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Five Ways to Improve Well-Being in the Workplace: Emerging Trends from the Science of Happiness(全5記事)

不安やプレッシャーを“見て見ぬふり”するとうまくいかない イェール大学の人気教授が説く、職場のメンタルヘルス対策

世界的なイノベーション&クリエイティブの祭典として知られる「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」。2024年も各界のクリエイターやリーダー、専門家らが多数登壇し、最先端のテクノロジーやプロダクト、トレンドについて講演を行いました。本記事では、イェール大学の教授であるローリー・サントス氏の講演の模様をお届けします。生成AI時代におけるマネジメント層へのヒントは? 企業でウェルビーイングを高めるためには? といった、参加者からの質問に答えました。

前回の記事はこちら

職場のウェルビーイング・プログラムに足りないもの

ローリー・サントス氏:質疑応答の時間です。もしまだの方は、Slidoへ質問をどうぞ。質問が飛び出すのが見えますね。これはすごい。

では、最初の質問です。「『職場のウェルネスプログラムにはほとんどメリットがない』という、最近の『ニューヨークタイムズ』の記事についてどう思いますか? 矛盾しているように思えます」。というのも、私が挙げた職場のウェルネスプログラムの中に、このようなことを話題にしたものがあったかどうかという疑問を投げかけたいからです。

職場のウェルネスプログラムの多くは、瞑想や運動などです。個人的な戦略に焦点を当てていますが、それは悪いことではなく、本当に重要なことを達成できていない可能性があるということなのです。

本当に重要なこととは、自分自身の価値観を見つけ、それと関わる方法を見つけること。職場での自分の弱さを把握し、人々と本当につながることです。ただ、ほとんどの職場のウェルビーイングプログラムにはそれがありません。

自分のネガティブな感情をナビゲートし、認めることが大事なのですが、職場のウェルビーイング・プログラムで「みんなのネガティブな感情を表に出す必要がある」というものは見たことがありません。

ウェルビーイング・プログラムは最善を尽くそうとしていますが、最新の科学が示していることを見逃しているかもしれません。ですから、より学術的で科学的なアプローチでプログラムを導入し、職場がこれらのことを優先させることができれば、突然本当の効果が現れると思います。

不安は、押し込めるのではなく向き合う必要がある

次の質問です。「生成AIは多くの生産的な成果を約束しますが、従業員はそれを採用することを恐れ、プレッシャーを感じています。この移行を管理するリーダーに何かヒントはありますか?」。最大のヒントは、そのような感情が起こっていないふりをしないことだと思います。

(生成AIの登場で)リーダーとして何が起こるかというと、誰もがこのようなことに怯え、恐れ、プレッシャーを感じているのに、それを認めないということです。ChatGPTへのネガティブな感情を押し込めば冷静になるだろうと考えますが、それではうまくいかないんですよね。だから個人としては、あなたはこれらの感情と向き合う必要があると思います。

ポッドキャストをしたり、脚本を書いたり、すばらしいアートを作ったりできる創造的な業界では、怯えるのは普通のことです。だから、私たちはそのネガティブな感情を受け入れる必要があると思います。

リーダーとしても、あなたはこのようなことを認めることでうまくいくと思います。「おそらくあなたを不安にさせているのでしょう。怖がるのも無理はありません。ネガティブな感情を一緒に乗り越えていきましょう。ちょっと怖くても、乗り越えることで得られるものがあるような気がするんです」と。

私たちにとって有益なことでも、最初はちょっと怖いと感じることはたくさんあります。このようなネガティブな感情を認め、それを乗り越えるにはどうしたらいいのでしょうか? 一番の問題は、誰もが怖がっていないかのように振る舞っていることです。

「大丈夫。特に問題なし」と過剰に楽観的にしていますが、それらの感情を認識すれば、利用することができると思います。「これは問題なのかもしれない。違う考え方が必要なのかもしれない」と、私たちが新興テクノロジーにどう対処すべきか、正直に伝えることができるのです。だからネガティブな感情を認めましょう。

職場で友だちを作ることに対する“誤解”

次の質問は匿名です。私は匿名にする人が大好きです。「私は職場のゴシップや些細なことが嫌で、友達を作りたくないと思っています。どうやってそれを乗り越えたらいいのでしょうかか?」。まず第一に、あなたは1人ではないですよね。

私の生徒の記事には急速に広まり、何万ものコメントがついていて、そのほとんどが彼女を応援していました。職場のゴシップや些細なことを認めることは重要だと思います。職場のゴシップなどを迷惑に感じ、ネガティブな感情を助長するのは事実ですが、それが職場の全員とは限りませんよね。

そのようなことにあまり参加していなくて、あなたがつながれる人が他にもいるかもしれないでしょう。「職場で友だちを作らなければならない」という考えは、そういうことに参加しなければならないという意味ではありません。

ただ、「週末はどうだった」「サウスバイに行ったんだ。職場のウェルビーイングのクールなパネルについて話していいかな?」と、相手のアイデアに興味を持つことが友情なのです。

友情というと、中学校のひどい派閥や『ミーン・ガールズ』のようなもので、それしか友達を作る方法はないと思っていますが、職場における友情について科学が示唆することを掘り下げてみると、それらはすべて私たちの誤解なのです。友人や配偶者、家族と接するのと同じように、他の人間と普通にポジティブな交流を持つことなのです。

助けを求めたり、好奇心を持ったりすることであり、職場で『ミーン・ガールズ』のような意地悪な女の子らしさを受け入れるということではありません。そして、そう感じている人たちは世界中にたくさんいると思いますが、1つアドバイスがあるとすれば、徐々に試してみるということです。

もし居心地が悪いと感じたら、安全だと感じられる人を1人選び、Zoomであろうとなかろうと、その人と普通の人間らしい会話を一回してみる。そこから取り組んでみてください。これは、職場の友情に深く飛び込むことではありません。ちょっとやってみて、どんな感じか試してみるという感じです。それが私のアドバイスです。

企業でウェルビーイングを高めるためには

次の質問です。「楽しんで働くことや帰属意識を増やすことを、特に上層部が抵抗している時に、どのように伝えることができますか?」。これは、私がいつもグラフを使って講演で話を始める理由の1つです。私の推測では、この講演を選んだ人たちはグラフを見る必要はなかったと思います。そのためにこの講演に来たのですから。

みなさんの多くがスマートフォンを取り出して写真を撮った、あのグラフから始めるんです。倫理的に、労働者を活躍させることが理にかなっているとか、彼らが気にかけるべきことだと説得する必要はありません。

しかし、1,500万人の労働者と、あらゆる業界の何千もの企業のデータを見せて、S&P500のグラフが示しているように「幸福度に投資すれば、その投資は将来的に株価の上昇と相関関係がある」ということがわかると思います。このようなことが、上級管理職の考えを変えるのだと思います。

ただ単に「いいことだ」と言うだけでは、彼らは動かないでしょう。しかし、もしそれが利益のために必要なことであり、儲けさせてくれるものであれば、突然、それが重要になるのです。

1990年代前半のサウスバイのパネルでは「インターネットが流行るぞ」と言われていました。しかしかっこいいサウスバイの人たちはみんな、「でも、私の上級管理職はインターネットを信じていない」と言っていました。私は「彼らが信じるかどうかに関係なく、それは流行するものになるだろう」と言いました。

2024年版の私は、「メンタルヘルスは生産性にとって超重要だ」という感じです。科学が示しているとおりなら、選択の余地はないでしょう。お金を失うか、このことに注意を払うか。だから、Indeedの職場のウェルビーイングに関するグラフをシェアしてみてください。徐々に経営幹部の人たちが賛同してくれると思います。

アカデミックと企業のコラボレーションの可能性

最後の質問です。「この分野の研究の多くは、相関関係や小規模な実験室での研究に基づいています。このような因果関係についてのデータをもっと得るにはどうしたらいいでしょうか?」。すばらしい質問だと思います。

私がIndeedの研究を気に入っている理由の1つは、1500万人の労働者という巨大なデータセットだからです。しかも、(研究の対象者は)必ずしも自分が研究に参加すると思っていた人たちばかりではなく、Indeedで普通に評価をしていた人たちです。これは、学者と企業のコラボレーションが大きな力を発揮する場面だと思います。

アカデミックと企業のコラボレーションが非常に強力になる場所だと思いますよね。もしあなたが小さなスタートアップ企業に勤めている、あるいは大きなテック企業に勤めていて、特に人事にだとするならば、ランダム化比較試験を行ってみてください。実際にも起こり始めていて、リモートワークに関するワーキングペーパーが発表されたばかりです。

では、どのようなベストプラクティスがあるのでしょうか。ニューヨーク大学の研究チームはリモートワークを導入している大企業と提携し、「リモートワークを研究してみないか? 幸福度を調べてもいいですか? 労働者に選択肢を与えてもかまいませんか?」と言いました。

サンプル数が少なかったり、象牙の塔の中にいて現実の世界にはあまりないようなことを克服する方法は、ビッグデータセットにアクセスできる人たちと提携することだと思います。そして、自社をより良くするための実践に貢献するだけでなく、他の企業とも共有できることを学ぶことができます。

Indeedは、良い方法でこれを行ったと思います。話題になっているのを見ましたし、Indeedに対して肯定的な意見が多いです。

残念ながらもう時間がありません。みなさんの会社やチームと共有できるような、職場でメンタルヘルスを促進するための戦略をお伝えできたと思います。 そして、みなさんが少しでも幸せになれたなら幸いです。 本当にありがとうございました。

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