2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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橋口幸生氏(以下、橋口):辻さんはもともと、インターンでエードット(現・Birdman)に行かれて、そのまま社会人デビューというか、プロになられたという経緯なんですよね。
辻愛沙子氏(以下、辻):そうですね。一応、一番最初は普通に大学を卒業して、受かるかわからないですけど、電通・博報堂・ADKを受けて、という予定だったんですが(笑)。
橋口:そういうのも頭にあったんですね。
辻:ありました。それこそ今もそうなんですけど、「自分ならではのキャリアを歩もう」みたいな感じの、自己ブランディング的に道を逆算してきたことは、意外とあんまりなくって。
最初を思い返してみると、その場その場でできるところを全力でがんばって、とにかく立てるバッターボックスに立って打ち続ける感じだったんです。なのでそんなかたちで、「広告業界には行きたいな」というのを大学時代から思っていました。
最初は映像を作る仕事がしたかったこともあって、すごくよこしまな……。よこしまというか、クライアントワークの針の穴に糸を通すような仕事だということも、クライアントさんと社会の接着地点を見つけることだということも、ぜんぜんわかってない中で、広告だったら良くも悪くも不特定多数に届けられる、ほぼ唯一の映像表現だと思っていて。
もともと集団行動が苦手だった私は、10代の時にずっと生きづらさがありながら生きていたので。同じように感じている人が社会のどこかにいるなら、何かメッセージを届けたいなという、わりと自分軸の思いで「映像に行きたい、広告に行きたい」と思い始めて。
辻:広告会社でインターンもしたんですが、その中の1つに新卒の時の(入社した)会社があって。当時、15人~20人いないぐらいの規模感の会社だったんですが、最初にインターンを始めた時はぜんぜん入社するつもりもなく、インターン生として行ったんです。
これまでの人生だと、海外に住んでいたので「日本人の辻さん」とか、例えばインターンをしていても「インターン生の辻」みたいな。そういうカテゴライズをして他者を理解することが、社会の中では当たり前なんだな、というのを思っていたところでした。
初めてインターン先で、そういう周りのいろんな装飾を抜きにして「辻はどう思うの?」ってすごくフラットに聞かれる場だというのに、衝撃を受けて。かつベンチャーなので、最初から自分でできることの幅がすごくたくさんあって、「ネーミング書いてみて」「考えてみて」って言われて。
楽しいし、何が正解かわからないのでとにかく数を打つ。やることがなく暇なので(笑)、アイデアを100案とか書いて。100~200案書いて持って行っても、「へー、おもしろいね」とか言って、その熱量を普通のこととして扱われたことが、すごくうれしくって。学生時代って、ちょっと冷笑的だったりするじゃないですか。
橋口:そうね。
辻:「熱くなっちゃって」みたいな。
橋口:それで自分を高みに立てて、安心したりしますよね。
辻:そうなんです。何かにハマると「うわー!」ってなるタイプだったので。絵を描くのが好きで、ずっと描いていたりとか。なので、それを普通のこととして扱う場所があるんだと思って、すごく生きやすくて。「仕事って楽しい」となりました。
辻:頼まれてもいないし、特にすることがそんなにあるわけでもない。役に立てることがそんなにあるわけじゃないんですけど、気づいたらいきなりフルコミットで会社にいる、みたいな。楽しくて、とにかく最初から最後までいる感じになっていて(笑)。
なのでそこからインターンを始めて、そのまま2週間ぐらいで「会社来る?」と言っていただいて。大学在学中に正社員になるというのが、最初のキャリアのきっかけなので、本当に計らずで。
当時、会社もそんなに大きいタイミングでもなかったので、自分がどういうキャリアを歩んで行くかもわからず、「とにかくやりたい」「目の前にできることがある」という、作れるものがあるうれしさを1個1個積み重ねている感じですね。
橋口:おっしゃることはすごくわかる気がしましたね。僕、就職活動にめちゃくちゃ苦労して、今の会社以外は全部落ちたんだけど。
辻:そうなんですか!
橋口:そうなんです。「(就職)超氷河期」と言われたこともあったんですが、全部落ちましたね。だから同期は“就活エリート”みたいなやつが多くて。「何社内定取った?」という話題になると、一人しょぼんと隅のほうに行くという。
辻:今の橋口さんからは想像もできないですね。人生、本当に何が起こるかわからないもんですよね。
橋口:ただいろんな会社を見て、「会社って、いわゆる“すごい人”を型にはめようとするんだな」と学生なりに思っている時に、広告のクリエイティブ部門って、良く言えば自由、悪く言えばちゃらんぽらんなところなので、比較的自分を出して勝負できるところなんだなと思ったところはありました。その感覚は、辻さんがインターン中に感じられた感覚と近いかもなと思いました。
辻:確かに。思っていた以上に、意外と社会や大人や仕事って自由な世界だな、と年々思うんですが。周りは何も枠を作っているわけじゃないのに、勝手に自分自身で決めちゃっていることも、もしかしたらみなさんも、どこかであったりするのかなと思うんです。
辻:今も忘れないんですが、人生で初めてやった仕事はクライアントさんがゲーム会社で。ゲームが死ぬほど好きでして、仕事を始めてから最近はぜんぜんできてないんですが、大学在学中のインターンとかも何もしてない暇な時、1日20時間ぐらいずっとゲームをやるみたいな。
橋口:そんなにゲーマーだったんですね。
辻:そうです。すごく好きで。(インターン先の)会社の社内の連絡ツールで、「○○に行ってきます」とゲーム会社さんの名前を書かれてる営業の方がいて、「えっ!」となって。
「かばん持ちでもいいので連れてってください!」みたいなことを、めちゃくちゃお願いして。社会科見学のようなノリで「うわ~!」ってなりながら、「このゲームのフィギュアが置いてある! すごい!」みたいな。
会社にちょこっとついて行った時に、SHIBUYA109の前でやるイベントの提案をしていたんです。ゲームなので、既存の顧客の方とか、その会社さんを知っている、どちらかと言うと男性ファンが多い人たち向けなのかな? と感じるコミュニケーションの話が出ていて。
せっかくだったら、その中で体験できる人たちだけじゃなくて、そこ(109)には通りすがるたくさんのギャルたちが居るので、その人たちにも少しでも興味を持ってもらったりとか、広げてもらう座組みを作れたらなと思って。
まぁ、座組みと言うほど大したことを私は……お役に立てていないんですが、せっかくやるなら109的なトンマナ(広告においてデザインの一貫性を持たせること)で、外装のデザインを作っていくべきなんじゃないか、という話をして。
辻:その時に初めて外装のデザインをやらせてもらって、まだイラレも触れなかった時だったので、ほぼ手書きであーだこーだ言いながら書いて。「こういうものを作りたい」というのを紙に書いてスキャンして、データにして提案して。そこからOKが出て、デザイナーさんに「ここはこうしたい」「ラメのグラデーションの装飾で」とか。
今考えると、何も知らないからこそ言えたんだろうなと思うんですが(笑)。相談しながら(イベントの外装デザインを)一緒に作りました。インターン(を始めたの)が2月で、5月とかにローンチしたんです。
初めて作ったものが世の中に出て、自分の知らない人がそれを見て記事になって。知らない人がそこで楽しんで写真とかを撮って、SNSに載っけていた時の高揚感を、一生忘れられないなと思います。
橋口:そうですね。知らない人が自分のものを写真に撮ってあげるって、ものすごく興奮しますよね。
辻:そうなんですよね。作ったものが自分の手から離れていく瞬間は、やっぱりたまらないですよね。
橋口:ちなみに辻さん。僕も最近はもう何年もやっていないですが、若い頃はわりとゲームが好きだったんですけど、どの辺りをやられていたんですか?
辻:けっこういろいろやります。最近はもうプレイヤー自体が減っている気がしますが、大学の時は『AVA』(『Alliance of Valiant Arms』)というFPSをすごくやっていました。
橋口:何ていうやつですか? アヴァ?
辻:『AVA』っていう、FPSの戦う系ですね。あと今でも一番好きなゲームは、『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』という。
橋口:ニーアオートマタ?
辻:グラフィックがすごくきれいなんです。作っている制作会社さんは別なんですが、スクエニ(スクウェア・エニックス)さんがメインで出されていて。『NieR:Automata』はキャラデザとグラフィックが最高に素敵……。何の話? って感じなんですが(笑)、ちょっと気持ち悪い感じでごめんなさい(笑)。
橋口:もうけっこう前なので、辻さんご存じないかと思うんですが、海外の洋ゲーのFPSとかが大好きで、一時期すごくやってました。
辻:へー! そうなんですか。
橋口:広告業界的に有名なのだと『HALO』とか、ああいうのをよくやってたんですけど。
辻:うわー、いいですね。
橋口:子どもが(まだ)赤ちゃんの時に、寝ている子どもの横でやってたら、「赤ちゃんの横で人殺しのゲームはやめてくれ」って妻に言われて。
辻:それはおっしゃるとおりですね(笑)。
橋口:本当におっしゃるとおりというか、そのとおりなので反論できないんですよ(笑)。今は老後の楽しみと思っています。
辻:いいですね。仕事が忙しいとどうしても……(ゲームは)時間溶けますしね。ゲーム話ですみません。
橋口:でも、ゲームがお好きでゲームの会社に行く先輩について行くっていう、自分で行動を起こされているのがすごいなと思って。
辻:いやもう、大好きすぎて、「ゲーム会社に行けるなんてすごい!」と興奮していて(笑)。「なんとかしてこれは連れていってもらおう」と思ったのが最初だったりとか、わりと運というか、それを許してくれた大人たちのおかげという感じです。
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