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HLC定例会「働き方の多様性を実現するには」(全4記事)

人生は「自己紹介」の連続である 尾原和啓氏が夏でも赤いマフラーを外さない本当の理由

2018年6月22日、渋谷マークシティにて人事担当者向けコミュニティ HLC によるイベント「働き方の多様性を実現するには」が開催されました。主催する株式会社サイバーエージェントの曽山哲人氏がゲストとして招いたのは、IT評論家として著名な尾原和啓氏。インターネットによって変わる働き方の「3つの変化」を軸に、尾原氏がこれまで体験を振り返りつつ、これからの働き方について語りました。

働き方の多様性を実現するにはなにが必要か?

司会者:はい。それでは時間になりましたので、はじめさせていただきたいと思います。みなさん、あらためましてこんばんは。いつもお世話になっております、HLC運営の荒井でございます。本日、司会を務めさせていただきます。よろしくお願いします。

今日は、「働き方の多様性を実現するには」というテーマで、尾原さんにゲストで来ていただいて、いろいろディスカッションを進めさせていただければと思っております。さっそくお呼びしたいと思います。尾原さんです。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

曽山哲人氏(以下、曽山):はい。ということで、みなさんこんばんは。今日のゲスト、尾原さんです。あらためて盛大な拍手をお願いします。

尾原和啓氏(以下、尾原):よろしくお願いいたします。

曽山:(尾原氏を指さして)尾原さんこれ、すごいデザインのTシャツですね。

尾原:そうですね。

曽山:ちょっといろいろ、ツッコミどころ満載なんですけど、ご自身で解説をおねがいできますか?

尾原:自分でですか?(笑)。

曽山:冗談です。(笑)。

尾原:いや、いいですよ。実はですね、ふだん私自身はシンガポールとバリ島が中心でほとんど日本にいないんです。今日本(にいるの)が年の5分の1ぐらい。20パーセントぐらいが他の国をグルグル、みたいな感じで生きております。

曽山:今のだけでも、ちょっとリピートできないぐらいたくさんありましたね。

「どこでも」「誰とでも」働ける尾原氏の転職回数

尾原:そうですね。しかも、あとで説明しますけど、今回「IT批評家」って(紹介で)書いてありますが、じつは現在、私14職目でございまして。

曽山:14職目。

尾原:はい。リクルートが好きすぎて、3職目と8職目で2回行っているんですね。

曽山:出戻っているんですね。

尾原:出戻っている。出戻ったくせに辞めた。

曽山:また(笑)。

尾原:はい(笑)。辞めた。

曽山:そうなんですね。出戻って、普通は残るのにまたお辞めになったと。

尾原:出戻って辞めてオプトに行って、Googleに行ってみたいにグルグル回る人生をやっている、人間のクズです。たぶん今日は、反面教師としてみなさんにいろいろ喋れるんじゃないかなって思います。

日本での滞在時間は1日未満!

尾原:あと、先ほど言ったようにもう世界中をずっと回っていて、今日もこのあと明日から熊本に入りまして、アイブランドサミットっていうブランド系のイベントで、広告についての対談をさせていただきます。そのあと韓国に抜けて、韓国ではじめてフードテクノロジー(のカンファレンス)ですね。

曽山:フードテクノロジー?

尾原:はい。ご飯そのものがITの力で変わってきていて、素材をつくることから調理法から栄養管理から、ぜんぶ一貫して変わってきています。アジアの中では韓国ではじめてフードテックのカンファレンスがあるので、それのミニセッションのファシリテーションをさせていただきに行きます。そのあとバンコクに行きます。

曽山:バンコク。みなさんちゃんと、これメモとってますか?(笑)

(会場笑)

尾原:ここはメモらなくていいです! 大丈夫です(笑)。タイのバンコクに、クライアントが3社ぐらいあります。

曽山:3社。

尾原:はい。ノンジャパニーズの現地の方。クライアントって言っても半分はボランティアで、お金はほとんどいただいてないんですけれども。

曽山:なるほど。

尾原:それのメンテナンスに年に2回ぐらいは行っておかなきゃっていうので、行ってきます。(また、)僕は月に1回、17時間だけ、ファシリテーターになるための研修を受けています。

曽山:学ぶ側なんですか?

尾原:学ぶ側です。17時間だけ学ぶために日本に戻ってきます。そのあと上海に抜けます。最初リー・クアンユーさん(注:シンガポールの初代首相)が作られた、シンガポールのリー・クアンユー大学の蘇州分校がありまして、そこで中国を中心とした地政学、ようは地理と政治の関係って切り離せないので(それらの関係を考える学問なのですが)、その地政学のコースがはじめて開催されるので、それを1週間受けに行きます。

その途中2日目のときだけ、楽天の1年で最大のイベントがあるので、その1日のためだけに14時間戻ってきます。

曽山:日本に?

尾原:はい。で、ゆうこすさん(モテクリエイターの菅本裕子氏)と楽天の店舗(の運営者)さんの前で対談をしてまた蘇州に戻る、みたいな、そういう感じの人生送っています。よろしくお願いします。

曽山:お疲れ様です!(笑)

尾原:はい(笑)。

リュックのソーラーパネルは何のため?

曽山:ちょっとまだ座る前にお聞きしたいところがたくさんありまして。

尾原:そうですね(笑)。

曽山:まず、リュック。これ、なんかパネルみたいなのがついていますね。

尾原:そうですね。これはソーラーパネルです。

曽山:これはどう使うんですか? (電力を)ためるんですか?

尾原:はい。ここにバッテリーがあって、先ほども言いましたように、僕はバリにいるんですね。あと1年に1回、1週間砂漠で電気もガスも水道もないところで行われるバーニングマンっていうコミュニティがあって、そこに行ったりするんです。これがあると、4時間ぐらい太陽光の下にいると、iPhone6半分ぐらいは充電できます。

曽山:すごいですね。

尾原:そういう需要と、あとぶっちゃけですね、これを背負って海外の町を歩いているとたいがい「それは何だ?」って声をかけられるんですよ。

曽山:私も今、声をかけましたもんね。

尾原:そうそう。これで声をかけてくれるやつって、デジタルガジェット好きかエコ好きなやつなんですね。僕、両方とも好物なんですよ。

曽山:好きなんですね。

尾原:そうなんですよ。そうすると、その人と仲良くなれる。

ファシリテーションの肝は「雑」

曽山:すみません、まだいろいろツッコミどころが。Tシャツも気になるんですけど。

尾原:そうですね(笑)。Tシャツ……これまず(上着を)脱がないとわかりにくいですけど。「雑」って書いています。

曽山:「誰」じゃないんですね。

尾原:そうですね。『どこでも誰とでも働ける』っていう本を書いたんですけど、これは「雑」って書いています。

曽山:なんでこれを着ようと思ったんですか?

尾原:ファシリテーションってね、「雑」が大事なんですよね。

曽山:なるほど。そういうメッセージングなんですね。

尾原:そうです、そうです。

曽山:今日はスピーカーでもあるけど、ファシリテーターでもある。

尾原:そうです。はい(笑)。そういうかたちです。あとはやっぱり、変化の時代は「雑」をどうやって自分のなかに、カンファタブルに取り入れていくかっていうことが、結局生き残るための最大の戦略なんです。そういうこともあって、(Tシャツに)書いています。

曽山:もういろいろといじるところが……この赤いこれは? 写真を拝見すると「巻いていらっしゃるなあ」ってなるんですけど、これは何か(理由が)あるんですか?

尾原:これもね、もともと僕は高校時代にラグビーをやっていまして。

曽山:ラグビー。

尾原:はい。ラグビーをやっていたときに、タックルで首を痛めました。その関係で、首を冷やすとものすごく頭痛がしてしまうので、昔タオルをしていたんですね。そうしたら、Googleって比較的服装が自由な会社なんですけど、いつもタオル巻いて営業とか行っていたらさすがに「お前さ、一応な、Googleが自由って言ってもさ。首にタオルはちょっとやめないか?」っていう話になって、マフラーにしたんですよ。

曽山:なるほど。Googleで珍しく服装を突っ込まれたんですね。

尾原:そうなんですよ。ただ、このマフラーにすると何がいいかっていうと、さっき言ったように僕は世界各国に行っていろんな方とお話をして仲良くなるっていうことをやっていますが、たいがいバッと話したあとにトークで盛り上がるんですけど、名刺交換とか、基本的にしないんですね。そのあとで、結局LinkedInで繋がるときに(役に立ちます)。

曽山:基本的に名刺を持ってないんですね。

尾原:僕は名刺を持っていません。なので、これ(マフラー)をしているとLinkedInで繋がるときに「あいつ誰だっけ?」ってならないわけですよ。だから話をしているときに、もうアイコンを1つ持っているというわけです。

曽山:「巻いている人」ってなる。

尾原:はい。フレンドリクエスト見ても、アイコンの中で赤いマフラーがあるから「ああ、あいつか!」ってなります。だから、ふだんはフレンドリクエスト無視している人でも、受諾してくれる確率が非常に高い、ということなんですよね。

曽山:はい。だいぶ温まってきたということで。

尾原:はい。

人生は「自己紹介」の連続である

曽山:ありがとうございます。ということで、今日はだいたい9時終了目安で定例会を進めていければと思います。まずはちょっと、アイスブレイクをやっていきたいと思います。

尾原:はい。

曽山:ではチェックインとして、2、3分喋ってもらおうと思います。(スライドを指しながら)ここに一応お題として用意させていただきました。「最近会社でも自分でも、働き方で変わってきたと感じるところ」について喋ってもらえればと思っています。尾原さんがもし、別のネタで話したいというものがあれば、そちらでも構いません。こういうのを聞いてみたいなど(ありますか)。 尾原:じゃあ、やり方は尾原流でいいですか? これはActive Learning社の羽根さんから教わったものをなんですが。

曽山:ぜんぜんいいです。今日はすべて、私の進行は無視していただいてかまいません。

尾原:ありがとうございます(笑)。チェックインはこれでいいんですけど、働き方で変わっていると感じることっていうのは、ある種「自分がどう世の中を切り取るか」じゃないですか。だから僕は、人生ってずっと「自己紹介」の連続だと思っているんです。

曽山:なるほど。 尾原:つまり、こういうトピックの中にも自分っていうのが染み出してくるわけじゃないですか。たぶんこのテーブルの方々って今日新しく、はじめて会う人もいると思うので、ちょっとゲームっぽくやらせてもらえればと思います。

曽山:ぜひ。

尾原:はい。そしたら、この働き方で変わっているなって感じることを、1人30秒かな。30秒あれば喋れますよね。1人30秒で喋っていくっていうのを、時計回りにぐるっとまわしましょう。仮に1番の方は、テーブルでこちら側の左側に座っている人としましょう。

曽山:手を挙げてもらっていいですか?

尾原:そこに座っている方がいなかったら、時計回りに1個となりにいった方。例えばこちらのテーブルだと、(その席にいる参加者を見ながら)そうですね。……っていうかたちで。

曽山:(テーブルの間を行き来する尾原氏に対して)足元に気を付けてください。

喋るだけでは終わらせない 尾原流アイスブレイク

尾原:そういうかたちで1番として、左手の方が2番、3番、4番で。5人テーブル座っているところってありますか? ないですね。4人か3人ですね。30秒でまわしていきます。そうなんですけど、それをするとですね、たいがい相手が喋っているときに「自分は何を喋ろう」って、人の話聞かなくなるので……。

曽山:なるほどね。

尾原:あとで「このテーブルの中で誰の『変わったな』っていうのがより深く聞きたいか」って思う1人を選びます。ちゃんと聞きながら自分も喋りましょう、ということです。じゃあ1人30秒ずつですね、1人目から。1人目、さっき手を挙げた方、(もう一度)手を挙げていただいていいですか? その方から、働き方で変わってきているなと感じることを30秒間言っていただきます。完全に僕、司会者になっていますけど。

曽山:(続けていただいて)いいですか?

尾原:はい、ありがとうございます(笑)。

曽山:私やりましょうか?

尾原:じゃあ30秒スタートです。はい、よろしくお願いいたします!

曽山:お願いします。

(30秒をカウント)

曽山:拍手~。 ありがとうございます。

尾原: 30秒って緊張するけど、がんばれば意外と喋れるもんでしょ? ……って言ったら、2番目の人は喋りやすいですよね。じゃあ2人目の方いきますよ。左隣の方でまた30秒、働き方で変わっているなと感じることを話してください。どうぞ。

はい、15秒経過です。……はい終了です! じゃあ拍手で~。

曽山:拍手~。

尾原:じゃあ3人目の方いきます。だいたいコツを掴んできましたね。さっき言ったように、最後に1人、おもしろいなっていう方を指さすっていうかたちで、1番指が集まった人が勝ちっていうことですからね。じゃあ勝ち(や負けは)そんな関係ないですけど、でも3番目の方は1番目の方よりも2番目の方よりも、楽しく喋りましょうね。はい、じゃあいきますよ。プレッシャーをかけておいて、3人目スタート!

いいですね、ちゃんとメモを取る人もいます。やっぱりみんなこういうのに慣れていますね。あと10秒ですね。だいたい30秒の感覚ができてきましたね。……はい終了でございます。

曽山:はい拍手~。

尾原:ありがとうございます。

曽山:ありがとうございます。

尾原:はい。じゃあもう最後ですね。4人目もさっといってしまって、指さしに入りましょう。じゃあ30秒どうぞ! 3人のところは雑談しておいてください。

曽山:そうですね(笑)。3人のところは雑談でお願いします。

(30秒をカウント)

尾原:はい終了でございます! じゃあ拍手で~。

曽山:拍手~。ありがとうございます。

インド人は自分の話が1番だと言う 日本人はどうか?

尾原:はい。ということで、さっき言ったように、1番ためになったな、おもしろかったなっていうテーブルの中の大賞を決めたいんですけれども。やり方は先ほど言ったように、指さします。だけど1個だけ禁止事項があります。

曽山:はい。

尾原:自分には指さしちゃだめです。

曽山:なるほど。

尾原:そうしないと全員が(自分に)指をさして終わりますからね。……とは言っても日本人は、「自分をさしてもいいよ」って言っても、自分をささない人のほうが多いんですけどね。インド人でやると、全員が自分をさすんですよね。

曽山:ほ~、やっぱりそうなんですね。

尾原:はい。というのは置いといて(笑)。 もう決まりましたか? 自分以外ですよ。じゃあ、せーのでいきますよ。はい。じゃあいきます。せーの、どん!

じゃあ3人に指をさされた人、今ちょっと誰に指をさされたか覚えておいてください。3人に指をさされた人はいます? おお、いる。右奥。

曽山:手を挙げてください。

尾原:ちょっとそんな、堂々と挙げてくださいよ。そんな……。

曽山:すばらしい。拍手!

尾原:拍手~。

(会場拍手)

尾原:あ、もう(プレゼントを)あげる!? いいですよ。あげてくださいよ。

曽山:そんな方には、今日尾原さんからですね。尾原さんがお菓子を買ってきてくださったんですよ。

尾原:はい(笑)。

曽山:おめでとうございます!

尾原:どうも~。あともう1テーブルありましたね。こちらです。

曽山:じゃあ、そんな方に。尾原さんが買ってきてくださった「しろえび小判」っていうおせんべいをさしあげます。おめでとうございます!

尾原:富山はちょうど今、しろえびの時期ですからね。

曽山:すばらしいですね。ありがとうございます。

尾原:それで、ここで終わらせたらおもしろくないので、簡単なことをもうちょっとだけやらせてください。

曽山:いいですよ。

尾原:せっかく指をさしたので、先ほど1番目に話した人から「なぜその人の話が1番おもしろかったか」っていう感想、「自分は誰を指さして、その人がなぜほかの人よりもおもしろかったか」っていうショートコメントを15秒ずつ、パン、パンとまわしていきたいと思います。いいですね? 「適当に指さしました」っていうのは、なしですよ。

曽山:ははは(笑)。

尾原:大丈夫ですか? じゃあ1人目からいきます。1人目15秒、どうぞ! 意外とね、人を褒める時間っていうのは長く感じるんですね。

曽山:はっはっは(笑)。

尾原:じゃあ2人目いきますよ。左手の方、2番目に喋った方、どなたの話がなぜ1番おもしろかったのか、15秒でどうぞ! ……はいどうもありがとうございます! はいじゃあ、3人目いきます。3人目、15秒、どうぞ!……はいどうも~! 

はい、じゃあ4人目。最後いきましょう。15秒どうぞ。はい、そうですね。温まったのでいきましょうかね。……はいどうも終了で~す。ありがとうございます。

人を自由にし、「らしく」させる仕組みがインターネット

じゃあこれでチェックイン、アイスブレイクということで。このあと、みなさん、ようは(多くの)指がさされた「働き方が変わったこと」っていうのは、やっぱりそのテーブルの中で1番みなさんの関心があるっていうことですね。このあと、僕が喋るときにちょっとお話ししていただいてネタにするので、ぜひ覚えておいていただきたいです。

なんで僕が無理やりチェックインを奪ってこういうことをやったかっていうと、実は僕自身、先ほど14職目で13回の転職をしてきているって話をしたんですけれども、基本的には「インターネットが人をより自由にして、自分らしくする」っていうことを信じ、それが加速するように最前線で生きるっていう生き方をしている人間なんですね。

それで、この今やったことそのものが、僕は「インターネット」だと思っているんですね。

曽山:なるほど。

尾原:つまり何かっていうと、今言ったみたいに、リアルな生活だと自分が気軽に、自分の意見をパーンと知らない人に発信することだとか、その発信に基づいてどこがよかったかっていうことって、あまりないですよね。でも今実際にやっていただいたことって、僕がしょうもない合いの手をたくさん入れてしまったのでちょっと時間かかっているんですけど、実際の時間でいうとぜんぶでたかだか2分30秒しかかけてないんですよ。

たった3分間で、ほかの人との違いをこんなに理解して楽しむことができるテクノロジーが、インターネット。「遠くにあるもの」と「違うもの」っていうものがポジティブに繋がっていって、その差を楽しむことができる。そして自分も、その差がこういうふうに人からおもしろがられるんだっていうことを感じて、そこでより発信していけるっていうことがインターネットの良さだと思っているんですね。

ということで、今日このあとは、自己紹介しながら、今のそういったことの話をしていくんですけれども。もう、乾杯にいっちゃう感じでいいですかね?

曽山:そうですね。それでは、ここから、乾杯に移れればと思います。みなさん、(お飲み物を)お手元に。

尾原:あ、ここに!? すごいおもてなし! 何これ。ギリギリまで冷やすためにこうやって置いているんですか? すげえ。でもちょっとごめんなさいね。(私は)ノンアルで。みなさん、ぜんぜん気にせずに(アルコールも飲んでください)。へえ~、なんかそのおもてなし感がいいですね~。

曽山:ありがとうございます。毎回アンケートを取っていて、みなさんから(の意見で)ブラッシュアップさせていただいています。

尾原:すばらしい。

乾杯が先か、自己紹介が先か、それが問題だ

曽山:まずは皆様お好きなお飲み物を取っていただいて。そうしたらですね、みなさんにお願いがあります。このあと尾原さんに乾杯していただきます。乾杯の後、ここから5分間のワークを実施します。

ワークは飲んだり、テーブルのおつまみを食べながらで結構です。お手元のポストイットに、「尾原さんに聞いてみたいこと」を、この5分間でたくさん書き出してください。

尾原:了解です。でもあれですね、じゃあちょっと最初に自己紹介やったほうがいいですね。

曽山:はい。是非お願いします。

尾原:わかりました。

曽山:自己紹介をしていただいて、ワーク後に尾原さんと私で少しお話しをさせていただいたうえで、質疑応答をガンガンやっていきたいと思います。

尾原:はい。ちなみにこのでかいポストイット、1枚500円しますからね。

曽山:(ポストイットを手に取って)これですね。それを言うと、みんなすごい使いづらくなりますね(笑)。

尾原:そうか。ごめん!(笑)。 言っちゃった。

曽山:ファシリテーションじゃなくてアンチファシリテーションに……(笑)。

尾原:あ~失敗した。

曽山:いやいや、ありがとうございます。ネタです(笑)。ということで……乾杯の前に少し話します?

尾原:はい。でも乾杯の前に長く話すとあれだから、乾杯ってやってから。でも、乾杯って言ったらみんなで喋りたいもんね。

曽山:喋りたくなりますね。

尾原:ちょっとだけ、簡単に自己紹介。ごめんね!

曽山:いいですか? すみませんね。

進路を決定付けたボランティア活動とは

尾原:少し自己紹介させていただきます。さっき言ったように、僕自身はインターネットとかテクノロジーが人間のよさを引き出して、より自分らしくなって、それでみんながより違いを楽しめるようになるっていうことを信じて、いろんな立場でやっています。

具体的に言うと、(スライドを指しながら)実はここに書いてない経歴が1番大事なんですけれども(笑)。今週大阪で大きい地震があって、今のところ余震がなくて本当にありがたいんですけれども、阪神淡路大震災のときに、ちょうど僕は大学院生でした。僕自身は高校生のころからプログラマーで、大学のときは人工知能(の研究)ですね。

大学で研究しているパソコンオタクだったんですけど、大学院っていう1番暇な時期に地震が起こったので、1年間阪神淡路の神戸で、ずっとボランティアをやっていました。ただ僕のやっていたボランティアがすごく特殊で、ずっと机の前に座っているっていうものだったんですね。

正直、1人でやっても何も状況が改善しないんですよ。でも、椅子の前にずっと座っているだけのほうが、ずっと改善できたんです。

それはなぜかって言うと、ボランティアって当時、区役所にみんな集まってきていたんですね。なので、神戸大学の方々と神戸大学区役所に行って区役所の場所を間借りして、ボランティアの方はこっちに来てくださいっていう看板を立てていました。

そこで、ボランティアの方が来たら「じゃあ、あなたはどこの避難所に行ってください」「どこの避難所に行ってください」っていう配分を、みなさんがそこに置いてあるようなポストイットのようなものを使ってしていたんですね。

そうすると、ボランティアの方が帰ってきたときに、「あそこの避難所はこういうものが足りなかったよ」とか「こういう人が足りなかったよ」っていうような話を聞いて、「じゃあそこにはこういう人を連れて行ったらいいよね」っていう(ことになる)。こういうことをビジネスの言葉では「プラットフォーム」って言うんです。

複数のものをサービスの上に乗っけて、その組み合わせ、マッチングっていうことをやってあげると、プラットフォーム自体はそんなに動いてないのにまわりが幸せになる。そういう経験をしてしまったので、それを社会人1年目からやれる職場を探して、マッキンゼーに入ったら、たまたま「iモード」(のプロジェクトがありました)。

事業企画、立ち上げ、投資の世界を渡り歩く

尾原:そのiモードの立ち上げを(やりました)。

僕はたまたま震災のときの涙話をしたらマッキンゼーに入れてもらえました。それで、マッキンゼーの中で僕はサーバーの設定からプログラムまでできたので、そのiモードプロジェクトに入らせていただきました。絵文字のドットを打たせていただいたりしました。

そういった立ち上げをやると、そのあとはプラットフォームで「より人が自由になることをやりたい」っていうことで(転職しました)。(転職先が)まさにリクルート、人生の選択肢を広げる会社。なので、好きすぎて3職目と8職目、2回行っています(笑)。

あと「やっぱり人を幸せにするためには、B/S(貸借対照表)サイド、資本サイドもわかんなきゃいけないな」ということで産業再生機構の冨山和彦さんが当時社長をやっていたコーポレイトディレクションで、地方の再生を担当させていただいたりしました。

Googleでは、新規事業の統括をさせていただいていて、日本の(電気通信事業者で)アンドロイドのドコモさんとかKDDIさんとかの契約だったりとか、世界で最初のAIサービスである「Google Now」の立ち上げの、日本の責任者をやらせていただいたりとかしました。あと楽天にも転職しました。

曽山:(笑)。

尾原:楽天っていうのは4万店の店舗さんが、自分が好きな商品を遠くの人に売って、それで生活できるっていう、ものすごく自分らしさの(活かせる)プラットフォームなんですね。このIDと、楽天が持っているカードとかの強い決済の力をオープンにしていこうっていうことで。

楽天のIDと決済の担当執行役員として、イスラエルの「バイバー(Viber Media)」っていう楽天が900億円で買収させていただいた会社を担当させていただいたり、ガザ紛争中のイスラエルをいったりきたりしながら仕事するという希少な案件をやらせていただきました。

曽山:なるほど。

尾原:はい(笑)。ずーっと一貫して、事業企画とか新規とか、あと投資とかをやらせていただいています。

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