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『最強の働き方』ムーギー・キム氏トークイベント(全7記事)

「アホだけど良い人」の時代が来た ムーギー・キム氏が語る、AIに取って代わられない働き方

ベストセラー『最強の働き方』『一流の育て方』などの著者ムーギー・キム氏の「最強の社員研修セミナー」が東洋経済新報社にて行われました。世界中のさまざまな業界で仕事をしてきたキム氏が、さまざまなビジネスリーダーに話を聞いてわかった「モチベーションの源泉」について語りました。

モチベーションはどこから湧くか?

ムーギー・キム氏(以下、ムーギー):でね、結局、いざその人の仕事能力っていうことと、その人のモチベーションを高めるにはっていう観点で重要な教訓が何個かあります。

結局……ちょっと熱いから脱いでいいですか。

いやこれでもマシになったんですよ。私過去2年くらいで30キロ痩せてね。122キロから93キロになったんですよ。すごいでしょ。122キロって、トランクパンパンに入ってるヤツをお腹に入れながら歩いてるようなもんでしょ。だから歩くたびにすっごい汗かいて。

(会場笑)

モチベーション高まる時って、人ってどんな条件が揃っているとモチベーションが高まると思いますか。

参加者1:逃げられない時。

ムーギー:逃げられない時。

参加者2:認められた時。

ムーギー:いいですね。Aさんどう?

A:任された時ですかね。

ムーギー:任された時。そうだね。じゃあNさんいかがですか。

N:一緒ですね。

ムーギー:任された時。

参加者2:自分が本当にやりたいって思った時。

ムーギー:ありがとうございます。じゃあ最後にもう1人。モチベーション高そうな人に、池原さんって言ってね、ぜひ拍手してあげたいところなんですけども。

(会場拍手)

実はライジングスターですと。

これはね、私はビジネスする。そこでコーチとかリーダーシップとか、コーチングのことを2年間勉強された方で、その方は、世界中の教授、世界中のビジネスリーダーと接しながら、結局どうやったら人のモチベーションを引き出せるのかということを(考えている)。

かつ、モチベーションが湧いてる方って魅力的ですよね。で、「人の魅力って本質的にはなんなの?」と。そういったところについて書いてる本なので、ぜひ、私の本を先に買った後で、お金が残ってたらコレ買ってください(笑)。

後で、池原さんにもこの本のコンセプトと、「結局人のモチベーションってどういったところから来るの?」っていうのを世界中のいろんなリーダーから調査した結果から、話していただこうと思うんですが。

でね、今みなさんおっしゃった、モチベーションはどこから湧くのっていうのは、これも世界中で共通してるんですよね。今まさにおっしゃってたことを私の中で整理させていただきますと、一番重要なのは、結局自分がやりたいことをやってるからですよね。

結局、私が仕事を選んだ軸が、今私一番充実してるんですよね。今INSEADの卒業生が、いろんな国で独立する企業に、投資して支援するインキュベーションプラットみたいなことを作ってやってるわけですけども、これもね、昔から世界中に投資したいなと思っていたと。かつ、私今まで投資のキャリア長いから、いろんな投資家のネットワークあるよ、と。

で、これを繋げるようなことをやりたいなと思ってて、今まさにやってるので、自分でやりたいなと思ったことを自分でおっぱじめてやってるから、やっぱり充実感があるわけですよね。

結局は「好きなことをやっているか」

あと他に重要なのが、世の中に仕事満足度調査っていうのがあって、「あなたの仕事の満足度で一番大切なのは何ですか」っていう、国別比較があるんですよね。これね、お金パートと、自分が一緒に働いてる人のパートと、自分がやりたいことパート、周りの人に認められてるパート、いくつかの基準があるなかで日本で一番大きかったのが、周りの人に認められてるパートが一番大きかったんですよね。

これはやっぱり協調性とか、周りの視線を気にするとか、帰属意識が高いとか、そういった理由もあると思うんですけど、やっぱ日本の社会にいる人にとって自分でモチベーションが高まることの一番大きな要素が、「周りの人に認められてる」と。

やっぱり、周りの人に認められるためには結局自分が良い仕事してる必要があって、良い仕事してる時って結局自分が好きな仕事やってる時ですよね。やっぱり好きなことやってる人には勝てないなと思うのが、自分がやってても思うんですけど、頑張ることが苦にならないですよね。

だから、自分の天職かどうかの基準って、土日会社に行くことが苦じゃないとか、もしくは朝起きるときに、「月曜日、いや~これからまたハッピーや!」と思えるか。あと、夜中とか早朝に仕事のこと考えても、全然悔しくないとか。やっぱりやりたいことなんで。

そういうサイクルを目指すことが自己実現にとってものすごく重要なことだと思うんですよね。ここで話をまた元に戻しますと、「結局、好きなことをやってるか」と。かつ、周りから認められるような仕事を自分が上手いことできているかということですよね。

あともう1つあったのが、「任されてるか」っていう言葉があったんですけど、それが非常に重要なポイントで、自分のモチベーションに対して大きな影響を与えるもう1つのファクターが、自分に裁量権があるかどうかなんですよね。

一番モチベーションが落ちるのが、「働いてないよねこのボス、しかも尊敬してないんだけど」っていう人が、細かいところまで色々指示出してきて、いちいちその人にお伺い立てないと何も進まないみたいになると、まぁ、やる気起きないですよね。だから結局、裁量権があることをやることができてるかと。

もう1つは、やりたいこと、好きなことに絡んでくるんですけど、自分が人生で成し遂げたいことの価値感、延長線にあるのかどうかっていう。

やっぱりね、ミレニアル世代の若い子たちって、昔みたいにここにいたら社会的な名声もあって金も稼げるよとか、そんなことでモチベーションが湧かないような世代ですよね。まさか人生の目的が、金いっぱい貯めて、お家いっぱい買って、社会的にいばるんや、みたいなそういうことじゃないでしょ。

(参加者に向かって)人生の目的は何ですか? 今のところ。

参加者3:今のところは、毎日を楽しむ。

ムーギー:そうでしょ? やっぱりね、人生1回しかないから楽しまなきゃ損やと。あともう1つはね、常に勉強できてるかどうかとか、周りにいる人がこの人と一緒に働きたいと思ってるかとか、つまり、周りで一緒に働いてる人って自分の鏡なわけですよね。このコミュニティに属してるってことは、自分のセルフアイデンティティにも絡んでくると。

そういった意味で、「結局自分がやりたいことやってるの」「自分の人生の意義とマッチすることをやってるの」「任されることをやってるのか」「認められてるのか」と。「周りにいる人が自分が一緒にいたいと思えるイケてる人なのか」と。

こういったいくつかの要素が、人によって比重は変わってきますけども、モチベーションの根源でしょうということなんですね。

何でもできる人はリーダーになれない

でね、海外の事例と比較すると、つまり今どこの会社も社員をモチベートすることにものすごく必死ですよね。で、なんでかっていうと、とくに先進国だと若い人が減っていっていて、あの人たちの値段がどんどん高まってるわけですよね。

だから日本の転職、キャリア市場だと、以前は転職市場しかリクルート事業は成立しなかったけども、今って新卒のところにいろんな会社がバーって出てきてるでしょ?

これは、新卒、若い人に値段がついていることの証拠ですよね。でね、時代錯誤だなと思うのが、おじさんとかが現れて、若い人たちに「お前経験ないだろ」とか言って、偉そうにしながら昔のやり方で教えるみたいな、こういうのは寒いなと思うわけですよ。

でもね、今働かないおじさん人口が超多くて、今から学ぶことができるフレッシュな若者人口が少ないわけだから、むしろ私みたいなおじさんはね、私はおじさんじゃないけども、若いときにひれ伏してでもぜひウチに来てくださいと、あなたには自己実現できるような環境を整えますと。

こういった、どれだけ若い人のモチベートできるかどうかっていうので、その会社のマネジメント能力って決まるなと思うわけですよ。

その1つの事例がね、私の最近の経験なんですけども、私の会社でスター選手がいるんですよね。ものすごく優秀な。その人が、ものすごく理論的な人だからいろんな人が助けてくれるわけですよ。その人は経験とかはない、はっきり言って仕事の知識は私の方が多い。ただし、その人は助けたくなるんですね。だからいろんな偉い人がやってきては、この人がいるとどんどんチームが大きくなると。

でね、ちょうど私、一昨日に日本でものすごく活躍されている女性の企業家を集めて意見交換する機会があって、そのとき池原さんにもお越しいただいたんですけども。別にアレですよ。可愛い子ばっかり立候補させたとかそういうのじゃないですよ。写真だけ見るとそう見えるんだけど(笑)。

その時にものすごく良いことをおっしゃってて、「良いリーダーっていうのは、全然できない人でいいんだ」と。むしろ何でもできる人はリーダーになれない。重要なのは周りの人が「この人は私が助けてあげなくちゃダメだね」と思える人じゃなきゃダメだと。私の経験にもマッチしていてね。確かに、この人のためだったら私頑張ろうと思ってますって。

アホやけど良い人の時代が来た

でね、本にも書いてあるけど、結局魅力がある人が勝つ時代だと思うんですよね。だって、賢いって言ったって所詮IQが120とか130とかたかがしれてるわけですよね。

やっぱりいろんな業界で成功してるビジネスリーダーっていうと、その人たちってやっぱり人徳がある。いろんな人が助けたいと思えるチャーミングな魅力があるわけですよね。で、私が最近こういうことを打ち出してるんですけども、「アホやけど良い人の時代が来たな」と。一言で言うと。

つまり、頭の良さのところって、コンピューターとかAIとか、ああいうところに取って代わるわけですよね。今日の日経の新聞でもあったけど、お医者さんよりもAIができることが増えちゃって、将来お医者さんが無くなるみたいなのがあったけども。

実際証券会社とかでも、中間系の仕事ってどんどん自動化されちゃって、対応的になってるわけですよね。昔だったら賢い、エリート職とか言われたわけじゃないですか。その点ね、結局生き残る人ってどんな人なのかねっていうのを、ちょうど3日くらい前Newspicksのイベントで話し合いがあったんですよね。

先日、Newspicksの郡司さんと、大室さんのイベントで、僕が乱入してなぜか僕が話したんですけど(笑)。その時にこういう話があって、働き方系のことって今、ものすごく需要があるじゃないですか。みんな聞きたがってますよね。

そのなかで、今日のトピック何にしましょうかねと。みなさん話してほしいトピックに手を上げてくださいってのがあったんですよ。1つはこれからの女性の働き方。もう1つは生産性を高める働き方。もう1つは、AIに取って代わられない働き方。

このなかで圧倒的に需要が大きかったのが、「AIに取って代わられない働き方」だったんですよね。結局人って、自分の持ってる能力を奪われるってことに対しての恐怖感がものすごく大きいので、自分の仕事は本当に将来大丈夫かしら、と。それに対する問題意識がものすごく強い。

でね、そのなかでいろんな人たちと議論してきて思ったのが、結局ホスピタリティとか、サービスとか、パーソナルな信頼感が必要な仕事、これは残りますよね。つまり、ボットサービスに、自動的に何でもかんでも答えてもらったって、その人は恋に落ちないわけですよね。このボットと。たまに落ちる人もいるかもしんないけども(笑)。

金融機関のなかでもこういう話をしたんですよね。結局、我々こんな仕事あるけど、将来どの部門が生き残るのかねっていう話をした時に、経験豊富なバンカーの1人が私に言ったのが、「結局、ビール飲みながら最後、どや、これを買えみたいな、人間関係で夜飲みに行きながらやるような仕事、これは取って代わられないわな」と。

今後、どんな仕事が取って代わられないかというとね、結局こういうことなんですよね。つまり、アウトソースできる仕事っていうのは、これから取って代わられるわけですよね。例えば、一時期ノンコア業務はコールセンターにアウトソースしたじゃないですか。

でも、アウトソースできた仕事っていうのは、今度AIに自動化でボットでアウトソースされていくわけですよ。ここからのインプリケーションは、今後将来の働き方を考えた時に、コア業務をやってないとアカンでしょと。ノンコア業務っていうのはアウトソースのみならず、AIにも取って代わられるから、コア業務をやってなアカンと。

かつ、もう1つ重要なのは、その人が人間的な魅力が、とくにEQが高くて周りが寄ってくるような魅力が無い人っていうのは、将来不安ですね。

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