2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
「仕事がつらい、つまらない」から抜け出す人は何をしてるのか?(堀田孝治氏 講演)(全1記事)
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傳智之氏(以下、傳):続いて、堀田さんお願いします。
堀田孝治氏(以下、堀田):堀田孝治と申します。ざっくばらんに言うと、味の素という会社で18年働いてます。マーケティング部署に行ったら、仕事で挫折して休職しちゃったんですよね。本当に会社へ行けなくなっちゃったんです。あまりお金がない親だったので、働かざるを得なかったので会社に戻るしかなくて、頭を下げて味の素に戻りました。
自分の失敗を振り返って、一生懸命自分が生きていくために自己変革をやってたんですね。そしたらなんと人事部に呼ばれて、「それをちゃんと周りの人にもやってやれ」と言われました。「ああ、そうなんだ。周りの人も同じような苦労をしてるんだ」と思いました。
最後は広告部のマネージャーで楽しく仕事してたんですが、40歳の時に独立して。「なぜ自分がなぜ挫折したのか」ということから得た持論を、「7つの行動原則」というプログラムにまとめました。「これを研修でやりませんか?」と言われて世の中に出したら、自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃ売れたんです(笑)。
私の専門領域は、ぜんぶBtoBなんです。毎日いろんな研修に行って、今月は、月、火、木、金……と、ずっとこのプログラムだけをやってる人間でございます。BtoBなので、石川先生よりもぜんぜん知名度がないと思うんですが、私の研修受けた人は延べ1万4,000人ぐらいにはなってるかと思います。
ただ、ここでいきなり泣きを入れるんですが、体調がすごく悪くてですね。独立のデメリットを言っておきますが、代わりがいないと休めないんですよ。
「ああ、有給休暇取りたい」と思うんですが、みなさんは「堀田さん大丈夫ですか?」って言ってくれるんですが、「じゃあ休んでいいんですか?」と言うと、笑ってるだけなんですよね(笑)。誰も「休んでいい」とおっしゃらないんです。
傳:厳しいですね(笑)。
堀田:いろんな人のせいにもしましたが、私の休職の主原因は「しなくていい努力」なんですよ。努力の中でもいろんな努力があるんですが、しなくていい努力。ちょっとPRですが、それが本(『しなくていい努力 日々の仕事の6割はムダだった!』)になっております(笑)。
今、若手に提案してるのは「したほうがいい努力」です。それは「7つの行動原則」なんですね。これが『入社3年目の心得』という本になっていて、この上の階層の『部長の心得』を石川先生が書かれているという、今日の1つのご縁だと思います。
そんな私に、けっこう個別の相談事があるんですよ。「お茶しませんか?」「食事しませんか?」という話があると、「よし。仕事の話なんだろう」と思って。(相談相手が)人事部の人だと「よしよし。これで受注だ」と思っていても、最後のほうに必ず「堀田さん。独立ってどうするんですか?」と。「結局その相談かい」みたいなことがけっこう多くて(笑)。
もちろん真摯に相談にお答えするわけなんですが、入り口の話が噛み合わない感じがすごくしたんですよね。どういうことかというと、「独立は、会社員よりも『上位層』がするものだ」という大前提での相談が多いんですよ。
でも、さっき言ったように私は休職をしていて。味の素さんの中で主任になるのが2年遅れて、課長になるのが同期よりも3年遅れて、簡単に言えばサラリーマンとして「イケてない側」だったんですよね。それでも独立して飯は食えてますので、この違和感がすごいなと。
堀田:独立して15年経つんですが、僕の感覚だとこうじゃないかと思います。確かに、会社員に向いている・向いていないはあります。で、独立に向いている・向いていないがあって、たぶん石川先生は(スライドのグラフの)右上の人なんですよ。羨ましいことに、会社員も独立も両立できちゃってる、いわゆる“大谷翔平”が世の中にはいるわけですよ(笑)。
私は独立のほうが合ってたんだと思うんですよね。今、自分自身にそう信じ込ませているところはあるわけですけれども(笑)。若手には「左下にいるのが悲惨だよ」と言っています。独立も会社員もできないんだったら、そりゃあ生きていけないから、なるべく左下から右上に行くようになってねと。
ただ将来的には、どっちかといえば左上(会社員のほうが合っている)、右下(独立のほうが合っている)はあるかもしれないので、「どうですか?」という提案をする。
こんなことをFacebookでつぶやいたら傳さんとご縁があって、なんとこの本(『「会社は無理ゲー」な人がノビノビと稼ぐ方法』)が出版できたんですよ。この本を出したら、同じタイミングでなんと石川先生が私をビンタするような本(『「会社員」として生きる。』)を出したわけですね。
石川和男(以下、石川):ありがとうございます(笑)。
堀田:「会社員として生きるんだ」という、まさに真逆の本が出て。ちょうど同じタイミングでしたよね、石川先生。
石川:はい。
堀田:傳さんはアンテナが高いから、「この2人をバトルさせたらおもしろいんじゃないか?」ということで。
傳:私、悪い人みたいじゃないですか(笑)。
堀田:傳さん、悪い人ですから。
石川:悪い人です。
傳:言われた(笑)。
堀田:業界でも有名な(笑)。冗談ですが。
堀田:ということで、今回のご縁をいただいてるわけですね。それで「会社員時代にやっておくことベスト3」の話なんですが、1つは「ババを引きまくる」と良いと思います。
仕事を振られまくって、ひたすら押し付けられる側で生きていくと良いと思いますね。そうすると仕事力が身につくんですよ。会社員としてうまいこと生きていくためには、「いかに人にババを引かせるか」も必要だと思うんですよね。
人に仕事を振ったりするんですが、結局は独立って「いかに人に仕事を振られるか」なんです。お客さんは「誰に振ろうかな」って見てて、「堀田に振ると一番良いだろうな」と思って、振りやすいやつに振ってくるわけですよね。だから会社の中でも「あいつに振ればいいや」という、ババを引けば良いと思います。
今日思い出したのは、「2000年問題」というのがあったんですよ。傳さんはわからないかもしれないけど、石川さんはわかるかもしれない。
石川:ありましたね。
傳:もう、今となっては懐かしいですね。
堀田:私はその時、総務にいました。要するに、「西暦2000年になった時にコンピュータが止まるんじゃないか」みたいな話があって、誰も対策がわからないんですよね。
当時、蒲田に事業所があったんですが、2000年の正月に蒲田のビジネスホテルから双眼鏡を持って会社を見ながら過ごしたんですよね。その時は管理職でもないんだけど、その対応を一手に引き受けて。そういうババを引いたことあるんです。
堀田:でも今考えると、0から1を作っていくような仕事をたくさんやらせていただいたので、独立してもそんなに怖くない。本にも書いたんですが、独立すると“ジャニーさん”では生きていけないんですよ。「YOU、やっちゃいな」と言って生きていけないんですよね。自分が「YOU」にならなきゃいけないので。
自分が仕事ができる、各論ができる「YOU」じゃなきゃいけないので、実務力を身につける。人間関係でこなしていくというよりも、自分がババを引いてたくさん仕事をやったほうが良いと思います。
2つ目は「『どうしても勝てない人』に出会う」べきだと思いますね。独立相談で一番困る相談は、「僕はなんでもできます」みたいなことを語る方がいるんですよ。「僕はなんでもできます」って言う人は、(仕事を)絞れないんですよね。ずっと夢を見ちゃうんです。
味の素さんにいた時、営業ですごくがんばって表彰もされたんですが、「この人にはどうしても勝てないだろう」という人が20人はいます。私の同年代で、マーケティングにも30、40人は(勝てないと思う人が)います。
だから「研修講師だったら勝てる」って思えたんですよ。何が言いたいかというと、どうしても勝てない相手がいるから、仕事は本気でやらなきゃいけないんですよね。余力があるうちは見つからなくて、「本気でやっても勝てないんだったら、どこで勝とうか」というふうに知恵が出てきます。
僕の場合、研修講師だったら営業の20人にもマーケティングの30人にも負けない感じがしたんですよね。特に、失敗談を語る上では。
堀田:そして3つ目は、「『土日に本が読める仕事』に出会ってくる」ことだと思いますね。私はマーケティングの部署で冷凍食品の開発をやってたんですが、どうしても勝てないAさんという同期がいたんですよ。
彼は本当に料理が好きなんです。男性なんですが、『オレンジページ』と『レタスクラブ』が部屋の壁一面に並んでる人なんですよ。土日になると、沼津だろうが大分だろうが飛んで行って、とにかくおいしいものを食べに行く。ずっと食品のことを考えてるんですよね。
当時、ハンバーグの開発をしてたんです。ハンバーグの本は買ってあるんですが、嫌で土日には読めなかったんです。土日に仕事はしたくないと。僕が土日に読んでた本って、自己啓発の本なんですよ(笑)。
だから、人事部に行った時にびっくりして。教育心理学とかもちろん勉強し直すわけですが、教育心理学の本は元旦から読んでたんですよね。独立すると、それぐらい好きじゃないときつくなる場面があります。やっぱり、好きな人じゃないとどうしても乗り越えられないところは多少ありますので。
いろんなことに手を出し、1番、2番をやりながらも、最終的には3番(土日に本が読めるほど好きな仕事)に出会えると良いんじゃないかなと思っております。順位はないんですが、私のベスト3はこの3つでございます。じゃあ、傳さんにお戻しします。
傳:ありがとうございました。
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