感じですね。

小西:そうですね。そういう意味では、天職やからありがたいですけどね。僕は転職もできないと思います。僕は飲食店をやってるんですが料理も一切作れないですし、他の業態どころか、自分の店以外じゃたぶん何も思いつかないですね。

岡田:わかりました、ありがとうございます。最後にもう1つ聞かせてください。「週間マガリ」の名前の由来や、お店のブランディングについて気をつけていることがあれば教えてほしいです。

小西:ブランディングも、うちの店を長いことしてるとけっこう変わるんですよね。さっきの本屋もそうなんですが、同じ業態でやってしまうと限界があるので、うちの店はけっこうコンセプトが変わるんです。「日替わり店長の店」っていうのは変わらないんですが、それがコンセプトかな。

23歳の時に店を始めたんですが、ずっとやってたらもう35歳なんですよね。客層もどんどん上になっていくし。これはたぶん、どこの店もそうやと思うんですけど。

自分の趣味を詰め込んだ結果、SNSで話題に

小西:コロナ中の緊急事態宣言でやることなさすぎて、セカンドストリートっていう古道具屋みたいな古着屋があるじゃないですか。大阪中のセカンドストリートに行ってガラクタ集めをしたんですよね。

別にその時はそんなつもりなかったんですけど、コロナ中やることないから平成レトログッズみたいなのを店に飾って自己満足でやってたら、それがバズって。今は平成レトロブームっていうのも知らなかったんですけど、10~20代の人を中心に若い方が来てくださっていて。

これも、さっきの失敗の話につながると思います。「日替わり店長の店」だけで始めて、もちろん今もそれでやっているんですが、箕輪さんとの対談で意識高い業界の人たちと仲良くなる時期もあれば、「恋人イナイイナイBAR」というフェスをやっていろんな人が来てくれたり、本屋が失敗して本が増えたり、平成レトログッズが増えたり。

常にいやしくいろんなものを取り入れていくのが、うちの店のブランディングかもしんないですね。

岡田:なるほどね。小西さんが興味があって、好きでやりたいことがブランディングの根底にあるって感じですかね。誰かに合わせるんじゃなくて「自分が」っていうところがありそうですか。

小西:本屋巡りも、セカンドストリート回りも、基本的にもともと自分の趣味なので。趣味を突き詰めてるし、それを形にできる箱を自分で持ってるので。どん欲じゃないですけど、うちの店は(自分の趣味を)取り入れていきやすい業態かなって感じですね。

「週間マガリ」という店名の由来とは

岡田:「週間マガリ」という名前の由来は何かあるんですか?

小西:「週刊少年マガジン」「週刊少年ジャンプ」ってあるじゃないですか。あれにかけてるんです。もともとは日替わりというよりかは、1週間で7人の店長がいて、月曜の店長、火曜店長みたいなに人が間借りで店長をしてるから「週間マガリ」という名前ですね。

岡田:コンセプトが一致してたんですね。

小西:そうなんですよ。それでやってたんですが、店長が増えすぎて。今は週間どころか日間状態です。

岡田:なるほど、ありがとうございます。小西さん、1つお伝えしないといけないことがあってですね……。

小西:怖いっすね~。

岡田:とっても優秀なスタッフが私たちにはついておりまして、こういうね、メモをくれたんですよ。先ほど10周年は10月7日とおっしゃってたけど、10月9日らしいですよ。

小西:いいでしょ、この詰めの甘さ。本当、危ないっすよ。

岡田:危なかった。すごいでしょ。私らにはこんなバックがついてるのでよかったです。

小西:だからみなさん、OSAKAしごとフィールドに今すぐ行きましょう。

岡田:(笑)。ありがとうございます。小西さん、本当にたくさんの質問に答えてくださって、むちゃくちゃうれしくてもっと聞きたかったんですが、時間になっちゃったんですよ。

小西:本当ですか。岡田さんもありがとうございます、

岡田:むっちゃ早くなかったですか? 今、時間を見てびっくりした。

小西:いや、本当に今日は面接の気持ちで来てるので。

岡田:ちゃうやん。むっちゃ楽しくお話しできたと思ってますので。

小西:本当にありがとうございます。岡田さんのおかげですね。

岡田:本当ですか。とんでもない。ありがとうございます。

年齢を重ねるごとに“居心地のいい場所”に引きこもりがち

岡田:最後に「これだけは聞いてくださってる方に向けて伝えたいな」とか、何かメッセージがあればぜひお願いしたいです。

小西:偉そうなんは重々承知しているんですが、さっき「失敗の球数」という言葉を言いました。具体的に失敗ってどう失敗すんねんみたいな、失敗することもけっこう難しいじゃないですか。

その1つの答えというか、店の宣伝でもなんでもないですけど、うちの店のコンセプトの「ヘンな出会いがきっとある。」もそうなんですが、年々どんどんと腰が重くなってくると思うんです。

自分の居心地のいいところだけじゃなくて、1歩踏み出すじゃないですけど、今まで関わってこなかったコミュニティやカルチャーに踏み込んでいくっていうのは、意外と一番手っ取り早いかなっていうのがあって。それはOSAKAしごとフィールドさんなのか、怪談バーなのか、うちの店なのか、無限にあると思うんです。

僕も例外なく、年々どんどん居心地のいい……いや、僕の場合は自分の店が居心地が良いから、どんどん引きこもってしまってるんですが、どんどん踏み出していくのはコスパ的な面でも一番いいかなと。みなさん、変な出会いやっていきましょう。ちょっともう半笑いですけど。

岡田:いや、今の良かった。

あえて“興味のないもの”に触れると得られるもの

小西:宣伝でもなんでもないですけど、今回のOSAKAしごとフィールドさんのラインナップがほんまに豪華で、いろんな方が出るじゃないですか。半分以上の方が知ってるんですけど、ある意味一番興味ない人を見に行くのはいいかもしれないですね。

岡田:事前情報がないから、得るものがありそうってことですよね。

小西:「この人が好きやから行く」っていうのも、それはそれで楽しみ方だと思います。ただ、今日僕の講演を見に来てくださった方もそうなんですけど、ある意味これが変な出会いかもしれないですね。

あえてわけわからんやつのとこに来てくださってるので、たぶん学ぶことは何一つなかったと思うんですが、何かを持ち帰ってもらえれば。

岡田:とんでもない。ちょっと待って、なんで茶化すんですか。今、むちゃくちゃいいこと言うてくださってたのに。

小西:他の登壇者の方がもっと良いことを言ってるので、僕から言えるのはむしろそれだけですね。みなさん、一番興味のないとこに行きましょう。

岡田:ありがとうございます。むちゃくちゃいいエピソードやし素敵。「そうじゃないと得るものも得られないよ、だから一歩踏み出してください」っていうところが、本当にいろんなところに踏み出していかれてた小西さんだからこそ、すごく熱さを感じました。最後の一言、むっちゃよかったです。

小西:ほんまっすか。ただ、今言って後悔してます。興味のないところ行ってくれていいんですが、「小西っていう人が『興味のないとこに行け』と言ったから」とは、みなさん絶対にコメント欄とかに書かないでください。

岡田:気をつけてください(笑)。

小西:そこだけはよろしくお願いします。

岡田:ありがとうございます。なんかむちゃくちゃ時間が早かったんですが、小西さん、長時間お話しくださってありがとうございました。

小西:本当にありがとうございました。

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