2024.10.10
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松浦:本日はWEBメディア業界のキャリアデザインということでですね、まずは我々の自己紹介というか、キャリアをご説明した上で本題を進めていければと思います。まずは私から。ハフィントン・ポスト日本版編集長・松浦茂樹と申します。どうぞよろしくお願いします。
割と私は下の名前で呼ばれることが多くて、twitter(@shigekixs)のアイコンとかも、シゲキックスってなってるんですけども。結構同姓の松浦さんという方が周りに多かったもので「茂樹さん」と呼ばれることが多く、今日はぜひ茂樹さんと呼んでいただければと。
私1998年に小さなシステム開発の会社に入りまして、いきなり宇宙開発のエンジニアということで。ここだから言えますが、日産自動車でした。日産自動車の子会社の子会社みたいな。そこに送り込まれる、たくさんある小さいシステムエンジニアの会社のうちの1つの会社に入って。ただ入る時に「宇宙開発できるよ」って言われて。
川原崎:日産自動車で宇宙開発?
松浦:宇宙開発事業部ってところが当時あったんですよ。群馬の山奥にあって。いきなり、結構あちこちに飛ばされることも多いんですけど、僕は宇宙開発事業部で群馬の高崎の山奥に飛ばされて。仕事のイロハを丁稚奉公で学ばせてもらって。
そっから元々大学時代ネットを勉強してたことが、すこーしだけあるので、見よう見まねでネットワークエンジニアをやってみたりですとかですね、あとはアドミニストレーターとか。あちこちの会社のネットワーク管理とか。メールサーバー作って全員にメールアドレス作って紙に書いて日曜日の間にPCに貼って回る。
そのあとは、地図のシステム営業やったり、サイト制作やったり。その頃、ライブドアがどんどん急成長して伸びていってブログのセミナーとかやるわけですよ。で、面白そうだなぁと思って、受けたら受かっちゃった。それでライブドア行きました。
私これまでの経歴からシステムが強かったので、それを生かすかたちでECもやったことあったのでライブドアデパートをやりまして、でもどちらかというとメディアの方をやりたかったので、広告関係とか受託のスキルを生かしていろいろやっていたんですよ。
とにかくどんどんモノが降ってくるんで。訳分かんないぐらい堀江さんが、あれやってこれやってってボールが飛んでくるのを必死に受け止めながら、やってたらいつの間にポータルトップの担当みたいになってて。
川原崎:ライブドアのポータルサイトのトップの?
松浦:そうそう。編成の担当。トップページにどんなものを出すのかの責任を持ったりとか。トラフィックをどんな風に流し込んだりとか。そういうのをまとめて全部やってたと。それから、後で詳しく話すんですけど、コンテンツを一部つくったんですよ。やわらか戦車とか、デイリー4コマとか。
川原崎:おー。有名ですよね。やわらか戦車。
松浦:やわらか戦車は別に有名なプロデューサーがいるんですけど。この時期まだお金あって、派手に使ってよかった時期なんで、楽しんでいましたね。で、事件やら何やらかんやらなっているうちに、ポータルのシニアマネージャーになって。たぶんここら辺のタイミングでかわぱらさんと会っているんですよ。
制作とか売上関係とか広告関係とか企画とか。全部含めてやるようなかたちでブロゴスとかのプロデュースとか。最後にちょろっとかわぱらさんと会って、すぐコンデナストに行くみたいな話になって。どちらかというとコンテンツ作りの経験を生かしてWIRED立ち上げたりとか。1年間ほどやらして頂いて。
その後、もう一度ソーシャルの、スマホで先頭走っているところにいきたいってなって、そしたらGREEかなって。2012年の3月にGREEに入りまして。でも、面接でずーーっと「ゲームはやらん!」と言い続けて。
川原崎:(笑)。
松浦:ほんとほんと。最初っから最後まで「ゲームはやりません」みたいなことを言い続けて。お金たくさんあるんでしょ? 今までこういうことやってきているから、コンテンツ作りとかそういうとこやらせてよ。GREEのソーシャルゲーム以外のことやりますよっていう風に言って、GREEニュースとかアプリとか、マガリーってのもちょっと関わったりとかしてました。
そんな感じで、割と最初はシステムエンジニアとかの下のところから、どんどんどんどんフロントの方に近づいてきて、今はハフィントン・ポストでフロントのメディアのプロデュースを主にやっているということですね。
川原崎:すごい職種多いですね。
松浦:職種はすごい多いです。どういう風にこうなってきたかというのはまた後で話すとして。次はかわぱらさんどうぞ。
川原崎:僕は今はサイゾーという会社で、ウェブ事業の責任者をやっております。サイゾーは大きく雑誌とか書籍とかの紙をやっている部門と、ウェブ事業ををやっている部門がありまして、僕はウェブの方の責任者です。twitter(@kawapara3)とか、ウェブ上ではかわぱらと呼ばれてます。
2007年にサイゾーに入社したときに、ウェブ事業を立ち上げまして。日刊サイゾーとかサイゾーウーマンとかは、当初立ち上げから編集まで全部やってました。今はプロデューサーとして見ているって感じですね。そのほかに一応肩書きにサイラボ編集長ってあるんですけど、サイラボっていう、ウェブメディアのノウハウとかを世の中に伝えようみたいなメディアをやってまして。
松浦:いやでも、インタビューいろいろ多くていいじゃないですか。
川原崎:超楽しいですね。他社のノウハウとかって知りたいじゃないですか。他のメディアがどういう風に儲けてるとか、どうやって回遊率上げてるのかとか。そういうのを知ろうと思ったときにインタビューするのが一番早いなと思ったんですよ。インタビューしても出せない部分はたくさんあるんですけど、その出せない部分は自分のノウハウになるんで。なのでできる限り頑張って書いています。
で、職歴なんですけど、僕の方は短くて、2社しかいってないんですよ。サイゾー含めて。初めはエンジャパン株式会社っていう求人広告の会社に新卒で2004年に入社しまして。このころのエンジャパンって今ほど有名ではなくて、スーパード営業のドベンチャーだったんですね。
社会人になるときに、どういうスキルを身につけたいかと考えたときに、「営業をやっておけば今後困ることはそうそうないだろう」と。世の中で一番きつい職種のひとつと言われていて、かつお金を稼いでくる企業の源泉みたいな部分なので、初めはキツイかもしれないけど、ここをおさえておけば今後何やっても大丈夫だろうということで営業職をやりました。ずっと新規営業で毎日100件営業電話をかけて。3年目になって部下を持つところまでいって、もういいだろうということで。
それで2007年にサイゾーに入社したんですけども、僕は元々文章を書いたりするのがすごく好きで、文章に携わる仕事がやりたいっていうのがずっとあって。編集者として出版社に行きたかったんですけど、エンジャパンの時の経験でそれがすごく難しいということが分かっていたんですよ。編集職というのは、すごく人気で。今は出版不況ですけど、それでも募集すると人がわんさか。
松浦:まぁね。やりたいって人は未だにいるからね。
川原崎:だから普通に行ってもダメだろうということで、どうしたかというと、雑誌のサイゾーをまず本屋さんで買ってきて、背表紙をめくるとクレジットが書いてあるんですよ。そこに編集長の名前と会社の電話番号があるので、直電で「編集長いますか?」って呼び出して。「何でもするので雇ってください」という風にお願いをしたら、たまたまじゃぁいいよって雇ってもらって、何とか出版業界に潜り込むことができたというかたちです。当時はインフォバーンという会社でしたね。ギズモードとかやってて。
松浦:あんときはまだ全部一緒だったんですね。
川原崎:僕が入って3ヶ月ぐらいでサイゾーが独立したんで。始めは編集の丁稚奉公として始めまして、業務委託月給18万・保険なしみたいな。年収半分以下っていう。
松浦:笑。でもそれでもやってみたかったんだ?
川原崎:そうですね。当時25歳かな。特に守るものもないし、別にまぁいいやって思ってやってみまして、はじめは編集部の雑用ですね。道路の使用許可を取りに行ったりとか、本屋さんにこっそり忍び込んで写真をとってきたりとか。あとは大宅文庫にいって調べ物をしてきたりとかしてたんですけど、ある日「ウェブ事業をやりたい」っていう風に上が言い出しまして。
「川原崎君、HPビルダー使ったことあるって言ってたよね。じゃぁやってみて」ということで任されまして、日刊サイゾーっていうのを立ち上げました。この頃編集部にはウェブのこと知っている人って1人もいなかったんですよ。
なので自分で全部勉強して、MovableTypeっていうシステムを使っているんですけど、そのシステムを勉強したり、CSS、HTML、サーバーの仕組みとかを本読んで勉強して、それで実際にサイトを自分で作ってみて。なるほど、こういう仕組みになっているのかっていうのをなんとなく理解して。当時はスタッフ一人しかいなかったんで。
松浦:一人体制だったんだよね。
川原崎:はい。月間800万PVぐらいまでは、ずっと一人でやってましたね。編集もやりましたし、ヤフーさんに記事売りに行ったりとか、ウェブサイトをリニューアルする時のディレクションや全体の売上管理、あと営業を元々やってたんで、営業スタッフを手伝ってクライアント向けの商品を考えたりなど。
そのうちにサイトが軌道に乗ってきたので、今度は女性用のサイゾーウーマンを作りましょうとなり。そのあとは、サイトをつくっては編集者を雇って軌道に乗るまでいっしょにやって、引き継いで、というのの繰り返し。
だから僕は、メディアの運営もずっとやってるんですが、やりながら立ち上げもたくさんやっていて、6年間でだいたい10媒体ほど作りました。あとは電子書籍作ったりアプリつくったり。そんな感じでやってきてます。
松浦:ということで、「3年後に生き残っていける人材になるには?」という。ここら辺のところをもうちょっと詳しくいくとこんな感じ。Web周りの仕事は寿命が短いということで。
川原崎:今回ウェブメディア業界のキャリアデザインについて、どういう風に話そうかなといろいろ考えたんですけど、僕的にはここが一番強いですね。ウェブメディア周りの仕事は本当に寿命が短いということがありまして、これはどういうことかと言いますと、ここ近年ですね、ありがたいことにウェブ系の会社から誘われることが増えてきまして。
それをきっかけに、そういえばウェブメディアって5年後何をやっているんだろう?って考えたんですね。僕はプロデューサーっていう仕事なのでデザインも詳しくないしSEOもコーティングも詳しくないので、何もできないなと危機感をすごい持っていたんですよ。そういう話を友達にしたんですね。「俺これからどういうことを身につければいいのかなぁ?」って言ったら、「そんなこと身につけてもしょうがないじゃん」って言われたんですよ。
「何で?」って聞いたら、「SEOとかウェブデザインとかって3年後に無くなっていても全然おかしくないよね」って。何でかっていうと、これってGoogle検索があるからSEOってのが存在しているわけで、今はブラックハットSEOって要するにリンク貼りまくったりとか、悪いSEOが通用しないように、どんどん最適化されていってるんですね。かつオリジナルコンテンツを重視する。つまりコピペコンテンツは割と駆逐される方向にあると。
そういうところでいくとSEOって仕事はなくなっていても全然おかしくない。さらにマーケティングのほうですよね。検索エンジンで検索されやすくて、かつそんなに高くないキーワードを入札していくっていう仕事なんですけど、これって別にbotができるじゃんって話で。今は出来ないんですけど、2年後にできるようになっていても全然おかしくないと。
松浦:今だってある程度自動化されてるよね。昔は検索エンジンが来てくれないとかあったけど、今はだいぶ優秀だからほっといてもくるし。
川原崎:最近はアドネットワークの単価も上がってるから、バナー営業も昔より価値が下がってますしね。で、次がノウハウのコモディティ化ですね。これはウェブ業界自体が割と10年ぐらいたって成熟化してきているので、これまで一部の人にしか出来なかったことっていうのが、誰でもできるようにマニュアル化されているんですよね。
松浦:昔は例えばアクセス解析とかも大変だったけど、今はグーグルアナリティクスさえ見られればある程度できちゃったりするよね。
川原崎:最後3つめがクラウドソーシングと海外人材流入によるコスト減という。これがすごくてですね、クラウドソーシング使えばライティング記事1本100円とかで書けちゃったりですとか、あとロゴとかも2万円出せば超いい案が20個ぐらい、ばーっと集まったりとかするんですよ。
松浦:そういうところでグローバル化とか進みきっているとまでは言わないけど、それに近いところがあるからね。そういうところで見ていくと、じゃぁ今まで何だったんだろうっていう話になりますよね。というわけで普遍的なスキル、マインドについて考えようという話で……これから大体問いが5個あるんですけど、それについて答えるようなかたちで出来ればと思っています。
川原崎:というところで、3年後も腐らない、普遍的なスキルやマインドってなんだろう? というあたりを中心に考えていきたいと思います。普遍的なっていうのは、これから仕事をしていく上で何をやっても共通して重要視されること。生き残っていくためには、これやっとけば大丈夫っていうのは結局何なんだろうってとこを探っていきたいなということですね。
松浦:さてまずは最初からとても刺激的なとこから来ました。3年後になくなっていそうな職種……なくなっていそうなってとこがポイントですね。なくなっていると言い切るとあれですからね。ここにもいろんな職種の方、いろんなスキルの方がいらっしゃいますので。
例えば今、ハフィントン・ポストをやってたりしますけど、実際ライブドアやWIRED、GREEにもいて、3年後にものすごい勢いで希釈されている可能性があるのがライティングのスキルですね。
川原崎:この中にライターの方っていらっしゃいますか?
松浦:あ、いらっしゃいますね。これ割とですね、スキルはあったほうがいいと思うんですけど、これどんどん希釈化されるかなという風に思っているところがあるんですよ。
川原崎:確かに。ライティングのモノにもよったりしますけどね。
松浦:そう、専門性があるとその専門でずっと書けるというのがあるんですけど、ただその専門性の領域がビジネスとして縮小したときに、横にずれにくくなる。
川原崎:確かにライターって好きでやっている人が多いので、専門知識が偏っているジャンルかもしれません。
松浦:だからその業界自体がシュリンクした時に横に移れるのかっていうところもあるし、あともちろん技術その他の部分ではどんどん上がっていくと思うんですけど、瞬発力とかね。紙とかはさておき、ウェブの部分で言うとある程度の瞬発力というか数字見ながら書けること。紙にとっての良い文章がウェブで結果出せるかどうかって、また別の話じゃないですか。その時にちゃんとユーザーをみれるかみれないかっていう部分が。
川原崎:あぁ。紙をやってる方が疎くなる部分というか……。
松浦:そうそう。例えば、極端な話ですよ。wikipedia貼る、以上! みたいな時もあるわけですよ。
川原崎:笑。
松浦:実際のところ誰でも書けるというと言い過ぎですけど、今あえて刺激的な表現をすると、ある部分では誰でも書けるという状況になりつつあるじゃないですか。昔だとどこそこのメディアさんに売り込みに行かなきゃ書いても誰にも見られなかったけど、今はブログを含めて誰でも書けるってなったときに、どこまでの専門性が必要なのかなという話ですね。
川原崎:職人的にやっている人と、お金のためにやってる人がいると思うんですよ、ライターって。有名な企業の広報誌とかつくって、たくさんお金貰えるけどつまんない仕事している人と、ゲーム業界とかの専門知識があって、そこのライティングをして自分にしか書けないものを売っている人たちがいて。後者の方が割とライティング料安かったりするケースがあるんですよね。悲しいことに。でも駆逐されるであろう人はたぶん前者の方。
松浦:そうすると実際に書けるのかっていうより、食えるのか食えないのかっていう話にもなってくる。
川原崎:僕、昔、若手のライターの女の子にインタビュー受けたことがあるんですけど、この取材のギャラいくらなの? って聞いたら2000円だっていうんですよ。で、その日の内容が公園にいって僕の写真をばーって撮って、カフェに入って1、2時間インタビューをして、1万字ぐらいの原稿を作るんですね。なのに、そこのカフェの経費も出ないと。
松浦:電車賃すらも出ないときもありますからね。
川原崎:びっくりしますよね。ぼく、あんまりかわいそうだったので、カフェ代は二人分のお金払いました。
松浦:もちろん専門性とかものすごい突き抜ければ残れるんですけど、そうじゃなくても食えるっていう部分のパイは減っていくのかなと思いますね。
川原崎:僕ちなみにリストアップしてみたんですよ。なくなりそうな職業。SEO、SEM、ソーシャルゲーム、広告営業、代理店、ウェブライター、ウェブデザイナーみたいな感じでほとんど全部っていう。
松浦:ほとんど全部ですね。その中からどこにしようかな。
川原崎:直近で、僕が感じるのは広告営業が一番すごくて。何でかっていうと、バナーってもう売らなくて良くなってきてるんですよね、ある程度。Adsenseの精度がすごく高くなってきていて。昔は、媒体単位で広告ターゲティングしてたじゃないですか。雑誌とかみたいに、女性媒体、男性媒体みたいな感じで。今はもう個人なんですよね。僕に対して広告を自動的に最適化して表示するという技術がすごく上がっているんで、別に媒体でのターゲティングなんて必要ないし、それをましてや人間がやる必要なんてないんですよ。
営業は今までバナー売ってましたけど、それは今後だんだんいらなくなって、どっちかていうとペイドパブだったりそういう企画性の強いもの。人間にしかできないものにどんどんシフトしていかなきゃいけないっていうのがあると思います。でないと2年後にほんとに仕事なくなるよって。営業のやり方って、クライアントさんと話してリレーションとっていくっていう昔ならではのやり方をやってても、結局CTRいくら、とかいう交渉になっていったりするじゃないですか。
松浦:うんうん。確かに。
川原崎:でもそれって人が交わす会話じゃないですよね。管理画面みれば分かる話で、管理画面みて分かるならそれでいいじゃないかと。だから、さっき言ったように人が絡むところの部分を今一度ちゃんとやっていかないといけないかなと。数で語れない話ができる営業ができるかどうかだと思うんですよ。だから数で語るだけの広告営業ってのは今後どんどんなくなっていくと。
川原崎:僕茂樹さんにソーシャルゲームのとこをすごい聞きたかったんですよ。今、正に隆盛を極めているGREEにいらっしゃった茂樹さんに。GREEってでかいから、仕事が超細分化されていて、課金ボタンをいかに押させるかの最適化を毎日考えている人たちっているんじゃないかと思ってるんですけど。
松浦:いますね。
川原崎:そういう人たちってどうなるんですか? 今後。
松浦:ソシャゲかどうかはさておきの部分でいうと、コンバージョンさせてどういう風に導線設計をするかっていう風に、ゲームとかECとか関係なく分析できる人、そういうスキルを持ってる人は生き残るかなと。我々もニュースメディアをやっている中で、いかに読んでもらうかとかそういう部分があるじゃないですか。
それ以外のメディア、Eコーマスとかでも、結局コンバージョンさせてナンボっていう仕事自体はある。ただ数字だけじゃ、技術が進んで、勝手にA/Bテストやれるようになって、どんどん自動化されていく可能性もあるじゃないですか。
川原崎:そういうサービスすでにありそうですよね。
松浦:そうそう。どんどんUIも変わって、僕が見てるUIとカワパラさんが見てるUIが実のところまったく違うっていう可能性もね。
川原崎:なるほど、動的に最適化されると。
松浦:一回モノ買った動線で固定されるとかね。そうなってくると、その時に人の心をどういう風につかまえるのかというのが大事になってくる。例えばソシャゲの部分で言うと結局、画像のよしあしもA/Bかもしれないですけど、それをディレクションする部分とか
さっきの話と共通なんですけど、営業にしたって人の心を捕まえて人の心の導線を設計できる人は残る。ソシャゲでも人の心をつかんでどういう風に楽しませるか。数字化できないところをプロデュースとかディレクションできるやつは残るかなぁって思うんですよ。
川原崎:全体の共通点としてってことですよね。
松浦:だからそのマインドを持てるかどうか。人の心を捕まえられるかどうかっていうのが、多分キモになってきて。ソシャゲが残るかどうかでいうと、ソシャゲのそういうコンテンツの部分がスロットマシン風になってしまうと、やりすぎかなと。だから僕はガンホーさんは人の心をつかむのが上手いと思うんですよ。
川原崎:だったらソーシャルゲームがなくなったとしても、歯車的に細分化された人たちも上手くシフトできる可能性もあると。
松浦:歯車であれ、人の心を何パーセントでもいいから乗っけて仕事が出来ている人と、目の前の数字をみてA/Bの結果はこうです、1/10のテストをしました……でやってる人といて。後者の人は、次の仕事でもなにかの歯車の一個になれるかもしれないけど、これまでウェブ技術が進んできた流れをみると、残念ながらそこがお仕事としてはなくなるとは思いますね。
川原崎:なるほど。
松浦:さっきのSEOの部分もそうだと思います。人の心の部分は残って。コンテンツってそうじゃないですか。SEOにしたって本当の意味でのサーチエンジン最適化って、検索して何を捜しているのかを最適化して見せることで、それって素敵な話じゃないですか。技術とSEOは違う話。技術のSEOで食っている人はそういう意味では勝てない。
川原崎:ホワイトハットSEO目指しましょうっていうのは、「良いコンテンツをつくりましょう」ってことになるんですよね? たぶん。そうすると、今まで技術のSEOやってた人に、コンテンツを作れっていうのがGoogleが求めていることかもしれなくて、それってすごいジョブチェンジですよね。
松浦:どうしてもウェブだと技術に走ってしまって、技術ってすばらしい! っていうところがあるんだけど、そこばっかしやっていると、いざそこが自動化されたときに、スキルがふっとぶんじゃないかという風に思いますね。
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