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ソフトバンク 新30年ビジョン発表会(全7記事)

「紙の新聞なんて100%ありえない」孫正義氏が描く“30年後”のメディア事情

ソフトバンク・創始者の孫正義氏が描く30年後の未来。孫氏はデジタル情報革命によって「紙媒体が無くなる」「字幕式翻訳メガネが登場する」など、あらゆるライフスタイルが変化していくと語りました。

孫正義が思い描く、30年後のコンピュータ

孫正義氏:30年後の話をこれから話します。30年後の話、そんなもの全部知ってる、そんなものは退屈な話だ、そんなものは当たり前だ、というふうに皆さん思うかもしれません。あるいは思わないかもしれません。

ここから30年後の非常に退屈な話を、ごくごく当たり前のささいなことを聞いていただきたいというふうに思います。

30年後、コンピューターのチップの数は、人間の脳の10万倍になる。ワンチップの能力。先ほど申しましたように、100年後には1垓倍。30年後には人間の脳細胞を2018年に追いつくかもしれない。

2018年。そこから追いついて追い越してどのくらいまで越えるかというと、30年後に10万倍になる。やだなあ、俺の10万倍かと。ワンチップでですよ。しかもそのチップは通信し合うわけです。ものすごい速度で。

今日現在の約100万倍の通信速度、メモリ容量をもって、300万倍の通信速度で通信できるようになるというふうに思います。100万倍。100万倍。300万倍。

もしかしたら10万倍かもしれません。もしかしたら人間の脳の10万倍ではなくて、人間の脳のたった1万倍かもしれない。でも1万倍でも皆さんすごいと思いませんか。そうなるとどうなるんだと。今年(2010年)、iPhone4が出ました。30年後だとiPhone34ですね。

3万円くらいのiPhone34に何曲の曲が入るか。5000億曲入ると。そんなにいらんぞと。何年分の新聞の情報が入るかと、手元にですよ。3億5000年分の新聞が入ると。動画にしても3万年分入るぞ。そんなに見きらんと。生きている間に。

要は言いたいことは、あり余るほどの情報が3万円くらいの、月々980円の通信で得られると、そういう時代がくるかもしれないということであります。

もしこれが仮に10分の1だとしても、あるいは100分の1だとしてもですね、言いたいことは同じということであります。しかもそのスピード、例えば1秒間に音楽でいえば何曲くらいダウンロードできるか。1秒間で300万曲と。

手元に何億曲あってですね、それで足りないぞ、新曲が出たぞー、となったらですね、新曲は1秒間に300万曲もリフレッシュできる。

新聞にしたら1秒間2000年分、新たに入れられると。つまり1秒間で世界中で発行されている新聞・雑誌・書籍が全部1秒間で通信で入れられると。それくらいの時代がくるということであります。30年で。

紙媒体は100%ありえない

ソフトバンクはじめて30年経ったんです。あっという間です。あっという間に30年経ちました。あっという間にまた30年やってきます。

この30年で人々のライフスタイルは恐ろしく変わると。実質的に無限大の情報を入れられる、人工の知識と人工の知恵を入れられる、格納できる容量のストレージができたと。無限大のクラウドができて、超高速のネットワークで繋がる。

そうすると、その時代に紙の新聞なんてほぼ100%ありえないと。紙の雑誌、書籍、ほぼ100%ありえない。CDで音楽をトラックで運ぶなんていうのは、ほぼ100%、1000%ありえないということであります。

情報って、今まで僕はデジタル情報革命と言ってました。アナログの情報なんてやる人は誰もいない。情報というのはもうデジタルが当たり前。

だから今日私が繰り返し申し上げているところに、デジタル情報革命ともうあえて言わなくなりました。これから30年後、300年後の人々にとって、デジタルなんてわざわざつけなくたって情報革命は情報革命。こういう時代になるんですね。

あらゆる電化製品、もちろん電化製品だけでなくスニーカーにも、メガネにも、この脳型コンピューター、30年後にはまだ脳型にはなってないかもしれませんけども、大変処理速度の速い、100万倍くらいの処理速度、記憶容量、あるいはスピード、通信速度を持ったチップがですね、あらゆる電化製品に入る。あるいはメガネにも靴にも入る。靴に入ると健康管理してくれる。

「あと53歩、歩きなさい」と言ってくれる靴が生まれるということであります。

ありとあらゆるものがクラウド。クラウドというのはインターネットの上にある大型コンピューターということであります。

特許出願済み、字幕式翻訳メガネとは

メガネもですね、自動翻訳の字幕が出るようになるかもしれません。外人の女の子が何か泣き喚いて叫んでいる。何言ってるんだろう。

二ヶ国語同時に耳で聞くよりは、目で字幕、洋画を見るときに字幕がでますね。ああいう感じでメガネに字幕が出ると。相手がしゃべってる言葉を翻訳してくれて字幕が出る。こういうふうになるかもしれなません。ちなみにこれは特許を出しときました。字幕式翻訳メガネ。

教育はもちろん、徹底的に変わるでしょう。

医療も徹底的に変わるでしょう。紙のカルテに書いていくなんてのはありえない。紙ほど非合理的なものはない。非効率的なものはない。不親切なものはない。コストが高いものはないという時代になるでしょう。

仕事の仕方も徹底的に変わっていくでしょう。

見る感動も、今日現在の見る感動と、30年後或いは100年後の見る感動は全く違ったものになっていくでしょう。

学ぶ感動。先程申し上げた通りですね。教育は徹底的に変わっていくでしょう。

出会う感動。バーチャルリアリティから、いずれARという形に進化していくでしょう。

遊ぶ感動。これもどんどん変わっていくでしょう。

クラウドが人類最大の資産になる

このときにはクラウドが人類最大の資産になるだろうというふうに私は思います。クラウドに徹底的に人類のあらゆる知恵と知識、そして人工知能の知識、知恵、それがどんどん蓄積されていく。そういう中でソフトバンクは何か1つのものを出すわけではありません。

特定のチップのメーカーではありません、1つの特定のサービス、或いはビジネスモデルの会社ではありません。我々は人類が持っている最も優れたテクノロジー、最も優れたビジネスモデルが世界中に生まれてくる、彼らと一緒になって、彼らを同志としてやっていきたいというふうに思います。

情報革命は人の悲しみを和らげる

ちょっとイメージを表したビデオを作ってみました。見てください。

<映像開始>(ナレーション)人間には悲しみを和らげる知恵がある。

(ナレーション)太古の時代から人はさまざまな方法を試してきた。宗教や哲学や芸術の力で。(ナレーション)けれどいま、わたしたちは叶えつつある。悲しみの新しい和らげ方を。そして喜びの膨らませ方を。(ナレーション)それが情報革命だ。(ナレーション)information revolution(ナレーション)ひとりの想いは、みんなの想いとなり、みんなの声が、ひとりのために届く。

遠く離れた気持ちと気持ちを、人とモノをつぎつぎに結びつけてゆくのだ。

(ナレーション)あなたに暗い夜が訪れても、地球の反対側にいる誰かが朝の光を届けてくれる。(ナレーション)北で生まれたひらめきは、南で生まれた絶望を救い、(ナレーション)東で生まれた技術は、西で生まれたあきらめを希望へと変える。(ナレーション)人とモノの想いはいつでもどこでも引き合ってゆくだろう。(ナレーション)「運命の出会い」がいくつも生まれ、ひとりひとりがひとりじゃないのだと知る。(ナレーション)情報テクノロジーは出会いを生み出し、人間を自由にする力だ。(ナレーション)国境も、年齢も、人種も、言語も、時間も、時空も超えて

私たちは信じている。この力が不治の病をなくし、教育から退屈をなくし、この世界から戦争をなくすだろうと。

(ナレーション)どこまでも進化するテクノロジーと、(ナレーション)いつまでも変化しない愛。(ナレーション)そのふたつがいまここにそろっているのだから。(テロップ)情報革命で人々を幸せに。

<映像終了>

情報革命で人々を幸せに。このたった1行であります。先程から繰り返し申し上げております。そのような世界を作っていきたい。じゃあどうやってソフトバンクグループがそれを実現していくのか、ということであります。

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