2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:それではみなさま、大変お待たせいたしました。本日のゲストをお呼びしたいと思います。F太さんお願いします。どうぞ!
F太氏(以下、F太):「ひらめきメモ」のF太と申します。どうぞよろしくお願いします。
司会者:ありがとうございます。F太さん、本当にすてきなお召し物で、夏って感じです(笑)。
F太:(笑)。そもそもほとんど出かけないので、家で着る服は何でもいいんじゃないかって思った時に、和服を着てみたいなって思い始めまして。着てみたら和服ってすごく楽なんです。日本人の体型にぴったりです。
司会者:良いです。視聴者の方も風情を感じて楽しんでいただけるんじゃないかと思います。
F太:ありがとうございます。山本さん(司会者)のイントネーションを聞いて、「そうだ、今日は大阪の方と仕事してるんだ」ってあらためて実感いたしました。
司会者:ありがとうございます。今日は関西圏の方を中心にご視聴いただいてると思います。
F太:ありがたいです。関西もイベントで伺わせていただいたことがあって。僕は東北出身なんですけれども、東北の人間からすると「グイグイ来られる方が多いのかな」と思っていたんですが、すごく優しく迎えていただいて。
今日のテーマにもなってくると思うんですけれども、「コミュニケーション」のレベルがすごいなって思いました。レベルっていう言い方もちょっとあれかもしれないんですけど。
司会者:地方ならではの独特な距離感があると思うので(笑)。オンライン上ですけども、みなさんと距離近く(お話いただければと思います)。
司会者:すでに視聴者からコメントいただいてますけども……。
F太:ありがとうございます。いろいろコメントいただいて、本当に見ていただいてるんだなってわかってすごくうれしいです。
司会者:ありがとうございます。ではあらためてF太さんのプロフィールについてご紹介します。
1984年宮城県生まれ。大学を卒業後、公認会計士を目指すが勉強がはかどらず、その不安をTwitterで解消していたら、試験には落ちたがフォロワーが増え始める。
その後、仕事をクビになったりしながら、その苦悩を発信し続けていたところさらにフォロワーが増え、作家として独立。2020年4月に出版した共著『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』は、発売後2年経った今も多くの方に読まれ続け、10万部を超えるベストセラーになっています。こちらお間違いないでしょうか?
『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』 (サンクチュアリ出版)
F太:はい、ありがとうございます。
司会者:今コメントでも「まさかお顔拝見できるとは思ってませんでした」っていただいてるんですけど。
F太:ラジオとかは(顔出しせずに済むので)すごく好きなんですけれども、身だしなみを整えるのがすごくめんどうで。出かけるのどころか、顔出すのすらどんどん億劫になって(笑)。こんなめんどくさがりやでもわりとなんとかなるんだぞ、っていうのを少しでも伝えられたらいいなとは思いますね。
司会者:ありがとうございます。
司会者:あらためてF太さん、現在の肩書きについて「作家」とお伝えしたんですけども、最近ではどんな活動をされているのか、おうかがいしてよろしいでしょうか?
F太:一応、本を出させていただいて、多くの方に読まれたので、作家と名乗らせていただいてるんですけれども。僕自身は本当にずーっと「自分は何をして生きてるんだろう」ってぜんぜんわからなくて、肩書きを定めることができずに今まで生きてきている人間です。
どうやってお金を稼いでいるかというと、友人と一緒に会社を経営しているんです。もともとフリーランスだった者たちが集まって会社にしてしまえば、経理とか一括できて便利じゃね? みたいな感じのノリで集まって、稼いだものを同じ場所に集めて、みんなで同じ給料でやってく感じで続いている会社です。
そこで僕自身は何をやってるかというと、インターネットで文章書いたり、Twitterをしたり、最近だとオトバンクさんと一緒にやってる「オーディオブックカフェ」というラジオがあるんですが、そこで話していたり、たまに本を書かせていただいたり。
あとは会社で提供しているタスク管理ツールを宣伝をしたり。最近だとパートナーがお菓子作りをがんばっているのでそれを手伝ったりとか、もう本当に自由気ままに、好き勝手やらせてもらってる感じです。
司会者:なるほど、ありがとうございます。会社経営は、ご自身のTwitterで(発信している)タスク管理とかに関する会社なんですか?
F太:会社で提供してるのは「TaskChute(タスクシュート)」というツールなんですけれども、これもまたおもしろくて、24時間ぜんぶの行動を記録するツールなんです。
司会者:おもしろい。
F太:トイレに行ったら「トイレ」というタスクがスタートする、爪切りを始めたら「爪切り」というタスクがスタートする。このツールを使ってる方はみなさん、自分が爪切りにどれぐらい時間がかかるとか知ってるんですよね。僕はだいたい2分ぐらいです。
司会者:レコーディングして、どれぐらい時間かかってるのか(がわかるんですね)。
F太:そうです。
F太:自分自身が本当はどれぐらい仕事してるのか、リアルな数字がわかるんですよね。けっこう驚愕しますよ、ぜんぜん働いてないので(笑)。
司会者:確かに。今コメントに「TaskChuteを利用させていただいてます」って方も。
F太:おお、ありがとうございます! びっくりしますよね。こんなに働かないもんか人間はって。けっこうおもしろいのが、生きるために必要な活動として、まず3分の1は睡眠に取られます。残りの時間の半分も、食事とか家事とか、生活に必要な時間として取られるんですよ。
だから自由な時間ってほんのちょびっとしかないんですよね。記録を取ることでそれが現実としてまざまざと体感できるんで、それによって、良い意味で諦めがつく感じがしますね。
司会者:確かに。自分が仕事できないというより、そもそも時間ないじゃんってことに気づける。
F太:そうなんですよ。今日もご相談で「フリーランスをやるべきか、会社で働くべきか」というご相談をいただいているのですが。フリーランスになったからって時間が増えるかっていうと、意外と増えないんですよ(笑)。
司会者:逆に忙しくなられる方もいますよね。
F太:そうなんですよね。そういうリアルな話とかもできたらいいのかなと思いますね。
司会者:ありがとうございます。今までF太さんが生きてきた中で見つけ出した仕事術やライフハックをもとに、「どこか生きづらさを感じているな」と思われてる方々に向けて、少しでも軽快に生きるコツをお話しできたらと思っています。よろしくお願いします。
先ほどの話もかなり興味深いので、F太さんの経歴についてお聞きしてから、いただいている質問や相談に触れていきたいと思います。
F太:ぜひチャットでもご質問やコメントなどいただけたらうれしいです。
司会者:先ほどおうかがいしていたF太さんの肩書きやご活動を断片的に見ると、本当に羨ましい働き方だなって感じる方も多いのではないかなって思うんですけど。
プロフィールでも触れた「仕事をクビになった」という経験は、現在のF太さんからはなかなか想像つかないのではないかなと思います。この時のお話を、もう少し詳しく聞いてもいいですか?
F太:僕は大学を1年浪人して入っているんですけれども、その後の就職活動にぜんぜん身が入らなくて。でも「就活してない」っていうステータスが嫌だったんで、今思えば当時の自分は「就活をしていない自分を肯定するために何をしたらいいだろう」って考えたんでしょうね。
就活しない言い訳として大学院に進む道を試したんですけれども、英語の勉強がはかどらず断念しました。そして公認会計士という国家資格があることを知り、それは頑張れば2年ぐらいで受かるらしいと当時は言われていて。それで「国家試験を目指しているってかっこいいかもしれない」って、当時思ったんです。
親とか友達には、もっと崇高な理由や将来像を語っていた気がするんですけど、10年経って振り返ってみると、あれは明らかに就活したくなかっただけだったなって思うんですよ(笑)。
F太:10年くらい前のこと振り返ってみると、すごく偉そうなこと言ってたけど、実は本質的な悩みから逃げようとしてたということ、けっこうありませんか?
司会者:ありますね。「つまり、逃げたかっただけやろ」みたいな。
F太:本当そうなんですよ。それを認めるのにちょっと時間はかかるんですけども。今僕はもう38歳なんですけれども、だいたい10年前を振り返ると、その時真剣に悩んでたことって、10年後ってわりとどうでもよくなってる。
今は「すっごい深刻だな」って思うものも、10年経ったらどうでもよくなるんだろうなって見通しが立つ。そうやってちょっと客観的に見れるようになるのは、歳をとるメリットかなと思ってますね。
司会者:なるほど、ありがとうございます。
F太:で、公認会計士試験には落ちました。でも例えば税理士になる道とか、公認会計士試験に落ちても他の道はあるんですけれども、そういったところに申し込んでもぜんぜん受からず、落ちてからの就活はすごくしんどかったです。
でもそこで諦めがついた。「そっか、僕自身、いわゆる税理士とかそういう業界には求められてないんだな」ってひとつ諦めがついたんです。
当時はもう上京してたので、「食べていくために何ができるだろう?」って考えた時に、昔からよくコールセンターでアルバイトしていたので、「コールセンターだったらできるだろう」と思って、コールセンターで働き始めたんですよね。
F太:ただ、試験勉強ばかりで他人とコミュニケーションをほとんどとっていない時期が長かったもんで、しゃべること自体もだいぶ久しぶりだったんです。資格試験の勉強してただけあって、勉強はけっこう得意になっていて、座学では成績良かったんですけど。
でもいざ実際に電話をとってお客さんの対応をするという時に、頭が真っ白になっちゃって、何もしゃべれなくなっちゃったんですよね。「確認しますので少々お待ちください」って保留にして、上司に「すいません、ちょっと何もできないです」って言った時の、あの時の上司の顔。今でもまざまざと思い出されますね。
司会者:お電話口先にお客さまが待ってるわけですもんね。
F太:そうなんですよ。急に現実に直面した感じでした。「試験勉強も、座学も、バーチャルな世界に自分はずっといたんだな」って実感させられたというか。
もう本当に何言ってるかわかんないんですもん。電話をかけてくるおじさんが「携帯がねえ、なんか画面が真っ赤っ赤で」みたいな。それで頭が真っ白になっちゃいました。
司会者:コールセンターって、接客業の中でも声しか情報源がない、なかなかハードルもそもそも高い業務になりますからね。
F太:本当そうなんですよね。僕自身はわりと「できる」と思ってたんです。今までやってきたことだし、しかも公認会計士試験に落ちて、食べていかなくちゃいけないっていう時の最後の頼みだったんですよ。「これだったらできる」と思って始めたコールセンターの仕事ですら、「僕はもしかしてできないの?」ってそこで感じて、絶望したような記憶がありますね。
司会者:20代後半に差し掛かるぐらいのことですか?
F太:そうです。もう20代後半で、働いたことがないし、初めて働こうとしたらクビになっちゃった。同年代と比べて浪人で1年遅れてるし、就活でも2年遅れてるし、周りと比べて「すごく遅れている」っていう切迫感があって、それがたぶん一番しんどかったと思います。
司会者:なるほど、ありがとうございます。
F太:今回いただいてる相談の中にも、転職にまつわるお悩みもあって、ものすごく共感するところです。
司会者:そうですよね。その時に悩んでいることを人に相談する機会ってなかなかないと思うので、この機会にできる限りでお答えいただければと思います。
試験でうまくはいかなった時に、Twitterで発信をされていたとおっしゃってたんですけど。仕事でミスをして、もしくはうまくいかなかった時に、F太さん自身Twitterでどんな発信をされていたのか気になっていて。
仕事でミスをして「自分はなんてダメなんだ」って落ち込むタイプの方もいらっしゃれば、「誰々さんがダメで、ちゃんと指示してくれなくって」って愚痴で発散するタイプの方もいらっしゃるかなと思うんですけど。F太さんはその時はどういう発信で解消されていたんでしょうか?
F太:今はTwitterで自分自身の今考えていることとか、仕事にまつわるライフハックとか、僕自身も今『仕事術』の本書いてますけど、当時も仕事の本とかけっこう読んでたんですよね。悩んでいたので。そういったものを自分なりに実践してみて、「これは試してみたら良かったよ」とか、自分なりの経験を通した発信を当時はずっと続けていました。
自分の思考を発信するのが日課になっていたおかげで、自分自身を「メタ認知」という、1つ上の段階から見る癖が昔からずーっとあった。「今の自分」を見つめる癖があると、あんまり深刻にならないんですよね。深刻になりすぎた時に、気づけるので。
なので常々、情報発信をするとか、今の自分をなんらかのかたちで表現するっていう習慣は、それを仕事にするかどうかは置いといて、ものすごくメンタルの安定には役に立つんじゃないかなと思いますね。
司会者:なるほど。Twitterで感情を投稿して解消される方ももちろんいらっしゃると思うんですけど、F太さんは感情をぶつけるというよりかは、感情から「何でこういうことが事象として起きちゃったんだろうか」とか、そういう気づきをまとめていた感じなんですかね。
F太:そうです。考えても意味のあることと、意味のないことを分ける癖が、すごく役に立ったかなって思います。
司会者:意味のないこと……ちょっと思い当たる節がありますね(笑)。
F太:これを意識するだけでも、だいぶ効果的です。言い方が正しいかわからないんですけど。
考えても意味ないことってけっこうあって、例えば「誰々に嫌われるかもしれない」みたいなことって、つい考えてしまうんです。でもこれをずーっとイメトレみたいに考え続けても、何のメリットもないんですよね。
「意味ないことをやっている」って気づければ、もうその考えは収まってくる。なので、気づくだけで十分効果があると思います。
司会者:確かに。どうしても自分がミスしたこととか、それこそ頭が真っ白になった時って、その日の終わりに「あんなミスしたら周りの人、きっと自分のことをできないヤツだって思っただろうな」みたいに自己嫌悪に陥る時間が長くなると思うんです。
F太:そうなんですよね。
F太:当時つぶやいて、いろんな方に共感していただけた話としては、「周りに迷惑をかけたし、周りに『あいつちょっとしょうもないな』って思われたかもしれない」って思うじゃないですか。いや、実際思われているんですが(笑)。
でもそう思われてるとしても、「思われてるだろうな」って考えて自分にダメージを与えることは、残念ながらあまりメリットがないんですよね。
「思われてるけど、さてどうしようか?」って考えたほうが、意外と心身に負担をかけずに、具体的に次何やるかってことが思い浮かぶんだと、だんだんわかってきて。
開き直るというか、僕は最近よく「現実を受け入れる」って言うんですけれども。「嫌われちゃったかもしれないな」から始めてもいいのかなって思うんですよね。
司会者:なるほど。「自分はできない」「ダメな奴だって思われた」としても、「いったん受け止めよう」っていう肯定があると、(結果ではなく)過程になるんですね。「じゃあ次どうしていこうか」って、(次の思考が)現実的なHow toになる。
F太:そうです。相手の気持ちを想像してしまうところに、ずーっと時間とエネルギーを使ってしまいがちなんですけれども、それよりは「今自分ができることって何だろう?」っていうところに、本当は時間と労力を割きたいわけですよね。
とはいえ、感情がそれを許してくれないんです。その気持ちもめちゃくちゃわかります。
「同じことで悩んでしまう」ってコメントをいただいています。あと「考えても意味ないことは、歳を重ねて気づけるようになってきている気がします」というコメントもあるんですけど、本当にこればっかりはそのとおりです。
歳をとればわかることもあるので、あまり気にしないのは1つの手です。
司会者:『要領がよくないと思い込んでいる(人のための仕事術図鑑)』という本のタイトルにもあったように、何か起これば起こるほど、思い込みや自分への暗示が強くなってしまうと思うんですけど、そこはちょっとひもといてあげたいですよね。
F太:そうなんですよね。今回のイベントのタイトルには入っていないんですけど、『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』の「思い込んでいる人のための」っていう言葉は、僕の中で思い入れがありまして。
僕自身、実際に働いてみて、職場って「ガチャ」だなって本当に痛感したんです。たとえばコールセンターという仕事は、どこの職場も基本的な業務内容は同じ、という特徴があります。
僕はインターネット通信のトラブルとかに対応する仕事をしていたんです。最初に入ったところは3ヶ月でクビになってしまったんですけれども、次の職場では、まったく同じ仕事内容なんだけれども「要領が良いね」って言われるまでになりました。
この違いは何だったかっていうと、最初の職場で僕の担当になった上司は、僕が「もう無理です。対応を代わってください」って言った時に、見切りをつけたような顔をなさったんです。そこで僕も「あ、これはもうダメなんだな」っていう感覚になりました。
たぶん共感してくださる方がいると思うんですけど、1回ダメって思われると、同じ職場の中でその評価を覆すのってけっこう大変なんですよね。だから僕は運が良かったんですよ、3ヶ月でクビになれたので。
司会者:なるほど。
F太:次の職場でも同じように、対応する自信がなくて代わって欲しいとお願いした場面があったんですよ。でも、その時の上司は僕のことをなんか見込みあるって思ってくれたんでしょうね、「大丈夫だからちょっとやってみな」って、任せてもらえたんです。
その後3時間ぐらいかかって、なんとか対応を終わらせました。そうやって経験を繰り返していくうちに、仕事に慣れていって、その職場で仕事をこなせるようになったという経緯があります。
(お客さんから)質問される内容は2つの職場でぜんぜん変わらないんですよ。でも上司の違いだけでこんなに変わってくるなんて、もう本当に職場はガチャでしかないなって痛感したんですよね。
司会者:今コメントでも「ガチャ、わかります」「心当たりあります」ってコメントをいただいてますね。ありがとうございます。
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