2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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松本国一氏(以下、松本):逆に今、悩まなきゃいけないこともあります。倉貫さんのところのようにこういうツール(Remotty)を使っていなくても、なんとなく「これぐらいの情報量に行きたいな」と思っている人たちもいっぱいいると思うんですよ。そういう人たちってどうするのかなって、私もいろいろ思っているんです。ただ、例えばみなさん、どんな人でもプライベートでデジタルを使っていると思うんですね。
西舘聖哉氏(以下、西舘):使っていますね。
松本:例えば「家族間のコミュニケーションって、何でやっていますか?」と聞くとリビングやダイニングに集まって、2時間も3時間もずっと会話している家って、もうほとんどないじゃないですか。
「じゃあ、何で?」と言ったら、LINEでコミュニケーションを取っているんです。しかも同期コミュニケーションじゃなくて、非同期コミュニケーションでみんなやっている。つまりお父さんがパッと書いて、それに対して(すぐに)返事をよこす子どもなんていないじゃないですか。ちょっと見て、後々で対応するというのが平気で起きているんです。やっぱり社内でも、チャットツールをそういう観点で使ってもいいんじゃないかなと思うんですよね。
なんとなく、「オフィスワークだから、チャットツールを使っちゃうと失礼になるんじゃないかな」とか、「コミュニケーションとして正しくないんじゃないかな」とか、「メールが一番礼儀があるよね」という方が非常に多いんです。
だけど、私は別に上の方が気にしなければいいだけだし、「そのコミュニケーションツールでやろうよ」というかたちに舵さえ切れば、たぶん倉貫さんのところのバーチャルオフィスに近い領域に行く布石になると思うんですよね。
安達徹也氏(以下、安達):それは、テレワークレベル2ですね。
松本:そう、そう。
(一同笑)
西舘:「上の」という言い方が正しいのかはわからないですが、要は(組織で「上」の立場にある)マネジメント層、管理する側の立場からちゃんと歩み寄ることが大事ということですね。
松本:そう、そう。だって若い人たちから見ると、「会社に入って一番困るのは何か」「一番違和感を覚えるのは何か」って言うと、会社に入ると「いまだにメールを使っているんだ」という違和感を持つことじゃないですか。
それって結局のところ、そこ(メール)が一番正しい距離だとか、正しい会話、コミュニケーションの仕方だって思っているところがどこかにあるんですよね。でも若い人たちから見ると、「まったく歩み寄ってくれないツールをいまだに使っているんだ」と思っちゃうんじゃないですかね。
西舘:なるほど。
松本:やっぱり歩み寄りってものすごく重要で、やり方を変えなきゃいけないとなった時点で、今回は特に……。今日発表もありましたけど、「コミュニケーションとしてオンラインをちゃんと活用しなさい」というのがあったじゃないですか(注:このイベントの開催日である2020年4月22日に安倍晋三首相より「新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、ゴールデンウィークは実際に帰省するのではなく、ビデオ通話等を利用した『オンライン帰省』というかたちにし、蔓延防止に協力をお願いしたい」という内容の発言があった)。
西舘:ありました。ありました。
松本:会わないのを8割に増やすために(とのことでした)。だとしたら「オンラインということをしっかりとやってきた人たちって誰?」と言ったら、たぶん今の若い世代、デジタルネイティブの人たちです。
どちらかと言うと会社の中で古くから「デジタルを使わずに、対面でうまくやっていくんだ」「チームワークなんだ」とやってきた人たちからすると、ちょっとその世界観はわからないじゃないですか。だったら若い人に「どうやったらコミュニケーションがうまくいくのか」とか、そういった感覚を聞いてみるというのも手だと思うんですよね。
西舘:なるほど。となると、これは次のテーマも混ぜこぜで今お話をさせてもらっているんですけれども、そういう意味で言うと、会社の中でIT的な部分も含めて、どこから準備していくのが……。
一気にやるのはたぶん難しいと思うので、何を優先して環境やツールを整備していけばいいのかという質問がけっこうあります。そのあたりの話をみなさまとしていけたらなと思うんです。
リモートの話題なので、最初に倉貫さんから。今のリモートワークに対応するのには、どこから手をつけていくと……。もしかしたら、まだけっこう苦しい状況の方も多いのかもしれないですが、そこをササッと解消するために、どこから手をつけていくか。そういうのは、何かありますでしょうか?
倉貫義人氏(以下、倉貫):フェーズがありますよね。困っている方の、(テレワーク・リテラシーとして)先ほどの4段階ぐらいあるところの、どのレベルの方を想定している感じですか?
西舘:今日は安達さんに見せていた資料の、レベル3。社内を通さないVPN(Virtual Private Network)とかで区切られている……。
松本:2から?
西舘:そうです。2から3を想定しています。
松本:2がVPNか何かで帯域が足りないという話で、3がどちらかというとハンコでしたっけ? ハンコとか紙資料。逆だったっけ?
安達:2が「できるけどやりにくい」。3が「問題なくできる」ですね。
西舘:失礼しました。「問題なくできる」ようにするために、今まさにやるべきことというところですね。
倉貫:そうですね。「できるけどやりにくい」……。難しいな。具体的なシチュエーションが欲しいですね。
安達:(背景にスライドを表示しながら)これです。
倉貫:いつも僕はテレワーク・リモートワークのときに言うんですけれども、テレワーク・リモートワークってITツールが絶対に必要になるので、リモートワークってみなさん「ITソリューション」だと思われているんですね。
言ってみれば「コピー機を入れたら解決する」「メールを入れたら解決する」と言っていたのと同じように、「コンピューターを導入したら解決する」「システムを導入したら解決する」といったものと同じように、リモートワークは「テレビ会議を導入したら解決する」とか、先ほどの「仮想オフィスを導入したら解決する」という、テクノロジーソリューションだと思いがちなんです。
だけど、まったく違うというのが認識を合わせたいところなんですね。これは、埼玉大学の宇田川(元一)先生が書かれた『他者と働く 「わかりあえなさ」から始める組織論』という本に書かれている考え方です。「技術問題」と「適応課題」という話があって、世の中に問題は2種類あります。「技術問題」と「適応課題」です。
「技術問題」というのは、技術を当てはめることで解決できる。いろんなシチュエーション、似たようなシチュエーションであれば、同じ技術を適用すれば解決できる。そういうのが「技術問題」ですね。
「適応課題」というのは、そうじゃないということです。100人いたら100通りの解決方法があるので、正解がない。つまり、正解がないものをどうやって解決していくのかは、そのときそのときに適応しながら考えていくしかない。そういうものが、「適応課題」です。
リモートワーク・テレワークの導入というのがどちら側なのかと言ったら、みんな「技術問題」だと思いがちなんですけど、ぜんぜんそんなことはなくて、会社毎にやっていることも違えば、人も違えば、カルチャーも違えば、大きさも違えば、ぜんぜん違う。なので、それぞれ毎に対応して考えるしかない。
マネジメントと同じで正解がない。「これをやったらうまくいきますよ」って無責任なことは言えないというのがテレワークの問題だと僕は思います。
西舘:確かに。
倉貫:今の質問だと答えが難しいというのは、そういうことです。
西舘:確かにそうですね。どこまでできているかが、ぜんぜん違いますもんね。わかりました。雑に整理しちゃって申し訳ないけど、これは本当に「その会社の課題状況次第」ということですね。……となると、難しいな。
倉貫:そうです。難しいんです。個別に相談に乗ることはできます。非常に解像度が粗いかたちで言うと「まずはテレビ会議を導入しましょう」ということになるでしょうか。在宅勤務をいきなり始めたとしても、みなさん働く場所がある設計の自宅って持っていないですよね。日本の住宅は家で働くことを前提にしていないので、家で働く場所、フィジカルな場所を作ってあげることですね。
先ほど話したように在宅勤務は会社の仕事なので、机・椅子・パソコン・ネットワークが必要なのであれば、それは会社が提供してあげる。それらは当然、仕事の道具なので、仕事の道具は会社が提供するというのが筋だろうから、そこは準備しましょう。
これはフェーズ毎に違って、そういうざっくりした話はできるけど「じゃあ、うちの会社の場合はどうしますか?」といった場合、個別に考えないといけないんですね。
でも、それはどんな「適応課題」もそうなんですけど、外野の人間がどうこう言うのではなくて、そこにいる人たちがどうやってその問題を解決しようとするのかということなんです。自分ごととして取り組むことでしか、「適応課題」というのは解決しないんだろうなと……。
西舘:まさにそのとおりだと思います。
安達:箕浦さん。雑な振り方で申し訳ないんですけど、総務省で相談に乗ってくれたりとか、そういう窓口ってないんですか? (笑)。
西舘:なるほど。働き方の窓口ってことですね。
箕浦:私は個人的にはいつでも相談に乗っているんですけど……。
西舘:そうですよね。ありがとうございます。
箕浦:自治体とか企業がテレワークをやりたいと言ったときに相談ができる制度というか、テレワークマネージャー派遣制度があるんですね。これは令和2年度もやっていますから、そういう制度を使って専門家のアドバイスを得てもらうというのはあると思うんですよね。
でも今、倉貫さんがおっしゃったことは非常に大事だと思っています。このマネージャーに相談したら何か答えを与えてもらえると思ったら、たぶんそこには答えはないはずです。経営側がちゃんと自分の問題として取り組んでもらうということは、絶対に不可欠だと思っています。
安達:そこは、そのとおりだと思います。加えてマネジメント層、例えばうちの会社で言うとファーストラインのマネージャーが、「うちのチームがいい雰囲気になるためにはどうやればいいか」を考えて、それぞれが考えてやったことをマネージャー間で共有するんですね。さっきの「雑談のやり方」みたいなものはみんな悩んでいます。例えば僕で言うと、1on1で必ず雑談の時間を取るようにしています。
あるいは、「バーチャルロビー」という言い方をしていましたけれども、あるチームの人は、来てもいいし来なくてもいいけど、9時から9時半は必ずチーム全員向けのZOOMを用意しているんですよ。
なので、「チームメンバーと雑談したければ、そこに入ってきて雑談しな」というのもあります。例えば週に1日雑談ランチしている人もいます。いろんなことをやっていて、なんで僕がそれを知っているかというと、そのノウハウをみんなで共有し合うからですね。
こういうふうに「考えて(何かを)やる」ということは「トライアンドエラー」の数が多いほうが最適化されていくので、そういう意味ではトライアンドエラーをして、その内容を共有するという文化とか、そういうのがあると最適化に持っていけるかなと思ったりします。
箕浦:なるほどですね。
松本:そういう意味で言うとごめんなさい。最近サーキュレーションさんのテレワークアドバイザーというか、あれをちょっとやり始めたんですよ。スポットコンサルみたいな感じで、相談がやたらと来ているんですよね。
いろいろな会社さんからの相談の内容を見ていると、やっぱりみんな「テレワークを進めたいんだけど、制度面も合っていないし、IT面も合っていない。そもそも考え方もわからないし、進め方もわからない。どうすればいいんでしょうか?」という質問から来るんですよね。ものすごく大手のIT企業で、「ここ、クラウドサービスやっているよな?」って会社からも、けっこう来るんですよ。
やっぱり働き方って何が難しいのかと言ったら、私は個人的には現場の人たちがどういう働き方をしているのかを知らずに、結局制度面だけ考えたいとか、IT面だけ入れたいとか、そんな話になってきていることなんじゃないかなという気がしています。
結局、例えばさっき安達さんのレベル2の中にVPNの帯域が足りなくて困っているとかいうのも……。
西舘:「パフォーマンスが出ない」というところですよね。
松本:そう。あれも結局のところ、会社のイントラとしてのVPNを例えば営業の方々がお客様の現場で張って、いろいろな業務をやっていくということが、本当に営業さんにとっていい仕事なのかどうかというのも、ちょっと違ってくると思うんですよね。
それと同じように、在宅勤務となった際に「やっぱり在宅も含めてイントラと同じ環境じゃないといけないから、全部の家をVPNで張って、イントラまで全部引っ張ってきなさい」というのが、本当に正しいのかどうかというところも、しっかりと考えるべきだと思うんですよね。
そうすれば、さっきの「VPNのパフォーマンスが足りない」という問題もなくなってくるだろうし、極端に言うと安達さんのところのBoxみたいなものをうまく使うことで、社員間の情報の共有だったり、共有した情報を使って、お客様先で何かしらの提案をするとか、何かしらの雑談ネタでもいいのでコミュニケーションにつなげるとか、そんなこともぜんぜんできると思うんですよね。ただそれを許容できるかどうかかな、という気もしますね。
西舘:許容。イメージで申し訳ないですけど、なんか苦手そうですね。
安達:倉貫さん。1個、相談に乗ってほしいんですけど……。
(一同笑)
雑談なしで(いきなり)相談で、申し訳ないんですけど……。
倉貫:いいですよ(笑)。
安達:僕は『ザッソウ』を読んでからずっと雑談にトライしているんですけど、トライするたびに自分の雑談力のなさにへこまされるんです。
(一同笑)
そういう僕みたいな雑談力がない人間はどうしたらいいか、アドバイスをいただいてもいいでしょうか?
西舘:話しかけにくくなっちゃうんですね(笑)。
倉貫:そうですね。雑談……。これも言葉としてあまりに雑談を推しすぎたのであれなんですけど、「雑談しなきゃいけない」と思っている時点で、あまり雑談じゃないというか……。
安達:あー、なるほど!
倉貫:しんどさが出ているので……。
西舘:「義務として会話しなきゃいけない」というふうになっちゃいますね。
倉貫:そういうのじゃなくて、ただ会話をすればいいだけだと僕は思っていて、話をするきっかけとしては、仕事の内容でも別にかまわないと思っているんですね。別に自分の仕事の最近の状況を話してもいいと思います。
いっぱいテレビを見て、本当に話題の豊富な人にならなきゃいけないのかと言うと、まったくそんなことはないです。言ってみたら、“ザッソウ”って雑談・相談なんですけど、もう1個「雑に相談する」という意味を持たせているんです。
相手に相談するとき、しっかり2~3時間準備して、資料をいっぱい持ち込んで「相談させてください」って来られると、相談を受けたほうもやりにくいんですよね。そこまで準備されたものをひっくり返すのはいやだなというのがあるし……。
もっと雑な状態で相談したほうが、言ったらコミュニケーションしやすい。なので、あまりにも形式張ったコミュニケーションじゃなくて、もっと軽いコミュニケーションをしていきましょうというのが“ザッソウ”の本質というか、やりたいことなんです。
あまり……。なんでしょうね。何でもいいんじゃないですかね。
安達:じゃあ、「今日は雑談する時間だぞ!」っていう枠を決めるみたいなのは、最悪ですね。
西舘:(笑)。ちょっと重いですね。
安達:相手が構えちゃう(笑)。
倉貫:そうですね。ただ、会社によっては、なかなかコミュニケーションの時間がないので、「何を話してもいいですよ」という時間を作るというのをやっていらっしゃる会社さんもあります。やはり一定の効果はあると思いますね。
これも段階があって、放っておいても日常のあちこちにいろんなところで会話があるようなオフィスとか職場であったら、別にそこまでしなくてもいいんです。だけど、どうしてもみんなつい効率化ばかりに集中して、社内でのコミュニケーションがなかなか取れていないときは、あえてそういう時間を設けるようなことがあってもいいですね。
特にリモートワーク・テレワークを今始めたばかりの方って、テレビ会議が非常に多くなって、疲れが出始めているころだと思います。これまでオフィスとか客席で打ち合わせをすると、1日に2回打ち合わせが入ると十分で詰め込めないんだけど、テレビ会議だと移動も場所もいらない分、1日に3つも4つもテレビ会議が入るんですよね。
そうするとめちゃくちゃ疲れる。生産性が出すぎて疲れるという問題がやっぱり起きてくるんです。なので、あえて会社としての休憩時間みたいに、みんなでそこでおしゃべりをする時間をとってもよいかもしれないなと思いますね。
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