2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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伊藤羊一氏(以下、伊藤):今日は尾原和啓さん、篠田真貴子さん、伊藤羊一のオープントークです。
(会場拍手)
最初に、今日のテーマです。「あなたはどう働き、生きるのか?」ということで、つまり「なにを話してもいいんだな、これは!」ということがわかりましたので、特に打ち合わせをしていません。どういう構成にするのかもほぼ話しておりません。面白くなるか面白くならないかは、わかりません。
(会場笑)
最初はアイスブレイクということで。ちょっと場が緊迫していますので、アイスブレイクをやりましょう。お互い、お隣の人と2人組または3人組になって、お互いに自己紹介をしましょう。
「お名前」「職業」「どんなことを聞きたいと思って今日きたのか」。最後にお互い相手を褒めあいましょう。服装、しゃべり方、笑顔など、相手のよいところをみつけます。
ちなみになんで(アイスブレイクを)やっているかと言うと、お互い相手を褒めあうことによって、オキシトシンという幸せのホルモンが分泌されるそうです。オキシトシンが分泌されるのは、こうやってお互いを褒めあうときと、身体的接触ですね。
尾原和啓氏(以下 尾原):1分以上の身体接触。
伊藤:そうですね。石川善樹(医学博士)さんが言っていました。オキシトシンをいっぱいにしようということで、よろしいですか? ではお願いします。
(会場アイスブレイク中)
伊藤:時間です。そこまでにしてください。ありがとうございました。僕もYahoo!アカデミアでワークショップをやるんですね。その際、元々はアイスブレイクとかあまり好きではなかったんですが、こういうふうにやると、明らかに場が温まってくるんですよ。場を温めれて活発な場にしていくという意味で、こういうことは、ちゃんとサボらずやるといいと思います。
伊藤:今日はYahoo!アカデミアオープン化のお披露目セッションということで、セッションに入るまでに、簡単にYahoo!アカデミアのご紹介をさせていただければと思います。
Yahoo!アカデミアは、2014年4月に、ヤフーの次世代リーダーを育成する企業内大学として設立されました。つまり、最初はヤフーのリーダーにフォーカスしていました。ヤフーの社員だけを対象にしていたんですね。そこからはじまりました。
経営幹部育成ということで、これは今も行っています。次の執行役員たちになるかもしれない本部長たちがブワーッと集まりまして、社長の川邊(健太郎)と懇談するということですね。懇談と言っても、真面目に経営に関する内容を議論します。こんな感じで車座になって、話すというようなことをやったりしています。
僕は2015年から参加していたんですが、経営幹部を育成するなかで、リーダーシップをとれる人をどうやって育成していったらいいだろうと(思いました)。リーダーの育成をどうやっていったらいいだろうというときに、直立して、手をひろげて「みなさん」などと言うと、すごくリーダーシップを発揮できるのではないかと最初は思ったわけですよ。つまり、そういう表面的なものを鍛えるかと。
そんなはずあるわけないなと。どうしたらいいんだろうな? と思ったときに、人を巻きこむためにはどうしたらいいか、ずっといろいろチャレンジしながら、試行錯誤しながら悩んで、最終的に「コレだな」と。「自らが熱狂しないと、人なんか巻き込めないよな」というところに至りまして。それがYahoo!アカデミアの基本的な考え方「Lead the self」ですね。
伊藤:「自らが熱狂する。自らを導く」を基本概念として確立させました。ざっくり言うと、『下町ロケット』の阿部寛ですね。「ここでつくったエンジンで、ロケットを宇宙に飛ばしたいと思わないか!」というような。あれをやっているうちに、「社長、それはダメです」と言っていたのが、だんだん「社長、がんばりましょう!」となっていくんですよ。それだな! と思って。
そうするためにどうしたらいいかと言うと、「内省」と「対話」。この二つを繰り返しやっていくのがいいかなと。つまり対話だけではダメ。内省だけでもダメ。自分で考えているだけでは、なんとなく頭が無限ループになって終わってしまうわけです。「もういいや。寝よう」と寝てしまうと。
だから対話をする。自分で考えて、「うーん」となったときに、「こうしたらいいのでは?」というような感じで質問されるとハッと気づく。内省と対話で気づきを得る、ということをリーダーシップ開発のベースに据え、Yahoo!アカデミアは合宿へ行って、ひたすら内省して対話をする。これをメインにやっています。
それに加えて、体験が大事だということで、いろんな体験のもの。例えば、座禅にいったり。この写真は何かと言うと、フレンチシェフの松嶋啓介さんのところに行きました。松嶋啓介さんにラタトゥイユをつくってもらいながら、料理を通じて、自分のリーダーシップを磨く、という体験プログラムなどもやっております。みんな「ほー」というような顔をしてみていますが、(これが)Yahoo!アカデミアですね。
伊藤:あとでお二人にも聞きたいと思っていますが、基本、スキルは鍛えればいい。ロジカルシンキングの本でも読めば鍛えられるわけですよ。だから鍛えろと。
一方で、マインドはなかなか鍛えられないな、というところを、内省と対話を通じてカーッと気づきを入れて、(主に職場で)すぐに行動する。行動したら振り返って、ハッと気づきを得る。
そうすると、マインドが鍛えられる。それで、またハッと気づいたら、すぐに行動する。こうやってサイクルでマインドを鍛えていって、自分をリードする。こんなことをプログラムとしてやっています。
それで、「Lead the self」されましたと。自分自身が熱狂し始めましたと。「オレはすごく熱狂しているぞ」となったんですが、「それでどうする?」と言うと、「どうもよくわかんない」と。「とにかく行動する」と、挙動不審になっていたらいけないということで、マインドが鍛えられたら、それに加えて今度は「事業をつくっていこうよ。事業をつくって世の中に貢献しよう」と、今年度からデザインシンキングをベースにした事業構築のトレーニングを開始しました。
まだオープンにしていないですが、ちょっとずつ、みなさんにもオープンにしていきたいと思っています。Lead the Selfされて「オー」って動いたら、次に事業をつくるというのを、フォーマットとして学ぶ。こういうことをやろうとしています。
伊藤:「そういうことをやるから、みんな寄っておいでよ」ということで、いろんな人を呼んで、Yahoo!アカデミアカンファレンスを2月にやりました。
尾原さんや篠田さんにもカンファレンスにいらしていただいたんですが、「外とも交流をいっぱいやっていきたいんだよね」と言ったら「いいねえ」という話になったので、みなさんのお話もオープンにしていこうということになったんですね。
先日、オンラインライブということで……『1分で話せ』というプレゼンの本があって、最近売れているんですが(笑)。
(一同笑)
『1分で話せ』を中心としたプレゼンの講義を準備して。なぜか(サッカーワールドカップ)日本代表の試合の日だったので、ユニフォームを着ています。このときに、延べ400人の方にご覧いただいて、オンラインライブをやりました。
(オンラインライブが)すごく評判になりました。主婦の方から「子育てしながらこんな学べるなんてことはなかった」と何人にもいわれて、それならどんどんやっていこうということで、これからもオンラインライブはやっていきます。これはみなさんもご覧いただけます。こんなカタチで、オープンにしていきます。
そもそもヤフーの中でやっていたんですが、いろんな刺激を受けるためには、同じ価値観の人たちだけで集まっては、あまり刺激が多くないなということで、こういうふうにやってみたら、けっこう聞いていただける方がいっぱいいたので、オープンにして、広くみなさんといっしょに学び合う「学び舎」にしていこうと、徐々にオープンにし始めています。
最終的に「ヤフーのリーダーをつくる会」から転じて、「明日の日本をつくるリーダーをつくる」学び舎にしていきたいと思って。なので、今日は尾原さんと篠田さんの話を聞きにきたと思いますが、それだけではなくて、「Yahoo!アカデミアがオープンするので、みんな集おうよ」と。
ヤフーの人もいますが、外の方もいっぱい、みんなYahoo!アカデミアに集って、みんなで学び合って、「明日の日本をつくる」みたいになって行こうぜ。こんなことを今日宣言したくて、お話ししました。
Yahoo!アカデミアが大事にしている考え方は、「FREE,FLAT,FUN」です。フリーで、フラットで、楽しい。そんな世界を創っていきたい。スリーFですね。
(一同笑)
僕もこうやってTシャツを着ているように、一員になったらこのTシャツをもらえるということでね。このTシャツ、ファクトリエ製ですよ! 国産!こういうことを価値観にして、フリーでフラットでファンな学び舎をつくりたい。
ということで、今後のプログラム。今日はここでトークセッションをやったあと、8月16日に楽天大学の学長、仲山進也さんに来ていただきまして、学長対談をやります。楽天と ヤフーの学長対談。彼は「争う」ニュアンスが嫌いなので、「対決」ではないですよ、学長対談。ちなみに、全然どうでもいいですが、ここにも仲山さんが映っているんですよね(宣伝用画像の伊藤羊一学長紹介写真の背後に仲山さんの写真が移りこんでいるのを見ながら)。
(一同笑)
組織にいながら自由に働く極意というものを話していこうと思います。
それから8月31日。働き方を学ぶのもいいけれど、待てよと。ときどきはちゃんと本も読まないと。『Teal(ティール組織)』という本がありますよね。みんな、買っただけで読んでいないでしょう?
(会場笑)
だから、ちゃんと読もうよ……アクティブブックダイアログということで、以前、みんなで輪読するスタイルの勉強会にでたら、『Teal』が一瞬のうちに自分のものになったんですよ。これはとても面白いなあということで、8月31日にPalletの羽山暁子さんをファシリテーターとしてお招きし、『Teal』をやります。
9月7日はユニリーバの島田 由香さんにいらしていただいて、「働き方×イノベーション」ということで。テーマは「働き方×イノベーション」。「働き方は生き方」なので、「自分たちはどう生きるるの?」ということをみんなで話していく。
地方を盛り上げていかなければいけないという意識もあって。東京だけが盛り上がっていても面白くないよね、ということで、「地方創生」。9月26日に、塩尻市の職員、山ちゃん(山田崇さん)に来てもらって「塩尻市の活性化を考える。オープンスペーステクノロジー」といワークショップで塩尻市の活性化をみんなで考えます。こんなイベントをやっていきます。
カタカナで「ヤフーアカデミア」というFacebookページでご案内していきますので、もし「でたい」と思われた方は、情報をチェックしながら申し込んでいただきたいなと思います。
伊藤:講師は当然のことながら外から来ます。参加者もみなさんが外から参加できます。半分はヤフー、半分が外からいらした混成チームで、3か月の対話をするクラスをすでにつくっています。こんなかたちで、Yahoo!アカデミアで提供するプログラムでみんなで楽しむということをやっていきたいと思います。
それから今日来ていただいているボランティアスタッフにはヤフーの人間もいますけれども、外から参加していただいている方もいらっしゃいます。外から参加していただいている方は、ちょっと手を挙げてください。拍手をお願いします。
(会場拍手)
こんなかたちで、社外の人なのにボランティアスタッフをやっていただいて、何の得があるのかと言うと、この対談が聞けると。抽選に落ちても対談が聞けるということと、Tシャツがもらえるということもありますので。
そういったカタチで、ボランティアスタッフも……当然我々もいるんですけれど、中の人間も外の人間も一緒になって、生徒、先生、スタッフも、みんなでつくっていく。そんな学校をつくりたいと思っています。最終的には、society……社会を導くリーダーを、みんなで考えていければなと思っています。
伊藤:ということで、登壇者ですね。お待たせいたしました。ご紹介します。
篠田真貴子氏(以下、篠田):出番ですよ。
尾原:まずい。
伊藤:今、仕事をされていましたね。
(一同笑)
IT批評家、藤原投資顧問書生と書いてありますが、そういうタイトルは不要ですね。尾原和啓さんです。
尾原:はい、どうも。
(会場拍手)
伊藤:「元Googleの」「元マッキンゼーの」ではなく、こういう存在になられた尾原さんです。
尾原:はい。
伊藤:よろしくお願いします。もうお一方ですね。株式会社ほぼ日取締役CFO管理部長ということで、この方もそんなことを言わなくても通じます。篠田さんです。
(会場拍手)
よろしくお願いします。では後ろから……あのカメラから。
篠田:よろしくお願いします。
伊藤:今日は、Facebookライブで、全世界に。
尾原:これもFacebookライブですか?
伊藤:これもFacebookライブです。
尾原:360度カメラ?
伊藤:あっ……360度カメラが(ある)。
(会場笑)
では、もしみなさんの中で「顔出しは事務所経由でなければ無理だ」という方は、ちょっと避難していただくと。このカメラが見えないところにね。
尾原:角度的に見えないから大丈夫だよね。
伊藤:大丈夫ですね。それから、私は伊藤羊一です。よろしくお願いします。
尾原:ヨッ!
(会場拍手)
伊藤:こちらが左側のステージで、右側のステージ。グラフィックレコーディングということで、タムラカイさんです。
(会場拍手)
飛ぶ鳥を落とす勢いのグラレコ。今日は(トレードマークの水玉のシャツではなく、ちゃんとこのアカデミアTシャツ着ていますから。登壇してもTシャツはもらえる。篠田さんもこちら(Yahoo!アカデミアオリジナルTシャツ)をお持ちです。ということで。
伊藤:では、篠田さんの写真を撮りましたらお話しを(笑) 。トークセッションをはじめていきたいと思います。
伊藤:「あなたはどう働き、生きるのか?」ということで、いろいろとスライドを準備したんですが、一切無視して話をしていきたいと思います。でも、ひとつだけ、僕はなんでこんなにツバを飛ばしながらも……。
尾原:そこは特別席ですからね。業界用語でツバかぶりという。
(会場笑)
伊藤:なんでこう、しゃかりきに言っているのかというと、問題意識としては、日本は人口が減り始めていますと。減り始めているところから生産年齢人口……BtoBを中心に、特に経済活動を中心となる生産年齢は、転がる石のように減っています。
今どのくらいのペースで減っているかと言うと、5年間で500万人が減っているんですよ。500万人というのは、どういうことかというと、福岡県の人口が5年でなくなってしまうんですよ。今の日本はこういう状態になっています。
40年後には、ここがほぼ56パーセント……半分になってしまう。日本全体の人口よりも当然減るスピードは速いですよ。こんな状態の中で、日本はこのままで大丈夫なはずがないだろうというのが、なんとなくみなさんもご認識はあると思います。
こういう日本の状況の中で。みんなが帰るときに「やっぱりやってやろうぜ!」という感じになってほしいなと思いながら。今の日本は、この状況でこのままでいいんだっけ? というような問題意識で、今日はこのイベントを開催させていただければと(思います)。
尾原:すごいね。マクロですね。
伊藤:もう、「どげんかせんといかんばい」といったところから。
尾原:でも、いきなりひっくり返してもいいですか? これは、二つ間違っているんですよ。
(会場笑)
「生産年齢人口の推移」と書いてありますよね。生産年齢は、絶対に上がるんですよ。
伊藤:なるほど。
尾原:だってオレは100歳でも働けるもん。
伊藤:なるほど。
尾原:絶対に。
伊藤:なるほど。それはいいですね。
尾原:二段階あって。そもそも健康年齢が上がるんですよ。ここから劇的に。
伊藤:そうですね。100年時代ですからね。
尾原:そうそう。健康年齢が上がれば、80歳でも動いて働けるから。むしろ日本の生産年齢と生産人口は増えるんですよ。
伊藤:なるほど。
尾原:さらに言うと、80歳くらいになると、からだが動かなくても、絶対にサイバーで働けるようになるのね。
伊藤:動かなくてもね。
尾原:そう。
伊藤:だから80になっても別に。
尾原:そう。だから僕は、ベッドで寝たきりになりながら、舌も動かなくても、脳波から言葉をつむいでくれて。人に向かってずっとツイートし続けるという。
伊藤:今も、視点だけで字が打てますからね。
尾原:そうそう。だからむしろ、「ヤフーが問題解決」と言うなら、みんなで生産年齢人口を引き上げる革命をしようよと。
伊藤:なるほど。それが1点目ですね。
尾原:2点目は、一つ前のスライドで、もともとこのタイトルが「どう働き、どう生きる」と言っていましたよね。これはなんだか間違っていませんか?
(会場笑)
伊藤:ちゃんと打ち合わせで言ってくださいよ。
(会場笑)
伊藤:「いいね、いいね」と言っておいて(笑)。
(会場笑)
尾原:だって、生きるのが前提で、働くのが手段でしょう?
伊藤:そうですね。
尾原:年間3分の2ぐらい過ごしているバリには、働いている人があまりいないんですよ。放っておいても米が育つし、そのあたりにいるニワトリやブタを食べていればいいし、マンゴーは(木に)なってるし、生きていけるから。
伊藤:なるほど。生きていけるんですか?
尾原:そう。
伊藤:へえー。
尾原:でも、AIが今後稼いでくれるわけでしょう?
伊藤:たしかにベトナムのホーチミンなどの町を歩いていると、男がみんな道端にいますが、なんにもやっていないですよね。
尾原:だから、何が大事かというと、これからは、「働く」というのは趣味なんです。その年齢になったって、たぶん、今日ここに来る人たちは、「どう働く」「どう生きるのか」の手前で、趣味として働きたいからここにいるんでしょ? たぶん。ちがうの?
(会場笑)
伊藤:どうですか? 今ちょっと「いやー、どうなの?」というような顔をしていましたよね。
(会場笑)
尾原:ここを帰る時点では「趣味だよね」と思って帰ってください。
(会場笑)
伊藤:たしかに。
尾原:もう「生きるために働く人」と「趣味として働く人」の二極化しているから、自分はどちらになりたいかを決めておいたほうがいいと思う。
伊藤:いいですね。今日帰るときに、ここにいらっしゃる100人の方が「趣味だね」と思って帰ったら、オレらの勝ち。「やっぱりそれは無理です」となったら、負け。それをとにかく話しましょうか。
(会場笑)
いやー、このお二人に、統計資料を見せたのが間違いです。ということで、以後は見せません。
(会場笑)
僕は、今日、あのグラフ見せたら篠田さんには絶対にひっくり返されるだろうなと思っていたんですよ。100歳まで仕事ができるということは、趣味でなかったらそんなに続かないですよね。ちなみに篠田さん、仕事は趣味ですか?
篠田:大きく言えばそうですが、趣味だと思って働き始めたわけではないですね。私はたまたま、社会人になった1991年というのが男女雇用機会均等法というありがたい法律ができて5年目で、まだまだ(キャリア志向の女性は)会社の中では実験用のモルモットのような状態で。
就職活動をするときに、同級生の男子とは違って、まず女である私は、いわゆる総合職という男子と同じコースを受けるのか、一般職というアシスタント職を受けるのかを決めなければいけませんでした。
私は、総合職を受けるんですが、そうすると、仲良しの同級生の男子に「なんでお前はわざわざこっちを受けるのか?」「オレら男はいやでも働かなければいけないんだぞ」と。それなのに、一般職という選択肢がありながら「私は総合職がいいというような甘っちょろいことでくるんじゃねえ」というようなケンカを売られ。ちょっと無駄な負けん気を……。
(一同笑)
そういう意味では、スタートから好んでそっちを選んだ。子供をもって、それでも仕事をしたいと思った自分があるから、たぶん私は相当仕事が好きですよ。
伊藤:その時代で、なんでそんなふうに……もともと負けん気も強いし、仕事をしたい、こんなふうにしたいと思えたんですか。
篠田:面白そうだから。もうそれにつきる。
伊藤:なんで面白そうと(思ったのか)。海外で暮らした経験などが、どのぐらい影響したのかが知りたくて。
篠田:海外の影響そのものかはわからないですが、私の世代、私と同じような家庭環境で育った女性の中では、わりと「女の子だからアレしなさい、コレしなさい」とほとんど言われずに育ったというのはあります。
そうすると、別に女だからということで、「一歩下がらなければ」「自分の機会が狭まる」ということを、大学まではまったく思ったことがなかった。それが就職という関門ではじめて突き付けられて、ということだったように思います。
伊藤:なるほどねー。
篠田:あと、大学卒業後は、なんとなく一生同じ会社に勤める、という終身雇用に全く与してなかった。
伊藤:珍しいですよね。
篠田:その職業観は、海外にちょっと感化されているかもしれないです。そのわりに、わりと保守的な銀行に入ってしまうんですが。
伊藤:最初から好きでした?
篠田:だんだんに、ですね。女性は妊娠したら会社を辞めるというのが私たちの世代の標準だったんですが、一度も辞めたいと思ったことはなかったんですよ。子育てに専念していく仲良しの友だちと比較しながら、私はこんなに仕事が好きなんだと、だんだん自覚するようになりました。
伊藤:なるほどね。尾原さんはいつ趣味だと。
尾原:僕は最初からだよ。そもそも僕が就職しようと思ったのは、学校を卒業したら特許庁に勤めようと思っていて。特許庁はすごく便利で、1級官僚なのに、9時から5時までで残業がないんですよ。かつ、特許庁に3年勤めると、自動的に弁理士の資格がもらえるんです。
そうすると、そのあとずっと9時から5時の選択もできるし、特許事務所を開いて、下のやつらを雇ってうまく天下りながら仕事をすることもできるという選択をメインで考えていたんですね。
なんでかと言うと、僕はもともと高校生のころからプログラマーで、そのころから月給15万ぐらいあって。僕はもともと親が医者で、おじいちゃんも医者、おじは7人医者。僕以外のいとこ14人が全員医者、という医者家系で。
高校のときに「オレは医学部には行かない」と言った時点で、親から「一銭もやらない!」と言われて、そこから一銭ももらっていないんですよ。全部自活しなければいけなかったから、自分でプログラムで稼いで。
大学に行ったときも、自分でプログラマーをやっていると効率が悪いから、大学のフロアーのパソコン部の連中を束ねて、プログラマーの派遣、中古車の売買、中古バスを東南アジアに売って、というように、比較的働かなくても金を稼ぐというやり方を身につけていたので、メインの仕事はできるだけ早く終わらせて、副業とトータルで年収1500万ぐらいあればいいな、という人生設計を(していて)。
伊藤:就職するときに?
尾原:就職するときに。
篠田:みんな、あぜんとして聞いています。
(会場笑)
伊藤:そうなんですね。
尾原:だから、結局なにをやっても鉄板で金を稼げるやり方は、人生探せばいくらでもあるので、という状態になって。だけど、阪神淡路大震災が起きてしまったんですよ。そうすると、僕は二日目から1年間ボランティアやっていたんですね。
最初は、避難所に入って、避難されてる方のリストをつくったり、食料品の配給の配分といったいろんなことをやったんです。
正直、一介の避難所で一人でボランティアをやっていても拉致があかないわけですよ。それで、なにかやらないと変わらないと思って、当時神戸大学の人と連動してやったのが、「東灘区情報ボランティア」というボランティアセンターを立ち上げて。
伊藤:へえー。
尾原:これがすごく簡単なしくみで。区役所から場所をお借りしてやったボランティアセンターで。これがすごいワークなんですね。これはなにかと言うと、ボランティアは、みんな行く場所がわからないから区役所へ行って聞くわけですよ。
だから区役所の敷地内に「ボランティアはこっち」というポスターを貼らせていただいて、ボランティアの方がどの避難所にいっていただいた方がいいか?ということをやらせていただいてました
そうすると東灘区にある200か所以上の避難所がすごくよくなったんですよ。プラットフォームです。こういう仕組みはいいなあ! と思って。「こういう仕組みを学びながら働けるところはどこだろう?」とつたない頭でいろいろ探したら、マッキンゼーという場所があって。
伊藤:へーっ。
尾原:そこに入ったの。ただ、僕はいつでも中古車ディーラーにもどれるから。
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篠田真貴子氏「関わる全員にとってベストな答えを出したい」 Yahoo!アカデミアで語られた、三者三様の“振り返り方”観
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