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悔いのない30代を過ごすためのキャリアの考え方(全4記事)

「変化を楽しめない人」が、転職時に気にすべきこと 人事のカリスマが教える、“入社の判断基準”になるポイント

個人が主体的にキャリアを開発するためには、20〜30代をどう過ごせばいいのか? この問いに答えるため、ポジウィル株式会社主催のイベント「悔いのない30代を過ごすためのキャリアの考え方」が開かれました。ゲストは、株式会社サイバーエージェントCHOの曽山哲人氏と法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授。本記事では、スピード感の速い会社に転職した際にやるべきことや、若いビジネスパーソンが将来的に伸びる業界を転職先にするメリットなどが語られています。

「人間関係」は入社の判断基準になる

田中研之輔氏(以下、田中)自分を持っていて、我儘な人が、やっぱり何かを作り出す。そうじゃなかったら改善できないじゃん。何かを作り出すパワーとは、そういうことですよね。曽山さんはこのテーマ(「組織をつくっていく上でどんな人と働きたいですか?」)についてどうですか?

曽山哲人氏(以下、曽山):一番大きいのは、変化を楽しめる人ですよね。

金井芽衣氏(以下、金井):そうですね。

曽山:会社と社会は変わることが決まっている。「今、みなさんが働かれている会社は、今のビジネスモデルで100年続くと思いますか?」と聞いたら、「うん、怪しい」と思う方が多いんじゃないかな。僕らの会社もそうなので、そういう意味で変化することが絶対に必要なんですよね。そうすると、人間なので「変化を楽しむ人」と「変化を嫌う人」に分かれがちです。

田中:あえてツッコんでみると、「変化を楽しめないです」「変化を楽しむことが苦手なんです」という人に、曽山さんはなんて声かけしますか?

曽山:基本的には、そこにいる人たちに共感できるかどうかですね。

田中:うん。

曽山:変化が苦手でも、「それでも一緒に働きたい。この人たちとなら大丈夫かも」と思えるなら問題ないので、人間関係をよく見たほうがいいですね。例えば、インターンで先輩同士のやりとりを見るとか、面接官が2人いたらその人たちの関係性を見てみる。人間関係が悪そうだと思ったらかなり苦しいと思うので、そこを見て良さそうならば身を寄せてみるのもありだと思います。

田中:ちょっと違った切り口でこの質問に答えておこうと思います。「『組織』とはなんぞや」というね。「組織」というのは箱じゃないんだよね。コンクリートではない。今の曽山さんや金井さんの話にもあったように、人と人が集まるからこそ「組織」になるんですよね。

曽山:そうですね。

田中:人が集まっていなければ「個人」で、複数人以上の集合体を「組織」と呼ぶわけで。だとすると、そこでの人間関係やコミュニケーション、イノベーティブな動きを一緒に作り出して、変化を楽しめる人と一緒に働きたいよね。もっとわかりやすく言うと、同僚として「明日も会いたいな」と思える人。

曽山:そうですね。

田中:退社する時に、「明日も会いたいな」と顔が浮かぶ人と働きたいですね。

スピード感の速い会社に転職した際にやるべきこと

田中:Q&Aいきましょうか。このQ&Aめちゃくちゃ盛り上がっているね。素晴らしい。

齋藤あい氏(以下、齋藤):たくさん来ていますね。

曽山:うれしい。すごい。

金井:ありがたいです。

田中:齋藤さん、お時間の許す限り、取り上げていってください。お二人が名回答していきますから。Q&A大喜利(笑)。

(一同笑)

齋藤:では、変化に関するもので。「転職して、スピード感や展開の速い会社に入社しました。そのような会社では、どういうことを大事にして臨んでいけばいいですか? 何かあれば教えてください」と来ています。

田中:曽山さん、お願いします。

曽山:まずとても大変なんだろうなと思います。その中で、僕がお勧めするのは、自分より先に転職してきた人に経験談を聞くことです。「スピード感がすごく速くて面くらっているんですけど、どうでした?」「私も大変だったよ」「それで、どうしたんですか?」みたいに、具体的なアクションを教えてもらうんです。

「時間が解決するから大丈夫よ」と言われるかもしれないし、「少なくとも、こういう人脈とつながっておいたほうがいい」と言われるかもしれない。スピード感というのは、結局周りの人との決断の会話の中に出てきます。だから、その部分を、ぜひ見ていただけるといいと思います。

田中:OK。次の質問は、僕が取り上げますね。「育休取得中で、ママとして今後に悩んでいる」と。これは本当に届けたいメッセージなんだけど、ママが1人で悩んじゃダメです。相談したほうがいい。公園に行って他のママたちと話して悩みが解決すればいいんですけど、解決のヒントはそのコミュニティの外側にある可能性がけっこう高い。

今はオンラインでいろんなところにアクセスできるから、もちろんポジウィルさんもそうだけど、いろんなサービスを使って相談したほうがいいと思う。1人で抱え込まないで、キャリアについて「悩むママ」から、キャリアについて「考えるママ」になってほしいと思います。

「他人軸」で生きるのをやめる

田中:齋藤さん、次に、金井さんに答えてもらいたい質問は何かありますか?

齋藤:これ、私も気になります。「女性が結婚、子育てなどを踏まえながら、キャリアを積んでいくために、今やっておくべきことがあれば教えてください」ということですが、金井さんお答えいただけますか?

金井:そうですね。今、相談者さまがどういう状態なのかわからないので、お答えするのも恐縮ですが、やっぱり結婚してお子さんを産んでからも、仕事を続けるかどうかで悩んでいる方はけっこう多いですね。

私は、お子さんができたら「がんばろう」の変数が増えるので、どんなふうにでもなれると思っているんですよ。なので、「どんな状態でありたいか」から逆算して、今何をしたらいいか考えて行動すれば後悔はしないんじゃないかなと思います。

すでにお子さんがいらっしゃる場合でも、自分がどんな状態でありたいかを考えて、行動してスキルを身につける。そうすれば後々自分が助けられることもあると思います。

田中:ありがとうございます。時間が許す限り、全部の質問に答えましょう。僕が担当を決めますね。まず僕が1つ答えます。その次、曽山さんが答えてくださいね。そのほうが速いと思うので。回答の生産性を上げていきます。

(一同笑)

田中:今、ママへのコメントをしたから、またすごく具体的で重要だと思うことを取り上げます。「ママになれない人のキャリアは、ママの影で暮らす人生のように感じる。劣等感をどうすれば解消できますか?」。これは本当に重要な問題。

僕が伝えたいのは、まったくそういうことは感じる必要がないということ。つまり、ママになれなくたって別にいいじゃない。比べる必要はないんです。なぜ比べているのか。比べちゃっているところを、まず外していきましょう。そのために、やっぱり相談したほうがいいと思う。推察ですけど、他人軸で生きると「私はこういう状況でこうなっちゃっている」と自分を責めてしまうと思うんですよね。

そうじゃなくて、いいんですよ。まさにダイバーシティ&インクルージョンで、人それぞれいろんな人生がある。我々、今日の登壇者は、本当に人と比べることはしないから。もっと言うと、人に優劣をつけるなんて思想は1ミリも持っていない。それぞれの人生でいいし、それぞれの人生をまっとうする。そのために、今のコンディションをより良くするためのアクションをしていきたいと思いますね。

会社の人間関係の良さと将来性、どちらを重視すべき?

田中:では曽山さん、1つ取り上げてください。

曽山:「新卒で入社して今年で3年目。今、働いている会社がコロナ禍で業界的にも業績が下がり、将来が不安なので転職を考えています。(今の会社は)人間関係が良く、優しい人たちが多い。仕事も助けてもらえるし、自分もそこに甘えてしまう。

でも、それでは成長ができないのではないかと不安です。人的な問題はまったくないけど、業績や給料の面、優しすぎる点から転職を考えています。転職理由として、これはいいのでしょうか?」というものですが、これは「いい考え」だと思います。

みんなに「急いで転職しろ」とは思いませんが、私はキャリアを考える時に、正直、将来的に伸びる分野や市場に行きましょうと言いたいですね。今いる会社の中でも、例えば、DXなど会社が伸ばそうとしている分野に行ってほしい。伸びるところに行くと、何が起きるかというと、人とお金が集まります。

優秀な人は伸びるところでチャレンジしようとするので、優秀な人が集まる。だから目線が上がります。そして伸びるところは、当然投資の対象になるので、お金も集まります。つまり、優秀な新しい人がたくさんいて、給与の原資も増える可能性がある。ぜひ、伸びる市場に行ってほしいと思う。

今の環境を大切にする気持ちはもちろん素晴らしいけれど、まだ3年目ですから。もっと長い人生、先を見なきゃいけないということを踏まえて、転職を選択肢にしてもいいと思います。

田中:ありがとうございます。

親が子どもを虐待しない社会をつくるために起業

田中:ラスト1個。金井さんに締めていただきましょう。ちょうど金井さんに、ダイレクトに質問が来ています。「なぜ起業したんでしょうか」。今回ポジウィル主催でもありますから、そんな思いも込めて、クロージングワードにしていただきましょう。金井さん、お願いします。

金井:すごいハードル上げますね(笑)。

田中:頭を回転させるとおもしろいよね。

金井:そうですね。保育系の短大生の時、実習で養護施設に行く機会がありました。その時に、親がこれだけ虐待をしてしまう現状にすごく疑問が湧いたんですね。そのくらい(多くの親が)ストレスを溜めていることを実感したし、虐待のない社会をつくるには親世代の心に働きかけることが重要だと思ったんです。

(多くの人にとって)日常は仕事の占める時間が多いなと思っていた時に、たまたまキャリアカウンセリングという学問に出会って、法政大学キャリアデザイン学部に編入することになりました。その時の最終面接官がタナケン先生で。

田中:そうなの。もう圧倒的に合格でしたね。

金井:ありがとうございます。そして、キャリアカウンセリングを広げていきたいという思いがあってリクルートに入りました。そういう(キャリアカウンセリングを広げる)企業がないなら自分で作るしかないとずっと思っていたので、(起業したことは)私の中ではわりとナチュラルで、すごく大きなことではなかったというのが正直なところです。

田中:ありがとうございます。染みます。やっぱりあそこで圧倒的な合格点を付けて良かった。そんな自分を褒めてあげます(笑)。

(一同笑)

「反骨心」を持つことが、キャリアの源泉や強力な優位性になる

田中:曽山さん、220名の方がいらっしゃるので、一言だけいただけますか?

曽山:ちょっとニューワードですが、キャリアに関しては「反骨心」がとても大事です。さっきのタナケン先生の「子どもの頃に親にこう言われたけど、実は違うと思った」とか、そういうことも大事です。なので、みなさんが社会や周りの人に感じている「反骨心」は、みなさんのキャリアの源泉になって、強力な優位性になります。ぜひがんばってください。ありがとうございました。

田中:ありがとうございます。本当にキャリアを考える時間になったと思います。コロナ禍でみんな1人で悩んでいて、苦しいと思うんですよ。もっとこういう場を作っていければと思います。

一つひとつのアクションに、どういう意味があるかはわからないと思うんです。でもアクションし続ける人はキャリア仕様になっていきます。興味を持ったり、参加したいイベントがあるなら、例えばこういう(ポジウィルのイベント)も、すぐポチッて、すぐ参加するという感じで。我々はそういうふうに生きてきたと思うんだよね。

悩んでいる時間をなるべく減らしたほうがいい。悩むのは悪いことじゃないけど、アクションする時間を、経験を増やしたほうがいいと思いますね。ジャスト20時ということで、お時間になりました。

曽山:タナケン先生、モデレーター最高ですね。

(一同笑)

曽山:みなさん、たくさん参加していただいてありがとうございました。

金井、齋藤:ありがとうございました。

田中:それでは、失礼します。

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