2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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フェイ・マクレイ氏(以下、フェイ):ここに来ることができて、 みなさんにお会いできてとてもうれしいです。Well+Goodのコンテンツ責任者兼副社長のフェイ・マクレイです。
ゲストを紹介します。エリザベス・レイバさんは作家、大学教授、黒人の女性起業家の支援者、ポッドキャスト『Black Power Moves』のホストであり、『I'm Not Yelling, A Black Woman's Guide to Navigating the Workplace』の著者です。そして、Center Education Groupの教育デザインとイノベーションのディレクターも務めています。ようこそ、エリザベス。
次はキャサリン・マニングさんです。キャサリン・マニングさんは、25年以上にわたってトラウマや被害者の問題に取り組んでこられました。『The Empathetic Workplace: 5 Steps to a Compassionate, Calm, and Confident Response to Trauma on the Job』の著者であり、Blackbird LLCの社長でもあります。
そして最後が、タラ・マハトラ・ファインバーグです。彼は20年以上にわたり、社会正義の揺るぎない支持者として、また伝統的メディアと新興メディアの両方でクリエイティブな力としても活躍。Wayfarer Studiosのシニア・バイス・プレジデント兼エグゼクティブプロデューサーであり、『THE MAN ENOUGH PODCAST』のプロデューサーです。
ゲストのみなさん、ようこそ。ありがとうございます。今日のテーマは、多くの人々が経験したことがあると思う「燃え尽き症候群」です。私にも経験があります。この分野の専門家の方々とお話しできることをとてもうれしく思います。
フェイ:まず、燃え尽き症候群の兆候についてお話ししたいと思います。疲労、不眠、頭痛や体の不調、自己否定感や集中力の低下など、他にもたくさんあります。心当たりのある方は手を挙げてください。おっと。私たちだけではありませんね。
研究によると、50パーセント近くの人がキャリアのある時点で燃え尽き症候群を経験する可能性があります。燃え尽き症候群は誰にでも起こる可能性がありますが、ストレスの多い会社員や救急隊員など、特定の職業ではより起こりやすいのです。
燃え尽き症候群は、単に燃え尽きたと感じると職場に来なくなるだけでなく、深刻な結果をもたらす可能性があり、時には身体的なかたちで現れることがあります。そして、男性よりも女性のほうが影響を受けやすいという調査結果もあります。
今日ここで取り上げているテーマは、非常に多くの交差的な要素を持っており、人種、性的指向、性自認によって、人々に異なるかたちで現れます。まず、私たちはどのようにしてこのテーマにたどり着いたのでしょうか?
キャサリン・マニング氏(以下、キャサリン):全体を整理してくださって本当にありがとうございます。そして、基準を設定するのは有益だと思います。手を挙げた人の数を見るのも興味深いことだと思いますが、燃え尽き症候群の1つの特徴は、見つけるのが本当に難しいということです。
「のどが渇いた時には、すでに脱水状態になっている」という表現を聞いたことがあると思いますが、燃え尽き症候群はそのようなものです。私たちは、私たちは燃え尽き症候群に陥っても、それに気づかないことがあります。短気になったり、集中力が低下したり、不眠症になったり、さまざまな身体的な不調が現れることもあります。
キャサリン:今、燃え尽き症候群のレベルが非常に高くなっているのは、この2、3年が大変だったからだと思います。トラウマは、2020年代に私たちが吸っていた“空気”のようなものだと感じることがあります。2020年以来、パンデミックやジョージ・フロイド氏の事件、環境災害、銃乱射事件など、振り返るたびに何度も同じような出来事が繰り返されています。
ワクチンが出たことは素晴らしいことでした。みんなでハッピーアワーでカップケーキを食べながら戻ってきたわけですよね。ただ、私たちの問題の1つは、仕事に戻ることができたとしても、歓迎されることがなかったと感じることです。
「これは本当に大変なことだった」と認める時間が欲しいと思います。そして、私たちが経験してきたことを認めないことが、燃え尽き症候群の急増につながっているのだと思います。
フェイ:一息つく時間ですね。何か付け加えることはありますか?
タラ・マルホトラ=フェインバーグ氏(以下、タラ):私にとっては、人種差別はそれほど新しいことではありませんが、今はもっと注意を払っているという感じです。「私たちは努力すれば何でも成し遂げられる」というメリトクラシーに基づく国の結果として、私たちはこのハッスルカルチャーの中にいるのだと思います。
そして、それはトップダウンで生まれる職場文化の多くを正当化しています。文化は常にトップダウンから生まれます。休息が必要な時に休むことを許さないようなやり方で物事に取り組むという、多くの行動や常態化が正当化されているのです。
このような文化は私たちの風土に根付いたもので、業界特有のものでもなく、会社の種類や仕事の種類に関係するものでもないと思います。
フェイ:そうですね。以前はその文化の中で生きているだけで、言葉はついていませんでした。
フェイ:では、ハッスル・カルチャーについて、何か付け加えることはありますか?
エリザベス・レイバ氏(以下、エリザベス):資本主義と私たちが置かれているシステムは、自分の価値が自分の生産したものであるように仕向けていると思います。だから常に何かを生産したり、生産しようと考えたり、何かを思いついたりしていないと、多くの場合人々は休みたいと思うことを恥ずかしく思うのだと思います。
だから私たちは、常に次の達成を目指そうとする“ハムスターの輪の中”に入ってしまいがちで、その瞬間に自分自身を置いておくことができないのです。私たちは、自分が今どこにいるかよりも、「次に何をしなければならないか」のために生きているのだと思います。
私たちは、心の健康を本当に大切にし、人々の感情的なウェルビーイングが優先されるような文化を持っていないと思います。
特にパンデミック以降、より多くの人がメンタルヘルスやその症状について知識を深めており、それも燃え尽き症候群がより普及しているように感じさせる要因だと思います。でも、以前の世代は、ただそれに対処していただけだと思います。それが普通だと思っていたのです。
今、私たちはワークライフバランスがとれていない生活に常に疲れ、特にリモートワークができるようになってからも「通勤に往復1時間かからなければ、少なくとも2、3時間は余分な時間があるはずなのに、それでも私たちは疲れている」と思うようになりました。
だから、私たちが言ったことの組み合わせが重要なのだと思います。人々のメンタルヘルスを優先していないため、仕事はそれをどうすればよいかを考える必要があります。
フェイ:格差の1つに女性の問題があります。女性は全体的に燃え尽き症候群の割合が高いのですが、その理由は何ですか?
キャサリン:データを見ると、確かに女性のほうが燃え尽き症候群のレベルが高いのです。これは、高齢者や子どもたちへの介護責任があるためです。
私は燃え尽き症候群について話すことが多いのですが、その中で境界線の設定について話すことがあります。そこで気づいたことの1つは、男女共同参画の環境で境界線設定の話をすると、女性たちはみんな少し身を乗り出し、非常に関心を持っているようですが、男性はみんな周りを見渡して「そうなのかな? 」という感じです。
男性が苦労していないということではないと思います。でも、多くの女性は「自分の価値は、他者のために何ができるかによって決まる」というメッセージを教えられていると思います。だから、多くの女性が、自分の個人的な欲求の境界線を設定するのに苦労しているんです。
女性たちは、何度も何度もこう言います。「もうちょっとこれをやってから休もう」「処理しなければならないことを見つけたから、それから休もう」とか。でも、そこに到達することは決してありません。それが問題の一部だと思いますが、どうでしょう。
フェイ:「休むためには、やることリストを全部終わらせなければならない」という考え方があるんですよね。
エリザベス: 加えて、黒人女性は、「あなたは2倍優秀でなければならない」ということをかなり早い時期から教え込まれています。このようなメッセージや洗脳はシステムから来るものだけでなく、私たちの生い立ちやメディアから来るもの、そして私たちの自己価値観から来るものでもあります。これは、1619年から始まったことなのです。“商品”として扱われました。
だから、黒人女性には余計なレイヤーがあるのだと思います。このようなメンタルヘルスの問題の多くが、特に女性によく見られる理由は、高齢の両親の介護者であり、子どもがいて、仕事に行っているから。そしてあなたが黒人女性であれば、もしかしたらマイクロアグレッションに対処しているからかもしれません。
エリザベス:給料が少ない、昇進が少ない、統計的にリーダーシップがとれない、有害な職場環境には対処しなければなりません。だから、どうしたらこれを解決できるのだろう? という気持ちにもなるのです。
これを解決する方法は、もっと教育を受けること、もっと一生懸命働くこと、もっと長く働くこと、休暇を取らないことなのです。そして、人種差別やシステムがどのように機能しているかなどが加わると、さらに多くのレイヤーがあるのだと思います。
2024年の初め、アントワネット・カンディア・ベイリー博士の自殺というニュースに学界が揺れたことは、私たちの多くが知っていました。死因は実に重層的でしたが、彼女の死の間接的な原因として、多くの人が職場での虐待と燃え尽き症候群を指摘しました。
人々が直面する独自の課題について、もっと話したいと思います。職場や心理的安全について考える時、多くの黒人女性やその他の人種にとっては、必ずしもサポートされているとは感じられない環境に身を置いているのだと思います。だから、自分と同じような人が誰もいない環境に行く時、あなたはコード・スイッチングしているのかもしれません。
必ずしも自分のすべてを仕事に持ち込もうとしているわけではありません。だから職場に行くと、ペルソナを作ってしまうという葛藤が生まれます。
これが私の職場向けの姿です。そのような声明をすると、「それはただのプロ意識だ」と言う人もいます。プロフェッショナリズムとは、実際にいろいろな意味でコントロールの尺度を作り出す役割を果たしています。
もし私が「この髪型はプロフェッショナルではない」と言うなら、私があなたに基準を与えたということであり、あなたはその基準を満たさなければならないということです。
ジェームズ・ボールドウィンがこう言ったと思います。「私はアメリカという社会に溶け込むためにできる限りの努力をしてきましたが、物理的に不可能なのです」。多くの黒人や褐色の人々にとって、必ずしも自分の居場所とは思えない場所に溶け込もうとするストレスが、さらなるストレスのレイヤーを増やしているのだと思います。
社会、仕事、上司がそれを理解してくれなければ、フラストレーションや精神的な問題、やる気の喪失感、メンタルヘルスの問題、自殺などにつながります。
フェイ:多くの職場の文化に深く根付いているものを、どうやって修正すればいいのでしょうか。「私はこういうふうに扱われる必要があるんだ」と、人々に教える責任は個人にあるのでしょうか。それとも、それを変える力を持つ人たちに責任があるのでしょうか。組織的な問題に立ち向かうにはどうすればいいのでしょうか?
キャサリン:ご存知のように、私は漸進主義者なので、すべてを焼き尽くそうとは思いません。とはいえ、時にはあなたと同じようなこともあります。私は長年、司法省という巨大な組織にいました。時々絶望的になっていましたが、そんな時に上司に言われた言葉が心に残っています。「船を方向転換するようなものだ。あまり早く回そうとすると壊れてしまう」と。
1日に1度ずつずらせばいいんです。1日に1度ずつずらせば、すぐに違う軌道に乗せることができます。そして、このような会話をすることが必要だと感じています。
このトピックについて話すために集まった、すばらしい人たちを見てください。役職に関係なく、会社でも、学校でも、地域社会でも、お互いのために行動し、自分を大切にすることで、みなさん一人ひとりが組織のリーダーなのです。
重要なのは、同僚の様子を毎日チェックし、「調子はどう?」と尋ね、自分の価値観にそぐわない発言には声をかけ、一息ついてからそのことについて話し合うのです。ただセルフケアをするだけでなく、“騒々しいセルフケア”も必要だと感じています。
例えば私は、19時になったら携帯の電源を切ります。そうしないとその夜は眠れないから。そして今年はセラピーを受け直し、私の人生に大きな違いをもたらしました。声を大にして言うことが文化を変えることであり、他のみんなにとっても良いことなのです。
フェイ:そうですね。
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