2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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吉田浩一郎氏:それで、マネージャーから降ろされても「もう1回がんばるんだ」ということで、29歳でITベンチャーに飛び込んで、10人くらいの会社なんですけど、営業担当役員になりました。ただし、営業部員は1人なので営業のトップっていう(笑)。
そういう感じでマザーズ上場を経験して、俺でもできるんだと。これだけいじめられて、なにもできなくて10代終わって、演劇も諦めて、ビジネスやって。なんだけど、「できるんだ!」というふうに感じて、いよいよ33歳で起業したんですね。
起業してみたら、人についていくのと、自分でやるのとは大違いで、私自身、プログラミングもデザインもできないんですね。なにかものを作ることができるわけじゃないんです。起業したところで、なにも売るものがなかったんです。
ただ、お金は減っていく。そこから、本当にビジネスの基本がわからないので、周りから声がかかったものは「なんでもやります!」と。いろいろやりました。まず、中国でワインの消費が伸びているといって、じゃあ伸びている市場でやれば……「俺インターネット業界で上場したし、中国の伸びている市場でワインやるのも一緒じゃないか」って。
その段階で中国行ったことないんですよ(笑)。行ったことなくて、ワインのビジネスもやったことないんですけど、1年がかりでやって、盛大に損をして撤退をするとか。
あるいは、ドバイで建設ラッシュだって聞いて。世の中の建設機械の3分の1がドバイにあって、5,000人くらい建設要員が足りなくて、バングラデシュ人とベトナム人を派遣してほしいらしいと。
これは1人1万円抜けば、月々5,000万になるから、ドバイに行こうって言って。これまたドバイに行ったことないんですけど、行って(笑)。
向こうから出てきたアジアの主みたいな人と握手をしてですね。握手が終わったら、「僕、今まで、ほとんどの疫病にかかったことがあるんですよ」とか言って(笑)。「握手の前に言ってくれよ!」みたいな感じで、即刻取引を停止したりですね(笑)。
(会場笑)
あるいは、これはちょっと自慢なんですけど。男性用スカート専門eコマース事業というのをやったんですね。なんでそんなことやるんだって話なんですけど(笑)。起業って、本当わかんないんですよ。
いろんなエッジの立った男性ブランドに、巻きスカートみたいなのがあるんですね。ガチのスカートじゃなくて。その巻きスカートみたいなのを全部比較できるサイト、つまり、メンズスカート界の食べログみたいな(笑)。
俺はそのときにぜんぜんわからなくて、「それいけるんじゃないの」「メンズスカート界の食べログいこうよ」みたいな。メンズスカートを比較するサイトをやろうって言って、メンズスカートで検索したら、誰もやってるサイトがないわけですね。「あ、これ勝てる」みたいな感じで作って、リリースしたらですね。
ついに! ドバイとか上海とかやっていたなかで、『anan』から取材が来たんですよ(笑)。メンズスカートのサイト作ったら、『anan』から、これからはスカート男子の時代って取材が来て、読売テレビから「スカート男子座談会やりましょう」みたいな話が来て(笑)。
「これ来たー!」みたいな。『東洋経済』が「次の商品はこれだ!」みたいな。それが2009年くらいのときですけど、「俺イケてるな」みたいな感じでですね。
それから、月々30万円くらい売れるんですね。すごくないですか。男性のスカートだけで月々30万売れるんですよ。15万円がおしゃれ男子ですね。あとの15万円が、女装趣味の方(笑)。
この女装趣味の方がめちゃくちゃ熱いメールをくれるんですよ! 要は、「今まで表立って買えなかった物が買える」みたいな。それで、「次はこんなスカート欲しい」みたいなことをどんどんメールくれるから、すごく嬉しくて。
でも、売上は30万、粗利は6万円。人1人雇えない。それで、前に進むことも後ろに進むこともできず、歯がゆい思いをしながらやる。そういうなかで、36歳の夏にですね。一緒にやっていてくれた役員が呆れ果てて、いろんな受託とかコンサルとかで稼いでたんですけど、こんなビジネスセンスのない社長とやってもしょうがないということで出て行って。
でも、その出て行ったのが、そんな生やさしいものじゃなくて、実は半年前から周到に準備されていて。半年前に、私には「そういった自社事業をがんばってください、こういったお金稼ぎは僕がやっておきます」って言っておいて、彼はその人たちに向かって「僕が全部やりますから」っていうことを言って、引き剝がしにかかったんですね。
そのときに、もう悔しくてですね。1ヶ月、毎日毎日そいつを憎んで、あいつになにか嫌がらせができないかみたいな感じで。「お前が持って帰ったキーボードの備品、あれ会社の備品だから返せよ」とかってメール送ったり(笑)。
(会場笑)
本当に離婚間際の夫婦みたいな感じでけっこうやってたんですけど(笑)。1ヶ月くらいやったら、「あ、人を恨んでもなにも変わらないんだ」と。
というなかで、1人でマンションのオフィスにいて、毎日恨むこともできず、じゃあ自分のなにが悪かったんだろうって考えていたときに、2010年の年末に呼び鈴が鳴って宅急便が届いたんですね。それが、過去に取引があった上場企業からのお歳暮で、まぁ、もの自体はクッキーなんですけど。36歳で、事業もなくなり、仲間も全員離れていったなかで、むちゃくちゃ嬉しくて。
「あー、俺、社長やりたいとか、お金儲けたいとか、かっこいいことしたいとか、いい車乗りたいとか、いろいろ言ってたけど、お歳暮もらえるのが一番嬉しいな。俺は濁ってた。俺の気持ちが、やっぱり仲間に伝わってたから離れていったんだ」と。
「じゃあ、俺は人生で、なにがもっとも欲しいんだ?」と考えたときに、こうやって人の役に立って、人からお歳暮をもらえるような仕事をしようと。
そこから腹をくくって、いろんな投資家の方を回って、「ビジネスで僕にできることってなにかないですかね?」と、いろいろ探して、自分の得意を棚卸しして見つかったものが、このクラウドワークスっていう会社だったんです。これは、投資家から教えてもらいました。自分で考えてないです。
これに全身全霊をかけるんだ。そのとき持ってた車を売って、貯金を全部ここに突っ込んで、そこから不退転の覚悟で、「1日1,000円で過ごす、1日も休まない」と決めてですね。2年駆け抜けたら、いろんな投資家からお金をいただき、3年目に上場することができました。
それで今、僕はここにいるんですけど、みなさんにお伝えしたいのは、どこからでもチャレンジすることができる。なにもないところからでも、なにかを作ることができるというのは、やっぱり諦めない心。
自分自身は、36まで本当に何者でもなかった。いろんなアーティストを横目にして「俺はなんなんだ」と思ってたんですけど、それを不退転の覚悟でやりきったら、ここまで来れました。
だから俺は、絶対にここから30年かけて、このクラウドワークスを日本のナンバーワンの会社にして、日本社会の個人のためのインフラにすると、今、誓っています。そういうなかで、みなさんにも勇気を届けられたらなと思って、今日ここに来ました。ありがとうございました。
(会場拍手)
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