
2025.03.19
ドバイ不動産投資の最前線 専門家が語る、3つの投資モデルと市場の展望
第952回「『 そもそも系質問』にも2種類ある。ゼロベースとベースゼロ」(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
本山裕輔氏:グロービス経営大学院の本山です。今回は「そもそも論」がテーマなんですが、例えば「この業務って、そもそも必要でしょうか?」という質問があったとしましょう。パッと聞いた感じだと、本質を突いた鋭い質問のように思います。
しかし、「そもそも質問」にも2種類あります。まず1つ目が、誰もが抱いていた固定観念をぶち壊して、ブレイクスルーをもたらしてくれる、本質的な「そもそも質問」ですね。そしてもう1つは、議論すべきではない論点までほじくり返してしまう、的外れな「そもそも質問」。この2種類があります。
後者は「え? 今、そこを議論するの?」「いやいや、この前もそれを議論しましたよね」など、本当に議論を遠回りさせてしまうケースもあります。この2種類の「そもそも系の質問」をどうやって見分けるのか、どうやって使い分けるのか。こんなことについて今回お話できればなと思います。
書店を見渡してみると、「ゼロベース思考が大事である」と書いている本をいくつか見かけるかなと思います。ゼロベース思考とはいったい何かというと、前提や常識を疑う考え方を意味しています。
ただし、この前提や「常識を疑う考え方」に、私は少し違和感があるんですね。というのも、何でもかんでも、根掘り葉掘り疑えばいいわけじゃないんじゃないかと。言い換えれば、「疑うべき常識」と「スルーしても大丈夫な常識」があるということです。
そして、スルーしてOKな常識ばかり疑ってしまうのは、実はゼロベース思考ではなくて、知識がないという意味で「ベースゼロ」なんじゃないかと思います。
例えば、先ほどの「この業務ってそもそも必要でしょうか?」という質問を思い浮かべていただければと思います。この質問をいきなりする前に、一度立ち止まって「この業務をなくすことで何が困るのだろうか。他の業務や自社のサービスといった、全体の整合性にどんな影響が出るのだろうか」。
あるいは「この業務をなくすことで生まれるメリット・デメリットは、いったい何だろうか。逆にこの業務を残しておくことによるメリット・デメリットは、それぞれどんなものがあるのだろうか」。
「そもそも」という質問を投げかけることで、会議の誰がどんな表情をしそうか。こんなことまで思いを馳せた上で、あえて「そもそも質問」をするということであれば、それは疑うべき常識をきちんと考えて見抜こうとしている。この点において、すごく立派なゼロベース思考なんじゃないかなと思います。
一方で、さっき話したようなことは一切考えずに、目についたものをただ思いつきだけで、脊髄反射的に何でもかんでも「そもそもこれ、必要ですか?」と質問をする。何も自分の頭で考えようとしていないという点では、実はベースが空っぽという意味で、ベースゼロと呼べるのではないかなと思います。
しかしやっかいなのが、質問される側の立場としては、された質問がベースゼロな質問なのか、それともゼロベースなきちんとした思考に則った上での質問なのか、見極めるのがなかなか難しいですよね。
「これはベースがゼロの思いつきの質問なんじゃないか?」と思っていた質問が、実は本質的で的を得たそもそも論だった、なんて可能性もあったりします。ですので、質問される側がいかに見極めるかというよりは、逆ですね。
ベースゼロの思いつきの質問ではなくて、質問する側・投げかける側がきちんとゼロベースに考え抜いた上で、質問するということを意識しておかないといけないんじゃないかなと思います。
では、ゼロベース思考を身につけるために、いったいどんなことをすれば良いのか。1冊の本をおすすめしたいんですが、それは山口周さんの『自由になるための技術 リベラルアーツ』です。
この本によると、リベラルアーツとは「自由になるための技術であり、真偽を見極めるための技術であり、疑うべき常識とスルーしてOKな常識を見極める技術」ということを意味しているそうです。
「この業務ってそもそも必要なんですか?」という問いに思いを馳せるために、業務の裏側にある原理原則をひもといていくために、例えばオペレーションやサービスマネジメントの理論を知っておくと、より深く考えることができるかなと思います。
あるいは、さらに裏側の本質の部分、原理原則の部分をひもとこうと思ったら、オペレーション理論のさらに裏側にある物流史を学んでおくと、さらに深く議論できるかもしれません。
さらに、会議中に「この業務ってそもそも必要でしょうか?」と質問をした時には、誰がどんな表情を浮かべそうか。こんなことをシミュレーションするためには、心理学や組織論を学んでみたり、小説や昔の戯曲なんかに目を通しておくと、周りの感情の変化に敏感になれるかもしれません。
このように、リベラルアーツできちんと足腰を固めておくと、とんちんかんな質問ではなくて、きちんと筋の通ったゼロベース思考が少しずつできてくるんじゃないかなと思います。
私自身も「リベラルアーツはいったい何のために学べば良いのか」と悩んでいることがあったので、思考の整理も兼ねて、今回はこのようなお話をさせていただきました。
2025.03.12
SNSで炎上している研究者は「研究者として正しい」 人文学のプロ・阿部幸大氏が説く“強い意見を出せない時代”に対する考え方
2025.03.17
ソフトバンクとOpenAIにとって「歴史的な日」になった 孫正義氏が語る、AI革命の全ぼう
2025.03.17
いくら読書をしても「成長しない人」が見落としていること 10分でできる「正しい学び方」
2025.03.13
改正後のiDeCoと退職金の受け取り方の事例 「改悪」は本当か? プロが真相と狙いを解説
2021.09.30
「なぜセーラー服で出社してはいけないの?」 さくらインターネット・江草陽太氏の自由な発想の源
2025.03.19
部下の「タスクの先延ばし」が少ない上司の特徴とは? 研究が示す、先延ばし行動を減らすリーダーの条件
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.03.14
三流の上司と一流の上司の違い 部下の心を動かす科学的アプローチ
2025.03.18
全知全能の最先端AI「Cristal」が企業の大脳となる ソフトバンク孫正義氏が語る、現代における「超知性」の可能性
2025.03.18
フェデラー氏が語る「努力しない成功は神話」という真実 ダートマス卒業生に贈る勝利の秘訣
2025.03.12
SNSで炎上している研究者は「研究者として正しい」 人文学のプロ・阿部幸大氏が説く“強い意見を出せない時代”に対する考え方
2025.03.17
ソフトバンクとOpenAIにとって「歴史的な日」になった 孫正義氏が語る、AI革命の全ぼう
2025.03.17
いくら読書をしても「成長しない人」が見落としていること 10分でできる「正しい学び方」
2025.03.13
改正後のiDeCoと退職金の受け取り方の事例 「改悪」は本当か? プロが真相と狙いを解説
2021.09.30
「なぜセーラー服で出社してはいけないの?」 さくらインターネット・江草陽太氏の自由な発想の源
2025.03.19
部下の「タスクの先延ばし」が少ない上司の特徴とは? 研究が示す、先延ばし行動を減らすリーダーの条件
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.03.14
三流の上司と一流の上司の違い 部下の心を動かす科学的アプローチ
2025.03.18
全知全能の最先端AI「Cristal」が企業の大脳となる ソフトバンク孫正義氏が語る、現代における「超知性」の可能性
2025.03.18
フェデラー氏が語る「努力しない成功は神話」という真実 ダートマス卒業生に贈る勝利の秘訣