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社会を変革し、成長するためのキャリアの描き方(全4記事)

「自分の言葉を持て」 リクルート経営陣が語る、ビジネスにおける"リアリティ"のチカラ

ビジネスの場面において机上の空論やマスコミの受け売りではなく、自身の体験を基にリアリティある言葉で表現できるか--ビジネスの最前線で活躍するリクルート富塚氏、ヤフー小澤氏、ロート製薬山田氏が、社会人として飛躍するために必要な心構えを会場の大学生・大学院生に説きました。(G1カレッジ2014 より)

会場の学生たちから一流ビジネスマンへ3つの質問

田口義隆氏(以下、田口):それではQ&Aに行きたいと思います。質問のある方は挙手をしていただいて。複数いただいて、それにお答えするというかたちにしましょう。3人くらいに質問していただいて、それでQ&Aいきます。

参加者:皆様にお伺いしたいのは、どんな方々と一緒に仕事をしたいかっていうことです。スキルどうのこうのじゃなくて、どういったマインドセットを持った方だと一緒に仕事をしたいか。そういったことをお伺いしたいです。

田口:はい、ありがとうございます。そのほかは?

参加者:お話ありがとうございます。質問なんですが、人生において転機というか、チケットを要する機会が多くあると思うんですが、その際に大切にされていること、転機において何を軸として置いているかっていうことをお伺いしたいです。個人としてと、会社の経営者として、2つの立場でもし違いがあれば、その点も教えていただきたいです。

田口:OK、そのほか。

参加者:よろしくお願いします。ロート製薬の山田様。大学時代にバイオ関連のことを諦めたことを後悔しているとおっしゃっていましたが、僕今エネルギーに興味がありまして、これから先、1年後にオーストリアに行って5年後に必ず帰ってきて起業します。そのときにご連絡するので覚えておいてください。お願いします。

(会場笑)

どんな人と一緒に仕事をしたいか

田口:わかった、OK(笑)。まず3つくらい。マインドセット、どんな人と付き合ってやって行きたいか、転機のときの軸、それから公と私の切りわけがあるかというところで、お答えになれるというテーマがあればお願い致したいと思います。山田先輩。

山田:どんな人と一緒に仕事したいかということで、たとえば考えると、答えがひとつなわけないじゃないですか。そういう意味では、もちろん志が高いとか話しておもしろいとかあるんですけど、できるだけ僕は「誰もこの人の価値をわからない」っていうくらいの変人と付き合うとか(笑)。

その人ならではのユニークな付き合い方をしてもらうと、世の中全体がおもしろくなるんじゃないかな、という気がします。

田口:ありがとうございます。友人付き合いさせていただいております。本当に感謝しております。冨塚さん。

冨塚:どんな人と仕事をしたいか、2つあります。ひとつは「to be」ですね。自分がどうありたいのかっていうことが明確な人です。ありたい姿っていう、その実現を一緒にしてあげたいなっていうふうに思うことをやりたい。

もうひとつは、まったく逆のこと言うんですけど、「何かしたいんだけど、何やりたいんだか僕わからないんですけど、何かやりたいんですよ」みたいな人と一緒に、「じゃあやりたい道っての、この中で一緒に探そう」みたいなですね。この2つを今やってますし、今後もやっていきたいなっていう。

あとは自分の人生の転機での軸っていう話ですけども、よくこれも昔から言われてる話ですけども、「どっち取ったら後悔するかな」っていう、後悔しないほうですね。「こっちのほうがまあ後悔しないよな」っていう。個人も経営も一緒ですね。こんな感じです。

田口:はい。小澤さんお願いします。

小澤隆生氏(以下、小澤):どういう人と働きたいかは、私は非常にこう下賤な人間ですからね。あんまり大した夢もビジョンもない。どうやって生きていったらいいかわからないので、わくわくする話を持ってきてくれる人が大好きですね。「小澤こういうのやってみないか?」「最高っすねそれ! ばんばんやりますよ!」

(会場笑)

自分で言うのも何ですけど、私はオペレーションがすごい得意なんです。「こういうのやるにはどうしたらいい?」って言われると、「お任せください」と。「なんとかしてやり遂げます」と徹底的にやり抜く、できることが、2回に1回くらいあるんです(笑)。

やっぱり三木谷さんとか孫さんから難しいお題がくるわけですよ。もうね、2万ピースの真っ黒いパズルみたいな。「全然手掛かりないんですけど……」みたいなのが。それがわくわくするんですね。そういうでっかい夢、僕もそうありたいと思ってますよ。部下に指示を出すときは「これやらんか。ゾクゾクするだろう? ……って、孫さんが言ってる」みたいな(笑)。

(会場笑)

そういうでっかい夢持ってる人と「いいなあ」と思いながらやるのが一番好き。あと2番目の質問ですけども、迷ったらとにかくおもしろいほう。これは絶対おもしろいだろう、人が聞いたら。なかなかそうじゃないと楽天からヤフーには行けない。裏切り者呼ばわりだから。でも「こっちのほうがおもしろいだろう」ということをやっております。以上になります。

会場から最後の質問

田口:ありがとうございます。それじゃ続いて質問。

参加者:よろしくお願いします。グローバルってところについてお伺いしたいんですけども、まず小澤さんが「東南アジアがおもしろい」とおっしゃってましたが、具体的にどうおもしろいのかなというところで。

たとえば小澤さん自身が今ベンチャーキャピタルなり、事業なりされてると思うんですけども、その今ある事業なり、何かやりたいことがあって、それをやるための市場として親和性が高いからおもしろいとおっしゃっているのか。

はたまた、東南アジアっていう途上国にチャレンジすることそのものがおもしろくって、そこでできることを探したいっていうことなのかっていうのを、小澤さんとしてなのか、それともヤフーとしてなのか、ていうのをお伺いしたいです。

山田さん、冨塚さんに関しましては、ご自身がいらっしゃる人材、製薬という市場の中で国外に出るならここだっていう場所と、その理由をお願いします。

田口:はい、ありがとう。その他。

参加者:非常に言いづらいんですが、今年5月にIT業界以外の業界で起業しまして、現在は沖縄県唯一の学生起業として起業活動をしております。

それでお伺いしたいんですが、沖縄ってちっちゃい地域なんですけど、大好きな地域から県外・海外に向けて今から発信していくために、今から半年くらい、スタートアップの時期でぜひこういうことを、こういう気持ちを持ってとか、こういう行動を起こしてほしいっていう、具体的なスタートアップ時のアドバイスをいただければと思います。

田口:ありがとう。そのほか。

参加者:お話ありがとうございます。ひとつだけ、小澤さんからはさっきお話あったかと思うんですけども、皆さんにお聞きしたいのが「何のために働くのか」っていうことだけお願いします。

田口:はい、そのほか。

参加者:グローバリゼーションというのは、つい最近あっての話じゃなく、だいぶ前から話されてるトピックだと思うんですけども、日本は遅れてるというか、一番多分グローバリゼーションが進んでるのはヨーロッパだったりアメリカだと思うんですけど、どういう理由で遅れを取ってしまったのかっていうのは、意見を聞きたいです。

田口:OK。はい、じゃあ最後。

参加者:皆さんに質問したいんですけど、働くことも大好きなんですけども、両親1回ずつ死にかけたりとか、いろんな家族の絆とかあった中で、家族っていうのと、生きる・仕事をするっていうことをやっぱり両立したいなっていうふうに、僕はそれが自分の中の人生のミッションだなと思っていて、その中でどういったふうに皆さんはバランスを、その中で取られているのかなと。

自分で楽しんで生きるために、皆さんが心がけてることがあったら、ぜひ教えていただければと思います。

田口:一回ここで切ります。それぞれ具体的にお名前があがって質問が出たところもあります。今出たお話の中でそれぞれコメントいただけるとありがたいと思います。小澤さん。

東南アジア・ゴールドラッシュは、今まさに始まりかけ

小澤:質問とか覚えられるほど記憶がないのですけど、まず東南アジア私がなんで好きかっていうと、東南アジアでしょ、顔が。ベトナムに僕に瓜ふたつのパン屋がいるわけですよ。パン屋の店長が(笑)。

(会場笑、拍手)

「小澤さん、ベトナムで働いてるんだったら言って下さいよ」って連絡が来て、写真見たら本当に似てる。僕の友達がわざわざそれで会いに行ってくれて、それをきっかけに今Facebookで友達になってるんだけどね。もう他人事と思わない。まずそれがひとつ。

とにかく好き。好きか嫌いかって本当重要な要素だからね。物事なんてたいしたロジックないんだよ。皆が選んでるとき、おもしろいか・おもしろくないか、好きか嫌いかっていうことに対してあんまり考えないでしょ? なんで皆そのスポーツやるんだって、ロジカルにこんな図を書いてやってるわけじゃないだろう。そんなもんですね、ひとつは。

あともうひとつは、やっぱりどんどん伸びるからね。さっき言ったように右肩上がり、ゴールドラッシュの始まりかけで入るのが一番楽しいから、もう東南アジアなんかゾクゾクするわけ。あれも儲かりそうだ、これも儲かりそうだ。あれも喜んでくれそうだ、これも喜んでくれそうだ。もう何やっても成功する気がするね。

だからそういうとこに、学生によくわかんないままお金持たせて、送り込んで起業させたりしてるんですよ。そういうの大好き。あとの質問覚えてないな、なんだっけ?

日本は「内なるグローバル化」が遅れている

田口:いいです、OKです(笑)。では冨塚さん。

冨塚:皆さん(小澤さんに)騙されちゃいけませんよ? ちゃんとこっちの頭で計算してますからね。

(会場笑)

まあロマンとソロバンっていうの、小澤さんは両方持ってるから今があるわけなんですけども。

僕は東南アジアが日本に非常に似てるとこがあるっていうのは、すごく思いますよ。それで、僕たち今「受験サプリ」ていうものを海外に、次に持っていこうとしてるんですけど、やっぱり同じような環境なので非常に親和性が高い、っていうのは僕から見たときにはあるなって感じです。

それから最後にダイバーシティの話がありましたけれども、皆さん何のために働くんですか。この質問もありましたね。これは一緒だと思ってまして、人それぞれ、働くモチベーションリソースっていうのは違うと思うんですね。

そういった意味では、昔はもう家族を犠牲にしてでも猛烈に働くっていう時代もあったわけですけど、今そんな感じじゃないでしょ? リクルートもやっぱりそうで、時間を短くしながら、とにかく時間を浮かせると。

浮いた時間で個人の生活がすごく充実していないと、結果、ビジネスにも返ってこないよねと。ヤフーさんもそうですけど、特に僕ら消費者にまつわるサービスをやってますから、自分の生活が充実してるって感じがないと、商売に持ってこれない。ちなみに私は先々週、子どもが生まれたばっかりでしてですね。

(会場拍手)

これから、イクメンにならないといけないっていうのがあって、家族の時間は家族の時間でちゃんと取ろうと。ですから大切なことは、時間をどうやって使うのかっていうことを自分自身でしっかりと決めて、タイムマネジメントをするってことが僕はすごく重要じゃないかなと思います。

田口:素晴らしい。ありがとうございます。では山田先輩に、何か一点絞って。

山田:国際化、グローバリゼーションというか、日本がグローバル化で遅れてると勝手に皆さん、思ってますか? それ、違いますよ。確かに遅れてる産業もある。でも世界中、日本車走りまくってるんですよ。日本の素晴らしい技術が世界中にいってる。実は遅れてない。

遅れてるのは、内なる国際化のほう。僕らはグローバルというと、出て行って他人の国で商売して、ということを考えてるけど、じゃあタイの人、インドの人、スリランカ。日本に来てどんどん商売やってますかっていうと、そんなのまったくないでしょ。

だから僕は、内なるグローバリゼーションというか、内なる国際化こそ、日本はもう決意しないと。自分たちだけ出て行っておいしいとこだけ、っていうのはおかしい。

もっとここにいろんな人種の人がいて、日本へ行って楽しい、おもしろい、新しい研究ができる、ニュービジネスができるという(ように)なってこそ、本当は外へ行ける意味が出てくるんだけど、今はまだ一方通行のグローバル化っていうのは、間違ってると思います。

それからワークライフバランスのことで、僕自身は実はヨットレースをもう20年くらいやってるんですけど、非常にこれは仕事のモチベーションになってます。やっぱり自然の中で考えることっていうのが、インターネットもいいんですけど、ヨットのほうが僕は絶対好きなので、そういう世界を大切にしてほしいなというふうに思います。

時間をマネジメントできれば不可能はない

田口:まだまだ質問があると思いますが、最後に一言ずつ、学生の方にエールをいただきたいと思います。

私のほうは先ほどあったおもしろい話で、人生の中で仕事と自分の時間、プライベートの時間をどうやって切りわけるの、という話がありましたけど、先ほど答えがあったように、時間のマネジメントをすると、やっぱり両方ともいけるんですよ。

山田先輩もトライアスロンやっていらっしゃって、私もやってるんですけども、トライアスロンなんか絶対できないと思ってたんですけど、やりゃできるんですよ、なんでも。時間組み入れるだけなんですよ。だから、「やりゃできる」。こっちを犠牲にしなくちゃいけないなんてこと、考える必要全然ないです。

女性なんかは、よく働いてそれからお子さんも生まれますんで、そうすると罪悪感を持つんですよ。それは「子どもたちが私の犠牲になってる」。

そんなことないんですよ。子どもたちは帰ってきてママがぎゅーっと抱っこして「あなたのおかげで、あなたが頑張ってくれるから、ママってすごいいい仕事ができる。皆に喜んでもらえる」て言ってやると、子どものモチベーションあがるんですよ。それだけでいいんですよ、何時間もいる必要ないんですよ。必ずやり方はあります。

なんのために働くのか

田口:では、おひとりずつエールをいただきたいと思います。小澤さんは最後ね(笑)。では、山田先輩から。

山田:先ほど「何のために」っていうのがあったと思うんですけど、私にとってみれば、ある意味、皆さんのためにです。ちょうどね、(皆さんは)うちの娘と同じくらいの世代なので、次の世代の人たちが、人生楽しいな、日本に生まれて良かったな、この時代に生まれて良かったな、というふうなことをしたい。

これ私のモチベーションですし、皆さんにはそれをさらに、将来の子どもとか、次のジェネレーションに継ぐために仕事をしてほしい。そのためにはすごくファイトが湧いてくるんじゃないかなと、そんなふうに思います。

田口:では冨塚さん。

冨塚:さっきも言ったんですけど、間違いなくグローバルとITっていうのは必須じゃないですか。そうなったときに、日本のことをちゃんと知るっていうのがすごく重要だと思います。

日本の首都圏・都市圏しか皆さん知らないんじゃないでしょうかと。「いや、そんなことないです。いろんなとこ行ってます」っていう人がいるんだったらいいんですけど、やっぱり海外行ったときに日本っていってもいろいろあるわけで、この日本コンテンツ、ジャパンコンテンツを皆さんの口でどれだけ語ることができるのか。そういうリアリティを持ってです。

このあとビジネスの世界に入ると「リアリティ」っていう言葉がとても重要になります。それと、本当にリアリティ持って語っているのかっていうことですね。机上の空論でもなければマスコミからの話でもなく、自分の見聞きしたもので自分の意見として語れるかと。

これは日本の中だろうと、グローバル・世界だろうと、すごくベースになる力だと思いますんで、今の時間のあるうちにいろんなところに行ってほしいなっていうふうに思います。

田口:ありがとうございます。小澤さん。

小澤:ありがとうございました。皆さん、ここに来ることもできたし家で寝てることもできたけど、来てるわけだ。これが素晴らしい。何かやれと。僕のとこには「何かやりたい」ていう若者もくる。「やり方わかんないし、やることもわかんないけど、何かやりたい。決まってないけど」というのもくる。

「これがやりたい」そういう人たちに僕はどうしてるかというと、アドバイスと金をあげる。「この金で何かやれ」と。学生のとこにお金出したこともあるし、いろんな人にお金出してきた。ほとんど成功する。成功する秘訣は何なのか。一生懸命やること。

学生の多くは、受験勉強が一生懸命やったことの最後になってたりすることがあるわけですけど、そうじゃない。一生懸命やれ、何かやれ。足りないんだったら俺のとこに来いと。金を出すと。

田口:ありがとうございます。

小澤:100人か……。

田口:計算しないようにしてください。

(会場笑)

小澤:1億か。まあ頑張ろう!

(会場拍手)

田口:これでセッション終了します。モデレーター大変拙くて、皆さん聞きたいこと全部聞けなかったかもしれませんが、この後でも聞きたいことがあれば聞いていただいて、皆さんの人生の設計に少しでもインスパイアができたらなというふうに思っております。本日はありがとうございました。

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