2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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西野亮廣氏(以下、西野):「お金とは信用である」と言われても、たぶん難しいと思うので例を挙げます。1番わかりやすいのは、僕の友達にホームレスの小谷っていうのがいて、検索していただくと、たぶん出て来るんですけど。ホームレス小谷を知ってる人ってどのくらいいますか?
(会場挙手)
あ、パラパラいらっしゃる。ホームレス小谷のことを絶対知ったほうがよいです。彼が現代のお金を完全に捉えている。彼の生き方を説明すると、ホームレス小谷っていうホームレスです。だけど、この5年で良い動きをしてます。ホームレスサービスをして、彼は毎日、寿司を食べてるんですよ。ええー! ですよね。この間、痛風になってました。
(会場笑)
ホームレスで痛風になるやつなんて、地球史上、初だろうと。それで、海外へも飛びます。彼は、好きな時に好きな場所へ行く。あいつ、明後日からロンドンに行くんですけど、この間まではパリだとか、タイだとか、ニューヨークだとかに行ってたんです。好きな時に、好きなところへ行ってるんです。
なんだか思ってるホームレスと違いますよね? そのへんにいるホームレスは、ちょっとしんどそうじゃないですか。でも、小谷は毎日寿司食って、毎日好きな時に、好きなところへ行ってるんです。(みなさんが一般的に)思っているホームレスとはちょっと違いますよね? 彼、お金は持ってないんですけれども、お金には困ってないんですよ。
ここが僕たちが持っていたお金の常識と大きく矛盾している。なぜなら、お金がなくなったら、お金に困ったというのがこれまでです。だから、僕たちは貯金をしてきたし、労働の対価として、なるべく大きなお金を欲しがってきた。なんせお金がなくなったら、お金に困っちゃう。
だけど、そこなんですよ。お金がなくなっているのに、お金に困っていないんです。これがなぜかというと、彼が現代のお金を完全に捉えているから。(お金を)捉えて、それじゃあっていって、自分の人生設計をしていったんですけれど。彼がどういうふうに生きているかというと、自分の1日を50円で売るんです。
ネットショップで、自分の1日は何円ぐらいですかって、50円で売るんですけど。50円で自分の1日を売るのって、なんかイヤじゃないですか? 1日働いたら8,000円ぐらいはほしくないですか? 10,000円ぐらいほしいですよね? でも、彼は50円で売るんですよ。それでなんでもします。
例えば、お兄さんが小谷を買ったとするじゃないですか。「じゃあ、家の庭の草むしりに来てくださいね」ってことで、小谷を買ったとします。朝の8時から夜の8時まで、小谷を買ったとする。それで、行きます。そして多少、遅刻しますよ。どうしても50円だから、文句言えないですよね。
だけど、行きます。30歳をまわったオッサンがずーっと草むしりする。むし、むし……一生懸命にずーっと草をむしり続けるんですね。それで昼になりました。すると、お兄さん、さすがに申しわけなくなっちゃって、支払い50円で買ったものの、たぶん昼ご飯ぐらいご馳走されると思うんですよ。「小谷さん、食べてください」って。それで小谷は食べるんですよ。おかわりもしますね。引き続き、おかわりします。
(会場笑)
「ごちそうさまでーす」って、また昼から一生懸命、草むしりを続けるんですね。夜になって、8時までずっとむしり続ける。つまり、朝8時から夜8時まで、草をむしりつづけました。そこでお兄さん、たぶん「じゃ、帰ってください」とは言わないですね。夕ご飯をご馳走されますね。そうなると小谷は食べます。かわいく追随します。
(会場笑)
そうして昼、夜を共にしてたら、なんだか仲良くなっちゃって、ちょっと飲みに行きませんかって、たぶんお兄さんのほうから言い出すんですよ。すると、お兄さんは結局、お昼代を出したし、夜代も出してるし、飲み代なんかも出している。けっこう、お金を出してる。だけど、飲みの席で言うのは絶対これですね。「小谷さん、本当に今日はありがとう。50円でこんな働いてくれて。こんなん、ハンパないだろ」と、むちゃくちゃ感謝する。
これ、自分の1日を10,000円で売っていたら、ここまでいってないはずなんです。10,000円を払ったら、「そのぐらい働いて当たり前でしょ」と言って、縁は切れていたんですけど。だけど、小谷は50円でそれ以上の働きをするものだから、(お兄さんは)なにか返さなきゃいけないってバイアスが働いてしまって、昼ご飯なり、飲み代なりを出して、ついには「ありがとう」みたいな気持ちになっちゃってますね。
つまり、小谷は、労働代としてお金を稼ぐことはもうやめてしまって、信用を稼ぎ始めたんです。僕たちは、ずーっと労働代としてお金をもらってきたけど、小谷はお金稼ぐってのはもうやめて信用を稼ぐ。つまり、先ほど言ったように「ありがとう」っていうほうに完全にシフトしたんですね。
まとめます。とにかく、(ホームレス小谷は)ずうっと自分の信用を毎日50円で稼ぎ続けて。本当にもうヌードモデルもしたし、例えばiPhoneの新作が出る時は、列に並ぶという依頼もあったし、さんざっぱら50円で働き続けるんです。
ずーっと「ありがとう」「ありがとう」「ありがとう」と言われ続けて、半年経った。それで、あいつ、結婚したんですよ。名古屋で結婚披露宴があったんですけど。
「50円ぐらいで、鬼ごっこと水遊びに来てください」という依頼をした女の子がいたんですね。小谷は、東京駅から名古屋までヒッチハイクで行って、名古屋でその子と初めましてで鬼ごっこをしたんです。鬼ごっこをして、翌日、一緒に東京に帰ってきて、そこで籍を入れちゃって。ええー! ですよね。お察しの通り、この物語で一番頭がイカレてるのは、小谷ではなくて小谷の嫁のほうです。
(会場笑)
小谷と結婚するとか。でも、結婚しやがったんですよ。嫁さんとして、また一家の主婦として。ともかく結婚したんです。結婚して、翌日に小谷から相談されたんです。なにかというと「結婚披露宴を挙げたい」って。まあ、彼女のためにね。それで「やったほうがいいね」という話になったんですよ。結婚披露宴、高いですよ。200万円とか300万円とかするんですよ。でも、小谷は自分の1日を50円で売ってるんで、(収入が)1ヶ月あたりMAXで1,500円なんすよ。
(会場笑)
「金が足りねー」「ヤバいね」ってなって。どうしようかという時に、クラウドファンディングで結婚式をしようと。「結婚式に4,000円支援してくださったら、結婚式に参加できますよ」というリターンをご用意して、クラウドファンディングをやったところ、2週間で250万円集まったんです。
2週間で250万円。ロンドンブーツの田村淳さんだって、3週間で200万円集まっていないのに、まったくの無名の人間が(集めてる)。ちなみにこれ、6年前の話なんですよ。6年前にホームレス小谷を知っていた方って、どのぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
1人ですか? まったくしがない無名のホームレス小谷に250万円が集まって、みんなが知っているロンドンブーツの田村淳さんにお金が集まらない。これって問題は、ホームレスの人を支援したということじゃないんです。
なにかというと、これまで小谷を50円で買った人たちが「そりゃ、あの小谷さんが結婚するんだったら、4,000円ぐらい支援するよ」ってことで、みんな一斉に4,000円を支援しだしちゃったんだよね。それでバーッて集まって、2週間で250万円という超デッカイお金が集まってるということですね。
つまり、小谷はお金持ちではなかったけど、信用持ちなんです。信用の堆積は、ばかでかいから。ここに興味を持ったんです。クラウドファンディングっていう、信用をお金に両替する両替機を手にした時に、お金をつくることができたんですよ。それ以後、クラウドファンディングを20回も30回もしてるんですけど、全部成功してるんです。
なぜなら、彼がやっているのは、集金ではなくて両替・換金なんです。自分の信用を両替するだけなので、失敗しようがないんです。つまり、小谷が例えば「明日、ハワイに行きたいから」と言ってクラウドファンディングを立ち上げたら、今日の夜にはハワイの分は集まるんですね。
お金がないのに、なぜ小谷がお金に困ってないかというと、彼は自分のタイミングでお金をつくることができるんです。僕たちは、会社からお金をもらったりしているから、自分のタイミングでお金をつくることはできないです。
だけど、小谷は自分のタイミングで「あ、そろそろ20万要るな」となったら、20万円をつくれる体を手にしたんです。なんで20万円つくれる体を手にしたかというと、そもそも彼は信用を稼いでいる。
テレビタレント、つまりロンドンブーツの田村淳さんは、クラウドファンディングで失敗しているわけです。テレビタレントは、なぜ信用がないかというと、彼らが持っているのは認知度であって。つまり、みんなが知っているという認知はあるんですけど、信用がないということですね。
それは、お金をもらってるから。だから、グルメ番組でマズイものを「おいしい」って言うわけですよ。使ってもないコインチェックを宣伝しちゃうんですよ。出川さんは、お金をもらってるから。
彼らは認知は背負っているんだけど、ウソをついちゃってるから、どんどん信用が削られてく。だから、テレビタレントというのは、クラウドファンディングとすこぶる相性が悪い。
有名になれば、クラウドファンディングでお金を集められるということではなくて、必要なのは信用です。小谷みたいに、ウソをつかない、むちゃくちゃ感謝されてるとか、そっちです。今ここ、ポイントですよ。今、信用をお金に両替するために、両替機がきてる。バンバン出てます。
アプリだと去年だったら、梅雨とか、台風があったから、そういうの(アプリ)もあっただろうし。今年は、投げ銭アプリとかがけっこう流行ってて。そういうのに、なんで投げ銭するかというと、この人にお金をあげたら、この人が僕たち私たちのことを感動させてくれるという。つまり、そういう信用・信頼があるからなんですが。それでいうと、投げ銭アプリなんかも、信用をお金に両替するという意味で両替機だし。
あと今年アツいのは、オンラインサロンですね。僕、オンラインサロンもやっているんですけど。今、オンラインサロンで勝っている人は誰かというと、僕がたぶん今も1番快走しています。あとは、ホリエモンだとか、最近だと幻冬舎の編集者の箕輪さん。勝ってる人って、そのへんなんです。テレビタレントのオンラインサロンって、ぜんぜんメンバーが集まってないんです。
僕とか、堀江さん、箕輪さんに、共通することがなにかというと、ウソをつかないんです。マズイものは「マズイ」って、しっかりダメ出しするし。おいしいものは「おいしい」って言うし、おもしろいものは「おもしろい」って言う。例え、相手が権威であっても、これ違うというのは「これ違う」って言ってるんです。オンラインサロンもやっぱりそうなんです。
(僕のオンラインサロン利用料って)月額1,000円なんですよ。西野に1,000円払ったら、それなりのものが返ってくるだろうなって、そこに信用があるじゃないですか。ホリエモンのオンラインサロンにいくらか払ったら、それなりのものが返ってくるという、ホリエモンに対する信用があるから、そういうお金を払ってるわけです。
つまり、オンラインサロンはやっぱり、信用をお金に両替するための両替機みたいになっている。今はもう、信用を両替機で両替できるケースがバンバン出てきたので。今、僕たちに問われてるのはなにかというと、お金を稼ぐか、信用を稼ぐか、どっちですかという。
まだ、お金を稼ぎ続けるのか。それとも信用を稼ぎに、もう完全にシフトしてしまって、自分のタイミングでお金をつくるという生き方を選ぶのか。どっちを選ぶかは自由ですけれど。
やっぱり、お金を稼ぎ続ける人生のほうが良いという人もいるし。いやいや、信用を稼いでいって、自分のタイミングでお金をつくりたい、というふうにシフトするのも良いと思うし。僕は完全にこっち(信用を稼ぐ)です。もう、テレビ屋だとか、書籍の印税だとか、全部要らないです。そんなのは要らなくて。
とにかく、「あいつ、ウソつかねえ」とか「あいつ、超おもしろいことしかしてねぇな」っていう。そうなってしまったら、オンラインサロンとか、クラウドファンディングとか、そういったもので、自分の生活費ぐらいは賄えるので。もう、ギャラみたいなものは要らないっていうふうになる。
今、問われてるのはそこです。お金を稼ぐのか、信用を稼ぐのか。どうするんですか? 肌感で言うと、もう信用を稼ぎ始めたほうがいい。今、勝ってる人はそっちです。ホリエモンも、箕輪さんも、落合陽一さんも、とにかくおもしろいことをする。ウソをつかない、というふうにしている人が勝っていて……。
(会場スタッフに)え、これがおもしろいところで。え? もう終わりでしたっけ? もう終わります。終わりますけど……。
今、おもしろいのは、なにかというと、「こいつ、ウソをつかねえな」というふうにずーっと続けていくと、自分のオンラインサロンは、今もう1万人ぐらいいるんです。300万円になる。それでどうなっていくかというと、次はこっちに企業がお金を出してきたりする。これまでは、タレントにお金を出してたんです。
つまり、彼ら(タレント)はウソをついてくれるんです。いいようにウソをついてくれるので、そっちにお金を出してたんですけど、もうウソついていたというのが、バレてしまったんで。広告効果、もうないじゃんとなって、最近は見ないです。最近、本の帯でタレントの名前がちょっと減ったんです。本の帯にやたらホリエモンばっかり出てるって、なってきたじゃないですか?
タレントのおすすめにはもう広告効果はないということが、出版業界でバレてきていて、こいつが保証したら売れるという人にお金を出そうというふうになってるんで。広告費ですら、もうこっちという。だから、結論は、最後におじいちゃんみたいなことを言うんですけど、ウソをつかないほうがいいですよ、っていう話。
(会場笑)
西野:どうもありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:本当によかったです。
西野:ありがとうございました。
司会者:昨日の朝、『エンターテインメントの本質』っていうトークセッションを佐渡島庸平さんとやってたんです。そこで次のスターは、どこから出て来るのかという話をしたんですけど、それはルールをつくった人なんじゃないのかって。
西野:はい。なるほど。
司会者:新しい自分のルール、自分で稼ぐルールの中から、次の人が出て来るっていう。(西野氏は)まさに、そんな人生を生きてると思います。
西野:ありがとうございます。はい、がんばります。
司会者:ありがとうございました。
西野:はい、ありがとうございます。(客席に)がんばりまーす。どうも、ありがとうございました。
(会場拍手)
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