2024.10.10
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小田木朝子氏(以下、小田木):それでは2022年1月の「90分腹落ちセミナー」を開催させていただきます。本日は「育休×越境学習! 育休を個人と組織の価値に変える、新発想の人材育成」。沢渡さん、今日もよろしくお願いいたします。
沢渡あまね氏(以下、沢渡):よろしくお願いします。
小田木:では最初に、簡単なオリエンテーションをしながら中身に入っていきたいと思います。このセミナーは「90分腹落ちセミナー」のコンセプトのもと、毎月1回開催している、私たち株式会社NOKIOOが主催するオープンセミナーです。
「人材育成、そして組織開発に関わる方向けに、90分で役に立つ情報を提供する場を作りたい」。今月は「育休×越境学習! 新発想の人材育成」というテーマでお送りします。
タイムスケジュールですが、全体で90分で進行してまいります。続きまして、本日のスピーカーの自己紹介をします。沢渡さんからお願いしてもいいですか?
沢渡:はい。みなさん、2022年、明けましておめでとうございます。沢渡あまねです。業務プロセス・コミュニケーション・組織開発専門の物書きをしています。NOKIOO顧問、なないろのはな取締役などなど複数の顔、パラレルキャリアで活動をしています。浜松・東京の二重生活で、今日も年明けからさっそく浜松で、小田木さんと組織の景色を変える仕事をしております。
経験職種は「IT×広報」ですね。転職を経験していまして、日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社等で、IT×広報、情報システムの力を使いながら組織の景色を変えていく。広報・コミュニケーションの景色を変えながら、組織に変化をもたらしていく。
そんな2つの軸で「組織の景色をどう変えていくか?」にチャレンジしています。よろしくお願いします。
小田木:よろしくお願いします。沢渡さん、今日も楽しみにしております。では、私も自己紹介をさせてください。みなさん、あらためましてよろしくお願いいたします。株式会社NOKIOOの小田木と申します。NOKIOOという静岡県の浜松市に本社を置く会社で、人材育成・組織開発支援の事業を担当し、役員をしております。
今日のテーマに関わるところでは、人材育成のテーマが広いですが、女性を含む多様な人材活躍のできる組織と、組織の中でパフォーマンスを上げられる多様な人材を増やしていくというテーマで、いろんな事業や企業さまのお手伝いをさせていただいております。
今日はタイトルに「育休」という1つのキーワードが入っておりますが、昨年私は『人生の武器を手に入れよう! 働く私たちの育休戦略』という、「育休」というライフイベントに個人がどんなふうに向き合い、そして組織として捉え方を変えていくと、働き方の景色が変わっていくのかというところを本にして発信しました。
今日はみなさまとおもしろく有意義な場を作っていけたらいいなと思っております。
小田木:そして沢渡さん、今日につながる新刊情報も共有いただけるということで、ぜひお願いできますでしょうか。
沢渡:ありがとうございます。テレワーク、オフィスワーク、ハイブリッド化が進む世の中、ハイブリッドワークをどう乗りこなしていくか。『どこでも成果を出す技術 ~テレワーク&オフィスワークでなめらかに仕事をするための8つのスキル』。沢渡あまね、32作目の著作が発売になりました。
小田木:32作(笑)。
沢渡:そして、今日のテーマでもあります越境、越境学習、越境思考に解像度を上げた『新時代を生き抜く越境思考』。この中に小田木さんも登場しますが、3月の発売に向けて、この正月休みも絶賛ゲラのチェックをしていました。ぜひみなさん、参考にしていただければと思います。
小田木:今日のテーマにも入っていますけど、まさに「ボーダーを越えていく」。個人でいくとキャリアの可能性を広げていくだとか、組織でいくと組織の可能性、人材の可能性をどうやって広げていくかというところに関して、書籍を書かれて3月に発売されると。今日はそんなエッセンスもたくさん発信していただければと思いますので、よろしくお願いします。
沢渡:よろしくお願いいたします。
小田木:私も1冊、新しい本を今書かせていただいております。『仕事は1人でやらない』。1人で抱え込まずに仕事を進める。そして、組織の中で学び合うだとか、組織を越えて連携して成果を出していくというところに関して、書いています。
沢渡:めちゃめちゃわかりやすいメッセージですね。「仕事は1人でやらない。駄目」みたいな。
小田木:私がとにかく1人で抱え込んで仕事をやるタイプの人間だったので、こういったタイトルが付いている背景もあります(笑)。
沢渡:覚悟を感じますね。いいですね。
小田木:そうそう。「1人で(抱え込んで)やりまくってきたので、(そこから)180度変わりましたよ」というところも含めてですね。
小田木:今日の「90分腹落ちセミナー」は、できる限り双方向で進行していきたいと思っております。参加者のみなさまが、貴重な時間を投じてこの場に参加をしてくださっておりますので、みなさまの関心とか問題意識とか、得たいと思った情報・関心事。これにできる限り答えながら進行していけたらいいなと思っていまして。そんな双方向のスタイルのツールとして、Zoomのチャット機能を使っていけたらと思っております。
いきなり「コメント自由に書いて!」とは言いませんので、ご安心ください。チャットを使って、今日ご参加くださっているみなさまの関心事・課題感をお聞きしながら中身につなげていければと思います。
「手が動かせるよ」「チャットボックスを開いてテキストボックスを見られるよ」という方は、ぜひお願いいたします。ではまず簡単なところから、みなさまにリアクションをしていただきたいと思います。
1つ目。「チャットDEオリエンテーション」ですが、今日はこのテーマに対しての、みなさまの参加の立場をぜひお聞かせいただきたいと思います。選択肢を4つ(①「メンバーとして」、②「マネージャーとして」、③「人事・総務として」、④「その他」)ご用意しましたので、この中で一番近いというものをぜひ選んでください。
沢渡:(コメントを指して)ありがとうございます。
小田木:非常に早くリアクションをいただきました。ご自身の分が書けましたら、他の参加者の方が「どういった選択をされているのかな」とか「どんな立場の方がいらっしゃるのかな」ということで、広く見ていただければと思います。
沢渡:「③です」。ありがとうございます。
小田木:後半にかけて、③が一気に増えてきた感じですかね。
沢渡:「③人事や総務として、制度・仕組み・人材育成などに活かされたい」。
小田木:ありがとうございます。
沢渡:マネージャーの方も目立ちますね。自分のチームの運営。私は世の中で、新聞だとかWebで言われているいわゆるマネジメントのキーワードって、チームマネージャーが自分のチームの経営課題として自分事化して取り組んでいくことだと思いますので、マネージャーの方が主体的に参加いただけるのは非常にうれしいですね。
小田木:本当にうれしいですね。①の方も何人かいらっしゃって、うれしいなと思います。今日はそれぞれのお立場で、それぞれの関心事や問題感をシェアしながら、発信しながらご参加いただくと、より実りのある機会になると思っております。
ぜひこの場自体も越境してつながる、いろんな問題・課題解決のヒントを得る場になればと思います。みなさん、リアクションありがとうございます。
沢渡:ありがとうございます。
小田木:続きまして、もう1つ選択式の質問をご用意しました。今日は「育休×越境学習」ということで、みなさまの組織の中で育休に関する今の課題感、近いものはございますか?(①「本人のマインドやスキルを変えたい」、②「組織長や管理職のマインドやスキルを変えたい」、③「育休がハンデとならない人事制度を考えたい」、④「育休がハンデとならない業務プロセスや仕事の仕方を整備したい」)
これは複数回答でもけっこうです。
沢渡:さっそく早いですね、みなさん。
小田木:けっこう複合的に挙げている方がいらっしゃいますね。
沢渡:「全部」とおっしゃる方も。④が多いかな。
小田木:そうですね。この④を今日は、ひも解いていきたいと考えているテーマになりますので、一緒に考えられたらいいですね。
沢渡:「ある程度の世の中の後押しだとか法制化もあって、育休の仕組みそのものは整備されてきたけれども……」。恐らくこういうところですかね。
小田木:①、②、②、③、④……なるほど。ありがとうございます、みなさん。オープンにリアクションをいただいて感謝です。このへんをぜひ一緒にひも解いていきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
沢渡:よろしくお願いします。
小田木:では、これについては後で回収していくとして、最後に3つ目のオリエンテーションをご用意しております。
小田木:今度は、オープンクエスチョンになります。今日は「育休×越境学習」。そしてそこに「人材育成」、新発想の人材育成ですとか、「女性活躍」。こういったところがテーマになるかと思います。
今日のテーマに関してのみなさまの関心事や課題感、参加しようと思った理由を、簡単なワンフレーズもしくはキーワードレベルでけっこうです。コメント、リアクションを頂戴できればと思います。どんなことを期待されて、もしくは、どんな参加理由で来てくださいましたか?
沢渡:ありがとうございます。「越境学習の進め方」。今回の「育休×越境学習」の下の句のほうですね。
小田木:下の句のほうですね。「越境を仕掛けていきたい」とか。あと「越境学習で効果を出す」みたいなキーワードでしょうか。
沢渡:そうですね。ありがとうございます。「育休の人生における価値」。壮大なテーマが来ましたね、小田木さん(笑)。なんかうれしくなりますね。
小田木:私、このテーマめっちゃ好きです。まさに考えているし、ここにどうやって価値を付けていくか、価値を認め合っていくか。このへんのテーマですね。
沢渡:うれしいですね。ありがとうございます。「育休×越境学習=新しい価値。気になりました」。この掛け算に共感いただいた。
小田木:いいですね。あと「私のアンテナに引っ掛かった」みたいなところも、もちろん大事な参加理由だと思いますね。
沢渡:そうですね。掛け算で物事を解決できるようにしていくと、問題・課題の解決の方向性や視野が広がりますよね。
小田木:掛け算での問題解決って、やっぱり越境学習だとか越境にもつながるキーワードだったりしますよね。
沢渡:間違いないですね。越境って複数の物事の垣根を越えて化学反応を起こすことを言いますから。「育休をレバレッジした価値観の拡大と、キャリアのレビュー」。前向きでいいですね。
小田木:これそのものが何かのコピーというか(笑)。
沢渡:素晴らしい。
小田木:刺さりますね。
沢渡:おっしゃる通り、育休そのものにフォーカスすると、そこだけしか組織の関心、人々の関心が行かなかったり、育休の後の広がりや育休の先にある問題、課題が見えにくくなると思うんですね。
その先の問題、課題を組織の中で、あるいは当事者にいかに見せていくか。ここは変革、改革していく組織の習慣を作っていく上でものすごく大事だと思うので、今日もそういうキーワードをちりばめながら、ちょっと近未来の地図を描いていきたいですね。
小田木:そうですね。課題を掛け合わせて解決していくというところもそうですし、そのソリューションに副次的だとか連結的にどういった効果が出るのか。まさにレバレッジで考えていきたいです。
チャットへの書き込み、ありがとうございます。
沢渡:「ハンデじゃなくチャンス」。いいですね。
小田木:今日はこのチャットを、先ほどリアクションをいただいたように、本当にオープンなつぶやきの場として活用していけたらと思っております。
質問も思い立ったら、ちょっとしたクエスチョンというレベルでけっこうですので、ここに書き込んでいただければと思いますので、そんなふうにぜひ活用ください。
小田木:ではあらためまして「育休×越境学習! 育休を個人と組織の価値に変える、新発想の人材育成」の中身を進めていきたいと思います。
今日はまず、この90分の場の全体像をみなさまと俯瞰することからスタートを切りたいなと思います。(スライドを指して)このような全体像にしております。一番上は本日のテーマです。今日はテーマからスタートして、最初に何が問題なのか、もしくは何をまず押さえておけばいいのか? この問題提起について、育休の観点、そして越境学習とは何か? このそれぞれの観点で、まず前提をひも解いていきます。
そして、この2つを組み合わせながら、セミナーの後半では着眼点と打ち手の提案ということで。そしてこの「育休」と「越境学習」を組み合わせることによって、組織の課題と個人の課題が相乗的に解決できる構図をどう作っていけるのか。そこから何が言えるのか。どんな事例があるのか。このへんも含めて話を進めていくという全体像になっております。
今日のトークライブのポイントを3つ設計させていただきました。(スライドを指して)この3つをポイントにできればと思っております。
1つ目は「育休」。この「育休」というものを新しく捉えていく、見方を変えていく。ここに人材育成や組織成長の可能性を見いだしていく。これをぜひ1つポイントに置きたいと思っております。
沢渡:リフレーミングですね。
小田木:その通りです。捉え直し、もしくは新しい見方をしていくと。
2つ目はまさに「越境学習」ですね。今注目される、もっと言うと沢渡さんの2022年の注目キーワード・注目の考え方が「越境学習」。2021年からおっしゃっていたと思うんですけども、この「越境学習」とはそもそも何か? そしてなぜ今注目されるのか? を、大づかみできるところもポイントとして、押さえていきたいと思っております。
その上でこの2つを組み合わせて「個人が勝手に工夫する」ではなくて、組織的アプローチとしてどんなことが考えられるか。「このヒントを最後に1つでも持ち帰ることができたらな」ということで、全体を進めていきたいと思っております。
沢渡:みなさんが組織に帰った時に、育休の新しい捉え方だとか越境学習の価値を組織の中の人たちに説明できるようになっていただけたら「それが1つのゴールかな」と思って、私も取り組んでいます。
小田木:ありがとうございます。ではさっそく1つ目は(スライドを指して)こちらですね。育休を新しく捉え直す。「これってどういうことだろう」「どんな見方ができるだろうか」というところを共有していきたいと思います。
個人としての育休というよりも、組織の中に育休を取りながら仕事を続ける人材が増えていく。この4月から、男性の育休取得推進の(企業への)義務化が加わっていきます。
出産というライフイベントに際して、いったん仕事を離れてまた戻ってきながら仕事を続ける人材が増えていく、この傾向をみなさまはどう捉えていますか? そしてそこにどんな課題感を持っていますか? もしくは、これからテーマになってくるのはどんな観点だと思いますか? というのを一緒に考えたいと思います。
沢渡:小田木さん自身はどうでした? 「育休を迎える」となった時、最初はどんなイメージで捉えていました?
小田木:私は、けっこう仕事が好きな人間だったんですね。なので、いろんなタイプがあると思うんですけれども、私はけっこう「がんばったるでー」「戻ってきてもやるかんねー」みたいな。
そんな感じで、わりと鼻息荒く育休に入り、がんばる気満々で戻ってきたタイプの人間なんですけれども。起こったことは何かというと、めっちゃずっこけました。
沢渡:めっちゃずっこけた。
小田木:「どんがらがっしゃーん!!」みたいな。
沢渡:「どんがらがっしゃーん!!」(笑)。擬音がすごいね。
小田木:そうそう(笑)。それはどういうことかというと「がんばる方向を完全に誤ってしまったな」というのが、私自身の反省です。本当は現場を離れて、そして一定期間自分の時間ができて、その上で仕事に戻ってくるタイミングで、たぶん、過去の私は仕事のやり方をアップデートしなきゃいけなかったんですけど。
それまでわりと長時間労働で、1人で抱え込んで最後まで仕事をやり切る。要は(時間がかかっても)「自分の仕事を自分でちゃんとやり切る人」だったんですよね。その仕事のやり方のままがんばろうとしてしまったがために、けっこう派手にずっこけたと個人的には思っています。
沢渡:なるほど。仕事のルールを変えないまま、突っ走ってしまおうとしたと。
小田木:「過去の自分自身の長時間労働に基づく仕事のやり方のまま、がんばろうとしてしまったがためにずっこけた」ことと、ずっこけた時に私は周りに嫉妬しちゃったんですよね。
沢渡:周りに嫉妬。
小田木:「なんか私だけががんばっている気がする」「周りはみんな残業しながら仕事をしているのに、私だけが残業ができない。私はがんばっているのに」みたいな(笑)。
ただ、今はそれを悲観していません。「結局はやっぱり仕事のやり方・成果の出し方・組織との関わり方を変えるチャンスだったな。今、振り返ると」と思うのが、実はこの新しい捉え方にもつながってきております。
沢渡:一気に育休のリアルが見えてきた気がしますね。
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