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会社やめるやめないの学校 case.1 阿部広太郎さんの場合(全5記事)

職場が自分に合わない時の、2通りの選択肢 阿部広太郎氏に学ぶ「会社やめるやめないの学校」

会社をやめて気のむくままの働き方を手に入れるか、それとも会社の中で独自のキャリアを確立すべきか……。人生の大きな分かれ道に、多くのビジネスパーソンが一度は思い悩むのではないでしょうか? なんと2020年11月末に、そんな悩むを持つ人が通うべき「会社やめるのやめないの学校」が開校しました。過去、そんな岐路に立った経験のあるゲストを招き、選択した時の思いや考え方をお話しいただきます。記念すべき第一回のゲストは、コピーライター&作詞家の阿部広太郎氏。BONUS TRACK MEMBER’S マネージャー 桜木彩佳氏とともに、さまざまなお悩みに答えてくれました。本記事では「新卒での人事局配属から、コピーライターになるまで」「入社1年目で退職を検討するのは、おかしい?」などについて語ります。

「会社やめるやめないの学校」case.1 阿部広太郎さんの場合

桜木彩佳氏(以下、桜木):ゲストの阿部さんでーす。

阿部広太郎氏(以下、阿部):よろしくお願いします! ありがとうございます。

桜木:2008年電通に入社されて、コピーライターや作詞家だったり、本を出されたりとご活躍の阿部さんです。

本日のテーマワードというかたちで、(スライドを指して)私のほうで書かせていただいたんですけれども。今回初めてのイベントで「こういうお話が阿部さんに聞けたら、きっとこのイベントとしてもいいんだろうな」と、私が思ったことになります(笑)。

阿部さんは会社に所属されている方なので、会社に所属する理由。これはご質問でもいただいていたんですけれども、もう「フリーランスでも絶対に大丈夫だろう」という阿部さんが、なぜまだ会社にいるのか? みたいなところですね。

ここを私も、個人的にもお伺いしたいなと思っていたのと。あとは会社に所属する上での利点、会社に所属しているからこそ持てる視野みたいなお話もお伺いできたらなと思っています。

あとは阿部さんがまさにそうだと思うんですが、会社に所属しながら新しいことに着手する方法。そのやり方、モチベーションの持っていき方とかそういったところと、あとは「会社をやめるかやめないか」と迷われている方も参加者の方に多いので。会社に所属し続けるか迷った時、それはいつだったのか? とか。どういうシチュエーションで、どういう内容で迷ったのか? その悩みからどう抜け出したのか? みたいなところに話がいくといいなと思っています。

新卒での人事局配属から、コピーライターになるまで

桜木:(スライドを指して)こちら独特な……「やめる、やめないに至るまで」という、阿部さんの年表を作らせていただきまして。

阿部:そうですね。今に至るまでどんなことをしてきたか? ということと、その時々で自分がやめたこととか、続けていることとかをまとめさせていただいたんですね。

今、これを全部話しちゃうと、けっこう時間が経っちゃうんですけど。僕自身の話を少しさせていただきますと……。

桜木:もちろんです。

阿部:2008年に会社に入社しました。転職、やめて他の会社に行ったりとかはしてないんですけれども、社内の中での部署異動とかはしていまして。入社した当初は人事局に配属されて、人事の仕事をしていました。

講演会とか研修とかで、新入社員がやるのは机を並べたり、配布物を作ったりコピーしたりというような、そういうような細々とした仕事とか。あとは会議室を抑えたりとか、わりとミスが許されない仕事を淡々とやっていたんですが、その中で転機があって。

(人事として)学生のインターンシップの立ち会いをしていまして。「アイデアを考えたり企画する仕事をやってみたい」と思っていた僕は、そこでジェラシーというか、めちゃくちゃ嫉妬して。自分と歳もそんなに離れていない彼らが、すごく輝いてプレゼンテーションをしている姿に触発されて。「僕もやってみたい」とクリエーティブ試験の勉強を始めて、合格して、2009年からコピーライターになりました。

それでそこから先も、コピーライターをずっとやりながらなんですけれども。途中で1年、経営者の横にコピーライターが付いて、そこから企業の未来を創造する仕事をしたりとか。

そこでまた広告クリエイティブのセクションに戻ったりして。2017年にはコンテンツを扱う部署に移動したりとか。部署の異動は3回ぐらい繰り返しながら、今に至るという経歴になっております。でもみなさんから、本当にたくさんの質問をいただいていて。そちらの話をさっそくしていったほうが、けっこう盛り上がりそうだなと思ったので……。

桜木:「それ待ち感」がありますよね。

阿部:ぜひ、そちらの話に行きましょうか。

「やめる」より重要なのは「何を始めるか?」

桜木:はい。わかりました。(スライドを指して)「お悩み相談と相談の内容」になっているんですけれども。昨日ちょうど「やめる時ってどうしてますか?」というnoteを書かれて……。

阿部:ありがとうございます。昨日、noteのほうで「自分自身がやめる時って、どういう時だったかな?」を振り返った、1200文字ぐらいの記事を書きまして。そこでもコメントをいただいたりとかしていてですね。やっぱりこのテーマって、みんな関心があるんだなと思ったりしましたね。

桜木:ありがとうございます。ぜひ読んでいただきつつ、それに呼応するかたちで今日のイベントタイトルが「会社やめるやめないの学校」ということで、やめることについての相談というより「こう思います」みたいなご意見もありました。

阿部:はい、はい。ありましたね。

桜木:ご共有になりますが、こちらです。

「会社をやめるとは組織から離れることですが、他にも定収入源から離れる、役割から離れることの意味があります。人によってどの意味が大きいのか? 会社をやめなくても“意味ある何か”をやめる、または変えることを自分で決めることが重要です。そしてやめるより重要なことが、何を始めるのか? なぜ始めるのか? ですね。」

というコメント。導入として、いいなと思いました。

阿部:はい、はい。

入社1年目で退職を検討するのは、おかしい?

桜木:では次はみなさん個々のご質問から、会場にいらっしゃる方のご質問も読ませていただきます。私のほうで悩みの種類をちょっと大枠で、カテゴライズ分けさせていただいたんですけれども、まずイベントの名前のとおり「会社をやめるか迷っている方、やめ方に迷っている方」のコメントが、多かったです。

例えば

「入社1年目で会社をやめることを検討するのは、おかしなことでしょうか?」

おかしくないと思います(笑)。いっぱいいると思います。

阿部:そう。なんか「3年間は続けなくちゃ」とかも昔は言われてたと思うんですけれども、今そんなことはないというか……。なんでしょうね。「(この会社)違うな」と本能的に感じたりとか「おかしいな」と思う時に、2つあると思っていて。

1つはそこに対してあらがうというか。「こうなんじゃないですか?」とか、その職場において自ら提案して環境を変えていこうというやり方もあれば、もう1つ「これはどうしようもないな」と思ってその環境から離れるという、2通りのやり方があると思うんです。

「1年目だから」ということはなくて「働くことを決まりにして、ずっとその職場にいなければいけない」ということではないですし、ずっと自問自答し続けないといけなくて。

それが1年目だからどうとか10年目だからなんとかって、関係ないと個人的には思うので。この質問をしてくださっているということは「(今の職場に)ちょっとおかしいな」と思うこととか「なんかちょっと合わないな」みたいなこととか、違和感があるんだと思うんですけど。

その違和感みたいなものは、とても大事なことだと思っていて。それをどういうふうに、自分の次のステップに活かしていくか? というところを、自分なりに企画したほうがいいだろうなという感じがしますね。

一気にやめるのでなく「少しずつはみ出していく」という発想

桜木:ありがとうございます。次に……。

阿部:どんどん行きましょうか。

桜木:似たご質問をまとめたりしているので、2つに対して1つの答えでも大丈夫です。では次。

「生きるための仕事と好きなこと(いずれ仕事にしたい)が対極に位置している場合、どのようなタイミングで仕事や会社をやめたらよいでしょうか。もちろん、それを通した出会いや経験が好きなことにも生きるとは思っています」

阿部:この質問が僕自身も、このイベントに参加させていただく上での真ん中にあるようなテーマだなと思っていて。仕事をしていて、月給として定収入が振り込まれている。

それは本当にやりたいことではないけれども、生活をしていく上で必要だし、それがないと暮らしていけないとした時に。僕なんか「それをすぐやめたほうがいいです」なんて言えないし、言う資格もないなと思っていて。

だからやりたいことが別にある時、平日の仕事が終わった後とか土日を含めた時間に、いかに自分のやりたいことを少しずつかたちにできるか? ということだと思っていて。

少しずつはみ出していくというのが、すごく大事な気がしているんですよね。

もちろん一気にその職場をやめてしまって、自分で自分の肩書きで名乗りを上げてやっていくというやり方もあるんですけれども。少しずつフェードアウトしていくとか、はみ出していくというやり方が、今の時代に一番いいじゃないかなと思っていて。

平日の自由な時間とか土日とかって、自分で自由に使える時間だし。その時間を通じて参加できる、コミュニティとかサロンって、今はめちゃくちゃ増えていて。

自分の近づきたい業界に関するコミュニティ。誰かがそういうことをやってるパターンって、めちゃくちゃ増えたじゃないですか。10年前とかだと、そういうのってなかなかなかったですよね。なので、そういうところに所属する中で出会いを増やしてみたりとか。そこではまだ収入を得られないかもしれないけど「自分はこういうことをやってきました」という、転職活動する時とか自分がやりたいことを新しい仕事として取るために、成果として残せるものを……。

桜木:社外活動的なポートフォリオを作る、みたいなことですね。

阿部:そうですね。経験を蓄えていくのが一番いいんじゃないかなと思っているので。

桜木:なので、必ずしも副業である必要はないということですよね。

阿部:そうですよね。副業というか趣味というか。「自分が好きでやっています」ということ。「好きなこと」というのは、止められてもやりたいことだと思うんですけど、そこをコツコツかたちにしていますよという。そういう行動力があって、その道で自分が本気を出してやっていきたいと思ったタイミングで、舵を切ればいいんじゃないかな? なんて思っているので。

すぐやめなくてもいい。もちろん、今いるところがぜんぜん違うと思えば、飛び出していいと思うんですけれども。と、思っていますね。

天秤にかけるべき、何に対して妥協できるか?

桜木:下にも同じようなご質問があって。「やっぱり収入が心配で」だったり「いきなり今のままやめてしまって大丈夫なのか」ということですよね。ちなみに私の話をすると、これまで3社にいて、今年からフリーランスなんですけれど。何も決めずやめた派です。

あてをつけずやめて、一瞬「やばい」ってなったんですけど、ここ(イベント主催のBONUS TRACK MEMBER’S)に縁があって関わるようになった、というタイプです。なので、私は器用にできなかったタイプになります。

阿部:でもそういう、思い切りとかタイミングとかもやっぱりあると思うので。そういう時に思い切って自分で会社をやめるとか転職するとか、その時々のノリやテンションも大事にしたほうがいいし。

逆に(スライドを指して)3つ目の質問(「退職しても、生活レベルを下げずやっていけるかどうか」)でいただいているのは、やっぱり「何に対して妥協できるか?」ということだと思っていて。収入もやりたいことも完璧に、自分のモチベーションもすべて揃っている状態になれるって、やっぱり稀だとは思うので。

自分の中で「収入は下げても大丈夫。それでもやりたいことをやれるか?」とか、天秤にかけながら、妥協できるところは何か?

収入が3分の2になっちゃうけど、やりたいことができるんだったらそれでいいのか? でもやっぱりこの生活レベルを落としたくないから、これをキープしながら自分の空いてる時間に何かをやろう、なのか? そういうふうに一刀両断できないというか、天秤にかけながら自分のギリギリの選択をしていくということなのかな、なんて思いますね。

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