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「1日4件」の会議と「フルリモート」は高ストレスの温床 -それでもリモートワークのメリットを活かした企業の秘策-(全4記事)

いつの間にか“スキマ時間”が消失し、会議まみれのカレンダー テレワークでムダな会議を減らすコツと、「45分会議」のすすめ

自律神経を測定することで、無自覚のストレスも可視化するアプリ「ANBAI」を用いた調査では、「1日4件」以上の会議を境に、高ストレス者が急増することが明らかになっています。また、東京医科大学の調査では、フルリモートワークでは生産性が下がることもわかりました。リモートワークの「やり過ぎ注意」の調査を発表した産業医の解説を交えながら、それでもリモートワークを続ける企業の秘策に迫ります。本記事では、リモートワークでも健康的に働くためのポイントについて、各社で行われている施策を解説しました。

ストレス度の見える化で、会議のリスケが気軽にできる

日比谷尚武氏(以下、日比谷):ここからは各社の施策をうかがっていこうと思っていて、みなさんにもまとめてきていただきました。会議を減らしたり、増えてしまってもうまくやっていくために工夫されているそうなので、5分ずつぐらいでお願いします。

加勇田雄介氏(以下、加勇田):弊社でやっていることなんですが、先ほどからご紹介させていただいている「ANBAI」というアプリを使っているんですけれども、ストレス評価の一部をSlackのステータスに自動反映しています。

志村哲祥氏(以下、志村):自動なんだ。

加勇田:自動です。もちろん、本人の同意は得た上で反映をしています。これをやってよかったなと思うのは、ステータスを見て「今日の会議、リスケしましょうか?」という、周りからの声掛けが発生するようになったんです。

もちろん「今ステータスがヤバいので、今日の会議リスケさせてください」みたいなことも起こっているんですが、周囲から促されるようになったのはすごく大きいかなと思っています。なぜかというと、左側の円グラフ。まさに私がこれなんですが、高ストレス者の特長の2つ目として「大丈夫」が口癖の人が多い。

日比谷:「ダメです」と言えない、みたいな。

加勇田:そうです。なので、会議を断るのが苦手な人たちが多いんですね。私もそれなので、周りから「リスケしましょうか?」と言われると、むちゃくちゃありがたいなというところがありますね。今日はギリギリ(会議が)3件なんですが、実際に今日もリスケしていただいた会議もある。非常に助かってる減らし方です。

日比谷:ありがとうございます。

沢木恵太氏(以下、沢木):僕はどちらかというと、「ここに隙きがあるのでもう1個入れていいですか?」と言っちゃうタイプなので、HPを書きたいなと思いましたよね。

日比谷:アプリで取ったのが、自動でSlackに連携して見えるようになる。

加勇田:そうですね。

志村:おもしろい。

加勇田:ありがとうございます。

ムダな定例会議をなくすために

加勇田:大塚さんと沢木さんにおうかがいしたいんですが、今日のイベントのためにカレンダーを分析してきたんですね。

そしたら「会議が多い」というのは、だいたい定例が入っているんですよ。定例会議がガンガン入って、そこにイレギュラーに何件か入っていくと4件になっちゃう、ということがわかったんです。おそらくお二人とも重要なポジションなので、定例会議ってめちゃくちゃ多いと思うんですよ(笑)。

日比谷:定例会議ってどうやって減らしていますか?

沢木:意外と定例は多くないかもしれない。

大塚万紀子氏(以下、大塚):私も定例は多くないです。

加勇田:どうしてそんなに少ないんですか?

大塚:みんな定例って嫌じゃないですか。

加勇田:嫌です。

大塚:小さな会社だというところもあるんですが、会議の“因数分解”をしています。例えば情報の共有であれば5分くらいで済むものなので、Slackに役割を持たせる。会議からはそのアジェンダは外してしまう。

例えば、沢木さんと打ち合わせがあるとすると、私と沢木さんで話せばいいことなので、定例で全員を巻き込む必要はないですよね。それも定例会議のアジェンダから引き離していくと、定例で話さなきゃいけないことがほぼなくなってくるので、「定例会議をやめようね」という合意がみんなで取りやすくなります。

日比谷:ありがとうございます。

リモートワークでは“スキマ時間”が減りがち

大塚:沢木さんはどうされていますか?

沢木:定例に出席することをマストにしない方法があると思っていて。「自分はこの定例会議に参加しなくてもいいな」と思ったら休めるようにすると、本当にムダな定例から人がいなくなっていくんですよね。

(一同笑)

加勇田:なるほど。

沢木:「別に自分は必要じゃないよね」と判断して、自分でコントロールできるので、僕も社内のメンバーの一部も、そういうふうにコントロールしている人もいるなと思います。

日比谷:(時間が押しているので)各社の比較のところはテンポよくいきましょうか。

加勇田:そうですね。

日比谷:今、会議ダイエットの話をすでに大塚さんからお話いただきましたが、OKANさんでもいろいろ施策をしているそうなので、お話ししてもらっていいですか。

沢木:会議が増えていくと、「隙間時間が1時間しかありません」というふうになるわけですね。よくリモートで起こるのが、1時間の中で休憩もしなきゃいけないし、食事の準備もしなきゃいけないし、食べることもしなきゃいけない。

それをやろうとすると、全部を賄いきれずに「素うどんで済ませましょう」とか、結果として欠食をする、食べないということが起きるんですよね。そうすると、みなさんご存知ですか? 末梢時間というものが……。

(一同笑)

沢木:末梢時計というものが狂ってしまうと。なので、我々のサービスを使っていただくといいんじゃないかと思っています。個々で食べられるように、先ほどのように産休の時に家に送ってあげるとか、企業向けのサービスを同州してる企業の従業員さんだと買って家に持って帰ったりしているんです。

テレワークの休憩時間で、きちんと食事を摂るのは難しい

沢木:もう1つは、どうしてもリモートワークではコミュニケーションが取りづらいので、せっかくならみんなでオンラインで集まって、同じ釜の飯を食うことをしましょうか、という取り組みをやっていたりします。

表示いただいているスライドにあるように、自社向けにはこういったものを送れるような機能を私たちのサービスが提供しています。企業で導入していなくても、ご自宅向けに日持ちする惣菜を届けるサービスもやっていますので、こういったものを活かして「欠食をどうなくすか」ということをやろうとしています。

企業も自宅に介入して支援できるわけではないので、生活習慣の運動、食事、睡眠、どれが一番支援しやすいんだっけ? となった時に、食事は比較的勤務時間中にやっていたり、わかりやすくサポートしやすかったので。我々のサービスじゃなくてもいいんですが、企業さまの支援の方法としてもおすすめかなと思っています。

日比谷:冷静に考えると、テレワークで(食材を)買いに行って、戻って作ると考えると、ランチタイムを1時間厳密に取るならば、その中で済ませるのはけっこう億劫だったり、「難しい」となっちゃいますね。

沢木:難しいと思います。「テレワークになったことで欠食が増えた」という統計データを見たことがあるので、事例としてけっこうありそうです。

日比谷:睡眠、食事、運動の中で、特に食事を支援するという観点でこういうやり方もあるということですよね。

沢木:そうですね。

テレワークで「高ストレス」状態になりやすい人

加勇田:会議が増えても、1日4件こなしても高ストレスにならない人がいたので、何をやっているのかを調べたデータがこの2つですね。

具体的には、2つのインターバルを取っているところがポイントで、1つ目が左側ですね。「勤務間インターバル」と言われるもので、ここはワーク・ライフバランスさんが政府にも提言をしている内容になるんですが、1日7時間以上の睡眠時間確保を目指している施策なんですね。

テレワークで高ストレスだけども気付いていない方たちと、低ストレスの方を比較すると、睡眠時間を確保できていない人は、如実に高ストレスの方に多かったことがわかりました。

右側がもう1つのインターバルで、「会議間インターバル」と言っているんですが、会議と会議の間に5分、10分ぐらいの休憩を入れることです。会議間インターバルと言っているんですが、これも高ストレスの方と低ストレスの方で如実に差が出ていまして、高ストレスの方だと、休憩できている方がだいたい40パーセントぐらいですかね。

それに対して、低ストレスの方は75パーセントぐらいが(会議感インターバルを)確保できていることがわかってきたので、会議と会議の間に5分、10分休憩入れるだけでもだいぶ違います。

会議時間を「45分」に設定している理由

大塚:おっしゃるとおりで、私たちは社内で会議間インターバルをすごく大事にしています。Googleカレンダーだと、60分が会議のデフォルト時間だったので、60分めいいっぱい会議していたんです。

そうすると何が起こるかというと、10時、11時で会議の時間、12時までに2回というふうに、インターバルなしでやっていました。頭をリフレッシュする時間が取れないんですよね。

なので、今は会議を設定する時は45分をデフォルトにしています。45分という話をすると、「なぜ30分じゃないんですか?」というふうにご質問いただくんですけど。

加勇田:(笑)。

大塚:30分の会議にすると、人間の心理として「10時半から空いてるじゃん」と思ってしまうんですよ。

沢木:本当これです(笑)。

大塚:「ほぼ1時間埋まっているな」と見せかけるために、45分会議というのを大事にしています。

日比谷:(スライドの)右側だと、隙間なく埋まっているように見えますね。

大塚:「さすがに15分だと相談しづらいな。また別の時間を探そうかな」というふうに、アサインする側も配慮ができるという、そんな事例をご紹介させていただきました。

日比谷:ありがとうございます。

週末の「寝溜め」には要注意

日比谷:(スライドを指しながら)これは加勇田さんかな?

加勇田:そうですね。先ほどのように、ストレスの状態を社内で見える化したんですね。「ヤバい」というのがバレるので、どうしたらちゃんと正常に戻せるかなといろいろやったところ、1つ良かったのが、週末の寝溜めをなくしたことなんですね。(スライドを指しながら)私が週末と平日でどれくらい睡眠の差があるかというと、12分なんですね。

日比谷:短い。

加勇田:「2時間以上差があると、ちょっと危ないですよ」というアラートの1つの基準になっているので、そこと比べるとほぼ差がない状態になっています。

今日みたいな時は例外なんですが、1日4件以上会議をこなしていても、高ストレスとは判定されなくなりましたね。ということで、ぜひ週末の寝溜めは避けていただけるといいのかなと思っています。

日比谷:ちゃんと8時間寝ているんですね。

加勇田:そうなんです(笑)。

(一同笑)

志村:しっかりと。

日比谷:ありがとうございます。

コロナ禍以降のテレワークの難しさ

日比谷:そもそも会議を詰め込みすぎないようにするというのもあるし、志村先生がおっしゃったように、生活習慣というか、足を引っ張るようなことが起こらないように、自分や会社の仕組みでカバーする。

会議が多くなったら多くなったで、寝過ぎないようにするとか。仕組みやメカニズムを知った上で、いかに起こらないようにするか、起こっちゃった時にどう補うかという観点は必要だと思いますね。ここまで、一通りメカニズムといろんな事例をおうかがいしていきました。

もしここで聞いておきたいこととか、気になったところがある方がいたら、チャットで送っていただければお受けしたいと思います。質問が1個ありましたね。「大塚さんの会社はほぼテレワークだと思いますが、問題は起きていませんか?」。

大塚:問題とは……何だろう?

日比谷:(笑)。

大塚:当然のことながらいろんな問題は起きていますけど、どんな問題が起きているかというと、実は弊社の場合は東日本大震災の手前からテレワークを採用しているので、このコロナ禍を理由にテレワークが始まったわけではないんです。

ただ、社会全体がテレワークになった中で、一歩も外に出れないフルリモートは当然のことながら初めての経験でした。ですので、自分の意思さえあればチームの仲間と会える状態から、自分の意思とは別のところで、チームの人と対面では会えないという制約の中で選択するテレワークは、けっこう難しかったなと思っています。

日比谷:選択肢としてのテレワークじゃなくて、強制的にみんながテレワークになることは想定されていなかったので、ちょっとそこは大変だったと。

オンラインとオフラインの使い分けでメリハリをつける

大塚:おそらくお客さまは対面を望まれている中で、私どもがテレワークを提案したい時にどうするか、という意図もこのご質問の裏側にはあるのかなと思うんですが、まず最初に対面を拒絶はしていません。(対面とリモートを)うまく使い分けています。

やはり、人対人で成立するのがコミュニケーションですので、今日もみなさんと同じ会場で私はうれしいと思っています。この感じを確認し合いながら、チームを作っていくことがとても大事なので、対面を大事にしたい時もあります。

一方で「わざわざ対面じゃなくても良かったよ」というものに関しては、お客さまに「ご安心いただいて大丈夫ですよ」と申し上げながら、オンライン会議を使いながらハイブリッドで進めるという強弱を付けています。

対面とオンラインが1日の中にあると大変なので、「今日は対面の日」「今日はオンライン」とか、もしくは「午前中はオンラインで午後は外に出る」というふうに、時間を上手にコントロールしていく必要があるかなと思っております。ご質問の答えになっていましたでしょうか。もし足りないところがあったら、またチャットでお知らせください。

日比谷:大塚さん、ありがとうございます。

「リモート派」と「出社派」が共存するためには

日比谷:もし、他にご質問ある方がいれば。

大塚:私、1個あります。

日比谷:はい、大塚さん。

大塚:OKANさんのあのおかず、私も欲しい。

(一同笑)

沢木:そうですね。もともとはオフィスで提供することが前提だったんですが、会社じゃない場合は、個人で購入して自宅にお届けできるサービスもあります。これはLINEで簡単に契約・注文ができるものなんですが、1ヶ月日持ちして、栄養バランスを摂れて、添加物もあまり使っていない製品なので、ご活用いただければと思います。

日比谷:最後に「コロナが落ち着いてきたら、リモート派と出社派がうまく共存するポイントはあるんでしょうか」。これはどうでしょうね?

沢木:うちは自由選択制にしているので、出社を好んでやってくれているメンバーとそうじゃないメンバーがいるんですが、私たちの会社ではあまり問題が起きていません。

なぜかというと、会社として「こっちにしてくれ」とは明言していないからですね。どっちがよくて、どっちが悪いのかということをあえてやっておらず、基本は出社をしていても会議はオンラインのミーティングをします。

出社している人には、個別にきちんと感謝を伝える

沢木:ただ、全員が出社している場合は対面でやったりするけど、かなり融通を効かせて「どっちでもいいよ」というメッセージを出しているので、あまり問題になっていないのかなと思います。

ただ、経営としてこれを良しとするかは会社の思惑があるんじゃないかなと思います。それくらいの緩さにしたほうが、僕はいいんじゃないかなと思っています。

大塚:私からも1点だけ。出社派にはそれなりに大変な作業があったりするんです。郵便物の受け取りとか、わざわざ出勤していただいているので、出社している人にはすごくお礼を言います(笑)。

(一同笑)

大塚:すごくシンプルなんですが、「いつも本当に助かっています」ということを個別に伝えるのは、ベーシックなポイントかなと思いました。

日比谷:ありがとうございます。いろいろとお話したいんですが、時間になりましたので、いったんここでお開きにします。

志村先生からも資料でお伝えいただいたように、リモートやテレワークで起こるデメリットやリスクをわかっていれば、理解や対策の解像度が上がっていくのではないかと思います。あっという間でしたが、みなさん今日はありがとうございました。

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