2024.10.10
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DMM.com 会長の亀山敬司氏が、経営やビジネスをテーマに語るポッドキャスト番組『亀っちの部屋ラジオ』。脱力系ながらも本質をついた商売論・人生論を展開する本番組の中から、今回は株式会社Algomatic CEOの大野峻典氏のゲスト回の模様をお届けします。「まだ空いている、生成AIビジネスのど真ん中」と題し、生成AI領域への参入の可能性について語りました。
■音声コンテンツはこちら
亀山敬司氏(以下、亀山):俺はなんとなく、AIの基本のLLMを外資系のGoogleやAppleが作って、その奴隷として生きていかなきゃいけないなと思ってたんだけど、日本の中でも、いくらかオリジナル的なものがどんどん出てくる可能性はあるってことだね。
大野峻典氏(以下、大野):はい、その可能性はぜんぜんあると思ってます。ただ、日本からいろんなモデルがたくさん出てくるかというと、そんなことはないのかなと思ってます。トライするのには大きい資金とリソースが必要になるので、その挑戦権を持ってるプレイヤーは(オリジナルのLLMを)出してくる可能性があるかなと思ってます。
一方でリソースが限られてるスタートアップにとっては、あんまり筋の良い道ではない。モデルを作って提供し続けるのにはお金がかなりかかるので、スタートアップとか、たくさんのプレイヤーがいろんなモデルを出していけるような領域ではないかなと思ってますね。
僕らとしては、僕らは一定資金のあるプレイヤーでもありますし、アメリカのモデルに対抗するものが作れずに、アメリカ一強なかたちになってしまうと、日本としては悲しいじゃないですか。日本全体のためにも、僕らはそこに挑戦していきたいなと思ってます。
亀山:わかったよ。松尾(豊)さんからも「やったら?」と言われたから、ちょっと考えてみるわ(笑)。
大野:「こういう入り方だったらいけるんじゃないか?」みたいな勝ち筋は、僕らの中でいくつか仮説があるので。LLMの開発やLLMの提供も、ビジネスとしてやろうかなっていうのは検討してはいます。
亀山:今、自分たちがやろうしてることはわかったけど、AI系スタートアップと言われる業界は、全体的にどういう方向に行ってるの? 数人でいろいろ作ってる会社とかもあるじゃない。俺も過去に何人かと会ってみたけど、今はどういう感じでみんなやってるのかな。
大野:本当に小さいスタートアップは大手とかが参入しづらい領域に挑戦してる印象はあります。大手は本来は強いけど、イノベーションのジレンマ的に、そこをあんまり取りにいけないという領域ですね。
あとは、例えば「チャットベースでのおもしろいゲームが作れるか」みたいな、そもそも市場があるのかや、人々が満足するものが作れるかわからない領域もありますよね。AITuberとかもそうですが、不確実性が超高くて、資本でどうにかなる問題じゃない領域を狙うスタートアップも、わりと多い気がしますね。
対比で、大企業だけど動きが早いメガベンチャー系の会社さんは、ピュアな新規事業というよりは、どちらかというと既存アセットを使って既存事業をブーストできることをやってる印象がありますね。
大手フリマサービスだったら商品文の生成とか。やり取りする時のコメントを自動で生成してあげて、入力の手間を省いて、購入までのコンバージョンレートを上げていくということをやられてるんだろうなと思ってます。
そういう感じで既存のサービスを強くする路線にいくのが、やはりアセットがあるプレイヤーです。アセットがないプレイヤーは、そこと関係ないところでなるべく戦おうとしてるように見えますね。
亀山:そうだよね。
亀山:例えばCSをAI化しようとか、バナー作成を効率化しようとか、AIはいろんな業界を効率化させることはけっこう得意じゃない。
大野:はい。
亀山:だからAIによる生産性向上はいろんな分野に入ってくると思うんだ。それで言うと、「もともとやってるビジネスの生産性を上げる」ということにみんながAIを使う時に、AIのスタートアップがどういうふうに生まれるもんなのかな?
もともとデータをいっぱい持ってるわけじゃないし、プラットフォームがあるわけじゃない。そういった時に、AIでなんとかしたいと思ってる若者たちは、どういう戦い方を考えてるのかな。
「お金も足りないんで」とか、けっこう苦労してるみたいじゃない。かといって「明確なビジョンも出せないです」ということが多いじゃない。
大野:生産性を上げる系の使い方が多いので、既存事業があるところは、そこに使えるのは確かではあります。一方で、LLMや画像生成AIがある前提で初めて生まれる市場やサービスの切り口もあるので、そういうことをやってるイメージもありますね。
例えばグローバルだと、英会話の領域では「Speak」という、「AIのチューターと英会話しましょう」みたいなサービスを出してますが、あれってもう「生産性を上げます」というレベルじゃなくて。
「AIと英会話をする」という新しい切り口でサービスを作りにいってますし、それに特化して作り込んでいくと思うので、あそこまで思い切ったポジションの取り方はスタートアップ的だよなって感じはしますね。
大野:「大企業の中のワークフローの中のほんの一部の業務を効率化する」という路線にいくと、あんまりスタートアップ的なアイデアが生まれづらいです。
AI英会話も可能かもしれないし、例えば「そもそもチャットの体験があるから初めてできますよね」というサービスや路線は新しいスタートアップで狙いやすいし、やれるところな気がしますね。
亀山:それもそれでありだと思うし、俺はどっちへ行ってもいいと思ったんだけど、どうなの? 企業のコンサル的なことをするとか、支援ツールとか、いろんなものでやっていくのがまずは堅い路線だよね。どこの会社もAIで効率化したいというのは(ニーズとして)あるからね。
「DMM英会話」は人がやってるけど、「もうあんなの古いよ、AIが全部答えちゃうよ」「YouTuberも全部AIにしちゃおう」とか、すごくギャンブル性がある領域だと世界勝負じゃない。むちゃくちゃ山っ気のあるモデルと手堅いモデル、すごく両極な2つって感じかな。
大野:それはそうだと思いますね。
亀山:だからこそVCとしては、なおさらどっちも難しいんだろうね(笑)。
大野:この数年を振り返ると、僕的には構図がどんどん変わってきたなと思います。AI領域にずっといた起業家目線だと、「山っ気のある挑戦」のハードルは下がった感じもあって。
ディープラーニングがすごいぞって言われ始めたのが10年前ぐらいですが、あのタイミングではデータがないとAIをまともに作れなかった。データの権利を持ってる会社じゃないと良いサービスを作りづらかったので、スタートアップとしては、コンサルや受託的な入り方でないと儲かる領域が少なかったんですよね。
なのでここ10年ぐらい、ほぼすべてのAIスタートアップはコンサルや受託っぽいことをやってたのが主流だったんです。その時期と比べると、今は「山っ気のある挑戦」がやりやすくなっていて。
大野:生成AIの革命の1つは、初期の元となるデータがなくても、ある程度機能するものが作りやすいことです。例えばChatGPTのAPIが使えますし、画像生成系のモデルも、普通に使えるものがけっこう簡単に作れるので。
特定の業務のデータやインプットをしなくても、60点、70点、80点ぐらい取れるAIが、画像でもテキストでもできる状態からのスタートなので。
起業家はこれを使って、「新しい体験って何だろう?」みたいなことを考えれば、新しいサービスを作れる。今までAIの元となるものを作るためには、そもそもデータを持つ大企業とタッグを組まないとみたいな感じだったので、そこのステップが省略されてるぶん、新規サービスでの参入はだいぶしやすくなった感じはしますね。
亀山:じゃあ「AI彼女」や「AI秘書」みたいなものは、前に比べたら格段に作りやすくなったってことだよね。
大野:そうですね。それこそ昔、僕らもそういったサービスを考えたことはたくさんありましたし、当時も理論上はできたんですが、今は難易度がかなり下がった感じですね。今は超作りやすくなったので、むしろ生成AIになって初めて、AIの新規プロダクトが一気に出てくるようになりそうだなって気がします。
いずれにせよコンサル領域は堅いんですが、昔と比べると「コンサルより、プロダクトをやろう」とも思いやすい環境になった気はしますね。
亀山:なるほどね。コンサル領域というか、toB向けでとりあえず手堅く稼ぐのもいいけどさ、一発ドーンとデカいやつも欲しいんだけどね(笑)。
大野:(笑)。実は今、うちでも4事業を動かそうとしていて。1個はシゴラクAIで、ほかは完全にステルスで実験してるんですが、toCっぽいやつもやろうとはしてます。なので、どこかでリリースできるタイミングになったら発表します。
亀山:わかったよ。
亀山:とりあえず俺は今回、「とにかくいっぱい人材を集めて、とにかく生産ラインいっぱい作ったらなんとかなるんだろう」「ラインを10本作ったら、1本か2本はデカいのが当たるんじゃない」というイメージで、とにかく人を入れる予算がいるよねって感じで投資をしたんだけど。
大野:亀山さんの目線でめちゃくちゃシンプルに捉えるとそうです。一応、僕の中でどういう整理をしてるかで言うと……来てくださる方向けにちゃんと思想を伝えると、最初の黎明期なので、まずはたくさん試したいなと思ってます。
とにかく学べる回数が大事。僕らも既にサービスをクローズしたこともあるんですが、どれがうまくいきそうとか、サービスを出した時にどこが相性が良いのかを学べる。
あとは、まだおいしい領域はぜんぜん空いてるんですよね。LLMを提供することも、今しかできないことだなという気もしてるので、そういう1丁目1番地のど真ん中が空いてるので、そこを早く取る。
あとは強い組織を作って、チャンスが見えた時にちゃんと勝てる組織を作るという観点で、圧倒的に優秀な方に仲間になってもらう。
その3つを叶えるためにトップタレントを集めて、いろんな事業を作っていこうと思ってます。なので粗く見ると、「適当にやったら1個は当たるだろう」というのはおっしゃるとおりでありつつ、一応そんな感じです(笑)。
亀山:(笑)。俺は何が当たるかわかんないから、やることは任せてるんだけど、広告を踏んで会員を集めたぶんだけLTVで合うサービスができれば、広告費はまた別であなたたちに出してもいい。だから、とにかくネタが欲しいって感じだよね。「これなら広告費を突っ込む価値がありますよ」みたいな。
大野:そうです。
亀山:あとは、2~3人でやって資金で苦労してるやつはどんどんM&Aしたり、「こっちおいで」と言って誘う。とにかくAIのエンジニアだらけというか、そういう集まりにしてほしいなって感じなんだけど。
大野:実際、うちにCxOで入ってくれてるメンバーは、自分の会社を畳んで入ってきたメンバーもいます。本当に優秀で稀少な方ばかりですが、生成AIで起業した直後に「やっぱり一緒にやろう」と入ってくれる方が多いですね。なのでそういう方がいたらぜひ、ご連絡ください。
亀山:確かに。なんか頭良さそうなやつ、最近いっぱい見かけるよね(笑)。
大野:(笑)。
亀山:そのへんの若者たちからすると、やっぱりみんな「やりたいことができる」っていうことが大きいのかな。
大野:そこは(会社を選ぶニーズとして)めちゃくちゃ多くて。僕らはだいたい30代ぐらいの同世代くらいの方が多いんですが、僕らの世代はインターネットの革命のど真ん中でもないし、ギリギリスマホシフトのど真ん中でもなくて。
「大きい革命の中でデカい事業を作る」というチャンスがこれまでそんなになかったなと、僕は思っていて。「まだ空いてるとこはどこかな」みたいな感じで、インターネットのサービスの中でニッチを狙うことをがんばってた。
今は生成AIのど真ん中がまだ空いてる状態です。チャンスはあるけど、なぜサービスがないのかは、シンプルにまだ時代が追いついてないからというか。先行者利益をガッと取れる領域が多いので、「この時代を代表する事業を新しく作るぞ」というテーマに熱を感じて、一緒にやろうってなってくれる方が多いですね。
「自分1人でやるよりも仲間と一緒にやって、大きい資本を動かし、事業を作っていったほうが、自分の人生として楽しいよね」と思ってもらえることが多いイメージですね。
亀山:実際、そのへんは俺じゃやりきれないから、もう全権を任せてるんだけど(笑)。
大野:(笑)。そうですね、そこは僕がやりきるので。
亀山:おっさんが若いやつらと話していても、言ってることがわかんない。「こういうのをやりたいです」って言われても、俺はそもそも理解できてないからね(笑)。なので、金は出して口を出さないのが、やっぱ賢明かなと思ったんだけど。
でも、とりあえずは人は集まってるし、チームでやれることもあるだろうし。いざとなったらマーケに力を入れたり、企業に営業かけたい時は、うちから支援できる人材もいると思うし。ことAIど真ん中って、まだうちらも社内的に弱いとこがあるから、とにかくやってよって感じだね(笑)。
大野:ありがとうございます(笑)。当然、資金やネットワークもそうですし、やはりDMMにはいろんな事業があるので、僕もDMMのいろんな事業部の方としょっちゅうお話しさせてもらってるんです。
例えば、それぞれの事業部でシゴラクAIを使って業務効率化するとか、それぞれの事業部と一緒に新しく事業を作ろうともしていて。そのへんはめっちゃ助かってますというか、DMMのグループの中でできる醍醐味だなと思ってますね。
亀山:ということで今回は、DMMを持ち上げるポジショントークもけっこう入りましたけど(笑)。
大野:(笑)。
亀山:たまにはいいでしょ、こういうのも(笑)。ということで、あとは言いたいことは大丈夫?
大野:はい、大丈夫です。生成AIで新しいサービスを作ることに興味ある方や、業務効率化にChatGPTやLLMを活用したくてシゴラクAIを使いたい方がいれば、ご連絡いただけたら幸いです。
Googleで「Algomatic」って調べるか、XでAlgomaticって調べたら、たぶん私、大野のアカウントが出てくると思うので。という宣伝です(笑)。
亀山:今回はちょっとステマっぽかったんで、「PR」って入れとこうかな(笑)。
大野:そうですね。念入りにPRさせていただきました(笑)。
亀山:やっぱり、身内とやるとやりにくいとこがあるね(笑)。
大野:亀山さんも知ってることが多いですもんね。
亀山:多少知ってることもあるし、1回聞いてることもあるし、聞いたけどまだわかってないのもあるし(笑)。ということで、とりあえずなんとかやっといてね(笑)。
大野:はい、やっていきます(笑)。
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