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コロナ禍における社員コミュニケーションの在り方 武田雅子氏 講演(全1記事)

単身赴任の解除、定期代の支給停止、フルフレックス制導入 リモートワーク下で、カルビーが導入した施策の背景

コロナ禍でリモートワークへの移行が進んだことにより、社員同士のコミュニケーション量の低下や、職場の一体感が損なわれるなど、経営層・マネジメント層はさまざまな課題に直面しています。これからのリモートワークにおけるコミュニケーションの在り方について、企業独自の色を活かした経営戦略を実行している責任者4名がイベントに登壇。本記事では、カルビーの武田雅子氏のセッションをお届けします。

リモートワーク禍でオフィスをリニューアル

司会者:それでは続いてのゲストです。カルビー株式会社常務執行役員CHRO兼人事総務本部本部長、武田雅子さまをお迎えいたしましょう。武田さま、どうぞよろしくお願いいたします。

武田雅子氏(以下、武田):みなさん、こんにちは。カルビー株式会社から参りました、武田雅子です。よろしくお願いします。今日はお招きありがとうございます。また、週明けのお忙しい月曜日にたくさんの方にご参集いただいていると聞いてます。本当にありがとうございます。

コロナ期間中、カルビーにしてみたら外部のいろいろな取材を受けることが多かったんですが、コロナ禍になってリモートワークになってから、今日に至るまでを凝縮して3枚のスライドで説明をしようと思っています。

ちなみに今、ここにお出ししている表紙の写真は、今年の9月4日に新しくリニューアルをした「Dig up field」という、私たちの新しいオフィスです。実はプロジェクトメンバーが一回もリアルで集まらないで、リアルのオフィスを作ったんです。

リアルで集まったのは、実際に椅子の座り心地や床材とかを、施工先の会社のショールームに見に行く時だけ。あとはできあがるまで、実は一回もみんなが集まらないでオフィスを作るという貴重な体験をしました。

フルリモートワークが開始してから、カルビーが行った施策

武田:それ以外にもどんなことをしたか、このあとお話をしますが、先に私も自己紹介をさせてください。最初、平成元年にクレディセゾンという会社に入社しました。先ほど曽山(哲人)さんも営業をやってらっしゃったというお話をされてましたが、私もクレディセゾンにいた29年間で、半分ずつぐらい営業と人事の経験をさせていただきました。

そして自分自身がちょうど50歳になったタイミングで、「人生100年時代、これで良いのかな?」といろいろ考えたところ、「もう一回違うところでがんばってみようかな」ということで。3年前、2018年にカルビーに転職をして今に至ります。そのほかにもZENTechやメンバーズなど、いろいろなところで社外取締役や理事等をさせていただいています。

ではさっそく、本編にいきます。去年の4月、会社としてフル在宅が始まってから今に至るまで、どんなことをしてきたのか。(スライドの)上のほうはたぶん各社さんも取り組みをされたんじゃないかなという、いわゆる人事制度やルールですね。

下のほうは、別にやらなくてもリモートワークはできるし、マストではないんだけれども、今回独自でいろいろ取り組みをしたことが書いてあります。

それから下の方はアンケートの声です。これは、定期的に人事からリモートワークをしている社員の方たちにアンケートを取りまして。その時に、フリーライティングのところにいろいろ書いていただいた声を挙げています。

フルフレックス制の導入や、マインドフルネス講座も実施

武田:大きな流れとしては、一番最初にリモートになって、いろいろ制度・規程を直したりとか、コアタイムをなくしたフルフレックスにしたり。また、Twitterで沢山リツイートされて私もびっくりしたんですが、単身赴任や定期代をなくしたりということを、わりと早くしたのかなと思ってます。

そのほかに、さっき曽山さんが「リーダーに向けてワークショップをされてた」という話をされてましたが、私もやっぱり社員の方たちの様子が心配だったので、最初はほぼほぼ1人でワークショップをスタートしました。

「どんなふうな働き方してるの?」「困ってることはない?」とか、あとはストレスが溜まってるんじゃないかと思って、マインドフルネスの講座をやったりもしました。

あとは、部門によっては出来ない業務がある分、その時間を活用して「武田さん、何でも良いから勉強会やって!」みたいなオーダーもあったので、リーダーシップについてのワークショップをやったり。当時はいろいろなことを手当たり次第やっていました。

このワークショップは、10月から「Calbee Learning café」という名前になって、実は今日に至るまで、ずっとまだ続いている状態です。そのスタート地点になったのがこのワークショップ。そこで私自身はみなさんのいろんな声を聞いたりしていました

ワークショップに来られる方って、いわゆるアーリーアダプターと言われる変化に対応が早い方たちなので、「じゃない方たち」に向けてもアンケートで声が聞けるような仕組みを作って、コミュニケーションを取ってました。

また、並行して情報システム部がリモートワークに必要なツールの使い方など、オンラインで勉強会を沢山やってくれていました。みなさん、それにもしっかり参加をしていただいて、この期間リテラシーをしっかり上げられていました。

コミュニケーションが減り、社員の中で広がる溝

武田:また、人事の中に「ダイバーシティー&インクルージョン・スマートワーク推進室」という部門がありまして、そこからいろんな情報発信をすることで、働き方についてのリテラシーにばらつきが出ないようにしていました。変化のところは後半のパネルの中でも話をすると思うので、いったんここでは端折ります。

コロナ禍に私自身が考えていたこととしては、まずやっぱり、雑談する場所が本当になかったですよね。社内のみんなが部門を超えて、ちょっと廊下でばったり会うとか、出張の時に目的ではない部門のところにちょっと顔出して寄るとか。そういったことがなかなかできないので、仕事ではなくみんながフラットに集まる場をどう作ろうかなと考えていました。

また、この頃は外部のセミナーなんかもすごく増えてましたよね。なのでこれからは、「自分で場を作れる人」になるか、または「それを見つけられる人」だけが変化に対応できるんだな、それ以外の人たちは置いてかれちゃうんだな、と感じてました。

あと、各部門を見ててすごくおもしろかったのが、リアルの時の記憶を埋めようとして人は動くんですね。なので、もともと仲の良かったチームはどんどんつながろうとします。そうじゃないところは……という感じになる。

「New Workstyle」のリリースの時には、社員に向けて「圧倒的当事者意識を出してくださいね」というメッセージを発信しました。一定のところまでは人事でいろいろ準備もするけれども、最後のところはあなた自身ですよ、というメッセージをすごく強く出していきました。

心がけたのは、社内と社外の境目をなくす仕組み作り

武田:あとは変化してくれた人、変化をむしろ味方につけて先頭を走っていってくれるような方たちを、社内報で取り上げるとか。先ほどお話しした、社内のオンライン勉強会に招いてお話をしてもらったりもしてましたね。

リモートワークにだいぶ慣れてくると、時差さえなければ海外現地法人のメンバーたちがオンラインのワークショップに入ってきてくれたり。距離感を一気になくすような、むしろフォローに変えるような取り組みをしようということで、社内と社外の境目をなくす仕掛けを意識して作るようになりました。

今お話しした、社内と社外の境目を壊す仕組みでは、気がつくとみんなが後付けで「越境」という言い方をしていましたが、先ほど話をした「Calbee Learning café」という社内外のゲストをいろいろ呼んでワークショップなり、お話を聞いたりする場とか、ギグワーカーの採用をスタートさせたり。

あとはカルビーは農業と密着したメーカーなので、いろいろな一次産業の方たちとコラボして、商品の付加価値を付けて商品を世の中に送り出すプロジェクトに社員を送り込んだり。

「クエストエデュケーションプログラム」というのは、中高生を対象としたプログラムで、ここにも社員を送り込んでいます。今はオンラインで授業に一緒に参加できるので、全国の学校に行けるところがいいですね。

あとは、ちょうどこのオフィスの施行をしていただいたイトーキさんとやっているプロジェクトでは、数社で今はほぼオンライン上でなのですが、オフィスシェアをして、同時に参加者のリーダーシップ開発をするようなコンテンツを一緒に行っていています。「Open Working」という取り組みです。

私からは、この1年ちょっとの間に取り組みをしたことを列挙をしてみました。このあとのパネルも楽しみにしていますので、よろしくお願いいたします。

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