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ソフトバンク 新30年ビジョン発表会(全7記事)

孫正義氏「それでも人は、愛を求める」 300年後、テクノロジーが人類の価値をどう変えるかを大予測

今後300年の間に人間の知能を超えた脳型コンピューターが生まれると語る孫正義氏。知性を持ったコンピューターと人間との共存はどうなっていくのか。孫氏は「愛情を持ったコンピュータが人間をより幸せにしていく」と語りました。

愛情を持ったコンピューターが人間を幸せにする

孫正義氏:コンピューターが自ら感情を持って、自らの意志を持って人間よりもはるかに優れた知恵と知識を持って、自らの意志で動き始めたら、ある意味怖いことでもあります。

逆に言うとですね、コンピューターが人間をはるかに越える知恵だけを持って、この知恵だけでゴールを満たそうとすると、先程の暴走まで最短距離を走ろうというものが出ます。

むしろ私は暴走を止めるためには、本当に高い次元、深い次元の感情、つまり人々が持つ豊かさだとか、優しさ、愛情というものを、むしろコンピューターに持たすことが、コンピューターの脳を制御するというふうに逆にいくのではないかというふうに思うわけであります。「超知性」の実現。超知性というのは、むしろハートを持たせる。

心を持たせる。豊かな優しさ、愛情を持たせるほうが脳型コンピューターにとって正しい進化ではないかというふうに私は思うわけであります。

つまり情報革命で機械的な目的を達するということではなくて、情報革命でコンピューターは超知性の脳型コンピューターは人々を幸せにする。

人間が人間を幸せにするように、機械が人間を少し幸せにしはじめてくれているように、超知性のコンピューターが人間をより幸せにするために共存していくというふうに思います。

300年後、平均寿命は200歳に

本当にそうなのかって、皆さん疑念をもたれるでしょう。300年後にどんな幸せを超知性を使ってやっていくのかという例をいくつかあげてみたいと思います。

300年前は、一般の人々は平均寿命たった33歳でした。それが今83歳まできております。これが今から100年後200年後、そして300年後には私は平均寿命は200歳になる、と思います。そのころになると高齢者というと200歳の人のことをいうと。100歳、まだひよっこだね、若くていいね、というふうに言われる時代がくるというふうに思います。

どうやれば平均寿命が200歳になるのか。

ちなみに過去300年間、だんだんだんだん平均寿命の延びが加速しておりまして、ここ100年間というのは、10年で3.5歳ずつくらい延びております。

そういう形で延長させていく、あるいは科学技術、DNAによる治療、人工臓器の一般化というものが300年以内にはやってくるというふうに思います。

DNA治療の一般化、人工で作られた、人から移植するんじゃなくて、自分自身の細胞から自分の肝臓を作る。そうすると拒絶反応がない、というようなものができてくる。それが一般化していくというふうに思います。

そうすると人間のパーツを入れ替えて人間は長生きする。心臓を入れ替える。肝臓を入れ替える。そのうちあちこち入れ替える。どこまでが自分なのだろう? 脳が一番大切ですね。

脳を入れ替えるのがなかなか難しいですが、平均寿命が200歳くらいになるというふうに私は思います。脳を入れ替えることはできませんが、脳を補強することはできるようになると思います。

脳と脳が通じ合う、テレパシー的通信

実は人間の脳というのは、人間の手足、いろんなところにある神経と通信をしております。微弱な電流が流れているんです。人間の体の中に。脳にも微弱な電流が流れてます。人間の神経というのは、脳が考えて指とか、手足を動かすわけです。これ、通信してるんですね。

メタル線だとか光ファイバー線と同じように、人間の体を通信の媒体とみなして、人間の脳から神経に通信しているように、今度は脳からコンピューターのチップに、脳型コンピューターのチップに体を通じて通信をするという時代が、300年以内に必ず私は生まれるというふうに思います。チップを体にくっつけると、そこのチップと脳が通信しはじめる。

チップをどうやってくっつけるんだと、チップエレキバン。貼りつけなくても本当は時計でもいいわけですね。ピアスでもいいわけです。とりあえず人間の体に直接チップが触れると、そのチップと脳が通信をする。そのチップと離れたところにいるチップが無線で通信をする。

そのチップと相手の脳が体内通信をする。そうすると、まるでテレパシー。今までの人々が呼んでた現象、これがなんと科学技術で300年できるようになるというふうに私は思います。

そうするとチップとチップが無線で通信し、つまり300年後のソフトバンクは、携帯電話会社ではなく、テレパシー会社といえるかもしれませんね。

そのチップとチップが無線で通信しあって、異なった言葉をしゃべっている人間同士が、中国語だとか、フランス語だとか、英語だとか、皆さんがしゃべれない言葉をしゃべってる人間と、コンピュータが自動翻訳して、相手とテレパシーのような形の通信で自動翻訳で言葉を交わせると、そういう時代もくるでしょう。

脳型コンピュータを搭載したロボットの普及

犬ともテレパシーできるようになるかもしれません。本当かと。30年に1回の大ぼらですから、とりあえず言わせてください。そのチップがですね、脳型コンピューターのチップが、今度は動くことのできるモーターとくっつくと。

つまり筋肉を持った、人工筋肉、つまり動力ですね、動くことのできるモーターとくっついたときに、これはロボットですけども、知恵を持ったロボット、人工知能を持った、脳型コンピュータを搭載したロボットが、300年以内には非常に一般化して、その人工知能を持ったロボットは、例えば地震だとかいう災害、危ないところに……。

今は救助隊が火事のところとか地震のところに行って、人間が消防士が命をかけて助けるわけですけど。

命をかけて助けなくたって、人工知能をもったロボットコンピューターが危険なところ、瓦礫の中をもぐって、それは必ずしも人間型ロボットではなくて蛇型のにょろにょろのようなロボットが隙間から入っていって、「おーい、生きてるかー」と叫んで、その相手と通信して助けていくと。

あるいは大きな動力を持ってる、でも単なるショベルカーではなく、"シャベル"カーというぐらいの知能を持ってるかもしれない。家事だとか医療。

こういうものも知能を持った、優しさを持った、単に機械的に手術すると、「痛い痛い」「我慢しろ」とかいうのではなくてですね、ちゃんと優しさを持った人工知能のお医者さんのほうがやっぱいいですよね、どうせ診てもらうなら。

そういう形で人間に優しく、しかも優れた知能を持って、そして強い筋肉も持っているというような時代が生まれるかもしれません。考えてみるとですね、様々なロボットが生まれるのではないか。

色んな形の色んな知恵を持った、機能特化型、あるいは万能型、というようなロボットが続々と生まれて、我々の300年後の世界というのは、今見ている景色とは全く違うライフスタイルを過ごしているかもしれません。

そのときにロボットを作る会社は必ずしも、自動車メーカーとか、家電メーカーのように、筋肉をつくるのが一番得意な会社が強いとは限らない。筋肉である部品は組立工場でいくらでも作れると。

一番難しいのはその筋肉に何を指示するか、何を考えるか、という知恵のところの方がはるかに難しい。優しさを持った。そういう意味では我々ソフトバンクは一環して情報革命するわけですけども、この脳型コンピューターの継続的な革命、優しさを持ったハートを持った愛情を持った、そういうものをこういうロボットに提供していきたいというふうに思うわけですね。

新しい知恵が続々と人工知能、脳型コンピューターが生み出していくようになると、新しい発明というものもですね、新規技術というものも、脳型コンピューターが自ら発明しはじめる。そういう時代も来るかもしれません。

知的ロボットと人間は共存できる

ほとんどの発明がこのような形で、コンピューターが主役になって、ロボットが主役になって、知的な、優しさを持ったロボットとの共存というのは、必ずしも恐ろしい、怖い、破壊的な社会ではなくて。300年前の多くの人々は機械を怖いものだと、恐ろしいものだと誤解を持って、機械は大きなハンマーで叩き壊されたりしました。でも今我々は共存してます。

同じように知性を持った、優しさを持ったロボットが我々に対して危害を与えるものではなく、むしろ人間より優しくなるかもしれない。彼らとの共存する社会が生まれるかもしれない。我々はそれを実現させたい。

我々はサイエンスフィクションを作る映画監督ではありません。小説家でもありません。我々はこれを実現させたい。しかも優しさを持って愛情を持って、この情報革命を人々のために行いたい。

何のためにということが一番大事だと思いますね。人々を幸せの為にこういう脳型コンピューターを広めていきたい。情報革命を広めていきたいというふうに思っているわけであります。一家に一台といわずに、300年後には一家に10台100台、この脳型コンピュータを搭載したロボットだとか、家電製品がどんどんでるのではないかというふうに思います。

人類が今まで体験したことがないような、解決できなかったような、人間の人知を超えた、人間の叡智を超えた難題にも、彼らと一緒に解決していくという時代がくるかもしれません。

人間が解決できない未知のウイルスとの戦い。テロ、隕石、大地震、大津波、こういうような人間の人知を超えたような、叡智を超えたような難題にも彼らと一緒に解決していくという時代が来るのではないか。

そんな優れた文明の利器をもった時代がきても、それでもやっぱり人々は、何でもコンピューターまかせ、機械まかせというわけにはいかなくて、やっぱり人間は自分の愛を一番求めて、愛に傷ついて、人間同士の言葉のすれ違いで、誤解をし喧嘩をしたり愛に傷ついたり、あるいは愛を求めて自分を献身的に捧げたり、300年後も愛って何だろうというふうに人々はつぶやいているだろうと。

愛って難しい。300年後の人々はそれでも聞いてるんではないかというふうに思います。というわけで我々がやりたいのはたった1つであります。繰り返します。

情報革命で人々に幸せを提供したい。たったこの1つであります。たったこの1つだけを我々は成したいんです。という話を300年後の大風呂敷として広げましたので、30年後の世界は急に現実的な物に見えてくるんじゃないでしょうか。

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