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変化の時代に学び続ける自分の作り方(全2記事)

人はなぜ「思い込み」や「思考の癖」を手放せないのか? アンラーンのプロが説く、自分自身を客観視するコツ

ハイブリッド総合書店hontoが主催する読書会「ペアドク」。2人でペアとなって同じ本を読み話し合ったり、直接著者に質問ができる読書会を通して、新しい読書のかたちを提案しています。今回は『Unlearn(アンラーン)人生100年時代の新しい「学び」』を共著した、東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授の柳川範之氏と元陸上選手の為末大氏がイベントに登壇。「変化の時代に学び続ける自分の作り方」をテーマに対談しました。本記事では、アンラーンへ第一歩を踏み出すためのポイントを解説しています。

環境への「適応」に囚われると、多角的な視点が奪われる

松原嘉哉氏(以下、松原):じゃあ、次の質問にいきます。

「共通しているなと感じたことがあります。『失敗の本質』という本で、適応は適応力を奪うと書いてあったのを思い出しました。自分自身、ある状況に適応できていないと考え、まずはその状況に適応することしか考えていない時がありました。今になって考えてみると、どこかで振り返りが必要だったと思うのですが、どうしても気づけない時の対処法はありますか?」ということです。

今までにもけっこう出てきた質問かとは思うんですが、あらためて補足はございますか?

質問者3:私は高校の商業科の教員なんですが、例えば「検定試験に合格させましょう」「進路はこれ以上のところに行かせましょう」とか、高校の教育現場ではやるべきことが明確に決まってます。まずはそれに適応していかないと、組織の中で生きられないと言ってはなんですが、生きづらさを感じるようなところがありまして。

必死に「適応させよう、適応させよう」と思っているんですけど、そういうこと自体が(原因で)違う視点でものが見れなくなってしまうんですよね。だから高校の先生とかは、会議も本当に必要なのかをあんまり考えなくて、たくさん(会議を)やっていることもあったりします。

『Unlearn』にも書いてあったように、存在意義を振り返ることが必要だなと気づかされたんですが、どうしても「適応する」ということがまだ完成してないので、ずっと適応しようとし続けてしまって、ほかの視点でものを考えることがなくなってしまっているなと思います。

今は休職して大学院で学んでるんですが、違う方と交わっていく中で気づかされたというか。さっき柳川先生から「違う方々と触れ合うと気づかされるものがあるよ」って(コメントを)いただいて、答えがいただけたと思ったんです。どうしても気づけない、振り返ろうと思っても適応しなきゃいけないから気づけない時に、ほかに対処法があったら教えていただければありがたいです。

アクセルを踏むタイミングと、ブレーキを踏むタイミング

為末大氏(以下、為末):別の観点でお話しすると、競技の世界でよく言われてたのは、自分がやるトレーニングを「正しい」「これで大丈夫」「これなら伸びるはずだ」と信じ込んでやること自体が、トレーニング効果を高めたりもするんですね。ずっと疑いながらやると、やっぱり(トレーニングに)没頭できてない感じもあったりして。

選手の時に、ある一定期間は同じ方向に向かってバーッと適応してみて、「ところで、これでいいんだっけ?」とハッと我に返って、今度は別の方向に走り出すのが、成長には最も良いのではないかと考えていました。一定期間は夢中でやってるんだけど、揺り戻しのところでハッと我に返って、すごく客観的にいろいろ見てみる。

自分自身の中で、アクセルとブレーキを客観的に見ながらずっとコントロールしていなきゃいけないかというと、強く踏む時期と弱く踏む時期があっていいかなと思います。ただし、その時期(ブレーキを踏む時期)がないのがまずいなと思うんです。

「適応するんだ!」、ハッと客観的に見て「これでいいんだっけ?」、「適応するんだ!」っていう、そのリズムを自分の中でうまくつかんでいければいいんじゃないかなと思います。

柳川範之氏(以下、柳川):為末さんがおっしゃるとおりです。適応して、没頭しなければ仕事を回していけなかった時期はきっとあるんだと思いますし、多くの仕事がそうだと思うんですよね。ただ、いつまで経っても適応しきれてる感じにはならない状態の時には、今のお話のように少し“壁”ができてるんだと思うんですよね。

そうだとすれば、適応するためにがんばってる自分を客観的に見て、「どこまでが本当に求められているのかな」「自分にとって本当はどこまで大事なのかな」というふうに、少し冷めた目で見る。壁にぶつかった時は、クールダウンするタイミングなんじゃないかと思います。

人間が抱えている、思い込みのパラドックス

柳川大学院に行かれているのは、すごくすばらしいことだと思いますが、そういうことができない人もいるんだと思うんですね。会社の中でとにかくやっていくしかないんだけど、クールダウンしている自分がいること自体が、とっても大事なことだと思うんですよね。

自分がやってることを客観的な目で見れる状態を作っておくことが、アンラーンの第一歩じゃないかと思うので、その第一歩が踏めるか踏めないかはけっこう大事かなと思います。だから今、お話をうかがっていても、(質問者さんは)そこはしっかりやられてらっしゃるので。多くの人もそれができれば、かなりの部分で(アンラーンが)できたと考えられるんじゃないかなと思います。

松原:じゃあ続いては、「アンラーンとは『思考の癖を取り除く』こととありましたが、『取り除けた』と判断する基準はどのように考えたらよいのでしょうか? スポーツのように動作があればわかりやすいかもしれませんが、思考のような形のないものだと難しく感じてしまいます」ということです。なにか補足ありますか?

質問者4:よろしくお願いします。私事なんですが、昔短距離をやっていました。本の中でゴールキーパーの話もあったんですが、スポーツだとオフセットがわかりやすくて、動画を撮ったり(して確認)もできるんですが、思考の癖となると、例え人に聞いてもらったとしても「本当に取り除けているのか?」という評価が難しいなと思いました。その点について、なにかお考えがあれば教えていただきたいなと思います。

為末:ありがとうございます、すばらしいご指摘です。結論から言うと、人は「思い込んでない」と思いながらもいつもなにか思い込んでいて、「思い込んでる」と気づいた時にはもはや思い込んでないという、パラドックスがあると思うんですよ(笑)。

常に自分の気づいてないことで思い込んでるという意味では、結局は常時(アンラーンを)やるしかないところはあるんですが。(書籍では)もうちょっと仕事寄りのイメージで書いてるので。

うまくいっている時こそ、自分自身を客観視して振り返る

為末:ただ僕自身の経験で言うと、「なんか柔らかくなったね」「なんか変わったね」という(言葉をかけられる)のは、1つのサインな気がします。これも自分で気づくのは難しいので、周りからの評価だと思います。特に新しいこと(にチャレンジした時)で、うまくいかなかったことがうまくいき始めた時は、ある種のアンラーンではある気がします。

質問者4:ありがとうございます。

柳川:同じことを言い換えることになるんだと思うんですが、やっぱり完璧に癖を取り除くことはできないと思うんですね。(アンラーンは)ニュートラルな状態に持っていくとか、ゼロの状態に持っていくようにしようというコンセプトではあるんですが、どこがニュートラルでどこがゼロかは心の中の問題なので、(自分では)わからないことだと思うんです。

わからないし、絶えず揺れ動いてるから、左に寄ってるかなと思ってちょうど中間的なところに戻してきたつもりが、いつのまにかそれは右側に寄りすぎている……ということもあります。きれいにゼロにすることはできない、と割り切ったほうがいいんじゃないかなと思うんです。

その上で、左に寄りすぎてるんじゃないかと思ったら修正をする。ちょっと偏ってきたなと思ったら修正をする……ということを、折に触れてやっていくことです。為末さんと似たような話なんですが、逆にわりとうまくいってる時こそ、実は特定のパターンにはまり込んでいることがあると思うんですよね。

本当にうまくいってる時って、そういう自制心自体も吹っ飛んじゃってたりするんですが、「アクセルを踏みすぎてないかな?」と、気をつけてみるぐらいのスタンスはあっていいのかなとは思いますよね。

質問者4:ありがとうございます。

柳川氏・為末氏が、今後アンラーンしようと思っていること

松原:じゃあ、次(の質問)ですね。「今、柳川さんと為末さんがアンラーンしていること、これからアンラーンしようと思っていることを聞いてみたいです」ということです。個人的な思いでいいので、あればよろしくお願いします。

為末:いいですね。「お前らだけ高みの見物は許さないぜ」っていう(笑)。

(一同笑)

いや、すばらしいご指摘ですね。よくありますからね、自分はできてないけど(人には教える)っていうこと(笑)。僕から先にお話しすると、この数ヶ月でずっと思ってたことなんですが、スポーツを使わないで自分がやれるのかをやってみたいと思ってます。

言葉の世界とか、仕事をやる上で、スポーツという自分の人生の前半の手法はとっても便利なんですね。「イチローさんがこう言った」とか、今日もたくさんスポーツをメタファーに使っていますよね。これを使わないでちゃんとやれるようになってるのかをやってみたいと思ってます。スポーツを忘れてアンラーンして、やれるかどうか。この1年、2年で実験したいと思ってます。

松原:すごい。チャレンジングというか、おもしろい。それは驚きですね。ありがとうございます。柳川先生、何かありますか?

柳川:自分の仕事の局面で言うと、いろんな政策提言をしてることが多いんですが、どうしても今まで学んだ知識とか、今まで経済学で経験してきたことに立脚して提言や政策の在り方が出てきてるんですよね。

でもみなさんご承知のように、今は経済だけじゃなくて、戦後経験したことのないようなことが社会全体にいっぱいあります。こんなパンデミックが世界的に起きるなんて思ってもいなかったし、ましてや21世紀になってこんな戦争状態が起きるとも思ってなかったし、もっと(これから)いろんなことが起こるかもしれないですよね。

「完璧なアンラーン」がないからこそ、試行錯誤の日々

柳川:「今までこういう政策をやってきたから、国はうまくいったはずだ」というのが成立しないことが、(今後は)ずいぶん起きてくるんだろうなと思っています。伝統的な考え方とか、今までの成功政策にこだわらないようにしなきゃいけないなと日々思ってるんです。

だけどどうしても引きずられちゃうので、アンラーンが完璧にできてるのかと言われると、なかなかできてないということだと思います。みなさんにご指摘いただいた悩みは僕の悩みでもあって、さっきの「どこが右なのか、左なのか」とか、やりすぎてるのか、本当にそこそこ良い状態になってるのか、あるいは過去にこだわりすぎてるのか、こだわらなさすぎてるのかも、正直言ってわからないですよね。

わからないんだけど、(従来のやり方に)こだわりすぎちゃいけないってことだけはわかっているので。それを縁(よすが)に、できるだけフレッシュに考えられるようにする。完璧なアンラーンもないので、アンラーンが良い方向でできるように日々工夫をしているっていうのが1つです。

もう1つ。将来的に言えば、今は経済学に関連して仕事をしてますが、人生は長いので、経済学とぜんぜん関係ない仕事もできたらいいなとは思ってはいます。「大学の教師です」と言ってるようなことではなく、一から雑巾がけするようなことをやらないといけないんだろうなとは思ってます。

松原:お二人とも、そういうことを考えられているというのはちょっとびっくりしましたが、ありがとうございます。

“力を持つ人”が生き残る組織に対し、感じるやりづらさ

松原:じゃあ、あと1つですね。「『アンラーン』の聖なる一歩(はじめの一歩)は、具体的に何をどのようにどうすればよいか? もし効果的な第一歩があれば教えて欲しいです。『アンラーン』は気質や根源的な価値観に近い能力というか、スキルのような気がします」ということです。補足はありますか?

質問者5:ありがとうございます。ちょっとだけ補足させていただくと、組織や人は必ず一定の文脈で動いていくので、それが壊れる時に危機感(が生まれたり)とか、今回のコロナはいわゆる外圧ですよね。そうならない限り、文脈を変えるってことはやっぱりないので。

今、私の会社で起きているのは、この本の内容のとおりなんです。プレイングマネージャーがグループマネージャーになると、人をどんどん潰していく(笑)。これがもう危機的な状況まで来てしまっていて……。為末さんがさっきおっしゃった「スポーツはKPIがあるからわかりやすい」というのは、限界があると「もうそこで生きていけない」という危機感から変化を起こせるんですが。

ビジネスってそうはならなくて、なんとなくパワーを持ってる人が嘘やごまかしを重ねて、それが上手な人ほど生き残っていっちゃうので、固くなっていく人がどんどん生き残っている印象がめちゃくちゃあります。「もう最後は(会社を)辞めるしかないな」という気が最近すごくしていて、アンラーンにハマり込んでるんですよ。

(一同笑)

「組織人を辞めるしかねぇな」って、すごく今思っていて。そうならないために、ほかにも仲間を作っていくには、どういう聖なる一歩が有効ですか? すみません、ちょっと長くなりましたが。

「真ん中」を知ることで、自分の偏りを見つけやすくなる

為末:最初は違うところから入りたいんですが、「右や左や偏りがわかるには、真ん中が必要じゃないの?」というご質問をいただいたんですが、これはすばらしく鋭いご質問だと思います。

スポーツを使った有名な研修で、ヤスリをランダムに10個か20個置いて、粗い順に並べてくださいっていうのがあるんですね。指でザラザラやるんですが、差が微妙すぎてわからないんですよ。一番粗いのと細かいのぐらいはわかるんですが、だいたい間がごちゃごちゃになって、20個のうち7~8個は間違えるんですね。

ところが、そのあとに1個のヤスリだけに赤ペンで丸をするんですね。なんでかというと、「これが真ん中の粗さです」というのを決めたら、正答率が急に90パーセントぐらい上がるんですよ。つまり、何が真ん中かがわかった途端にすごく並べやすくなるんです。

柳川:先生と僕らがコアと呼んでるものは、要するに「自分のヤスリの真ん中」を見つけること。そうすると、自分がどちらに行っているか、思い込みすぎてるかを把握しやすくなるんじゃないかと思っていて。それを体得するフェーズと、体得したあとは日々チェックするフェーズになってるのかなと思います。

肝心のご質問の回答は、とっても難しいなと思うんですけれども。でも1つは、おっしゃるようになにか切実な理由を作り出していくしかないのかなと思うんですよね。いかに早く危機感を持つかとか、「変えられるんだったら変わりにいっちゃえ」っていうことを、どのくらい体質として持っておけるかが大事な気がしていて。

技術論はいろいろあるんですが、おっしゃるように大変なことで、疲れちゃうことでもあるので。「えいや」って踏み出せる空気というか、文化にしていくしかないのかなと思います。ちゃんとした回答になってなくてすみません。

大人になってからでもできる、気軽なアンラーンの方法

為末:じゃあ、柳川先生にバトンタッチします。

柳川:そうですね。1つは、変わることに前向きになれるとか、見えてない第一歩を踏み出すことに積極的になれるか。体質というわけではないんですが、ある種その人の癖や心のスタンスだったりするんだと思うんですね。なので、それがすごく容易にできる人と、そうでない人がいるのは事実だと思います。

例えば子どもの教育であれば、日頃の生活では経験できないようなことをやらせてみるとか。そういう経験をさせてみると、「ぜんぜん知らないところへ飛び込んでみたけど楽しかった」「おもしろかった」「苦労したけどいい経験ができた」という(気持ちを持てるようになる)。

そういう経験を子どもの頃にしていると、大人になってからでも一歩を踏み出しやすくなるんじゃないのかなと思うので、できるだけお子さんや学生の教育の中では、そういう経験をさせることは大事かと思っています。

とはいえ、そうならずに大人になった人だとすると、どういう第一歩があるのか。さっき言ったことと近いんですが、リスクを取ってなにかを踏み出すことって、前向きでない人からするとなかなか怖くてできないんだと思うんですよね。

なんだけど、日頃の仕事はちゃんとしつつ、日頃仕事では会わない人に会ってみるとか、日頃は読まないような本を読んでみるとか、日頃は聞くことのないような人のことを聞いてみるような新たな出会い(を経験していく)。人と人だけではなくて、本やお芝居、あるいはSNSとかなんでもいいんですが。

新たな出会いを作ることは、比較的リスクがなく踏み出せるものなので、あえて今までの発想とは違うものに触れてみることが、難しくなくできるけれど大事な一歩かなと思っています。

為末氏との出会いのきっかけは「単純な好奇心」

柳川:為末さんと最初に会って話をしたこと自体、僕らからすると通常ではない第一歩だったわけです。勇気(が必要だったというほどのこと)ではなくて、「あの有名な陸上選手の為末大と話をしてみたい」みたいな、単純な好奇心だったわけですが(笑)。

(一同笑)

そのミーハー心がここまで連れてきてくれて、一緒に本を書いたり、お話ができるようになっていったわけです。何気なく話した人が全員そうなるわけじゃないんだけど、その一歩を踏み出さなかったらこれはなかったわけです。そういう可能性を考えてみるといいんじゃないかなと思っています。

「転職しようかな」とお考えになっている状況だとすると、ポジティブな方向性でお考えになってらっしゃるので、ご自身は大丈夫じゃないかなと思うんですよね。問題の、会社や社員の人たちをどう変えるかということでいくと、部下(に対して)であれば「違うものを見てみろよ」ということ(を働きかけること)だと思います。

この本は個人のアンラーン(について書いた本)ですが、組織をどうアンラーンさせるかというのは、ぜんぜん違う難しさがあるので。これはちょっと、違う本を書かなきゃいけないぐらい(の問題の大きさ)だと思うんですね。

質問者5:ぜひお願いします(笑)。

柳川:(笑)。(組織を変えていくためには)いかに人の心を動かしていくか。最初のご質問に関係するんですが、やらなきゃいけない時はやったほうがいいんですが、転職したりほかに動くのもアリだと思いますね。自分の新しいチャンスを別のところで活かしていくのも、選択肢としては十分あるかなと思っています。

質問者5:ありがとうございます。

「アンラーンが大事だ」と思えることが、アンラーンへの第一歩

松原:時間いっぱい、いろんな質問に答えていただき非常に参考になりました。じゃあ、最後にクロージングにいきたいと思っております。最後のご質問はまさにだなと思って聞いてたんですが、この「ペアドク」のイベント自体、ちょうどいいアンラーンなんじゃないかなと思ってます。

みなさんが興味のある本で(あればイベントに)来てくれればよくて、もしかしたら今日も「為末さんに会いたい」「柳川教授の本だから読んでみようかな」という気軽さで入ってこられた方も多いんじゃないかなと思うんです。一方で、今日初めて会った人と話すのは、ちょっとアンラーンっぽいかたちでもあるので。

今日(のイベントに参加するの)も、最初はちょっと怖かったなと思っても、話してみたら意外と「そういう人もいるんだな」ということにを気づけたきっかけになっていれば、このイベントも良かったんじゃないかなと思っております。柳川先生、為末先生、今日の感想を一言だけ述べていただきたいなと思ってるんですが、いかがでしたか?

為末:ありがとうございます。あんまり僕は本が売れたことないんですが(笑)、今回、柳川先生に便乗していっぱい売れたらいいなと思いつつ。正直、売れるよりも、深く読んでくれる人と、人生に少しでも良い影響があったという声のほうがよっぽどうれしいので。こういう機会に(著書を)深く読んでいただいたり、意見まで出していただいて、とっても著者冥利に尽きます。ありがとうございました。

柳川:みなさん非常に熱心に読んでくださったり、熱心にご質問してくださって。1人で静かに著者の言ってることを聞くという、静かな読書のスタイルもいいんだと思うんですが、こうやってみんなで集まっていろいろ議論する積極的な参加もとてもいいことだなと、あらためて感じました。みなさんが熱意を持ってくださっていること自体が、非常に著者としてはありがたかったです。

「アンラーンが大事だ」と思うこと自体が、非常にアンラーンなんだと思うんですよ。だから、アンラーンが大事だと思って本を読んでくださって、こうやってイベントに参加してくださったということは、もう大きな第一歩を踏み出せているんだと思います。ぜひその方向で、日々の生活や仕事をがんばっていただければなと思います。今日はご参加ありがとうございました。

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