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宮坂学・2000年越しの課題解決(全2記事)

インターネット広告は“2千年越しの課題解決”となる--ヤフー宮坂氏が予測する、新しい広告の形とは?

2000年以上の歴史を持つという「広告」の世界。そんな歴史ある業界は今、大変革の時期を迎えている--売上の6割を広告であげているヤフージャパンから、代表取締役社長の宮坂学氏がネット時代、そして3Dプリンター時代の新たな広告の幕開けについて語った。

人類は2000年前から広告について悩み続けていた

宮坂学氏(以下、宮坂):皆さんこんにちは。ヤフーの宮坂であります。先程、孫さんのほうから、「生産性をあげよう。そのためにはITが非常に大きな武器になる。労働力を増やそう。それはロボットのテクノロジーを使えば増えるのではないか」というような話がありました。そしてその次に、ジャックさんのほうから、夢を信じてお客様に貢献しようというような素晴らしいお話がありました。

これからわたくしのほうは、素晴らしいプロダクト、素晴らしいサービスを作って、それをどうやってお客さんにお知らせするのかということについて少し今からお話をしたいと思います。タイトルとしては2000年越しの課題解決とありますが、まず最初にこちらをご覧ください。

この一枚の絵でありますが、約2000年前のトルコの遺跡に残っている絵であります。この真ん中にあるのが足です。右、ちょっと端っこの方にあるこの四角いものがお金を表している訳ですけど、これ実は、世界で最も古い広告というふうにいわれております。

なんと、広告というのは2000年前からひょっとしたらもっと古くからあったかもしれませんけど、確認されているものだけ見ても、2000年前から自分達の作っている商品やサービスをお客様に知って欲しいということがもう始まっていた訳です。

今度は、日本のほうでいいますと、こちら今でいう、三越さんの資料になりますけど、

これが今、日本で最初のチラシ、いわゆる広告だというふうにいわれております。日本でみても、約250年前にある種、広告というものの原型が始まっていた訳であります。この2つの事例からわたくしが思うこと。それは東のほうの国も、そして日本の国でも、西でも、世界中のあらゆるところでいろんな方が、常にお客様の為にいろんないいサービスを作ろうというふうに努力をされる訳ですけど、最後に残った最大の課題。

それは何かというと、お客様にどうやってその事をお伝えするのか、と。どうやって自分達が素晴らしいサービス、お客様の課題を解決する素晴らしい商品を持っているかを、どうやってお伝えするのかということは、実は2000年以上に渡ってずっと追求されている課題ではないかと思います。

ひとことで言うと、2000年間ずっと課題解決されていないテーマは何かというと、ずばりお客様が来ないと。いいサービスを持っているんだけれども、お客様に来ていただけない、ということは、いろんなビジネス、いろんなサービスが世の中に生まれてますけど、2000年に渡ってずっと続き、そしてこれからもあらゆるビジネスの世界で、どうやってお客様に来ていただくのかというところが追及されていくと思います。

もちろんこれまでは、お客様に来ていただきたいというのは、主にお店とか、営業所とか、そういった場所に、リアルな実際のお店に来ていただくということがテーマだったと思います。しかし、21世紀に入ってからは、インターネットというまったく新しい仮想の空間が生まれました。

そうなってくると、お店だけではなく、オフラインのチャンネルだけではなくて、自社のオンラインのホームページ、自分の会社のWebサイト、そして最近では自分の会社が提供するアプリ。アプリケーションをどうやって知ってもらうのかということに、お客様が来ないということについて課題の幅が広がってきたというふうに思っております。

ヤフージャパンもこういった課題に答える事業をやっているんですが、一般的にみて、これは決してヤフーだけでなく、今インターネット業界の広告の世界で大雑把に言うとこういうことが行われている、ということについて少しお話をしたいと思います。

「アートの歴史」から考える、これからの広告

どうやってお客様により自社のサービスを知っていただくのかということについては、これからの方向性、大きくいうと2つあります。

1つはアート。自社のメッセージ、ブランドを少しでも印象深く記憶に残してもらうために、どういう表現をするのかというのがひとつ目になります。

そしてもうひとつは、テクノロジーです。どんなに素晴らしい表現の仕方も、タイミングを間違ってしまうと、お客様からするとノイズになってしまいます。なので、最高の表現を最高のタイミングで届けるということが、これからにおいては非常に重要になると思います。

ではまず、アートについて少し流れを追ってお話したいと思います。まずアートでございますが、これはインターネットの歴史そのものであります。

インターネットの歴史が進化すればするほど、表現力が豊かになってきています。もともと、ダイアルアップ接続の時代はテキストを中心とした表現でありました。それが、ADSLの時代には写真中心に変わってきて、そして今では多くの企業の方、多くのスモールビジネスの方が自社の商品やサービス、ブランドをお伝えするために、インターネットで映像をもって、動画を使って提供されています。

広告も映像化がどんどん今加速していまして、参考までにヤフーでやっている広告の一つの例ですけど、こういった形でニュースの記事を読みながらでも動画の表現でブランドをお伝えするというようなことも行われております。

今では、約5人に1人の方が毎日映像を視聴している。これまで映像を見るといえば、ほぼテレビで見るというのが定番でございましたけど、実はすでに5人に1人の方がテレビ以外、すなわちインターネットで映像を見ると。そういった時代に突入しております。

もちろんこれだけ急激に映像表現がインターネットにあふれると、お客様はついていけるのかという心配もあると思いますけど、そこはまったく問題ないようでして、ユーザーがインターネットで映像で広告を見る事についてネガティブな意見を持つかというと、

これはもうほとんどないということで、お客様はどんどん企業の皆様からの映像によるブランディングの表現というものを受け入れつつあるとそういう時代に入ったと思います。これは、企業の皆様にとっても非常にチャンスがありまして、

これまでのCMを中心とした映像表現だと、大体15秒くらいがひとつのフォーマットだとお伝えしたと思いますが、インターネットだと、大体平均すると約1分間。約4倍の時間、お客様は映像を見てブランドを深く知ってもらうことが出来ます。

これは今後、非常に大きなチャンス。皆さまが一生懸命情報技術を使って作ったプロダクトサービス。ブランドをお客様に届けるために非常な大きな武器になるんではないかと、インターネットを使ったビデオによるブランディング、非常にこれから大きな可能性を秘めているというふうに思います。

3Dプリンターが「脱平面」の広告を可能にする

そしてさらにテクノロジーの進化によって、どんどん表現の仕方、表現の方法が変わるということを少し申し上げてきましたけど、さらに新しい可能性が今あると思います。

未来のアートと呼んでおりますけども、テキスト、写真、映像、これはいずれも結局のところディスプレーの中で、ディスプレーの枠の中でみせる表現なんです。そこから、ディスプレー出ていけないと、こういった限界がございます。これは、今からお話することが今すぐ一般的になるかどうかわかりませんけど、10年、20年経ってみれば割と一般的に行われるんじゃないかということについて少しお話をしたいと思います。

それは、これまではブランディングの表現、広告の表現というのはCD、ディスプレーの中で行うもの。紙とか、スクリーンの上。つまり平面の上で行われていましたけど、ひょっとするとこれは今から3Dプリンターの普及なんかによって、3D、すなわちお客様が触れる、目にすることが出来、手に取れる。こういった表現にかわる可能性がある、ということを少しお話をしたいと思います。参考までに少しデモを見ていただいたほうがいいと思いますのでご覧下さい。

(ビデオ開始)

(ビデオ了)

宮坂:はい。今少しだけ簡単に紹介しましたけど、これ3Dプリンターと音声検索の技術を使いまして、今の映っている子供は、実は目が視力が非常に弱いお子さんなんですよね。その学校に3Dプリンターを寄付して、音声検索のリストをひっつけます。

例えば、キリンというふうにこのお子さんが声を入れると、キリンの形をしたオブジェクトを3Dプリンターで出力をします。これを今やっておりまして、世界でも非常に大きなカンヌライオンズ国際クリエイティブフェスティバルというのがあるんですけど、こちらのほうで、二部門でシルバーを受賞することが出来ました。

今のところ、こういった社会貢献的な支援スタイルの枠組みで使っておりますけど、今後もし3Dプリンターが、もっともっと世界中の人が使えるようになれば、きっと皆さんのやられる広告のクリエイディブも平面ではなくって、こういった実際の形になっていく。

例えば新しい自動車を、自動車の形で家にいながらいろいろ手に取ることが出来る。新しい家、新しいドア、新しいキッチン周りの商品を実際の形にして、お客様は家に居ながらにして手に取って見ることが出来る。そういった表現の仕方が今後テクノロジーの進化と共に行われる可能性があるというふうに思います。以上、今までは新しいテクノロジーによって表現がどんどん豊かになるという話をしました。

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